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image1031.png公開年:2006年 
公開国:アメリカ
時 間:97分  
監 督:デイビス・グッゲンハイム
出 演:アル・ゴア 他
受 賞:【2006年/第79回アカデミー賞】歌曲賞(曲/詞:Melissa Etheridge:“I Need to Wake Up”)、ドキュメンタリー長編賞
コピー:地球の裏切りか?人類が地球を裏切ったのか?地球を愛し、子供達を愛する全ての人へ──。アル・ゴアが半生を捧げて伝える人類への警告。


民主党クリントン政権下で副大統領を務め、その後、共和党ジョージ・ブッシュとの大接戦と混乱の末に敗れ去ったアゴア。その後、地球温暖化対策の緊急性を訴え世界各地で精力的な講演活動を続けている。本作は彼の講演活動の模様を中心に紹介するドキュメンタリー。

いきなりでもうしわけないが、ドキュメンタリーとはいえ、生涯で観た映画の中で、ダントツで最低な気がする。本作を観ようと思ったのは、『華氏911』でブッシュにやぶれたゴアを見たからなのだが、観ようとおもった自分に、何を血迷ったか…と言いたい。

自分の言うことを信じないやつはマトモな人間ではないという、この態度、人としてどうなのだろう。大体にして、“真実”“事実”を繰り返すが、根拠が希薄だし、眉唾。私は科学者ではないから、すぐさま反論することはできないが、ある著名な科学者がそういっていた…ってわれても。

観客が笑っている理由がまったくわからず、実に気持ちが悪い。本当に何が面白いのか。作中で使われるアニメも、どういう効果が?共和党を揶揄したいのもわかるが、まともな喧嘩の仕方とは思えない。こんな汚い論調で、もっともらしい顔で喧嘩をしかける人間の神経がわからない。人として品性が低い。すくなくとも科学者のあるでき姿勢ではない。こういう自分の思いどおりにならないときに、こういう態度を取る人間は信用ならない。

自分の息子の事故と、本件になんの関係があるのか?ゴアの信念や自分がどうやってがんばったかなどは、本作で訴えたいことと無関係だ。逆に、どんな大悪人だろうと、真実は真実。息子を失いかけた人間の意見だから真実なわけではない。

科学者がつくった映画ではないのが、唯一の救いかもしれないと思うのと同時に、こんなことをいう人間にノーベル賞を与えるなんて、ノーベル賞の使命は終わったのかもしれない。こんな映画にアカデミー賞を与えるなんて、米アカデミー賞は終わったのかもしれない。そりゃあ『ザ・コーブ』が受賞するわな。模型をつかったドキュメンタリーが許されるくらいだから(あ、脱線したか?)。

しかし、SARSや鳥インフルも温暖化のせいだっていいきるんだから、ばかばかしい。まともな科学者の姿勢が微塵もあるのなら、そういう事象はあるかもしれないとはいうが、それが原因だ!といいきるようなはずかしいことはできないはず。厚顔無恥も甚だしい。そんな単純に地球の現象の原因がわかるわけがない。もっと複雑な問題だろう。これなら『ウルトラマンガイア』を観たほうがましかもしれない。

以前、イギリスにて公立の小中学校に教材として本作を配布しようとして、保護者が科学的にウソがある提訴したニュースがあったと思う。その時の判決は、“科学的根拠が乏しい9箇所がある”と注意を促すこと…というものであった。私は拍手を送りたいよ。

本作を観るのは、苦行である。本作を観て、もっともらしいことをいう権威のありそうな人間であっても、表面に騙されないようにするという、高度な行である。みんながんばって。

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image0792.png公開年:2004年 
公開国:カナダ、イギリス
時 間:96分  
監 督:レア・プール
出 演:ウィリアム・ハート、マーク・ドネイト、パスカル・ビュシエール、ラオール・トゥルヒロ、スティーヴ・アダムス 他
コピー:世界で一番美しい神秘の蝶に会いたい。余命わずかな少年に残されたたった一つの最後の願いが 奇跡を起こす。
キラキラと輝く青い天使が、ちいさな心に舞い降りた。


末期の脳腫瘍に冒され、余命数ヶ月と宣告された10歳の少年ピートは、中南米の熱帯雨林にしか生息しない神秘の青い蝶“ブルーモルフォ”と直接見て触れることが願い。それを知った母親は、彼の尊敬する世界的な昆虫学者オズボーンへ直談判に行く。最初は、断るオズボーンだったが、ピートの熱意負け、南米行きを決意する…というストーリー。

あらすじ以上の内容はない。ただ、とにかくとにかく、コスタリカでロケしたという熱帯雨林の生物たちの姿が美しいし面白い。虫や鳥がジャングルの中で見せる生き生きした姿の前では、人間社会のことなど小事に見えて、人間ドラマの部分が茶番に見えて仕方が無い。子供の病気の件なんかサブストーリーくらいの扱いにして、自然をメインにひたすた写したほうがよかったと思う。逆にそうすることで、人間ドラマが生きたに違いない。そうすればカルト的な人気になっていたかもしれない。

そのためには、ミュージックPVの監督なんかを起用するとよかったかもしれないのだが、本作な難病の子供に希望を与える団体が援助しているという噂もあったので、その部分を判りやすく入れる必要があったのだろう。スポンサーが内容に影響を与える悪い例といえる(ただ、本作をみて難病の子や家族が元気付けられるとは到底思えないのだが、皆さんはどう思うか)。

もう一つ、悪い点というか、製作者として罪なところがある。本作は実話ベースで、実際の昆虫学者のエピソードらしいのだが、そのくせ、虫の扱いがありえないのだ。貴重な蝶を捕まえて羽を持つだろうか。かごにいれるだろうか(三角紙というやつにいれるのでは)。注射で虫を殺すか(大昔の昆虫解剖セットじゃないんだから)私は昆虫採集については、素人同然だが、ものすごく違和感を感じる。映画をつくる時に、こういう点をチェックすオブザーバーを置かなかったのだろうか。また、モデルになった昆虫学者はクレームを言わなかったのだろうか。本当に疑問だし、そういう製作姿勢は許されるのだろうか。

まあ、夢を与えるのはいいことだが、そういう詰めが甘いことで興醒めさせる必要はない。

再度いうが、本作は、自然メインで撮ったら面白かっただろう。なにやらドキュメンタリーっぽい映画の新たなヒントを得られたようなそんな気がする(もちろん、本作は反面教師という役割だけど)。100円レンタルで損した気分にならないかどうかは、半々というところなので、特段お薦めはしない。

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imageX0004.png公開年:1960年 
公開国:アメリカ
時 間:125分  
監 督:ビリー・ワイルダー
出 演:ジャック・レモン、シャーリー・マクレーン、フレッド・マクマレイ、レイ・ウォルストン、デヴィッド・ルイス、ジャック・クラスチェン 他
受 賞:【1960年/第33回アカデミー賞】作品賞、監督賞、脚本賞(ビリー・ワイルダー、I・A・L・ダイアモンド)、美術監督・装置賞[白黒](Edward G.Boyle:装置、アレクサンドル・トローネル:美術)、編集賞(Daniel Mandell)
【1960年/第21回ヴェネチア国際映画祭】女優賞(シャーリー・マクレーン)
【1960年/第26回NY批評家協会賞】監督賞(ビリー・ワイルダー)、脚本賞(ビリー・ワイルダー、I・A・L・ダイアモンド)
【1960年/第18回ゴールデン・グローブ】作品賞[コメディ]、男優賞[コメディ/ミュージカル](ジャック・レモン)、女優賞[コメディ/ミュージカル](シャーリー・マクレーン)
【1960年/第14回英国アカデミー】作品賞[総合]、男優賞[国外](ジャック・レモン)、女優賞[国外](シャーリー・マクレーン)【1994年/アメリカ国立フィルム登録簿】新規登録作品

出世のため、上役の浮気用にと自分のアパートを貸しているバド。だが、人事部長のシェルドレイクが連れ込んで来た女性は、バドが心を寄せるエレベーターガールのフランで…というストーリー。

ここ数日、お薦めできない映画続きで、もうしばらく映画を観るのを止めようかなと思うくらい、疲れてしまった。とりあえずレンタルはやめて録画したものの整理ということで、本作を鑑賞。

かなり古い白黒映画なので、観難いかも…と、まったく期待していなかったのが功を奏したのか、意外に面白く観れた。作中で繰り広げられていることを冷静に考えれば、結構エグイことなのだが、各所で評価されているとおり、よく練られた脚本・演出・演技で、1960年の映画とは思えない軽妙さにまとめられている。
別にお隣さんに真実を語ってもよさそうなもんだとか、逆手にとって上司にプレッシャーをかけたっていいのにとか色々思うけど、それはまあ、そこはキャラ設定ということで多めにみないと。

コメディ部門として色々受賞しているし、コメディとしてカテゴライズされていることが多いのだが、コメディとして撮っているつもりはなくて、ラブロマンスにしようとしていると感じる(ジャック・レモンの演技は、コメディ要素を抑えられている。監督の意図だろう)。私はラブロマンスをみない(というか、どちらかといえば避ける)方なのに、それなりに楽しめたのだから、基本的に好きな人ならOKだろう。

ただ、お薦めする以上、注意喚起しなければいけないと思うのだが、いまどきのコメディはテンポ第一みたいなところがあるので、その基準で見るとダメかも。その基準で見られると、言うほど軽妙じゃないじゃん!とお叱りを受けそう。
また、雰囲気とかこういう行き違いとかすれ違い的な要素は、けっこう映画やドラマでパクられてるので、既視感があるし、最後の走るシーンはもうちょっと長くしたいよねとか、それもいまどきのドラマに慣れている人なら、感じるところは多々あるだろうが、そこは差し引いてみよう。

古いラブロマンスがOKな人は、まずハズレと感じることはないだろう。普段ラブロマンスを観ない人は、レンタルしてまで観る必要なないかな(特に男の子は)。すごく参考にされているので、映画検定的な視点で観る分には、いい資料だと思う。

この邦題は、実に感心。まあ、内容的には、アパートの鍵“貸します”じゃなくって、アパートの鍵“貸してます”なんだけど、それはそれとして。なんといっても原題はただの“THE APARTMENT”なのだから、この邦題を付けた人の才能にはあやかりたいほど。
#本作のシャーリー・マクレーンは、藤井リナみたいな感じ(どう?そう思わない?)
 

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image1459.png公開年:2008年 
公開国:日本
時 間:121分  
監 督:押井守
出 演:菊池凛子、加瀬亮、谷原章介、山口愛、平川大輔、竹若拓磨、麦人、大塚芳忠、安藤麻吹、兵藤まこ、下野紘、藤田圭宣、長谷川歩、杉山大、水沢史絵、渡辺智美、望月健一、西尾由佳理、ひし美ゆり子、竹中直人、榊原良子、栗山千明 他
受 賞:【2008年/第32回日本アカデミー賞】アニメーション作品賞



“ショーとしての戦争”がビジネスとして成立する世界。戦争企業ロストック社に所属する戦闘機パイロット、カンナミはヨーロッパの前線基地ウリスに配属される。しかし、彼にはここに赴任する前の記憶がなく、自分が思春期の姿で成長を止め、戦士しない限り生き続ける“キルドレ”であることと、戦闘機の操縦法だけを覚えていた。やがてカンナミは、同じくキルドレで、かつてエース・パイロットだった司令官クサナギに惹かれていく。一方、戦況は、“ティーチャー”と呼ばれるラウテルン社のパイロットに翻弄され、日増しに厳しくなっていく…というストーリー。

“キルドレ”のようなデザイナーズチャイルド的な設定は、もう使い古されている(『ブレードランナー』しかり)ので、それだけの要素で引っ張り続けるというレベルの低いことはしないはず…と思っていたが、ほぼそのままで他の目をひくような要素はなかった。色々、押井守の彼なりの哲学で繰り広げられるのはかまわないが、ゲームマニアを揶揄してるようなところとか、いろいろ摘んで入れすぎて、ぼやけまくっている。思わせぶりな間がすごく目立つのだが、そういう“ぼやけ”を実は意味があるんだってばぁ、としたり顔で主張していうようで、若干腹立たしい。

元々アニメの登場人物っていうのは、子供っぽいものだから、僕達子供だもんといわれても、別に特別子供には見えない。タバコは吸うはSEXはするは、普通の大人にしか見えない。かといってもっと少年少女にしてしまうと問題があるんだろうけど。もしかして、大人と子供の違いって何?って問いかけているのかな?とも思ったけど、そういう意図でもないみたい。もう、なんだか深く考えるのをやめてしまった。

そこを考えるのをやめてしまったら、技術的な問題が目について目について。
本職声優じゃない俳優を起用することが批判されることがよくあるが、本作については、男優陣はまあまあ。しかし、肝心の菊池凛子のデキが非常に悪い。
さらに映像技術的な問題が。まず、誰でも気付くとおもうが、背景(構造物等)と人物の質感があまりにも差がありすぎて興醒めすること。いかにもCG的な背景といかにもアニメちっくな人物の差、という点についてはこんなもんだと思うのだが、人物の着色が平板すぎる。原画レベルで影の書き込みがしっかりできていないので、薄っぺら。
CG部分の表現も問題あり。大きな構造物は、白っぽく見える…という表現はフィギュアの着色なんかでよく言われることだが、これは元々、絵画の着色テクニック。本作では構造物の大きさに関係なく、全部同じような白いもやがかかっていて違和感を感じる(そこが、映画とゲームの差だと思う)。海外のCGはこんな違和感はとっくにクリアしているのに、日本ではまだこんなレベルである。もっと美術の根本を勉強したうえでCGを駆使してほしい。そういう技術者が増えてくれることを望む。そこに気付かなければ、アメリカ映画のCG技術には追いつけないと思う。

最終的にいうと、観た時間が勿体なかったと感じている。よほど押井ファンでなければ観なくてよいだろう。公開当時日テレが提灯番組で煽っていた内容が、非常にバカバカしく思い出される。
#コピーがつけられていないんだけど、この程度の映画でなにかっこつけてんだって、感じです。

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image0608.png公開年:2006年 
公開国:アメリカ
時 間:128分  
監 督:スティーブン・ギャガ
出 演:ジョージ・クルーニー、マット・デイモン、アマンダ・ピート、クリス・クーパー、ジェフリー・ライト、クリストファー・プラマー、ウィリアム・ハート、マザール・ムニール、ティム・ブレイク・ネルソン、アレクサンダー・シディグ、マックス・ミンゲラ、ジェイミー・シェリダン、ウィリアム・C・ミッチェル、アクバール・クルサ、シャヒド・アハメド、ソネル・ダドラル 他
受 賞:【2005年/第78回アカデミー賞】助演男優賞(ジョージ・クルーニー)
【2005年/第63回ゴールデン・グローブ】助演男優賞(ジョージ・クルーニー)
コピー:地球は陰謀でできている。

長年危険な諜報活動に従事してきたCIA工作員バーンズは引退を決意だったが、最後に極秘指令が下される。ワシントンの大手事務所で働く弁護士ベネットは、アメリカ石油企業コネックス社による大型合併を巡る調査を任される。。スイス在住のエネルギーアナリストのブライアンは、息子の事故をきっかけに、中東王族ナシール王子の相談役に抜擢される。ナシールの国に出稼ぎに来てパキスタンの青年ワシームは、突然の解雇に遭い、路頭に迷う。一見無関係な彼らの運命は、大きなうねりに飲み込まれていく…というストーリー。

本作を「解りにくい」として批判する人もいるが、残念ながらそれは映画のつくりの問題ではなく、基礎知識が無さ過ぎるのではなかろうか。別に中東情勢のプロでなくても新聞記事レベルの知識で充分理解できるはず。娯楽作品ではないので、野球のルールを知らない人がドカベンを観ても、いまいち面白くないのと一緒で、せめて9.11の後、どういう経緯でアメリカがイラクに侵攻したか、何となくの程度でもわからない人は、観ていてもちょっとツライかもしれない。
私は、他作品のレビュで、わざとらしかったり獲って付けたような説明をする映画を批判しているが、本作は、その説明がさりげなくて実にうまいと思う。これだけ巧みに背景や状況を説明してくれているのに、判りにくいという人がよくわからない。

100年前まで殺しあっていた人間がまたもとに戻るだけ…というセリフとか、神学校の先生が自由主義の敗北を熱く語ったりするシーンなど、うすら寒さすら覚えるくらいだ。特に後者は、考えさせられる。正直、神学校の先生が言っていることなんて、イスラム原理主義に偏向したいささか的が外れた理論なのだが、あれを子供に刷り込んで形成された社会は、その偏狭さはなかなか解消されるものではない。中国や韓国の反日教育も同じだし、日本だって一部の組合員による偏向教育も程度の差はあれ同じこと。

中東の裏側では、こんな恐ろしいことが行われているのだなぁ、、、アメリカなんてロクな国じゃねえ、近いうちに滅びるぞ…と思いかけて、もう一人の自分が“待った”をかけた。冷静になったら製作サイドの政治的意図が臭ってくるではないか。いかんいかん、あぶないあぶない。これはもっともらしいけれど、プロパガンダ映画っぽいぞ!少なくとも、これに近いようなことがあるかもしれないけれど、これが真実だと信じ込むのだけはやめよう。

もう一度いうが、娯楽映画ではないので、これを観たからといってストレス解消にもならないし、知的になれるわけではない。見る価値はあるか?というと無い。もっともらしい話に騙されてはいけないという、戒めにはなる。

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image1448.png公開年:2008年 
公開国:アメリカ、フランス、イギリス
時 間:101分  
監 督:マチュー・カソヴィッツ
出 演:ヴィン・ディーゼル、ミシェル・ヨー、メラニー・ティエリー、ランベール・ウィルソン、マーク・ストロング、ジェラール・ドパルデュー、シャーロット・ランプリング、ジェロム・レ・バンナ、ジョエル・カービー、ダヴィッド・ベル 他
コピー:人類の運命を握る男 謎の女を連れて、地球を横断する。



近未来。テロリストとして指名手配され潜伏中のトーロップは、武装集団に襲撃され、マフィアのゴルスキーの元へ連れ出される。彼は、オーロラという若い女性を宗教団体ノーライト派の修道院から6日間でアメリカに運んで欲しいと依頼する。トーロップは多額の報酬と入国パスポートに魅力を感じて依頼を受け、オーロラの護衛であるシスター・レベッカとともに旅に出るが、オーロラを巡る争いに巻き込まれていく…というストーリー。

依頼をうけて少女を運ぶストーリは悪くない(『トゥモロー・ワールド』に似てるけど、それは許す)。『トリプルX』のヴィン・ディーゼル主演だからドンパチ盛りだくさんの展開になるのも想定通りで、それも悪くない。

ただ、ちょっと“SF”的要素っていうのを勘違いしちゃってるのかな。処女懐胎とか、胎教によってスパコン並みの頭脳とか、小型ミサイルを跳ね返しちゃうとか、瀕死の淵から改造されてマンガみたいなロボットアームとか。興醒めしちゃうラインを踏んでしまっているね。いんちき宗教団体が、なんか『リベリオン』を思い出しちゃったけど、“ガン=カタ”みたいなグっとくる魅力的な要素は、本作にはなし。

時間が経過するにつれて、アクション要素とSF的要素が、ドレッシングの水と油のように分離していく感じがする(結局どっちの要素も中途半端になるんだよなぁ)。トーロップは、真実がどうであれ、とにかく職人として届けることだけに頑なにこだわると、そういうキャラ設定で縛るべきだったかもか(まあ、それでも『トランス・ポーター』に似ちゃうけどさ)。最後も敵をはっきり倒すわけでもなく、モヤモヤだし。もうすこし、時間をかけて色々練ったほうがよかっただろう。

『クリムゾン・リバー』の監督なので、ある程度の実力はあるはずなんだが、本作を観て、次に監督をやってもらうとオファーするプロデューサーは、今後、なかなかいないと思うよ。とにかく、この監督は脚本にもクレジットされているから、このダメダメの責任は負わざるを得ない。本作は原作があって、映画化されるくらいなのでそこそこの作品のはず。脚本化の段階でダメにしてしまった可能性が高い。脚本力に欠けるんだろうなぁ。

ちょっとお薦めできないかな。一週間100円レンタルで、アリかナシかのギリギリライン。友達から借りてみた場合、まあ、時間の無駄とまでは言わないけど…ってところ。

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image0493.png公開年:2003年 
公開国:アメリカ、カナダ
時 間:119分  
監 督:マイク・フィギス
出 演:デニス・クエイド、シャロン・ストーン、スティーヴン・ドーフ、ジュリエット・ルイス、クリステン・スチュワート、クリストファー・プラマー、ライアン・ウィルソン、ダナ・エスケルソン、サイモン・レイノルズ、ピーター・アウターブリッジ 他




ニューヨークで暮らす放送作家のクーパーとその家族は、ある日、息子が交通事故に遭いそうになったことをきっかけに、安全な田舎へ引っ越すことを決意。銀行が抵当流しにした“コールド・クリーク”邸という屋敷を購入する。そこでクーパーは、子供が書いたと思われる“悪魔のノド”という奇妙な詩を発見。さらに、突然訪れてきた前の住人のデイルを家の修繕で雇うことに。そんな中、敷地内のあちこちに蛇が現われるようになり、クーパーはデイルを疑うが…というストーリー。

ヘタクソな落語家が、したり顔でもったいぶって噺をしているのを聞かされている感じで、観ていて腹がたってくる。引っ越してー、新しい家には何かがあるんだろうなー、ってのがバレバレで読めるのに、だらだらとこねくり回す。ストーリーの主筋に到達するまでがうざったくてうざったくて。

タイトルからして何やらホラーっぽいのだが、全然違う(もう、ネタバレになってもどうでもいいや。こんな作品)。単に殺人鬼に目をつけられた不運な人の話じゃん。シャロン・ストーンである意味もよくわかんないし,
(彼女の吹替え音声まで変な感じだし)、ジュリエット・ルイスはマロリーそのままんまで気持ち悪いし。

どうしようもなくつまらないと思って、調べてみたら、本作は日本未公開作品だった。そりゃそうか。こんな作品を買う配給会社なんかないよな…。本気でお薦めしない。よく漫画の表現で、ふきだしの中に線がぎじゃぐじゃぐじゃーってのあるでしょ。本作を観た人の頭の上には、まちがいなく、そのふきだしが登場すること間違いなし。ほんと、しっかりしてほしいッス。

#なにこのダサいラスト。

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imageX0003.png公開年:1974年 
公開国:アメリカ
時 間:128分  
監 督:シドニー・ルメット
出 演:アルバート・フィニー、ジャクリーン・ビセット、アンソニー・パーキンス、マイケル・ヨーク、ローレン・バコール、イングリッド・バーグマン、ショーン・コネリー、リチャード・ウィドマーク、ヴァネッサ・レッドグレーヴ、ウェンディ・ヒラー、ジョン・ギールグッド、ジャン=ピエール・カッセル、レイチェル・ロバーツ、コリン・ブレイクリー、デニス・クイリー、ジョージ・クールリス、マーティン・バルサム 他
受 賞:【1974年/第47回アカデミー賞】助演女優賞(イングリッド・バーグマン)
【1974年/第28回英国アカデミー賞】助演男優賞(ジョン・ギールグッド)、助演女優賞(イングリッド・バーグマン)、作曲賞[アンソニー・アスクィス映画音楽賞](リチャード・ロドニー・ベネット)
コピー:この中に犯人がいる

1935年。イスタンブールからパリ経由でカレーに向かうオリエント急行に、名探偵ポワロが乗っていた。二日目の深夜、雪で線路が埋まり立往生している中、ポワロの隣の客室にいたアメリカ人富豪ラチェットが刃物で体中を刺され死んでいるのが発見される。鉄道会社からの依頼で事件解明に乗り出したポワロは、車掌と十二人の乗客たちの尋問を行うが…というストーリー。

あまり好みのジャンルではなかったが、とにかくキャストは豪華。典型的な密室劇で、もう古典の雰囲気すら漂う。原作シリーズは良く知らないのだが、本作に限って言えば、アメリカの事件が、地球の反対側まで展開して、それが名探偵に出くわすなんて、いかにも“小説的”である。現在、こんな内容のものを書いたら時代錯誤と言われるだろうが、逆に新鮮。

以下、展開を少しでも語ると、観る気が失せちゃうだろうから、言及しない。

小難しいのや必要以上に感情を煽ろうとする作品を観るのに、いささか疲れているときは、最適かも。ミステリーだから頭を悩ませちゃうかと思いきや、昨今の作品にくらべたら、シンプルでストレート。救いも共感も感じられない無慈悲な展開もない。
こういうレトロな謎解き劇を見ていたら、ふと、横溝正史を思い出してしまった(私、金田一耕助シリーズ、大好き)。金田一耕助シリーズも、猟奇的なのになぜかほっとする所が共通しているかも(裏に流れる“情”の部分かな)。

アガサ・クリスティと横溝正史じゃ世界的な知名度がちがうだろ…といわれそうだが、どちらが映画にするのに適しているかと聞かれれば、後者のほうが上な気がする。横溝正史の金田一耕助シリーズは、現在リメイクしても(トリックも犯人もみんなが知っていたとしても)成立するが、本作を今リメイクして成立するかな?と考えると、それは無理でしょ(原作がなんだかわからないくらい、よほど手の込んだアレンジにしないとね)。
#ただ、本作の場合、原作の面白さや雰囲気を表現しきれていなさそうな気配があるけどね。

ネタバレだけど、

殺人者だらけの列車の旅はイヤだなぁ。。私(笑) 

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image0130.png公開年:1973/2000年 
公開国:アメリカ
時 間:132分  
監 督:ウィリアム・フリードキン
出 演:エレン・バースティン、マックス・フォン・シドー、リー・J・コッブ、ジェイソン・ミラー、リンダ・ブレア、キティ・ウィン、ジャック・マッゴーラン、ウィリアム・オマリー、ルドルフ・シュントラー、バートン・ヘイマン、ピーター・マスターソン、マーセデス・マッケンブリッジ 他
受 賞:【1973年/第46回アカデミー賞】脚色賞(ウィリアム・ピーター・ブラッティ)、音響賞(Chris Newman、Robert Knudson)
【1973年/第31回ゴールデン・グローブ】作品賞[ドラマ]、助演女優賞(リンダ・ブレア)、監督賞(ウィリアム・フリードキン)、脚本賞(ウィリアム・ピーター・ブラッティ)
コピー:この家の少女に 想像を絶する何かが起きている! すべてを託された男 《エクソシスト》の生命を賭けた闘いが--いま始る!
この恐怖を越えた映画はいまだ存在しない。禁じられた15分の未公開映像、挿入

学者でもあるメリン神父は、イラクの古代遺跡の中から悪魔パズズの偶像を発見し、不吉な予感に襲われた。一方、ワシントンに住む女優クリスの一人娘リーガンが、奇妙な声色で卑猥な言動を発し、表情も変貌していった。医学的検査では何ひとつ解明されず、症状は日増しに悪化。苦しむクリスは、カラス神父に救いを求めた。悪魔が取り憑いたとしか思えないカラス神父は、教会に悪魔払いを要請。到着したメリン神父と共に壮絶な悪魔払いが始まる…というストーリー。

私、映画が好きという割りには、結構、金字塔的作品を観ていない。本作もそのひとつ。さらに、何を考えていたのか『エクソシスト ビギニング』を先に見てしまい、何が何やら。改めて今回観てみたわけだが、初見なので、ディレクターズ・カット版だが、元とどう違うのかはわからないので、その点は解説できない。

本作といえば、女の子の首が回ったり、ブリッジ状態で階段下りたりとか、コントでパロディされるようなイメージしかなかったので、そういうシーンばっかりの映画かと思ったが全然違う。
ホラー系ではありがちな、ためてためてドーンみたいな演出は少ない。昨日の『ゲッタウェイ』と共通して、変に説明的な部分が無く淡々としているのだが、実に現実離れしている内容にもかかわらず、実社会の1シーンを切り取ったような印象を与えてくれる。ドキュメンタリータッチといってもいいくらいなのだが、これこそフリードキン監督の力か。

当時、欧米ではR指定されていたらしいが、それは反キリスト教(というかカトリック)な要素を含んでいるように見えるからだろう。ラストも、自己犠牲によって信仰を取り戻したとも取れるし、取りかたによっては悪魔が勝利したといえなくも無い。フリードキンもユダヤ人のようだし、話が中東からスタートするところからも深読みしたくなるのだが、純粋に内容だけをみれば、あからさまな批判の意図は感じられない。
それに、なによりホラーとカテゴライズされているくせに全然怖くない。公開から30年以上。宗教的にも恐怖への耐性的にも、世の中は変わった…ということなのだろう。

ホラーの金字塔といわれているが、ホラー的要素以外の部分が非常に評価できる名作だと思う。この緊張感は他のジャンルの映画作りにおいても参考にできるはず。未見の人は(少ないと思うが)観ることを薦める。ドッキリ&スプラッタ要素ばかりのホラーに慣れてしまった若い人は、そのノリで観ると不満に感じるかもしれないが、純粋に一つの映画として納得できると思う。

ちなみに、フリードキンが作った『エクソシスト2』、さらに原作者が『2』の出来栄えに不満を唱えて制作した『3』があるようで、そちらも観てみたくなった(たぶん、こいつらは経緯を考えるとイマイチに違いないはずだが(笑))。とりあえず、『ビギニング』のほうも再度、観てみよう。前より少しは意味がわかるだろう。

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image0348.png公開年:1972年 
公開国:アメリカ
時 間:123分  
監 督:サム・ペキンパー
出 演:スティーブ・マックィーン、アリ・マッグロー、ベン・ジョンソン、アル・レッティエリ、サリー・ストラザース、スリム・ピケンズ、ボー・ホプキンス、リチャード・ブライト、ジャック・ドッドソン、ダブ・テイラー、ロイ・ジェンソン、ジョン・ブリソン 他
コピー:マックイーン+ペキンパー…… この映画界最大の2人が 全世界に叩きつける 血のバイオレンス・アクション!


銀行強盗の罪で10年の刑に服するマッコイは、4年間服役したところで突然釈放される。実は、この釈放は、地方政界の実力者ベニヨンが、町銀行を襲い奪った金を山分けすることを条件に仮釈放に手心を加えると持ちかけたものだった…というストーリー。

井筒監督の書籍で本作が紹介されていたので、いつか観ようとメモ帳に書いていたのだが、100円レンタルキャンペーン中だったので、借りてみた。ペキンパー監督の作品を観るのは初めてである。コピーで言うほど、“血のバイオレンス”ではないかな。後半は犯罪ロードムービー的な感じに。

説明的なシーンや演出が無く、ちょっと投げっぱなしの感はある。しかし、不徳な疾走感みたいなもので貫かれていて、乾いた砂漠を転がる空き缶みたいな彼らの逃走劇から、最後まで目が話せない。
必要以上に説明される映画ほど、興醒めするものはない。昨今、観客に判って貰おう貰おうと、それがセオリーであるかのように一生懸命説明するものが多くて、若干バカにされている気になることもある。“これ何だ?どういう意味?”と考えさせるのも一つのおもしろさだと思うし、映画に集中させる有効な手法だ。そういう意味で、本作は、実にうまいというか丁度良いと思う。
観進めていくと、不思議な既視感があったのだが、1980年前後の日本映画の雰囲気に似ているかも。もしかすると、日本の映画監督達に影響を及ぼしているのかもね。

まったく受賞歴やノミネートが無いのが実に不思議。世の中の評価もあまり高くないのだが、なぜだろう。展開が行き当たりばったりに見えて、練られていないと感じる人がいるかも…。でも、謗るほどでは無かろう。私は結構評価したい。これを機会に『ワイルドバンチ』『わらの犬』を観てみようと思う。最近のヘタなサスペンスものを観るくらいなら、本作を観ることをお薦めする。昨日の『コラテラル』と本作とどっちを観たほうがいい?と聞かれたら、本作かなぁ。

ただ、日本語吹替え音声が無かったのはちょっとつらかったかも(TV放映はあったはずなので吹替え音声は存在するはずなんだが)。後にリリースされたものには、ついてるのかもね。

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image0507.png公開年:2004年 
公開国:アメリカ
時 間:120分  
監 督:マイケル・マン
出 演:トム・クルーズ、ジェイミー・フォックス、ジェイダ・ピンケット=スミス、マーク・ラファロ、ピーター・バーグ、ブルース・マッギル、イルマ・P・ホール、バリー・シャバカ・ヘンリー、ハビエル・バルデム、ジェイソン・ステイサム 他
受 賞:【2004年/第30回LA批評家協会賞】撮影賞(ディオン・ビーブ、ポール・キャメロン
【2004年/第58回英国アカデミー賞】撮影賞(ディオン・ビーブ、ポール・キャメロン)
コピー:その夜は、いつものように始まった…

ロスで12年間タクシー運転手をしているマックス。ある晩、アニーという名の女性検事を乗せ知り合いになりご機嫌に。その後に乗せたのはビジネスマン風のヴィンセントと名乗る男で、多額のチップと引き換えに一晩の貸切で5箇所を回るように依頼する。しかしヴィンセントの正体はプロの殺し屋で5名の殺害を請け負っていたのだ。そうとは知らずヴィンセントの戻りを持つマックスだったが…というストーリー。

一度観たはずなのだが、内容は思い出せなかったのでもう一度借りた(たぶん、寝ぼけて観たんだと思う)。

大筋の流れとか、映像の美しさとか、細かい演出とか(安全装置をはずさずに撃つとかね)を見る限りは、よく練られているのがわかるので、脚本や監督の演出に基本的な問題はないと思う。しかし、悪い作品ではないのだが、もう少しのところでハジケていないのには理由があると思う。

まず、本作の編集のデキがよろしくない。四人目を殺すまでが冗長でメリハリがない。そのあたりから馬鹿なFBIに狙われたり、狼を歩かせたりと、アクセント付けを試みてつけているのだが、いかんせん手遅れ。それらはもう15分前に持ってくるべきだろう。その後にトム・クルーズとジェイミー・フォックスが問答をはじめ、一気に緊迫感が漂うのだが、これももっと早めに、始めておくべきだったろう。それまでジェイミー・フォックスがほぼ服従状態で、感情的な振幅が少ない時間が続くので、あきてしまう。まあ、“コラテラル(服従)”というタイトルなので、そういう展開になることは仕方が無いにせよ、緊迫感が不足。
本作には、二人の編集者がクレジットされているのだが(ディオン・ビーブ、ポール・キャメロン)、もしかすると、当初はどちらかが手がけていて、ヤバそうになったからもう一人のベテランがフォローした…のではなかろうか(私の根拠無き勝手な予想だが)。

さらに、BGMが少しダサくて(ベース音の妙に強い曲とか、マッチしていない)、トータルの雰囲気作りに悪影響を及ぼしていると私は思う。

決定的な悪要因は、トム・クルーズの風貌と演技。そこそこ年齢がいっているような見た目だが、体のこなし方は『ミッション・イン・ポッシブル』そのままで、若々しさ爆発。表情や目つきもはつらつ。そのせいで殺し屋のくせに存在感や違和感バリバリ。目立つ裏家業の人間ってなんだ?なんで彼はこんなバカみたいな表情なのか。どういうコンセプトでこの役の役作りをしたのか。とにかく本作の中で悪い意味で奇妙に浮いている。彼だけ学芸会みたいなのだが…。いっそのこと特殊メイクで皺でもつけて表情を制限すればよかったのではないだろうか。他の演者のデキがいいだけに、彼を除いてリメイクしてほしいくらいだ。

この三点の問題をどうにかするのは、プロデューサの仕事だと思うが、マイケル・マンが兼ねているのだ。案外、それが問題だったのかもしれない(彼は監督に徹し、他者が別角度でチェックしていれば…)。

ただ、トム・クルーズのせいでお勧めしないというのは、非常にもったいない。彼のことは残念な人と諦め捨象し
て、他を楽しめばいいと思う。

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imageX0002.png公開年:1956年 
公開国:日本
時 間:86分  
監 督:溝口健二
出 演:京マチ子、若尾文子、木暮実千代、三益愛子、町田博子、川上康子、進藤英太郎、沢村貞子、浦辺粂子、入江洋吉、小川虎之助、菅原謙二、多々良純、宮島健一、見明凡太郎、加東大介 他




赤線にある娼館「夢の里」には、一人息子のため、入獄中の父の保釈金のため、失業の夫と赤ん坊のために働く娼婦達が働いていたが、そこへ元黒人兵の愛人だった関西出身の女が入店し、自由奔放に振る舞いはじめる。そんな折、国会では売春禁止法案が審議されていたが、「夢の里」の主人は、法案が通れば娼婦は監獄へ入れられるといって彼女等を驚かせた。自分たちの稼ぎ場所が無くなってしまうと焦る娼婦たちは、それぞれが生き方を見つめなおし、動き出すのだが…というストーリー。

先日、『雨月物語』を観たところだが、ちょうど本作をBSで放送してたので、一応押さえということで録画していた。消す前に観た。実は、私、『赤線地帯』という映画は、なぜだか実際の赤線廃止の時のドキュメンタリー映画だとずうっと勘違いしていた。まったく違ったね。

『雨月物語』では様々な女の態様をみせてくれたが、本作もシチュエーションこそ違えど、基本的に似たテーマなのかなと予測して観始めた。しかし本作の登場する女性達はバックボーンも性格も違いオムニバスの様相なのだが、最終的に同じ“女”で括れてしまうような気がする。『雨月物語』がエボリューション(展開)なら『赤線地帯』はレボリューション(集約)かな。そういう意味で、これが溝口監督の遺作というのも意味深かも。

あまりにもに女性達がリアルに見えて、途中で気持ち悪くなるくらいだったので色々調べてみたのだが、どうも溝口監督の回りにいた女性たちが投影されているようだ。若いころは遊郭通いの繰り返し、その後同棲していた女性が自殺や発狂するなど、そりゃあ本作の女性も否が応でもリアルになる。『西鶴一代女』『雨月物語』『山椒大夫』と海外の映画賞を獲り続けた人物像と素顔のギャップ、これも興味深い。なにやら、“女性”に対する贖罪の気持ち…みたいなものが感じられるのだが、“作った”というよりも“自分を搾った”みたいな感じで映画をつくった人なのかもしれない。

正直にいうと、観終わった後、こっちの精気が吸い取られたみたいになってしまった。娯楽作品ではないので、気分展開・ストレス解消のために映画を観たいならば、本作は全然薦めない。このようなレビューを読んでみて溝口作品に興味が沸いたなら観るといいだろう。

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imageX0001.png公開年:2008年 
公開国:日本
時 間:117分  
監 督:和泉聖治
出 演:水谷豊、寺脇康文、鈴木砂羽、高樹沙耶、岸部一徳、川原和久、大谷亮介、山中崇史、六角精児、山西惇、神保悟志、小野了、片桐竜次、木村佳乃、西村雅彦、原田龍二、松下由樹、津川雅彦、本仮屋ユイカ、柏原崇、小野寺昭、岸谷五朗、平幹二朗、西田敏行 他
ノミネート:【2008年/第32回日本アカデミー賞】助演男優賞(寺脇康文)
コピー:必ず、追いつめてみせます。

不可解な連続殺人が発生し捜査一課が手がかりをつかめずにいたが、右京と亀山は、現場に残された記号をヒントに、連続殺人事件であることを突き止める。さらに、わずかな手がかりから犯人の次なるターゲットを割り出すことに成功。しかしそれは、3万人のランナーと15万人の観衆が参加する東京ビッグシティマラソを舞台にしたテロ計画だったのだが…というストーリー。

TVドラマの映画化であるが、『相棒』自体、ほぼみたことがない(ああ、やってるなぁ…と思うことはあっても、一話丸々通して観た事はない)。『相棒』って好きな人はかなり好きみたいで、DVD-BOXとか買って揃えている人もいますからね。公開当時は、けっこうな興収で、もしかしたらおもしろいのかもとは思っていたが、レンタルするところまではいかなくって今回もBSで放送されていたのを録画したのを、HDレコーダの棚卸がてら観た。

以下、完全にネタバレなので注意。







海外ボランティアに参加している青年が、地元のテロ組織に誘拐され、日本政府が身代金を要求されるという事件が発生し、その青年の遺族が犯人なわけだが、どうもピンとこない。これは、日本で実際におこったできごとがベースになっているのは言うまでもない。海外の子供たちを助けるために尽力しているのだから、政府は無条件に助けるべきだ、、という意見と、危険なところに自分の意思で覚悟していっているのだから、少なくとも退去命令があれば従うべきだし、従わないのならば助ける必要ない、、という意見のぶつかり合いである。実際は誘拐された女性とその家族はものすごいバッシングをうけた。本作では、そういうバッシングする日本人の態度を批判する前者の意見を肯定しているようだったのだが、ラストに近づくと様子が変わってくる。なぜか、その青年には、日本政府の通達は届いておらず、それが隠蔽されたのだというスキャンダルを隠していたという話にすりかわってしまった。マジメに難しい問題を考えさせたいのかとおもったら、それを放棄して勧善懲悪をはっきりさせて逃げてしまった。なんだこりゃ?チキン脚本だ。

さらに、青年の父は、“あれだけバッシングで盛り上がった事件が一段落したら何もなかったように、忘れ去られたようになってしまった”と怒るのだが、それは当たり前のことではないか?人間がそんなにつらい思いやストレスをいつまでも心の表層に置いておけるわけがないではないか。それを批判してどうなるというのだろう。一体何が言いたいのだ?そういうことを言うくせに、本作は、さきほど言ったように、難しい問題を考えさせることを放棄して、当たり障りの無いラスト選択している。矛盾も甚だしい。どうもこのプロットを考えた人間は、社会というものをきちんと見据えていない、上っ面だけを捉えているように見える。

このように正面切って問題に切り込むようにみせかけながら、陳腐な逃げ方する脚本を書いた人は(まあ、プロデューサーレベルの判断だとおもうが)、モノを作る人間として非常にタチが悪いと思う。私は不快だ。しっかり仕事をしている演者さんたちがかわいそうである。

『相棒』ファンの人はとっくに観ているだろうと思うし、そういう人はテレビ版のお祭りだと思ってみているから、それはそれでいいと思うのだが、そうではない人は観る必要はない。まともな人間ならば、バカにされた気分になるだろう。こういう社会派ぶってはずかしい結果になったクソみたいな脚本を書いた人は、今後二度と映画には携わらないでほしい。(TVドラマをバカにしているわけではないのでご注意いただきたいが)TVの脚本をおとなしく書いていて欲しい。世の人間をムカつかせないためにも。強くお薦めしない。

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image0248.png公開年:2004年 
公開国:アメリカ
時 間:126分  
監 督:アントワーン・フーク
出 演:クライヴ・オーウェン、キーラ・ナイトレイ、ヨアン・グリフィズ、ステラン・スカルスガルド、スティーヴン・ディレイン、マッツ・ミケルセン、ジョエル・エドガートン、ヒュー・ダンシー、レイ・ウィンストン、レイ・スティーヴンソン、ティル・シュヴァイガー、イヴァノ・マレスコッティ、ショーン・ギルダー、チャーリー・クリード・マイルズ、ケン・ストット、デヴィッド・ウィルモット 他
コピー:すべての英雄は彼より生まれ、すべての伝説はこの戦いから生まれた。

ローマ帝国の支配下にあったかつてのイギリス・ブリテンでは、ローマからの独立を求めるブリテンと侵略者サクソン人との間で激しい戦闘が繰り返されていた。ブリテンの血をひくアーサーは、ローマ軍の司令官として円卓の騎士たちを率いて戦っていたが、帝国はブリテンからの撤退を決定。アーサーたちを解放する条件として、サクソン人に包囲されているローマ人一家の救出指令が下される。その指令遂行の過程で、ローマ人に囚われていたブリテン人の勇猛なな女性グウィネヴィアを救出するが、彼女は、帝国に仕えるアーサーを非難、サクソン人の侵攻で滅亡の危機に瀕するブリテンのために戦うよう迫る…というストーリー。

私、アーサー王伝説(よくエクスカリバーとかでてくるやつ)自体をよく知らないのだが、どうもその伝説の映画ではないようで、アーサー伝説のモデルになった実在の人物の話らしい。学問上、その実在のアーサーさんの業績がわかってきたので、それを映画にしてみました…的な説明が冒頭にあったような気がする(気がするだけで、見返す気なし)。でも、残念ながら、サクソンだーブリテンだーイギリスの歴史にはトンと疎くて…。

これを観る人は、とにかく元気で、今日は眠くなりそうもないという時に観たほうがよい。簡単に言ってしまうと、ローマから解放されるためにサクソン人と戦って仲間を失い、解放された後も責めてくるサクソン人と戦って仲間をなくして、最後は俺たちブリテン人~!っていう話。どんよりとしたイギリスのお天気の下で、延々と戦っているだけの印象。戦闘シーンも目を惹くほど工夫もないし、映像自体が単調。よほどイギリスの歴史に興味でも無ければ、意識を強く保って見るのは難しいだろう。男臭い映画だと褒める人もいるようなのだが、どうも私の趣味には合わない。

ただ、どうやら、ディレクターズカット版というものが存在するらしく、そっちのほうは、見ごたえがある模様。『ロード・オブ・ザ・リング』も劇場で観たときはピンとこなかったが、後にエクステンデットエディション版DVDで観ると、ストーリーが腑に落ちて満足できた例もあるので、機会があればディレクターズカットを見てみたい(レンタルしてるのか???買う気はない)。

とりあえず、劇場公開版はわざわざ観る価値はないと思う。
#本作のキーラはものすごく綺麗だけれどストーリー的に絶対不可欠かどうかは甚だ疑問。
 


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クボタカユキ
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出張とか入ると、投稿は遅れてしまいますわ。
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