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公開年:2007年
公開国:アメリカ
時 間:104分
監 督:スコット・ヒックス
出 演:キャサリン・ゼタ・ジョーンズ、アーロン・エッカート、アビゲイル・ブレスリン、ボブ・バラバン、パトリシア・クラークソン、ブライアン・F・オバーン、ジェニー・ウェイド、セリア・ウェストン、ジョン・マクマーティ 他
コピー:一生懸命もいいけど、ちょっとのさじ加減で違う何かが見つかるかも。
超一流の腕前と妥協のない仕事ぶりでマンハッタンの高級レストランの評判を支えている女料理長のケイトは、、完璧主義が過ぎて客と喧嘩してしまうことも。そんなある日、姉が事故で亡くなり、遺された9歳の姪ゾーイを引き取り一緒に暮らすことになったが、心を開いてくれないゾーイに苦悩する。おまけに、仕事場には彼女の知らないうちに陽気なシェフのニックが加わり、彼女の聖域を侵し始め、彼女の苛立ちは増すばかりだったが…というストーリー。
私がラブロマンスなどを観て、良い評価するわけがないと思われそうだが、本作は案外悪くなかったのである。その理由は、アーロン・エッカートが演じるニックのキャラクターが、男からみてもなかなかステキだからだろう(私が男の意見を代表するつもりはないのだが)。
こういう振る舞いのできる男は、男からみても魅力的だと思うが、女性からみると、どの程度にみえるのかしら。
それに、私、調理師免許を持っているので、ああいう戦場のような厨房を、システマティックに捌く様子みると、むちゃくちゃ興奮してしまう。ああやって何十組も捌いた後にやってくる達成感はたまらないのだが、あれは経験者じゃないとわかんないだろう。まあ、逆にあの追い詰められ感がイヤで辞める人もいるんだけど(映画の評価とは無関係か…)。
姪のゾーイとのからみも、重くなったらイヤだなぁ…とおもっていたが、ほどよいところで、ほんわかまとめてくれていい感じ。わざとらしくない、なかなかかわいらし演技を見せてくれる子役だった。
最後は、あっさり終わりすぎと感じるかもしれないが、これでいいと思う。年末の多忙なときに、さらっとほんわかした気分になる、ちょうどいい映画なので、お薦めする。
公開年:1999年
公開国:アメリカ
時 間:101分
監 督:ブライアン・ヘルゲランド
出 演:メル・ギブソン、グレッグ・ヘンリー、マリア・ベロ、デヴィッド・ペイマー、ビル・デューク 他
コピー:職業:泥棒、相棒:なし。自分の稼ぎと女には、かなりしつこい性格です。
泥棒稼業を営むポーターは相棒のヴァルと組んでチャイニーズ・マフィアの裏金14万ドルを強奪。だがヴァルと女房の裏切りで、分け前の7万ドルを奪われた上に瀕死の重傷を負わされる。傷の癒えたポーターは7万ドルを奪い返すために、ヴァルの行方を追う…というストーリー。
なにげに深夜にTVを点けたらやってました。ラッキー。
本作は公開時に、出張先の映画館で観た(新宿だったかな。その映画館は今は閉館したと思う)。『ファイト・クラブ』と一緒で、本作も何年かに一度、かならず観なおす映画の一本だ。かなりツボにはまったのを覚えている。
私は、タランティーノの作品の中だと『ジャッキー・ブラウン』が好きなんだけど、なんとなく、私の好みがわかるでしょ。
加えて、メル・ギブソンが演じる、キレたキャラがとても好き。『リーサル・ウェポン』『身代金』『陰謀のセオリー』とか(今、彼は実生活でもキレぎみだけど)。だから、本作のようなのは大好物なのだ。というか、私にとっては完璧に近い映画かも。
こういう、高尚じゃなくっても、行動も考えも一環して、なにがあっても進み続けるキャラはよい。キレてるように見えるけど、本人はさほどキレてる感覚はないのよね。そういうのにあこがれているのかもしれない。
ストーリー展開もグダグダともったいぶったところが無く、とにかくスマート。悪徳警官の顛末も、電話の起爆装置の使い方も、すっきりと適度な処理。
受賞歴どころかノミネートもされていないけど、知ったことか。もう好みの問題なので、冷静な批評はできない。みんな観て。自分が映画を作るなら、こういうのを作りたい。
公開年:2008年
公開国:アメリカ
時 間:98分
監 督:ロドリゴ・ガルシ
出 演:アン・ハサウェイ、パトリック・ウィルソン、デヴィッド・モース、アンドレ・ブラウアー、クレア・デュヴァル、ダイアン・ウィースト、ウィリアム・B・デイヴィス、ライアン・ロビンズ、ドン・トンプソン、アンドリュー・ホイーラー、カレン・オースティン、ステイシー・グラント、チェラー・ホースダル 他
コピー:その真相を追ってはいけない──
若きセラピストのクレアは、飛行機事故で奇跡的に生き残った5人の乗客のセラピーを担当することになったが、そのうちの一人のエリックは他の生存者とはまるで様子が異なり、クレアを困惑させる。そんな中、公表された事故の状況と生存者の証言が食い違い、さらに生存者たちが次々と謎の失踪を遂げる…。航空会社を不審に思うクレアは、事故の核心に迫ろうとするのだが…というストーリー。
アン・ハサウェイが好きな人と、どうしても観るものがない人だけが観ればよい。その他の人は、別に観なくてよい。いきなりだが、以下、ネタバレ。
『シックス・センス』という超有名作品が存在するにもかかわらず、このオチの作品をつくるというのは、どういう神経をしているのか。『シックス・センス』の場合、オチ以外の部分だけでもそこそこ成立するレベルの内容で、それに加えてあのオチだったので、ものすごく効果的だったわけだが、本作は全体的にエピソードが薄弱なので、オチを観たときの驚きもさほどない。
いや、私は、このオチは、もうやってはいけないと言っているわけではないのだ。やるならば、もっと工夫が必要ということだ。もっとサスペンス要素で盛り上げて、このオチから目をそらせるとか。
オチがわかってからの何故かほんわかした感じは、出色なのだが、それだけに、もうちょっと…と思わざるを得ない。いくら何年も前だからって、おばさんの顔は忘れないだろうしぁ…。要するにツメが甘いってことですよ。
公開年:2002年
公開国:フランス、カナダ、イギリス、アメリカ
時 間:98分
監 督:デイヴィッド・クローネンバーグ
出 演:レイフ・ファインズ、ミランダ・リチャードソン、ガブリエル・バーン、ブラッドリー・ホール、リン・レッドグレーヴ、ジョン・ネヴィル、ゲイリー・ライネック、フィリップ・クレイグ 他
ノミネート:【2002年/第55回カンヌ国際映画祭】パルム・ドール(デヴィッド・クローネンバーグ)
【2002年/第15回ヨーロッパ映画賞】インターナショナル[非ヨーロッパ作品賞](デヴィッド・クローネンバーグ)
コピー:私の母は殺された。
精神療養施設を退院させられた男デニスは、20年ぶりに故郷ロンドンへ戻り、社会復帰のための施設で暮らすことに。彼は、陰惨な過去が書き綴られ1冊のノートを取り出し、クモの話が大好きだったので母親から“スパイダー”と呼ばれていた少年時代を思い出す。配管工の父はパブに入り浸り、やがて娼婦と不倫の関係になってしまったのだが…というストーリー。
いきなりネタバレで申し訳ない。観ていない人は、以降絶対読まないで、観てほしい。とりあえず、私の評価は低くないとだけ言っておこう。
以下、ネタバレ。
本作も“犯人は自分”系の話である。この時期は本当にこのオチが多くて、私なら恥ずかしいので絶対に製作しないところなのだが、そんな私でも本作は許せる。その理由は、根本的に犯人探しの話になっていないから(大して勘の鋭くない私は、そこに意識が向かず、もしやそういうオチ?と警戒することは無かった)。まず、心を病んでいる人間がなぜこうなったのか、そしてどうなるのか?という部分に着目し、それに独特の雰囲気や奇異なキャラクター達の行動がまぶされて、トータルとして興味が削がれることはなかった。心を病んだ人間の回想で綴られることから、話自体が虚虚実実である点も、非常に効果的である。
クローネンバーグ作品ということで、もっとグロいものを想像(期待)してがっかりした人もいるようだが、私はそういう趣味ではないので、全然OK。悪い評価をする人が相当数いるが、私はそういう人たちの、「ありがちだ」とか「内容がない」という指摘に賛同しない。
でも、ここまで言っておきながら、ものすごい名作と思われても、実はこまる。おそらく観た人の半数は、途中でちょっと飽きるだろうな…と本心では思っている。上映時間も短くて、もうすこし工夫を凝らして、シーンを増やしてもよいのに、と思うくらいだ。
もし、『マシニスト』とかを観て、けっこうアリだな…と思った人は本作もOKだと思うので、そういう人だけ観てくれればいい。独特の雰囲気を楽しむ作品である。
公開年:2002年
公開国:アメリカ、イギリス
時 間:138分
監 督:ポール・ウェイツ、クリス・ウェイツ
出 演:ヒュー・グラント、ニコラス・ホルト、レイチェル・ワイズ、トニ・コレット、シャロン・スモール 他
ノミネート:【2002年/第75回アカデミー賞】脚色賞(ピーター・ヘッジズ、クリス・ワイツ、ポール・ワイツ)
【2002年/第60回ゴールデン・グローブ】作品賞[コメディ/ミュージカル]、男優賞[コメディ/ミュージカル](ヒュー・グラント)
【2002年/第56回英国アカデミー賞】助演女優賞(トニ・コレット)、脚色賞(ピーター・ヘッジズ、ポール・ワイツ、クリス・ワイツ)
【2002年/第8回放送映画批評家協会賞】若手俳優賞(ニコラス・ホルト)
コピー:38歳のウィルにとって人生はきわめて単純なものだった。そう、12歳の少年マーカスと出会うまでは――
亡き父がクリスマス・ソングを一発ヒットさせた印税で、気楽な独身生活を送っているウィル。ある日、12歳の少年マーカスと出会うが彼はシングルマザーのフィオナの鬱病に悩んでいた。そんな矢先、フィオナが自殺を図り、幸い事なきを得るも、母をこれ以上一人にしておけないと考え、ウィルと母をくっつけようと画策。マーカスは次第にウィルのアパートに入り浸るようになり、ウィルは生活のリズムを狂わされ困惑するが…というストーリー。
兄弟監督。コーエンやウォシャウスキーのように、欧米では兄弟監督というのが、結構いるが、日本はもちろんアジアではまったく聞かない。兄弟間の繋がりの質が違うのだろうか(文化的な興味はあるが、映画とはあまり関係なさそうなので、今は深く追求しない)。
観はじめて20分で、設定的に『ファイト・クラブ』との共通点が気になってしまった。
そこそこの年齢の男が、それなりの収入があり自由に暮らしを謳歌し、満たされない欲望を満たすために市井のセミナーに身分を偽り参加する…という共通点。
もちろん、片方はコメディだから単純に比較する意味はないと言われそうなのだが、『ファイト・クラブ』のキャラにはなにやら魅力というか引っかかるものを感じるのに対して、本作のキャラは魅力を感じないという、大きな差があると感じる。
私が思うに『ファイト・クラブ』の場合は、設定自体(独身でそこそこ高収入のサラリーマン)は至極普通でなのだが、家具に異様にはまるなど、行動はちょっと奇異。しかし、まあ方向性が違うだけで、自分もそういうところがあるかも…という感じで、興味が喚起される。
本作は、親の印税で無職という、ほぼあり得ない設定だが、行動については、まあそういうシチュエーションなら自分もそうするかも…と、そこで納得してしまい、それ以上の興味は喚起されない。
映画の主役キャラを設定する場合に、観ている側が感情移入できるように、“普通”のキャラにしようという試みがなされると思う。しかしこの“普通”の捉え方が曲者ということだ。ひとつ勉強になったのだが、本当に“普通”(つまり我らとまったく同じ)では、それでおしまい。同じようだが微妙にズレがあるという線でいかないと、興味を継続させて引っ張ることはできないということなのだ。
ということで、本作の前半は、ドラマとしてもコメディとしても、見ている側を引き込ませる力がない。その証拠に、私は始めの20分までに3度も観るのをやめて、他作品を観た。
さらに半分を超えても、ストーリーはさほど動きはじめないし、終盤に繰り広げられる恋愛もさほど魅力的ではない。加えて、ヒュー・グラントと子供のストーリーは絡み合っているように見えて実のところバラバラで、こちらの意識は分散される(ようするに集中できない)。終盤のステージまでの展開も、もうちょっとうまくやればもっと盛り上がって、なかなかのカタルシスを得られる結果になったと思うのだが、そうはならなかった。そして、とっちらかった状態のままで終焉を迎える。もっとどうにかできたに違いないという、残念さを禁じえない。
個人的な理由だが、前にも書いたようにレイチェル・ワイズは、好きなタイプではないので、それもイマイチ要因のひとつかも。
結果として、凡作としか表現できない。ただ、一点フォローしておくが、次もこの監督に何かつくらせてみようという気はおきるレベルであることは認める(設定やシナリオの問題であって、監督の力量が不足しているせいではないとは感じるので)。実際に『Mr.&Mrs. スミス』『ライラの冒険 黄金の羅針盤』と、その後そこそこの大作を手がけているのだがら、それにまちがいはないだろう。
アクション映画を観るくらいならラブ・コメディを観るような、ラブコメジャンキーの人は観てください。そうでない人は、特に観てもおもしろいと感じないでしょう。
公開年:1997年
公開国:オーストラリア
時 間:95分
監 督:サマンサ・ラング
出 演:パメラ・レイブ、ミランダ・オットー、ポール チャブ、パメラ・レーブ、ポール・チャッブ、スティーヴ・ジェイコブス、ジュヌヴィエーヴ・レモン、サイモン・ライドン 他
ノミネート:【1997年/第50回カンヌ国際映画祭】パルム・ドール(サマンサ・ラング)
長い間父親とふたり暮らしのへクターのもとに、家政婦として若い娘キャスリンがやってくる。やがて父は死に、その遺産で贅沢三昧の日々を楽しむヘクターとキャスリン。そんなある日、酔っぱらって運転していたキャスリンが男を轢いてしまい、ヘクターはその男の死体を庭の井戸に放り込むが...というストーリー。
バイセクシャルを扱い、独特の世界観や映像イメージの統一感があり、オーストラリア製で、且つ1997年の作品と考えれば、なかなか目新しいと当時は評価されていたのかもしれない。
しかし、現在観てみると、技法にこだわって映画のおもしろさをないがしろにしてしまった…と私は断じる。
カンヌにノミネートこそされているが、オーストラリア映画界がハリウッド然としてくることへの反発なのか、ヨーロッパ映画の様態を模倣したにすぎないと考える。
原作はベストセラー作品だったようで、“井戸”もなにかの隠喩らしいのだが、何の隠喩になっているのかさっぱり伝わってこない。本作についての色々な紹介を見ているが、井戸が隠喩的の使われていることは説明されているが、その隠喩が何なのか、ほぼどこにも書いていない。みんなわかった気になってるだけじゃないのか?裸の王様状態か?
まあ、二人の女の間の愛が、その他の欲によってどう変わっていくのか、そういう様を描きたいのだろうから、井戸は女性器の隠喩で、そこの男とお金が落ちるという状況なんだろうが、映画としては全然うまく描けていないのだ。
おそらく原作を味わった人には楽しめたのだろうが、残念ながら予備知識なしで観た私は、ぬるい塩水を飲まされている感覚になってしまった。
すいません。三日連続、つまらない作品で、ダメージをうけております。DVDパッケージの雰囲気やあおりがいい感じなので、完全にだまされた。
公開年:2002年
公開国:アメリカ
時 間:98分
監 督:ロジャー・ミッチェル
出 演:シドニー・ポラック、ベン・アフレック、サミュエル・L・ジャクソン、トニー・コレット、シドニー・ポラック、ティナ・スローン、リチャード・ジェンキンス、ウィリアム・ハート、アマンダ・ピート、ケヴィン・サスマン、アンジェラ・ゴーサルズ 他
コピー:たった一度の無謀な車線変更─その瞬間<とき>、見知らぬ2人の男の人生が交差した・・・
ニューヨーク。渋滞するハイウェイの中、裁判所へ急ぐ若手弁護士のギャビン・パネック。一方、親権をめぐる裁判出廷のために裁判所へ向かうドイル・ギプソン。そんな時、先を急いでいたギャビンが突然車線変更したため、隣のドイルの車と軽い接触事故を起こしてしまう。慌てていたギャビンは、ギブソンの示談の申し出を無視してその場を去ってしまうのが、それがその後の二人の運命を左右していく…というストーリー。
二日連続でがっかりなのだが、非常につまらない。先に言ってしまって申し訳ないのだが、今年観た映画で、一番つまらなかった。
とにかく先の展開が読める。百歩譲って読めたことはいいとしても、読めた展開になるまでにくだらない演出をだらだら観せられて、非常に耐え難い。とにかく前半は早送りで観させてもらった。もう、そうでもしないと気が狂いそうである。
ああ、その提出書類とやららが、さっきサミュエル・L・ジャクソンに拾われたやつなんでしょ…と、無いことに気付くまでの間、付き合うのがうざったい。サミュエル・L・ジャクソンが書類を拾ったシーンなんか、気付いた後で差し込むなりすればいいわけで。編集力無さすぎ。
大体にして、黒人に書類を盗まれた!って警察に通報すればいい話だと思う。犯人も捜してくれるし、義父にも説明がつくし、そういう事情なら判事だって考慮してくれるかもしれない。八方まるく収まるじゃないか。
それをしないってことは、文書自体に問題があるからなのか? そうなんだろ? そうじゃないと話おかしいよな! って思ってたんだけど、必死でその書類探すだけ。だったららやっぱり通報するのが一番だし、その手が思いつかないことが不自然極まりない。裁判で小ウソとついたことや義父に言い訳できないとか、それだけじゃ、隠す理由は弱いんだわ。
そう考えたら、残りの時間がくだらなくてくだらなくて。観ていてどうでもよくなってくるのよ。
こんなに着火点の低い奴らに同情のしようがあるわけもなく、共感できないのはもちろんなんだけど、このすったもんだを俯瞰で眺めていてもちっともおもしろくないんだ。そのたいしておもしろくない状況を、引っ張りまわされたあげくに傍で強制的に観せられている気分にさせられる。苦痛極まりない。大抵、どんな映画でも、一部でも共感できたり興味が沸くような登場人物がいるものだが、本作には誰一人として存在しないのだ。もう、本作の世界から逃げ出したい気分になった。
時間が経過するほどに、グダグダな泥仕合になってきて、お互いに強硬手段をとることになる。だけど、ギャビン対ギブソンっていう対立軸と、ギブソン対義父っていう対立軸が、中途半端に多重化しているのが、逆効果。前の対立軸は両者共にクソ人間どうしの争いで、そこまでいったらとことんまでやったらいいじゃん…っていう目線でしかみれないのに対して、後の対立軸はギブソンは正義を貫けるのか!?…っていう目線でみないといけない(むしろ、正義を貫け!って応援しないといけない)。
ギブソンっていうキャラに対して、卑下しながら応援するなんて、そんなアンビバレントな視点を持つのは無理だよ。なんで観客がそこまで強いられなきゃいけないのか。
まあ、もしかして後半になったら劇的な何かがあるかもしれないと、自分に鞭を打って観続けた。しかし、それはあっさりと裏切られる。どういう方向にもっていきたいのかも、さっぱりわからなくなる。前半と同じように諍いを継続したいのか、それとも矛先を義父に変えたいのか、最後のオチにいたっては、それをやったからって見ている側が、ああよかったよかったと感じるとでも思ったか!!!と憤慨したくなるほど。
こんなに演出や構成がグダグダなのに、とりあえず鑑賞に堪えているのは、サミュエル・L・ジャクソンがエキセントリックなキャラをうまく演じているからだと思う。対して、ここが悪いんだ! と明確に指摘しにくいけれど、私にはベン・アフレックの演技が大根に感じる。サミュエル・L・ジャクソンとの負のコントラストが効いているのか公開処刑状態だ。
世の中の評価は決して悪くないようだけれど、個人的には賛同できない。受賞歴が一切ないのも、私は納得。駄作といってよいと思う。実際どうかはしらないが、今後、この監督にまともな映画を作らせようという製作会社はないだろう。いろんな縁で映画作りに携わるという幸運に恵まれたにもかかわらず、時間も資源もこんな駄作で無駄にしてしまって、この監督には、映画の神からバチを当てられてしかるべきだ。
公開年:2002年
公開国:アメリカ
時 間:118分
監 督:クリストファー・ノーラン
出 演:アル・パチーノ、ロビン・ウィリアムズ、ヒラリー・スワンク、モーラ・ティアニー、マーティン・ドノバン、ニッキー・カット、ポール・ドゥーリイ、ジョナサン・ジャクソン 他
コピー:始まりは 髪を洗われ 爪を切られた 17歳の少女の死体
6日間眠れないほどのあまりにも異常な事件。
白夜の季節のアラスカで17歳の少女の変死体が発見され、ロス警察のウィル・ドーマーが相棒のハップとともに応援にやって来る。ウィルは今までの豊富な経験を駆使し、海辺の小屋に犯人を誘き出したが、深い霧のせいで誤って相棒を射殺してしまう。自分が射殺した事実を告白しそびれたウィルは不眠症に陥り、そんな中、少女殺しの犯人から電話がかかってくるが…というストーリー。
メメントの監督が作ったとは思えないダサさ。いや、おそらく脚本がものすごくダサいのだ。元はノルウェー製作の作品らしいのだが、それで納得。アラスカとはいえ舞台がアメリカというのが、どうもミスマッチ。さんざん他作品で扱われたアメリカ警察組織の話自体が、雰囲気と合わないのだ。
まあ、ある意味、クリストファー・ノーランはこのトンチキなシナリオを、すごい技でなんとか形にしたのかもしれない。ネタバレになるが、アル・パチーノが少女殺人の犯人で、“犯人は実は自分”系の話だというミスリードを行っている。そして、ロビン・ウィリアムズは半分をすぎてやっと姿を見せる(その段階でもロビン・ウィリアムズは犯人ではないように描かれる)。それをおもしろいとおもうかどうかは別として、なんとか観ている人の興味をつなぐことはできていただろう。
とはいえ、私は眠気が抑えられなくて、実際、途中の15分くらいは寝てしまったと思う。映画の中のアル・パチーノは6日も寝ていないのに、その分、見ている側が寝てしまうという…ある意味すごい演出かも。
クリストファー・ノーランがいくらガンバってもそれが限界だったんだろう。最終的にはありがちな話に収束しておしまう。凡庸の極みだ。ヒラリー・スワンクにいたっては、ちっとも魅力的に描かれておらず、最後、なんか別に助けなくてもいいんじゃないかな…くらいの気持ちになってしまった。
この作品は観なくていいです。時間の無駄です。まだ『プレステージ』のほうが観れますね。
公開年:2007年
公開国:日本
時 間:138分
監 督:原恵一
出 演:田中直樹、西田尚美、なぎら健壱、ゴリ、冨沢風斗、横川貴大、松元環季、植松夏希 他
ノミネート:【2007年/第31回日本アカデミー賞】アニメーション作品賞
コピー:人間の友達ができちまった。
小学生の上原康一は、学校帰りに不思議な石を拾う。持ち帰って水で洗うと、なんと何百年ものあいだ地中に埋められていた河童の子どもが姿を現わした。クゥと名付けられたその河童を家族は受け入れ、周囲に気づかれないようにら一緒に暮し始めるのだが…というストーリー。
日本映画ベスト10を作れといわれれば、『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶアッパレ!戦国大合戦』を入れる私である。原恵一作品に期待しないわけがない。しかし、そのわりには、公開時に劇場にもいかなかったし、レンタルが始まってすぐに観なかったのはどういうわけか。おまけに夏休みどころかもう冬休みだし。
それは、あの原恵一が!的な期待に、きちんと応えてくれていなかった場合に、がっかりしてしまうのがこわかったからかもしれない。
冒頭の江戸時代のシーンはすごく味があっていいシーンだったが、現代になると途端にそのいい味は消える。原画のデッサン(特に顔)が、意図的なのかどうかわからないが、どうも崩れている気がしてならなかった(特に妹の顔)し、話が動き始めるまで、どうもモタモタしている気がして、一回観るのを中断してしまった。
ところが、河童の存在が周知されてくるあたりから、急に動き始めて、こちらに先読みさせることなく、展開していく(これが、キャラが勝手に動き始めるというやつだろう)。ちょっとスロースタートの感はあるが、さすが原恵一(よかった…)。原作があるので、好き勝手ができないことは理解できるので、大目にみましょう(エラそうに)。
これ以上やると、単なる説教くさい作品になるところをギリギリで抑えており絶妙だ。人が人を無意識に殺していく時代である。毎年何万人も自殺者がいる時代である(まあ、統計的な問題で、実は昔からそのくらいの数はいたのかもしれないから、“現代が”とはいわないでおくが)。それに対する警鐘とはまではいわないまでも、もしかして、自分の心無い行動が他人を追い詰めているかもしれないという、気付きに繋がる作品かもしれない。
わたし的には、大衆のバカさ加減ごうまく表現できていている点も評価したい(実際、今の日本人たちはこういう行動をとるからね)。
難点を挙げると、CGは、あまりよろしくない。主に構造物や水などのテクスチャ貼りに使用しているのだが、原恵一の作風に合っていない。もうすこし、さりげなく(わからないように)使うことに意味があると思う。CGをCGでござーいという時代ではないのだから。特に水の揺らぎは不自然だ。小さい川で風も吹いていないのに、あんなに光がゆらぐわけがない。興醒めするよ。
もう一つ注意しておくと、一見子供向けっぽくかんじて、一緒に観れそうな印象を抱くかもしれないが、私は大人向け作品だと思うので、一人でじっくり観ることをお薦めする。
地味に、けっこう長い作品なので、連休の前の日とかに借りて、じっくり観て欲しい。私はこれからも原恵一ワークスに着目し続けます(だったら、劇場に観にいけってのね…)。
公開年:2005年
公開国:アメリカ
時 間:105分
監 督:リーヴ・シュレイバー
出 演:イライジャ・ウッド、ユージン・ハッツ、ボリス レスキン、ラリッサ・ローレット、ジョナサン・サフラン・フォア 他
コピー:世界にはあなたの発見を待っている“もの”がある
ユダヤ系アメリカ人の青年ジョナサンはある日、祖母から、亡き祖父の命の恩人だという女性が写った写真を渡される。彼は、この女性を捜すためウクライナへと向かい、地元の陽気な青年とその祖父をガイドに珍道中を繰り広げられるが、やがて、この土地に秘められた悲しい過去が…というストーリー。
あらすじもなにも知らず、そのほかにも何の情報もインプットせず、ジャケットのイメージだけで、なんとなく借りた。
出てくるキャラクターは、すべてクレイジーな人しか出てこない(犬もかな)。賛同してもらえないかもしれないが、暴力もセックスも反抗も無い『イージーライダー』だと思った。
舞台もキャラ設定も、日本の低予算映画にありそうな感じで、案外、日本人は楽しめるかもしれない。ちょっと紹介や宣伝の仕方を工夫したら、いまさらながら小ブレイクしてもおかしくないように思える。とりあえず、大晦日の深夜に放送してみてはいかがだろう。
#ただ、邦題のセンスは良くないね。内容と合っていない。
目的地につくまでの、淡々とした展開も、妙に笑わせようとしていない感じも好感がもてる(よっぽど、前日に観た『未来は今』がこりたようだ)。
ユダヤ迫害が扱われているが(ワーナーだね)、正面切って戦争反対をテーマに据えているわけでもなく、観終わって振り返っても、ストーリーの主軸とか隠れたメッセージとかは、ちょっと整理できていない。でも、個人主義が少し極端にまかり通っている日本では、なんだかんだ先人の歴史があって、今、僕はここにいるんだよな…ということを気付かせてはくれる良い薬にはなるかも。
風景の美しさが良く表現できている半面、東欧の貧しさというのも(おそらく事実)も表現されていて、歴史も表面的な部分以外に別の面がかならずあることを示唆させる。
以下ネタバレ。
一番難解というか、どういうことなのか考えさせられ戸惑うのは、やはりお爺さんの死だろう。
いままで、半ば無意識だったかもしれないが、過去の事実に目を背けて生きてきた彼。でもなぜか自分の居場所はここではないという違和感を感じ続けていたに違いない。そして、あの日のことを思い出し向かい合わざるを得なくなったことで、自分の居場所が見つかった…という感じだろうか。そしてあの日に死んでいたはずの自分も見つけてしまった。若者の目から見たら、さらに生きるべきだと思うかもしれないが、人間は過去を未整理のまま、ただ忘れて生きることはできないという、含蓄のある一意見として、私は受け止めた。
まったく期待していなかったのでハードルはかなり低かったのだが、けっこう満足できた。ちょっと私にだまされたと思って観てはいかがかな。
公開年:1994年
公開国:アメリカ、イギリス
時 間:111分
監 督:ジョエル・コーエン
出 演:ティム・ロビンス、ポール・ニューマン、ジェニファー・ジェイソン・リー、チャールズ・ダーニング、スティーブ・ブシェミ、ジム トゥルー 他
受 賞:【1994年/第20回LA批評家協会賞】美術賞(デニス・ガスナー)
コピー:ニューヨークの時間が止まるとき、あなたの夢がかなうかもしれない
1950年代のニューヨークで、巨大企業の社長が突然ビルから飛び降りて自殺。会社買収を狙う役員たちの陰謀によって新入社員バーンズが新社長に。役員の思惑通り株価は急落するが、バーンズのアイデア商品が思いがけないヒットとなり…というストーリー。
これまで、『ファーゴ』『赤ちゃん泥棒』『ノーカントリー』『バーン・アフター・リーディング』など色々観てきたが、コーエン兄弟の作品は総じて好きなので、本作も期待した(古めに作品だけどね)。
いやあ、すっかり忘れていた。彼らのコメディで『レディ・キラーズ』というがっかり作品があったということを…。
コーエン兄弟の作品は、別に笑わせようとしなくても、ニヤリと笑いがこみ上げてくるのがいいのだ。だから笑わせようなんてしなくていいのに、本作ではやってしまっている。ほうら、笑うところですよって、そんなんで笑えるかよ。いらいらする。とんとん拍子で社長になってうまくいくくだりはもちろん、ポール・ニューマンの陰謀によってころげ落ちるところ、特に最悪ではずかしくて顔を手で覆ってしまいそうになったのが、街の人たちから追いかけられるシーン。
さらに、(ネタバレだが)このオチはなんなんだろう。突然、超常現象が発生である。これが長年コーエン兄弟があっためていたアイデアというのは信じがたい。
もうしわけないが、本作は観なくていいと思う。今後も、コーエン兄弟が、シリアスもコメディーもできるメジャーな役者をメインに据えた、正面から“コメディ”映画としている作品は、要注意だ!要注意だ!
#こんなに笑いのセンスが無いとは…。
公開年:1999年
公開国:スペイン
時 間:101分
監 督:ペドロ・アルモドヴァ
出 演:セシリア・ロス、マリサ・バレデス、ペネロペ・クルス、カンデラ・ペニャ、アントニア・サン・ファン、ロサ・マリア・サルダ、フェルナンド・フェルナン・ゴメス 他
受 賞:【1999年/第72回アカデミー賞】外国語映画賞
【1999年/第52回カンヌ国際映画祭】監督賞(ペドロ・アルモドバル)
【1999年/第66回NY批評家協会賞】外国映画賞(ペドロ・アルモドバル)
【1999年/第25回LA批評家協会賞】外国映画賞
【1999年/第57回ゴールデン・グローブ】外国映画賞
【1999年/第53回英国アカデミー賞】監督賞[デヴィッド・リーン賞](ペドロ・アルモドバル)、外国語映画賞
【1999年/第12回ヨーロッパ映画賞】作品賞、女優賞(セシリア・ロス)、観客賞[監督賞](ペドロ・アルモドバル)
【1999年/第5回放送映画批評家協会賞】外国語映画賞
【1999年/第25回セザール賞】外国映画賞(ペドロ・アルモドバル)
【2000年/第14回ゴヤ賞】作品賞、監督賞(ペドロ・アルモドバル)、主演女優賞(セシリア・ロス)
コピー:世界の映画賞を独占、世界の女たちが涙した、母から生まれた総ての人たちに贈る感動作。
17年前に別れた夫のことを息子から問われた母マヌエラは、隠していた夫の秘密を話そうと覚悟を決めたのだが、息子は事故で死んでしまう。息子が死んだことを伝えるため、マヌエラは別れた夫と過ごしたバルセロナへと旅立つが…というストーリー。
おすぎさんが、この映画に出会うために産まれてきたとまで書いていたのを読んだことがあるが、そこまで言うなら…と思い、観よう観ようとかねてから思っていた。ところが、ちょっと紹介されているあらすじが重くて、いざ手を出そうというところで、数年、躊躇し続けていたのだ。『コーラス』もそうだが、ここのところ、ヨーロッパ物のほうが当たりが多いので、エイヤーで借りてみた。
正直なところ、序盤は紹介されているとおりの展開なので、さほど入り込めなかったが、バルセロナに舞台を移し、ペネロペが絡んできたあたりで、どっぷりと厚みのあるストーリーになる。母であり女性であり一人の人間であり、そんな女達の生き様が絡んでほつれて…。
流れに抗ったり身を任せたり。ちょっと男の私には、感覚的に想像の及ばない行動も多く、理解できない部分をあったのだが、それはそれで新鮮に映った。
ネタバレになってしまうが、元夫がペネロペとの間に子供をつくってしまう(ちょっと都合が良すぎる展開ではあるのだが)。生まれながらに苦難を背負ってはいるが、それは、息子の復活であり、キリストの復活に繋がる。マヌエラは聖母に重なる。前半は人間らしい(愚かともいえる)行動をとる彼女だが、進むにつれて聖母然とした行動をとるようになる。
その女性像が、腑に落ちるか落ちないかが、この映画を良いと思うか否かの分水嶺だろう。
子供の病気がいい方向に向かう展開は、あまりにも都合が良すぎるのだが、それも、キリスト教的なモチーフが底辺にある証拠だろう。
私は、非常に観る価値のある作品だと思うので、強くお薦めする。男同士にはない感覚・感情がそこにあって、男の人も新鮮に観れると思う。ただ、あまり家族や恋人と一緒に観る映画ではないと思うので、一人でじっくり観たほうがいいと思う(人によって受け取り方は、かなり異なるはずなので、影響を受けないようにすることをお薦めする)。
公開年:2004年
公開国:フランス
時 間:97分
監 督:クリストフ・バラティエ
出 演:ジェラール・ジュニョー、フランソワ ベルレアン、ジャン=バティスト・モニエ、ジャック・ペラン、マリー・ブネル、マリー・ビュネル 他
受 賞:【2004年/第17回ヨーロッパ映画賞】音楽賞(ブリュノ・クーレ)
【2004年/第30回セザール賞】音楽賞(ブリュノ・クーレ)、音響賞(Nicolas Cantin、Nicolas Naegelen、Daniel Sobrino)
コピー:涙がこぼれそうなとき、歌があった。
戦後間もないフランスを舞台に、問題児たちが集まる寄宿舎に赴任してきた音楽教師と子どもたちとの合唱を通じた心温まる交流を描いたストーリー。
私の勝手なイメージ以外のなにものでもないのだが、DVDのパッケージを見て、合唱団で繰り広げられる少年たちの成長物語的なものを想像していた。違った。これは、久々にいい拾い物(まったく期待していなかっただけに)。名作であった。
よく、つまらない映画で、短いのに長~く感じる作品があるけど、本作は真逆。時間は短いのに、すごく長く観ていた気がする。みっちりといいエッセンスが詰まっていたってことかな。
私は『陽のあたる教室』が好きなのだが、戦後すぎくらいを舞台にした『陽のあたる教室』という感じかも。
まず、子供の歌声には感動する。舞台はちょっとせつないくらいハードなんだけど(戦争直後だしね)、先生の真摯な態度にも心打たれる。こういう先生だったらよかったなと思うくらい。所々で、先生に感情移入しそうになるんだけど、自分だったら殴ったり怒ったりしそうになるところで、彼は抑えるので、なんか「あ…」って感じになって、すーっと血の気が引く。それは悪い意味じゃなくって、ちょっと自分が忘れかけていた我慢強さとか、人に対する接し方とかに気付かせてくれているのかもしれない。
ラストは、けっこう賛否があるようだが、なかなか清清しくて私は好きである。世のお父さんお母さんは観てください。私は強くお薦めしますよ。
#中2の年末の道徳の時間に見て欲しい作品ですな。
公開年:2009年
公開国:日本
時 間:106分
監 督:ロブ・レターマン、コンラッド・ヴァーノン
出 演:浅野忠信、北村一輝、真木よう子、佐津川愛美、ジェロ、本田博太郎、芝田山康、南野陽子、ユースケ・サンタマリア他
コピー:世界一鈍いアイツが、俺たちの人生を壊しにやってくる。
週刊誌に連載された小説『鈍獣』の作者・凸川が突然失踪し、行方を追う担当編集者の静は、なぜかすべてが相撲中心というおかしな田舎町にやって来る。そこで、凸川の同級生やその取り巻き達が、数ヵ月前に凸川と再会し、25年前の秘密を小説のネタにされ凸川殺害計画を進めていたことを知るのだが…というストーリー。
日本映画はこういうノリの作品がいい。年末の忙しいときに、小難しいのが観たくない時はこんなのがいいんだ。本作を観て、色々文句をいうやつがいるに違いないのだが、1年間に映画が10本しか作れないという法律が日本にあって、その1本が本作だっていうのなら怒ってもいい。そうじゃないんだからいいじゃないか、こんな映画がふつうに作られているっていうのは、平和で豊かなな証拠である。
はっきいってくだらないし、なんのメッセージもないし、感動もないし、キャラもエピソード設定も奇を衒らっているようでスベっている。真木よう子の胸が大きいくだりなんて真木よう子のことを知らないとわからないでしょ(彼女はそんなに一般的に知名度ないよ)。一応、だれが小説を書いたのか?だれが凸川を殺したのか?というミステリー仕立てのテイストはあるのだが、基本設定がヘンテコなので、そこに着目しても仕方が無い。でもいいんだよ。これで。
こんだけ、ウィークポイントを並べても、私は、こんな作品は観なくていいとは言わない。子供の落書きのような作品だけど、なんだかんだいって目は話せないんだから大したものなのである。大掃除の合間にでも、見てください。
#関係ない話だけど、こういう舞台を会社帰りにやってたら、ふらっとみにいってしまうなぁ。
出張とか入ると、投稿は遅れてしまいますわ。
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