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imageX0021.png公開年:1962年 
公開国:アメリカ
時 間:67分
監 督:ジェームズ・アルガー
コピー:ウォルト・ディズニーの「大自然の冒険ドラマ」






家畜を次々と襲い悪魔のように恐れられる狼の群れがいた。そのリーダー・ロボはお尋ね物となり多額の賞金が懸けられる。人々はロボを捕らえるため、様々な手段を試みるが、賢いロボは罠をことごとく回避する。とうとう、名うてのハンターがロボ討伐に動き出し、いよいよ追い詰められていく…というストーリー。

私、子供の頃、ファーブル昆虫記派で(そんな派閥あるのか?)、シートン動物記は好みじゃなかったので、あらすじ程度しか知らない。BSでやってたのに何気に録画して観ることに。この作品、多分レンタルしていないと思う。

とりあえずドキュメンタリーに分類してみたけど、“野生の王国”仕立てって感じ。ドキュメンタリーとフィクションが入り混じったような不思議な作品である。
シートン動物記の内容に沿って、狼の生態を撮影したってことかな???と思ったけど、私の記憶にある“狼王ロボ”とはなんか違うような気がする。もしかすると、撮影できた数々のシーンを元に、後付でストーリーをつくったのかもしれない(でも、そうでもしないと、シートン動物記の内容にそって、必要な自然動物のシーンを撮影するのは不可能に近いからなぁ)。

何の悪意も害もない作品。小学生の理科室とか視聴覚室とかで見せられそうな感じ。でも、残念ながら本作は、このブログで紹介する作品群と同列に扱ってよいのか悩む作品ではある。仮にレンタルされていても金を払うに値するかは微妙なレベル。もちろんお薦めはしない。

とはいえ、こういう当たり障りのない作品が観たい時期なのかもしれない。こういう大きな震災があったときって、こういう動物もののフィルムってすっと頭に入ってくる。作為の少なさがすごく心地好い。
各TV局も、バラエティ放送を通常通り流す努力もいいんだけど、動物系のフィルムを放映するのっていいかもしれないよ。弱肉強食で若干ハードな場面があっても、案外、これも単なる自然の出来事…として受け止めるスイッチが入るようだ。心を整理するには効果的なツールかもしれない。

#とりあえず、丸木橋を落とせば目的は達成できたんじゃないの?ってツッコみたくなるんだけどさ…。






負けるな日本

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imageX0020.png公開年:1975年 
公開国:日本
時 間:153分
監 督:佐藤純弥
出 演:高倉健、山本圭、田中邦衛、織田あきら、郷えい治、宇津井健、千葉真一、小林稔侍、志村喬、永井智雄、中田博久、千葉治郎、志穂美悦子、渡辺文雄、竜雷太、丹波哲郎、鈴木瑞穂、青木義朗、黒部進、北大路欣也、川地民夫、林ゆたか、伊達三郎、山内明、多岐川裕美、露口茂、近藤宏、宇津宮雅代、藤田弓子、風見章子、渡辺耐子、高月忠、清水照夫、畑中猛重、宮地謙吾、佐川二郎、打越正八、仲原新二、日尾孝司、河合弦司、亀山達也、岩城滉一、中野力永、荘司肇、浅若芳太郎、佐藤晟也、青木卓司、山田光一、中条文秋、長岡義隆、田辺真三、山本みどり、十勝花子、須賀良、滝川潤、小田登枝恵、相川圭子、山浦栄、城春樹、津奈美里ん、横山あきお、松平純子、久地明、片山由美子、横山繁、佐藤信二、木村修、藤浩子 他

東京駅を出発した“ひかり109号”に爆弾を仕掛けているという脅迫電話が入る。爆弾は列車の速度が時速80キロ以下になると爆発するという。先行列車が事故により停止しているのを、巧みなポイント切り替えによって回避し、新幹線は速度を維持したまま南下していくが、終点は間近に迫りつつあり…というストーリー。

『スピード』の元ネタですな(『スピード』の脚本家は『暴走機関車』にインスパイアされたって言っているけど、一定時速を下回ると爆発するっていうギミックから勘案すると、どう考えても本作が元ネタだろうにね。くだらない言い訳だね)。

車に“自家用”って書いてたり、新幹線の計器のアナログ感とか、時代考証の資料としてみてもおもしろい。この古さが味になっていい雰囲気。爆弾の解除方法を知っている最後の犯人かもしれないのに、発砲しちゃうという乱暴さなんだけど、それも気にならないくらいの勢いと緊迫感がある。なにげに豪華俳優陣がカメオ出演していて、こんな使い方あり?っていうのも驚き。
北海道の田舎でSL貨物車を爆発させるシーンはなかなかスゴイ。今では絶対こんなロケはできないよなーっ、スゲーって思ったけど、やっぱり国鉄は協力してくれなくって、隠し撮り(?そんなのあり?)とか、走行する新幹線はミニチュアだそうだ。でも、0系車両自体がおもちゃみたいだから、そのようには見えない。

『スピード』のように単純なストーリーじゃなくって、犯人側の手順も決して順調ではなくって、それによる両陣営のせめぎ合いが、先の読めなさに繋がって非常におもしろい。
なんで犯行に至ったのかというバックボーンもしっかりしている。犯人が社会的敗北者だったりするので、不況の今こそ(というか不況とみんなが思い込んでるだけな気もするけど)是非リメイクしてほしいとは思うけれど、今作ったとしたら逆に陳腐なものしかできない気がする。いろいろな困難を跳ね除けた時こそ、エネルギーが発揮されるといういい例だね。

くだらない質問をする記者の様子は現在も変わらない。だれかが責任をとって早急に俺を安心させてくれ!という気持ちを抑えることができずに、会見している人をもっともらしいことをいって責めるという、ジャーナリストとして腹の決まっていない、何をすべきか整理もできていない、クソみたいな行為は、最近もよく見る光景。
TVのコメンテーターやネットでしたり顔で不安をあおってるだけの馬鹿どもは、この作品を観て、今、現場を責めるべきかどうか、自分の行動をよく考えるといい。
#言ってもしょうがないことをTVで言っているのは、60歳前後の段階世代ばっかりだな。ダメ世代。ただ、今なら乗客の反応は、もっと冷静かもしれないな。

どこが決定的に素晴らしい!っていうわけじゃないんだが、何本もの細い川が、うねって絡まって一本の大河になったような、有無を言わせない迫力がある。日本映画史に燦然と輝く一本。もし未見の人がいたなら是非おすすめ。傑作だと思う。へんなハリウッド映画やら最近のアイドル映画まがいの作品をみるくらいなら、これを観ろ!って感じ。





負けるな日本

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image1641.png公開年:2008年 
公開国:アメリカ
時 間:107分
監 督:ベン・スティラー
出 演:ベン・スティラー、ジャック・ブラック、ロバート・ダウニー・Jr、ブランドン・T・ジャクソン、ジェイ・バルシェル、ダニー・マクブライド、スティーヴ・クーガン、ビル・ヘイダー、ニック・ノルティ、ブランドン・スー・フー、レジー・リー、マリア・メノウノス、タイラ・バンクス、クリスティーン・テイラー、マシュー・マコノヒー、トム・クルーズ、ジョン・ヴォイト、ジェニファー・ラヴ・ヒューイット、ジェイソン・ベイトマン、ランス・ベース、アリシア・シルヴァーストーン、トビー・マグワイア、エイミー・スティラー 他
受 賞:【2008年/第14回放送映画批評家協会賞】助演男優賞(ロバート・ダウニー・Jr)

ベトナム戦争の英雄的兵士テイバックの回顧録“トロピック・サンダー”が映画化されることに。演じるのは、この作品でトップ俳優への返り咲きを狙うタグ・スピードマン、下品なおならネタで有名なコメディ俳優ジェフ・ポートノイ、キャリアは充分だが過剰な役作りで今回も黒人軍曹に成りきるため皮膚への色素沈着手術までしてしまったカーク・ラザラス…等々クセ者ばかり。いよいよ撮影が始まるものの、俳優たちのワガママやスタッフの不手際で僅か5日間で予算オーバーとなってしまう。困り果てた監督デミアンは、テイバックの助言により、俳優たちを東南アジアのジャングルの中に放り込んで、それを撮影することに。何も知らされず台本通りにジャングルを徘徊する俳優たちだったが、そこは、麻薬組織が支配する危険地帯で…というストーリー。

冒頭のCMとかトレーラー映像でやられちゃった。ハリウッド世界に対する皮肉満載のブラック・コメディなんだけど、コメディだからってチョケたりないでトコトン真剣につくりたいんだよ!っていうベン・スティラーの意思がビンビン伝わってくる作品。真剣におバカを繰り広げ、パロディの質もよい。
#まあ、基本的な話のベースは『サボテン・ブラザーズ』なんだけどね。

ハリウッドネタはけっこう直球だし、日本人でも知っているレベルのネタでおもしろかった(チョロいパロディームービーだと、元ネタがわからないのも多いからね)。
#『アイ・アム・サム』のショーン・ペンがアカデミー賞でノミネートどまりだったことなんか、ほうっておいてやれよ(笑)

ロバート・ダウニー・jrもアイアンマンの後にこれに出る(それもこんなキワモノで)ってのがイイし、トム・クルーズもそこまでやってくれりゃあ誰も文句言わないでしょう。おかげで、コメディ本職のベン・スティラーとジャック・ブラックが霞むほどだもの。

終盤、同じようなノリが続きすぎてダレてくるのはご愛嬌。ちょっとグロいので、ダメな人は全然受け止められないかもしれないので、その点はご注意を。なんか今のこの時期に観るべき作品ではないのは確かかもしれない。これが笑えるのも、生活が平穏であるばこそだな。早く、そうなってほしいと切に願う。





負けるな日本

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image1423.png公開年:2008年 
公開国:日本
時 間:102分
監 督:羽住英一郎
出 演:綾瀬はるか、青木崇高、仲村トオル、石田卓也、大後寿々花、福士誠治、光石研、田口浩正、市毛良枝、木村遼希、高橋賢人、橘義尋、本庄正季、恵隆一郎、吉原拓弥 他
受 賞:【2009年/第33回日本アカデミー賞】話題賞[俳優](綾瀬はるか)
【2009年/第52回ブルーリボン賞】主演女優賞(綾瀬はるか)
コピー:見せられるわけ、ないじゃん!?


1979年、北九州のとある中学校に若い国語教師の美香子が赴任してくる。早々に男子バレー部の顧問を任されるが、部員たちはボールすらまともに触ったことのないダメ部員。何とか彼らにやる気を出してもらおうと色々試みる美香子だったが、なぜか“試合に勝ったら、おっぱいを見せる”というとんでもない約束をさせられるハメに。ありえないと思いながらも、やる気になった彼らに水を差すこともできず、日々の練習を重ねていくのだったが…というストーリー。

まあ、そりゃあ情報不足なこの時代設定にしないと、この内容は成立しないわな。当時の九州の様子は良く判らないけど、町並みやら電車やら車やら、大道具さん小道具さんはよくがんばりましたな(CGもあるのかな)。
#九州訛りが一切登場しないのは、頭をよぎったけどね。
だけど、流れてる懐メロって1979年の物かな。もうちょっとばかしズレているような気がする(まあ、その年の曲しばりってわけじゃないんだろうからいいか)。ハマりそうなもんなんだけど、なんか場面としっくりきていなくて取って付けたような感じなのは何故だろうか。

プロモーションを見て劇場に足を運んだのは、綾瀬はるかの猛烈なファンと、本当におっぱい目当ての中学生男子と、そして意外と懐かし目当ての50代前後の人たち(三丁目の夕日とかそういう路線ね)。それ以外の人はピンと来なかっただろう。
ところが、多分駄作なんだろうな…と覚悟はしていたものの、悪い映画ではなかった。簡単な内容に見えて、案外バランスよくこのシナリオを成立させるのは難しかったと思うし、キャスティングからものすごく悩みぬいたような気がする。油断すると、単なるくだらないコメディやスポ根ものになってしまうし、新米教師の成長物語にばかりスポットを当てれば、それこそ“おっぱい”なんかどうでもよくなってしまう。
ただ、そのバランスを取ったせいなのか、肝心の5人の男の子達の個々のキャラが立っていないのが残念かもしれない。

いや、まとまりは良いかも…とはいったけれど、良作とは言ってない。正直、あまり感想とか文句とか湧いてこなかったのだ。毒のある映画はあんまり観たくないな…という時にはいいかも知れないけれど、多分これを観たからってあなたの人生になにか影響を与えるとは到底思えない。そのレベル。お薦めはしない。
#昨日の『映画は映画だ』と比べると、カメラや照明技術にステージが二段くらい差があるように感じてしまう。こんな作品で日本映画の危機を感じてしまうとは。もうちょっとカメラアングルとか照明とかなんとかならんかなぁ、日本映画。

 

負けるな日本。

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image1417.png公開年:2008年 
公開国:韓国
時 間:113分
監 督:チャン・フン
出 演:ソ・ジソプ、カン・ジファン、ホン・スヒョン、コ・チャンソク、ソン・ヨンテ、チャン・ヒジン 他
コピー:つかの間でもいい。違う人生を生きてみたい。
映画スターとギャングスター。全く別の世界を生きる男たち。“映画”の中でだけ2人の人生が交差する──


人気俳優のスタは、新作映画のアクションシーンの撮影中に相手に重症を負わせてしまう。短気で傍若無人なスタの振る舞いが原因で、今回で二度目。とうとう彼の相手役を引き受けてくれる役者はいなくなり、撮影が中断するハメに。切羽詰ったスタは、以前に出会った、昔、俳優志望だったヤクザのガンペに話を持ちかける。ガンペは、ケンカのシーンは本気でやり合うことを条件に出演を承諾するが…というストーリー。

キム・ギドク製作。私はキム・ギドク監督作品があまり好みではない。彼の演出は、意図はわかるのだがわざとらしかったり作為的な感じが過ぎると感じる。巨匠ぶったところもあって、鼻につくことも多い。ところがどっこい、本作は非常におもしろかった。彼は直接現場演出するよりも、原案・製作ぐらいのほうが能力を発揮するのかもしれない。

昨今の韓国映画はバイオレンス表現が過ぎるところがあって、もうそんなのハリウッドでもヨーロッパでも(それこそ日本でも)散々やられているので、追いかけなくていいよ…って感じで辟易していたのだが、本作はちょうど良い。
コメディ要素もあるんだけれど、変にチョケた感じもなくて不快ではない。

周囲からは一流扱いされているけれど、実のところは、本物になりきれていない役者と本物になりきれていないヤクザ。そんな二人が出会う。偶然であったというよりも、一瞬の出会いでお互い内面の臭いを感じ取った感じ。
表情の薄いヤクザなんだけれど、もしかしたら今の自分じゃない自分になれるかもしれないという思いと、ヤクザとしての本分の間で揺れる様子がよく表現できている。

役者が役者らしい顔になり、次は自分がヤクザらしいヤクザになる番だ…ってことでラストを迎えるが、こういう展開の内容だと、お茶を濁すようなものが多くなるんだけど、これしかないっていうか実におさまりのよい具合。私が今まで観た韓国映画のなかで一番デキがよく、愉しめた作品。

全然、有名じゃないけれど、もっと評価されて知ってもらいたい作品。いやー本当に満足した。強くお薦めしたい。



負けるな日本

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image0342.png公開年:2005年 
公開国:アメリカ
時 間:109分
監 督:ブラッド・シルバーリング
出 演:ジム・キャリー、メリル・ストリープ、エミリー・ブラウニング、リーアム・エイケン、カラ・ホフマン 他
受 賞:【2004年/第77回アカデミー賞】メイクアップ賞(Valli O'Reilly、Bill Corso)
コピー:幸せだった三姉弟妹を次々と襲う、最悪の不幸がはじまる



ボードレール家の長女ヴァイオレットは14歳の天才発明家。長男のクラウスは膨大な量の本を読破してものすごい知識の持ち主。末っ子のサニーは一度噛みついたら離さない女の子。ある日三姉弟妹が海辺で遊んでいた時に、自宅が火事になり、両親は莫大な遺産を残し死んでしまう。身寄りのない子供たちは、遠縁の親戚というオラフ伯爵が預かることになるのだが…というストーリー。

家族が横で観ていたのをながら観したことはあったが、ほぼ初見に近い。ちょっと軽めの作品が観たくなったのでチョイス。

ティムバートンばりの、ダークというかゴシックな統一感や、毒のあるファンタジーが好印象なのだが、問題は大人の鑑賞に堪えるレベルか、完全に子供向けなのか?っていうところ。結果からいうと、どっちつかず。こういうテイストなのに、カルト的人気がないのは、そういうコンセプトの甘さのせいかもしれない。

悪人オラフにはしつこく付きまとわれるし、善人達もおめでたい奴らばかりで…っていうイライラ感がよく表現できている。観ていて本当にイライラしてくる。でもそのイライラ感を逆手にとって、パーっとおもしろさに転換するのが、本作のおもしろさの一つだと思うのだが、子供が能力を発揮する“キターーッ”って感じが実に薄い。たとえば名探偵コナンが麻酔薬使うところとか、仮面ライダーWでフィリップ君が知識の本棚を出すところとか(うまい例がいえないけど)、リボンで紙を縛るのと本を思い出すだけじゃ、インパクトもないしメリハリも薄い。原作ではそれでよかったんだろうが、映像になると弱い。
また、オラフがあそこまで3兄弟の財産に執着するのか、単なる金目当て以上の何かがあるのか?と臭わせ期待を抱かせたのも良くない(私が勝手に抱いただけかもしれないが)。別の財宝とか個人的な恨みがあるに違いないと思ったのだが、そうではなくて拍子抜けしてしまった。

かといって決してけなされるような悪い作品ではなく、ほどよくまとまっているし、キャストがさりげなく豪華で(というかカメオ出演が豪華で)びっくりだったりもする。及第点以上なのは確実。とはいえあえてお薦めするほどでもない。
もうちょっとトンガった作品になっていれば、続編だって可能だったと思うが…。
#子供達はみんなキュート。

 

負けるな日本

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image0255.png公開年:2006年 
公開国:アメリカ
時 間:129分
監 督:オリバー・ストーン
出 演:ニコラス・ケイジ、マイケル・ペーニャ、マギー・ギレンホール、マリア・ベロ、ジェイ・ヘルナンデス、マリア・ベロ、スティーヴン・ドーフ、ジェイ・ヘルナンデス、マイケル・シャノン、ニック・ダミチ、ダニー・ヌッチ、フランク・ホエーリー、トム・ライト、ドナ・マーフィ 他
コピー:勇気そして生還――これは、真実の物語。


2001年9月11日の早朝。世界貿易センタービルに旅客機が激突する大惨事が発生したとの連絡が港湾警察に入る。港湾警察官たちに緊急招集がかけられ、ジョン・マクローリン巡査部長を班長とした救助チームが結成される。現場の惨状に言葉を失う彼らだったが、マクローリンと新人警官ヒメノを含む4人の警官がビル内に救出に入る。すると、直後にビル全体が崩壊し始め…というストーリー。

これまで、何度も観ようと試みたが、あまりのつらさに毎回断念している(事件が発生する手前で観るのを止めていた)。でも、今回の震災を受けて、気持ちが座ってしまったのか、いけそうな気がして鑑賞に到る。

残念ながら、映画作品としては本当にデキが悪かった。事件の記憶が生々しい中で作成されたので、各方面へ色々な配慮が必要だったろうし、脚色もしにくかったろう。おかげで、ドキュメンタリーとしても一つの物語としても、到っていない部分が多々ある。オリバー・ストーンをしてもこのおよび腰状態では、誰がやっても無理なのかもとすら思えてくる。まだ映画として扱ってはいけない内容だったのかもしれない。

早々に瓦礫の中に埋まり、主人公たちの動きはまったくないので、それが事実でどれだけ過酷であろうとも、そしていくら回想シーンを繋げようとも、飽きてしまうのはどうしても避けられない。
#同様に今も東北の瓦礫の下でがんばっている人がいると思うととてもつらいが…
こういう内容ならば、ドキュメンタリーとしてしっかり作成したほうが、よっぽどよかっただろう。様々な隊員や職員達、その家族におこった出来事を淡々と羅列して、我々に考えさせる演出をしたほうが良いものになったと思う(でも、多くの人たちが映画で扱われることを拒否したであろうことは、想像に難くない)。

一つ、考えされたのは、事件に巻き込まれた人の家族や友人は、情報が少ないことにイラついてしまい、わざと情報を隠蔽しているとまで考えてしまうのだな…ということ。
そしてどういう可能性があるのか?となんとか情報を聞き出そうとするが、可能性を聞いたところで、悪い方の可能性ばかりが耳に残るわけで、さらに不安になるだけ。事実を淡々と待つしかない(だから、アナウンサーやコメンテーターが憶測のような可能性は話すことは、よくよく考えて行わなければいけない)のだな…と。

繰り返しになるが、残念な出来ばえなので、お薦めしない。



負けるな日本。

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image1098.png公開年:2004年 
公開国:イギリス、イタリア、南アフリカ
時 間:122分
監 督:テリー・ジョージ
出 演:ドン・チードル、ソフィー・オコネド、ニック・ノルティ、ホアキン・フェニックス、デズモンド・デュベ 他
受 賞:【2005年/第18回ヨーロッパ映画賞】音楽賞(ルパート・グレグソン=ウィリアムズ、アンドレア・グエラ)
コピー:愛する家族を守りたい。」ただ1つの強い思いが、1200人の命を救った…


1994年、ルワンダで多数派のフツ族が少数派のツチ族を一斉に襲撃し始め、大虐殺に発展する。ベルギー資本の4つ星ホテルで支配人として働くポールは、自分はフツ族だったものの、妻がツチ族だったために、迫害の対象となってしまう。当初が国連の平和維持軍により何とか安全は保たれていたが、突然撤退が決定。同様に迫害されたツチ族も次々と集まり、ホテルは難民キャンプと化してしまう。やがてフツ族側へのワイロの品も無くなり、とうとうホテルへの攻撃が始まり…というストーリー。

100万人が虐殺されたとも言われるルワンダで発生した実際の内戦。人類の歴史において大量虐殺が行われたことは数あれど、短期間にそれも大量虐殺兵器が用いられることもなく、ひたすらマンパワーで実行されたという事実。たしかに西洋諸国の失策も遠因だろうが、それにしても実に恐ろしい。

この争いの大本である両部族の区別自体が、外部から与えられたものあること。白人による黒人の差別のように、外面的に明らな違いが元で発生すると思っていたが、認識を改める必要があると思う。“差”があるから差別が発生するのではなく、差別をしたくなったので後から“差を探す”ということを行っているのだ。争いそして抹殺するというなんらかのDNAが人間の中に潜んでいるということを感じざるを得ず、たとえ大して根拠のない差であってもそのDNA発動のきっかけになりうるという人間の本質の一部に驚愕すると共に、それが自分にもおそらくあるという事実に怖れを覚える。

とはいえ、政治や理屈で止められないうねりのように巻き起こる虐殺に対して、負けずにできることをやりとおした主人公ポールの行動も、同様に驚愕に値する。この胆力にはひたすら感服し共感する。昨今の震災のこともあるので、自分でできることは何とか解決し、周りの人たちにひたすら手をさしのべ続ける、このような人物の存在には、勇気を与えられる。
映画上の演出かもしれないが、どんな時でも知的で紳士的なポールの物腰は、人とはこうあるべきというお手本だと感じる。それを演じきったドン・チードルも見事。

この重く厳しい事件を扱った割には“映画らしく”仕上がっており、誤解を恐れずにいえばとてもおもしろく演出されている。あえて行っていると思うのだが、雑な編集が効果的だと思う。

この震災のさなか、若干ツラく感じるところはあったが、それ以上に、心の中にふつふつと湧く何かを感じさせてくれる一本だと思う。強くお薦め。




#負けるな日本

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image1636.png公開年:2010年 
公開国:フランス
時 間:107分
監 督:リュック・ベッソン
出 演:ルイーズ・ブルゴワン、マチュー・アマルリック、ジル・ルルーシュ、ジャン=ポール・ルーヴ、フィリップ・ナオン、ニコラ・ジロー、ジャッキー・ネルセシアン、ムーサ・マースクリ、ロール・ドゥ・クレルモン=トネール 他
受 賞:【2010年/第36回セザール賞】美術賞(ユーグ・ティサンディエ)
コピー:突き進め。幻の秘薬を求め、エジプト“王家の谷”からパリ“ルーヴル美術館”へ──

1911年。不慮の事故で双子の妹を昏睡状態にしてしまったアデルは、最愛の妹を救うため、古代エジプトの“復活の秘薬”を求めてエジプトの遺跡を訪れる。ラムセス2世に仕えた医師を復活させ、その秘術を使えば妹が復活すると考えているのだ。しかし、目的のミイラに辿り着いたものの、宿敵のマッドサイエンティスト・デュールヴーに行く手を阻まれてしまう。同じ頃、パリの街に翼竜が出現し、人々を恐怖に陥れていた…というストーリー。

イヤな時代になったものだ。これだけの技術を容易に駆使できるようなったのは良いが、それほど質の高くないものもそれなりの外面を整えてしまう。要するに、チョロい内容のものが一流映画のように見えるってこと。
悪く言えば、見た目を簡単に繕えるのをいいことに中身を磨こうとしない人間みたいなもので、困難こそ人を次のステージに挙げる唯一の方法なのか…ということを強く感じさせられる作品。

主人公は本編内では非常に魅力的なんだけど、ジャケットの写真はおばちゃんみたいで、いまいち評判を聞かないのもこのせいかも。

まあ、良く言えば、リュック・ベッソンが肩の力を抜いてのびのび作った作品ともいえる。ウワっすべりしたギャグ(のようなもの)のオンパレードが続くけれど、ハリウッドのトレジャーハンティング物にありがちなお約束もなくて、フランス製っていう点も目新しくて、そういう意味では愉しめるかも(ハリウッドじゃその表現はしないかな…という意味で)。
#アドベンチャーといいつつ実はコメディ作品だったりする。
つらい時や悲しい時にはこの程度のユルさがいいのかもしれない。ほんの数時間の頭休めにはちょうど良い。そういう意味で軽くお薦め。

#もう、そろそろ子供達のストレスを軽減させるために、娯楽を与えてあげたいですね。

#復興のためにも事業維持は重要。できる限り普段どおりのことをしたいと思うので、がんばれる範囲でこのブログも続けていきます。Nerver give up.負けるな日本

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image1580.png公開年:2010年 
公開国:日本
時 間:134分
監 督:井筒和幸
出 演:後藤淳平、福徳秀介、ちすん、米原幸佑、桜木涼介、林剛史、阿部亮平、石井あみ、永田彬、結城しのぶ、大森博史、太田美恵、水澤紳吾、千葉ペイトン、黒柳康平、ジェントル、落合扶樹、松永隼、巨勢竜也、飯島洋一、筒井真理子、木下ほうか、升毅、光石研 他
コピー:彼らの暴走は止まらない!青春★バイオレンス★エンターテインメント!!
敗者復活戦、ねぇのかよ?…もう一度生き直させてくれよ!

両親にお金を出してもらいお笑い芸人の養成所を卒業したものの、芸人の仕事がないのはもちろん、芸を磨くわけでもなく、不真面目にバイトを転々とするだけの青年ユウキは、偶然出会った元相方の先輩・剛志に誘われてヒーローショーのバイトを始める。ある日、同じショー仲間のノボルという青年がが剛志の彼女を寝取ったことで、2人はショーの最中に大乱闘。その後も怒りの収まらない剛志は、知り合いのチンピラにノボルを痛めつけるよう依頼。暴行されたうえに金銭を揺すられたノボルは、仲間のツテでかつて不良としてならした元自衛官の勇気に助っ人を依頼する。ノボル陣営は剛志たちチンピラに、金の受け渡し場所を勝浦と指定して呼び出し待ち伏せし…というストーリー。

そこそこ売れっ子の若手芸人ジャルジャルをフィーチャーし、製作によしもとも巻き込んで、色々なプロモーションをしたものの、映画の内容がジャルジャルのファン層の好みとはほど遠く。そのためか、結局公開後はさほど話題になることも無く。

しかし、ジャルさんたちのキャスティングも演技も悪くなく、映画自体も井筒監督らしさ満開。それこそスコセッシばりの展開で、レイ・リオッタとかジョー・ペシとか、そういうキャラクターが頭のどこかにいる感じ。銃が出てこないから派手さはないけど、バイオレンス具合も似ていると思う。悪くないね…と言いたいところだけれど、如何せん日本のスケールの小ささよ。

じゃあ、スケールが小さいなら身近な出来事に感じるか?っていうと、繰り広げられる出来事や登場人物は、同じ空間ですれちがっても決して気付かないような感じ。そこらへんの市井の出来事っちゃあそうなんだけど、まるで別次元のよう。この距離感は狙いなのか否か、よくわからない。

最後の終わらせ方は、それこそ、ニューシネマって感じで、私は好きだけど、この空気感をいいと感じる人(うけとめられる人)は決して多くないだろう。興行的な成功と自分の感性の曲げられない部分の折り合いっていうのは難しいんだな…と強く感じてしまう。でも、古いスコセッシ作品が好きならば、ちょっと試しに観てみてはどうだろう。決して爆発的におもしろいわけではないけれど、私なんかが言うのはおこがましいけれど、作り手の意図がよく伝わってくる、悪くない作品だと思う。軽くお薦め。

#まあ、お笑い養成所だギャルゲーだと、ちょっと若者サブカルチャーを軽く扱った部分のピントがずれてるような気はするけど。

 

 

負けるな日本。

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image0378.png公開年:2005年 
公開国:イギリス、南アフリカ
時 間:95分
監 督:ギャヴィン・フッド
出 演:プレスリー・チュエニヤハエ、テリー・フェト、ケネス・ンコースィ、モツスィ・マッハーノ、ゼンゾ・ンゴーベ、ZOLA、ジェリー・モフケン、イアン・ロバーツ 他
受 賞:【2005年/第78回アカデミー賞】外国語映画賞
コピー:拳銃を持つその手で、小さな命を拾った。



南アフリカ、ヨハネスブルクの黒人スラム街に、ツォツィ(チンピラ)と呼ばれる青年がいた。彼と仲間たちは強盗を繰り返し、殺人すら厭わない。そんなある日、ツォツィは裕福な家の前で高級車から出てきた女性を発見すると、銃で撃ち車を奪う。逃走するも後部座席に赤ん坊がいるのに気付き、そのまま車を乗り捨て置き去りにしようとしたが、赤ん坊の泣き声を聞くと思い留まり、抱き上げ…というストーリー。

まともな家庭環境で育たず、まともな教育もうけていない青年が、生き残るために身につけたのは、他者から奪うということ。喰いたくなったら襲う…、彼の行動は動物そのもの。人から社会性を奪うと動物になるというのを、そのまま体言している。

しかし、赤ん坊に触れてからの彼は、この世には無条件に守られるべきものが存在し、そして自分もそうだったということに、うっすら気付きはじめる。彼の心の中のロウソクに小さな灯火がついた瞬間。だけど、狂犬は所詮狂犬。その灯火はいつ消えてもおかしくないくらい小さく揺らぎ、黒い煙がチリチリと立ち昇る。

そんな彼の灯火は消えるのか消えないのか。そんな思いで彼を見続けるこの95分。人間性をひたすら信じたいと思う心の灯火が、あなたの心にも点るだろう。
『ルーツ』みたいなイメージのジャケットで、別の内容をイメージを予測していたんだけど、全然方向性が違った。そして単なるギャング映画でもない。何を観せたいのかが明確で的確。是非とも観るべき一本。お薦め。




 

#負けるな日本。

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image1270.png公開年:1978年 
公開国:アメリカ
時 間:121分
監 督:アラン・パーカー
出 演:ブラッド・デイヴィス、アイリーン・ミラクル、ランディ・クエイド、ジョン・ハート、ポール・スミス、ボー・ホプキンス、マイク・ケリン 他
受 賞:【1978年/第51回アカデミー賞】脚色賞(オリヴァー・ストーン)、作曲賞(ジョルジオ・モロダー)
【1978年/第4回LA批評家協会賞】音楽賞(ジョルジオ・モロダー)
【1978年/第36回ゴールデン・グローブ】作品賞[ドラマ]、助演男優賞(ジョン・ハート)、脚本賞(オリヴァー・ストーン)、音楽賞(ジョルジオ・モロダー)、新人男優賞(ブラッド・デイヴィス)、新人女優賞(アイリーン・ミラクル)
【1978年/第32回英国アカデミー賞】助演男優賞(ジョン・ハート)、監督賞(アラン・パーカー)、編集賞

アメリカと中東諸国との関係が険悪な1970年代。アメリカ人旅行者ビリー・ヘイズはイスタンブール空港から大麻樹脂を運び出そうと試みる。しかし、搭乗前にトルコ当局に発見・逮捕され、麻薬不法所持、密輸の罪で現地の刑務所に拘留されてしまう。所内の過酷な環境や拷問の恐怖に疲弊する一方のビリーだったが、所内で知り合ったアメリカ人ジミーとエリックに励まされ何とか乗り切っていく。しかし、駆けつけてきた父や弁護士、アメリカ領事官の“すぐに出してやる”という言葉を信じて望んだ裁判で、4年の刑を宣告されてしまう…というストーリー。

どれだけフィクションが加わっているのかよくわからないが、逮捕されてから脱獄をするまでの基本的な流れは事実らしい。それについては実に驚きだ。

オリヴァー・ストーン脚本なので、そう深くない部分で政治メッセージが含まれているに違いないと予測するのは、理解できる。けれど、本作を観て、中東の人権意識がどうだとか、当時のアメリカの姿勢がよろしくないだとか、そんなところに気が行ってしまったら、おもしろくもなんとも感じられないのではなかろうか。
また、このような状況になった最大の原因は、間違いなく主人公の不法行為なので、これって自業自得じゃんか!てな感じで、“誰が悪いのか探し”をしていると、同じようにおもしろく感じられないだろう。
本作がつまらなく感じた人は、そういう部分に頭が向かってしまって抜け出せなかったからではないかな…と考える。
とにかく、何はどうあれ、こういう状況になりました。観ているあなたもいっしょにドキドキしよう。そういう観方をすべき映画だと思う。そうすれば、彼の葛藤や苦悩・決断に、感情移入して、手に汗を握りながら愉しめはずである。
#特に、後半はものすごく惹きこまれた。

確かかにこの出来事自体はスゴい話なのだが、じゃあ、その事実だけでここまでおもしろくなったかいわれると、それは否だと思う。仮にこういうフィクション原作を与えられたとしても、私にはここまで惹きつける脚本は書けない。ひとえにオリヴァー・ストーンの脚本力のなせる業だと、ひたすら感服するのである。とてもハードな作品だが、未見の方には強くお薦めしたい一本だ。#深夜特急で旅をする話ではないので、そういう勘違いはしないで観てほしい(ゴメン。私、実はちょっと勘違いしてた(笑)。ミッドナイト・エクスプレスって脱獄の隠喩なんだって)。

まあ、とはいえ、異文化を甘く見ないほうがいいというのは強く感じざるを得ない。オーストラリアなんかに旅行に行ったとして、私を気に喰わないと思った人が、私のかばんにひょいっと白い粉なんかを放り込んだ日にゃあ、私もオーストラリアで長期休暇を過ごすハメになる。決して昔の話じゃないんだよね。トルコは親日的だと聞くけれど、この映画をみたら怖くなっちゃうのは仕方ないよね。
#って、オマエ、海外旅行なんかしたことないし、予定も無いんだから、心配無用だろ!ってね。

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image1238.png公開年:2001年 
公開国:アメリカ
時 間:137分
監 督:ロバート・アルトマン
出 演:マギー・スミス、マイケル・ガンボン、クリスティン・スコット・トーマス、ボブ・バラバン、カミーラ・ラザフォード、チャールズ・ダンス、ジェラルディン・ソマーヴィル、トム・ホランダー、ナターシャ・ワイトマン、ジェレミー・ノーサム、ジェームズ・ウィルビー、クローディー・ブレイクリー、ライアン・フィリップ、トレント・フォード、スティーヴン・フライ、ケリー・マクドナルド、クライヴ・オーウェン、ヘレン・ミレン、アイリーン・アトキンス、エミリー・ワトソン、アラン・ベイツ、デレク・ジャコビ、リチャード・E・グラント 他
受 賞:【2001年/第74回アカデミー賞】脚本賞(ジュリアン・フェロウズ)
【2001年/第36回アカデミー賞】助演女優賞(ヘレン・ミレン)、監督賞(ロバート・アルトマン)、脚本賞(ジュリアン・フェロウズ)
【2001年/第68回NY批評家協会賞】助演女優賞(ヘレン・ミレン)、監督賞(ロバート・アルトマン)、脚本賞(ジュリアン・フェロウズ)
【2001年/第59回ゴールデン・グローブ】監督賞(ロバート・アルトマン)
【2001年/第55回英国アカデミー賞】衣装デザイン賞、英国作品賞[アレキサンダー・コルダ賞]
【2001年/第7回放送映画批評家協会賞】アンサンブル演技賞
コピー:お茶は4時、ディナーは8時、真夜中には殺人を…

イギリス郊外にあるゴスフォード・パークという屋敷で、主のウィリアム卿とシルヴィア夫人によるパーティが催される。来賓客の優雅さとは対照的に、メイドや召使たちは多忙を極めるが、彼らの間では主人たちの噂話の華が咲く。2日目の晩餐の席で、客の一人であるアメリカ人映画プロデューサーが、この屋敷を舞台にした殺人事件の映画を作る構想を語り始めると、その夜、実際にウィリアム卿が殺される事件が発生してしまう…というストーリー。

舞台は第一次世界大戦直後とのことだが、第二次大戦があればこその“第一次”なのに、“第一次大戦で儲けた”云々という字幕が変。これだけじゃなく、字幕の和訳に気合が入っていない感じがして、ああ英語が解ればなぁ…と、端々で思わされた。

さすが巨匠アルトマン!って言ってあげたいところなんだけど、次の二つの点で引っかかってしまって、どうも乗り切れなかった。
一点目。まあ、びっくりするぐらい展開がノロノロで、1時間以上ただただ宴会のに向けて準備が進むだけで、何も展開しないといってもよい。不安になるは眠くなるはでアルトマンを信じ切れない私がそこにいた(笑)。
二点目。なぜか、横溝正史の金田一耕助シリーズに見えてしまった。①戦後、②古い因習に縛られた地方の屋敷、③血縁がらみの殺人と犯人探し。名探偵が登場しなくて、おどろおどろしい隠ぺい工作も無いけど、プロットは同じに見えちゃった(等々力警部はいるけど)。

金田一耕助の出ない金田一耕助シリーズって…って考えちゃったらそりゃあ愉しめないわな。でも、アルトマンの意図としては、犯人は誰だなんてことはどうでも良くて、本当はこれをサスペンスとして観ちゃいけないんだと思う。
社会が変革を迎えつつある中で、前時代的な階級や差別感覚を引きずる人々をシニカルな目線で表現したシブい映画なんだと思う。でも、映画通ぶって褒めるのもちょっとなぁ。シブいことはシブいんだろうけど、娯楽作品としては三流と言わざるを得ないかな。

ある意味、奇作だと思う。サスペンスだと思って見ないってのが、本作を愉しむコツ。特段、お薦めはしないけど。

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image1042.png公開年:2006年 
公開国:アメリカ
時 間:110分
監 督:デビッド・フランケル
出 演:アン・ハサウェイ、メリル・ストリープ、スタンリー・トゥッチ、エミリー・ブラント、サイモン・ベイカー、エイドリアン・グレニアー、エイドリアン・グレニア 他
受 賞:【2006年/第41回全米批評家協会賞賞】助演女優賞(メリル・ストリープ「今宵、フィッツジェラルド劇場で」に対しても)
【2006年/第64回ゴールデン・グローブ】女優賞[コメディ/ミュージカル](メリル・ストリープ)
コピー:こんな最高の職場なら、死んでもいい! こんな最悪の上司の下で、死にたくない! 
恋に仕事にがんばるあなたの物語。

ジャーナリスト志望のアンディは、大学卒業後に新聞社勤務を目指しニューヨークへやってきたが、どこも彼女を採用してくれない。唯一、彼女を採用してくれたのは、まったくの畑違いの一流ファッション誌“RUNWAY”誌。それも編集長ミランダ・プリーストリーのアシスタントとして。オシャレには無関心の彼女は、次の就職先の単なる一ステップ程度と考えていたのだが…というストーリー。

当時のCMが、『ボビーに首ったけ』みたいな若いOLをターゲットにしたチャラチャラしたアピールをしていたので、好みの埒外と判断しスルーしていたのだが大間違い。お局の女の子いびりの話なんかじゃない。立派な企業戦士物語だった。ファッション業界であることは、さほど重要ではないと思えるくらい(まあ、そういう原作だからしょうがない)。

アンディの状況に共感できない人は、さぞや素敵な会社にお勤めなのだろう。私はこういう理不尽な状況に何度も引きずり込まれているので、ものすごくシンパシーを感じた。変に勢いがあったり、業績がいい部署なんかには、ありがちな上司像だと思うけれど。
ハードな職場で働いている人なら経験があると思うが、上司の発言の半分くらいは正しいので勢いで誤魔化されてしまう。まあ、はじめは流れに乗っておくか…と考えがちだしね。そういう場合は往々にしてストックホルムシンドローム状態になっていて、もっともらしい上司の意見を冷静に受け止められなくなっているだけ。もしくは挑発とも教育的配慮ともつかないような発言に絆されているだけ。本作のアンディも、とてつもない理不尽な指令にがんばって対応しちゃう。それなりにスキルがあるのでこなしちゃうもんだから、それが成功体験になって、これもアリかな?なんて思っちゃう(落とし穴だよね)。

資本主義社会では、普通の社会では性格破綻者みたいな人が“企業家”の役を担うことになっている。言い方は悪いけれど、必要悪なのだ。ミランダのような人は泳がしておくのが社会発展のため。周りもそういう人を利用することだけに集中すればよい(そう達観できるようになるまでには、色々経験を積まねばならんのだけど、これが大変なのよね)。

アンディがミランダに喰らいついていかずに、結局は逃げるような事態になってしまったことを良しとしない人もいると思うが、あそこでスパっと切れたことこそ、自分の道を見つけたということ(あの辞めるタイミングが絶妙で、心地が良かったと思う)。あんな上司にあたってしまったら私はすぐ辞めるわ~なんていう人もいるだろうが、そんなのはウソっぱちだと思う。アルバイトじゃないんだし、おまけに日本は職業の流動性が硬いので、簡単に転職できないんだから、そう簡単に辞められるはずがない(だから、心を病んじゃう人が多いんだろうけど)。

まあ、何を言いたいのかというと、コメディ調だけど案外リアルな話だよ…ってこと。女性向けだと思ってスルーしていた男性サラリーマン諸君、騙されたと思って観てみよう。そして、これから社会人になる諸君、この話はファンタジーではなくあり得る話。観ておいて損はないと思う。お薦めする。

メリル・ストリープの演技には、いまさら何の口出しができようぞ。
#わたしは、入社当時のダサいアン・ハサウェイのほうが好きだぞ!

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クボタカユキ
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出張とか入ると、投稿は遅れてしまいますわ。
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