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image1279.png公開年:2007年 
公開国:アメリカ
時 間:112分
監 督:ジェイ・ラッセル
出 演:アレックス・エテル、エミリー・ワトソン、ベン・チャップリン、デヴィッド・モリッシー、ブライアン・コックス、マーシャル・ネイピア、ジョエル・トベック 他
コピー:ネス湖に眠った、ひとりぼっちの二人の想い “一枚の写真”に隠された、壮大な感動秘話



第二次大戦下のスコットランド。少年アンガスは、父が出征したあと、母・姉と3人で父の帰りを待っている。ある日アンガスは、ネス湖で青く光る不思議な石を見つけ、家に持ち帰ると、謎の生物が孵化する。アンガスはその生き物に“クルーソー”と名付け、内緒で育てるのだった。やがて、家が軍隊に接収されたが、軍人達に見つからないように、クルーソーを育て続ける。下働きにやってきた男から、ケルト人に古く伝わる“ウォーター・ホース”の伝説を聞き、クルーソーがそれであるとアンガスは、もう家で育てるのが難しくなるほど大きくなったクルーソーを仕方なくネス湖へ放すのだった。その後も周囲の大人たちの目を盗んでネス湖を訪れ、クルーソーと会い続けるのだったが…というストーリー。

原作者は『ベイブ』の作家。まさかこんなつまらない作品を映画化しようなんて思わないはずなので、おそらく映画化の段階で台無しにしてしまったんだろう。
『ショコラ』『シッピング・ニュース』の脚本家、『ロード・オブ・ ザ・リング』の映像スタッフでも、こうなってしまう。やはり映画というのは監督の強烈な個性が、すべてを左右するのだな…、映画っていうのは監督の創作物なのだな…、と改めて強く認識させられた作品。

元はスコットランドの伝説上のケルビーという幻獣がモチーフとのこと(ウィキペディアを見ちゃった)。でも、それって馬の姿で尾っぽが魚の尾で藻のたてがみとのこと(まさに幻獣という姿)。これをネス湖のネッシーと重ねたのが、本作の敗因なのでは?ネッシーといえば恐竜の生き残りか?という話があったわけで、本作に出てくる“クルーソー”も魚竜そのもの。しかし、尾びれの形状を見ると、恐竜や魚竜のたぐいではなく、現存生物とはまったく違う系統の生き物(あおの尾びれだと、6本足ということになる)。幻獣ならもっと幻獣らしい特徴をそなえればいいし、魚竜ならちゃんと魚竜にすればいい。この中途半端さが、どのレベルのファンタジーなのかをうやむやにして、観ている側の心構えを阻害していると思う。

舞台を第二次世界大戦下のイギリスにしたのはいいアイデアだと思う。切迫する状況でありながら、且つ物理的にはあまり戦火の影響をうけていない場所、つまり地獄と天国が共存する場所でだから。しかし、子供の成長物語を見せたいのか、戦争の愚かさを主張したいのか、純粋なファンタジーを見せたいのか。もちろんそれらを複合してもいいのだが、それも中途ハンパ。
特に、軍人に対する感情や、下働きに来た元軍人との感情に、いまいち統一感がないなど、母親が不可解な行動をすることが多く、キャラ設定が確立できていない模様。一番大事なのは、夫の死を息子に伝えられずにいるという設定なのだが、それがぼやけてしまっている。

細かいところが気にならなくなるくらいまで、かなり酔っ払ってしまえば、かなり愉しめる気もする。そんなレベル。あまりお薦めする気にはならない。

でも、いまいちノれない一番の理由は、日本に『ドラえもん のび太の恐竜』という名作があるからかもしれない。それに比較すると、ジャイアンほどの仲間もでてこないし、密猟者ほどのはっきりした悪役もいないものね(そう、結局、悪者的な感じで登場した軍人もうやむやだもんな)。ぼやけた感じがするのも、仕方ないよ。

#あんな勢いで潜ったら、人間の肺は破裂してしまうがな…




負けるな日本

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image1216.png公開年:2005年 
公開国:アメリカ
時 間:136分
監 督:ジェームス・マンゴールド
出 演:ホアキン・フェニックス、リース・ウイザースプーン、ジニファー・グッドウィン、ロバート・パトリック、ダラス・ロバーツ、シェルビー・リン、ダン・ジョン・ミラー、ラリー・バグビー、タイラー・ヒルトン、ウェイロン・マロイ・ペイン、シューター・ジェニングス、ヴィクトリア・ヘスター、ケリス・ドーシー 他
受 賞:【2005年/第78回アカデミー賞】主演女優賞(リース・ウィザースプーン)
【2005年/第40回全米批評家協会賞】主演女優賞(リース・ウィザースプーン)
【2005年/第63回ゴールデン・グローブ】作品賞[コメディ/ミュージカル]、男優賞[コメディ/ミュージカル](ホアキン・フェニックス)、女優賞[コメディ/ミュージカル](リース・ウィザースプーン)
【2005年/第59回英国アカデミー賞】主演女優賞(リース・ウィザースプーン)、音響賞
【2005年/第11回放送映画批評家協会賞】主演女優賞(リース・ウィザースプーン)、サウンドトラック賞
コピー:型破りなラブストーリー、これは真実の物語

綿花栽培の小作の家に生まれたジョニー・キャッシュ。酔って暴力を振う父に怯える日々だったが、そんな彼の幼少時代を優しい兄とラジオから聞こえてくる音楽が支えてくれていた。ところがある日、その兄が不慮の事故で亡くなってしまう。父は「悪魔はできる子のほうを奪った」と言い、ジョニーは深く傷つくのだった。やがて成長したジャックは数年の空軍勤務を経て、初恋の女性ヴィヴィアンと結婚。訪問セールスの仕事に就き、父とは距離を置くことができたものの仕事はまったくうまく行かない。おまけに趣味のバンド活動に理解をしない妻との間には溝が深まるばかりだった。いよいよ生活に困窮し、妻の両親の元に身を寄せねばならなくなったとき、彼はミュージシャンの夢を諦めきれずに一念発起、レコード会社のオーディションを受けると、見事に合格しすぐにレコーディングに。すぐにツアー生活に入り、ヒット曲も生まれたが、妻との距離は広がるばかりだった。そんなツアー生活の中、幼いこところから聞いていたジョニーと出会い…というストーリー。

アメリカでは“生ける伝説”的な存在だったんだろうけど、まったく知らない。『アイム・ノット・ゼア』のボブ・ディランもそうだったが、知っているか否か、興味があるか否かで、受け取り方が全然違うんだろうな。
ただ本作の優れている点は、フィクションだと思ってみても充分に楽しめる内容だということ。主演の二人の受賞歴を見てもわかる通り、すんばらしい演技で、グイグイ引きこんでくれる。

コピーにあるように、“二人の愛”を前面に押す評価が多いけれど、私はそれに賛同しない。見所はそこだと思わない。一番興味深かったのは、ジョニーを薬物依存から脱却させるために、ジョニーの家族が協力するシーン。カトリックとしての純粋な行動なのか、娘の真の気持ちに応えてなのか。南部カトリック教徒の不寛容さも表現しているので、それに相反する行動が、良い意味で非常に奇異に映った。
#最近、やっと日本でも、アメリカのカトリック原始主義者の行動がTVで伝えられるようになった。ね、アメリカってそんなにまともに付き合うような相手じゃないって判ったでしょ。

一番すっきりしないのは、なんといっても父親との関係。ジョニーの人生に大きな影を落としているのは、“自分は愛されていない”という気持ちであり、本作としてもその解釈を強く押しているのだと思う。で、結局、ジョニーから愛されるということを獲得し、父から愛されていないという心の傷を埋めることができ、彼は立ち直ることができたのだよ…ということを言いたいのだろう。でも、いささか弱い。いつも言うことだけど、実話ベースの限界ということだ。
一つ注意したいのは、ジョニーの父を“単なる不器用な男”なだけで決して愛の無い男ではない…と解釈すること。子供の人間形成の失敗の失敗原因の半分は、愛されるべき子供が愛されなかったことで発生する。多少環境に問題があっても、親から愛されているという感覚があれば、反社会的行動をとることは激減する。やはり父親の行動は、人間が社会性動物であることを考えると“悪”以外の何者でもない。この世にいる一番の悪魔は、“愛のない親”だと私は考えている(漠然とした表現だけど)。

でも“愛のない親”というのは動物社会を観察しても出現するので、無くすことはできないのだろう。そして、往々にしてそういう親を後付けで教育することもできないし、時間のねじを戻して愛すべき時期に愛しなおすことはできない。それを補完するのが、愛情深い伴侶と結婚すること、愛情深い隣人に出会うことである(宗教で救われることもこれに含まれる)。ジョニーの場合は、父親だけでなく母親も同様であるという不運。はじめの妻も同様であるという不運。隣人も所詮ビジネス上の関係でしかなかったという不運。一番愛を傾けてくれた人がすでに人妻であったという不運。それらが重なったということだろう。

ラストの実話ゆえのぼんやり感を許容すれば、愉しめる作品だと思うので、軽くお薦め。
#その後、二人が何十年も添い遂げたというナレで、感動したという人もいるようだけど、羨ましいとは思うけど別に感動はしなかったかな…。そう、羨ましい。



負けるな日本

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image0341.png公開年:1990年 
公開国:アメリカ
時 間:120分
監 督:ペニー・マーシャル
出 演:マチュー・アマルリック、エマニュエル・セニエ、マリ=ジョゼ・クローズ、アンヌ・コンシニ、パトリック・シェネ、ニエル・アレストリュプ、オラツ・ロペス・ヘルメンディア、ジャン=ピエール・カッセル、イザック・ド・バンコレ、エマ・ドゥ・コーヌ、マリナ・ハンズ、マックス・フォン・シドー 他
受 賞:【1990年/第56回NY批評家協会賞】男優賞(ロバート・デ・ニーロ)
コピー:-実話には、本物の感動がある-

精神病院に赴任した医師セイヤーは、これまでの研究所生活との違いに戸惑い馴染めずにいた。ある日、患者が特定の刺激にだけ反応し、健常者のように動くことを発見する。中には投げたボールをキャッチする患者まで表れた。しかし、同僚の医師たちに説明するも、単なる反射行動だと相手にされない。諦めきれずにいたセイヤーは、ある新薬の研究報告を発見。それが患者達に有効なのではないかと思いつく。病院と母親を説得し、30年間昏睡状態だった男レナードに投薬を開始。ほどなく奇跡的に意識を回復し…というストーリー。

過去に観たことがあるけれど、先日の『潜水服は蝶の夢を見る』や『ジャケット』を観て、本作を思い出したので。原因は異なるけれど、脳幹の異常により停止状態に陥ってしまう点は一緒でしょ。そして、結末は『アルジャーノンに花束を』に近くて、未知の治療薬を探し投薬するところは『ロレンツォのオイル』に似ている。そう考えると、似たようなモチーフの作品は結構あるのね。

とはいえ、驚くべきことに本作は実話ベースである。本当に実話か?と思うほどの劇的な展開は、まるで奇跡のよう。加えて特筆すべきは、きちんとラストがまとめあげられていて、ストーリーとして成立している点(だって、実話ですから…と投げっぱなしにはしていない)。セイヤーと看護婦のくだりや、もしかするとレナードの恋のエピソードはフィクションかもしれないけれど、そういう演出が実によい味付けになっていて、実話ベースにありがちなモヤモヤした結末を払拭してくれている。

なぜか受賞歴は少ないのだが、ロバート・デ・ニーロとロビン・ウィリアムズも素晴らしい。特にデニーロの徐々にチック症状が出始めたころの演技は、観ている側に「もしかして…」とかすかに感じさせる適度さが絶妙。ポンコツ役者では興醒めは必至だったろう。

誰一人、悪意のある人は登場せず(他の医師が当初非協力だったことなど悪意のうちに入らず)、誰もが他者のことを慮っているにもかかわらず、まったく報われない顛末に、なんともやるせなくなり心臓がぎゅっと握られたような苦しさを覚える。世の中には簡単に答えを出せないことが多々あるのだな…と、感慨深さと無常感が合わさって、それらが転じて何故か清清しくなるほど。

案外、若い世代は未見の人もいるかもしれない。是非観るべき作品だろう。お薦め。実話ベースでも、この程度の演出は必須、こうあるべきだ!と思える作品。





負けるな日本

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image1588.png公開年:2008年 
公開国:イギリス、アメリカ
時 間:95分
監 督:マーク・ハーマン
出 演:エイサ・バターフィールド、ジャック・スキャンロン、アンバー・ビーティー、デヴィッド・シューリス、ヴェラ・ファーミガ、リチャード・ジョンソン、シーラ・ハンコック、ルパート・フレンド、デヴィッド・ヘイマン、ジム・ノートン、カーラ・ホーガン 他
コピー:第二次大戦下のドイツ──フェンス越しに生まれた禁じられた友情。
「どうして君は、昼でもパジャマを着ているの?」


第二次大戦下のドイツ。8歳の少年ブルーノは、ナチス将校である父の昇進に伴い、都会のベルリンから田舎の屋敷に移り住む。学校がないほどの田舎のため、早々に飽きてしまったブルーノは、自分の部屋からみえた“農場”に興味津々に。そこに行くことは固く禁じられていたが、親の目を盗んで農場へ。そして、フェンスの中にいる、縞模様の“パジャマ”を着た同い年の少年シュムエルと出会い、以来2人はフェンス越しに会話するのが日課となるのだった…というストーリー。

あるようでなかった、外部の子供目線でホロコーストを描いた作品。

前半は、同じ将校の家族であり、おなじ女性でありながら、母親と娘の受け止め方が異なる点がおもしろい。母親は事実を知りつつも苦しんでいき、お姉ちゃんは、事実を把握しながらも、馴染んで歪んでいく。ローティーンへの教育がいかに大事なものかをうかがわせる興味深い演出。
肝心の男の子同士の触れ合い部分は、いまいちピンとこない。

この手の作品は大事なのはわかるが、もう、ナチス・ユダヤ物は食傷気味かも。アメリカが、なんでここまでしつこくナチス映画を作り続けるのか?の方に、興味が湧いちゃうくらい。

以下、ネタバレぎみ。

子供の思いつきつくとはいえ、後味の悪い展開としてはピカイチ(だからPG-12なのね)。昨日の『ソウ ザ・ファイナル』なんかよりも、ゾッとする悪趣味具合。誤解を恐れずに言わせて貰えば、私は好きなオチである。映画というのは、このくらいの毒があってこそ、映画といえる。
ただ、この映画があまり評価されていないのは、こういう残酷なオチが、いまいち“反戦”に結びついていないから。別にホロコーストでなくても、このの演出は転用できる。それこそ利益を追求して開発を進める親とその子供とか、科学的成果のためにその他の環境を顧みない親とその子供とか。だから、逆に、ホロコーストがおまけみたいになっちゃってるのが、問題なのかも。

このラストの毒をどう判断するか否か。子供の友情を扱っているにも関わらず、子供には不用意に見せられないし(こんなの、学校の道徳の時間に見せたら大問題になっちゃうわ)、この映画の立ち位置ってなんなのさ?
でも、もう一度言うけど、個人的には好きなオチなので、軽くお薦め(こんなオチが好きって、あんたどんな性格してるんだ!ってツッコまでそうだけど)。



負けるな日本

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image0604.png公開年:1994年 
公開国:アメリカ
時 間:143分
監 督:フランク・ダラボン
出 演:ティム・ロビンス、モーガン・フリーマン、ウィリアム・サドラー、ボブ・ガントン、ジェームズ・ホイットモア、クランシー・ブラウン、ギル・ベローズ、マーク・ロルストン、ジェフリー・デマン、ラリー・ブランデンバーグ、ニール・ジュントーリ、ブライアン・リビー、デヴィッド・プローヴァル、ジョセフ・ラグノ、ジュード・チコレッラ、ポール・マクレーン 他
受 賞:【1995年/第19回日本アカデミー賞】外国作品賞


妻とその愛人を殺した容疑を懸けられた銀行副頭取のアンディ。彼に不利な証拠が重なり無期懲役の判決が下り、ショーシャンク刑務所送りとなってしまう。はじめのうちは、身に覚えの無い罪に納得できず、収監生活に戸惑うアンディだったが、徐々に彼の魅力的な人柄が他の受刑者に受け入れられ、馴染んでいくのだった。20年の歳月が流れた頃、新たに収監された囚人から、彼が冤罪であるという証拠話を聞かされ、アンディは再審請求を所長に申し出るのだったが…というストーリー。

ここのところ、すっきりしない作品ばかりでうんざりぎみだったので、カタルシス確実な作品を。3年と空けずに繰り返し見る作品である。もちろんDVDは購入済で、棚に鎮座している。

『フォレスト・ガンプ/一期一会』にもっていかれちゃって無冠状態だけど、これほど“無冠の帝王”って名前がぴったりな作品は無いね。

諦めない姿に感動したという意見が多いのだけれど、私はそれほどこのプロット自体が優れているとは思っていない。冤罪で収監されたが諦めることなく、悪い看守たちを出し抜いて遂に脱走を果たす…っていう話は、それほど新規性があるものではない。
この作品が優秀である所以は、伏線の回収のウマさ。
まず、大抵の作品は、「あ、これあとで伏線になってくるな…」ってのが判るものだが、本作は伏線がセットアップされたことにすら気付かないところが多い。そして、伏線のセットアップから回収までの長さが、その伏線ごとに絶妙にまちまち。まるで、球種がたくさんあるピッチャーにいいように三振に取られちゃった感じ。完全にタイミングをはずされて空振りながら「ここで、そんな山なりカーブ放り込んでくるか~」って感じ。それも4打席連続三振をくらったみたい。

冒頭のアンディのストーリーとレッドのストーリーの、絡み合いも絶妙である。そして最後は友情によってその筋が一本になっていく。たまりませんな(まあ、それも伏線の回収みたいなもんなんだけど)。こんなシナリオが書けるなら、寿命が5年短くなっても文句は言わない。

明日から、また次の作品を観る気力は湧いてくる。今更、本作を観ていないという人は少ないと思うが、万が一存在するならば、死ぬ前に間違いなく観るべき作品。無人島に3本映画をもっていけといわれたら、間違いなくチョイスする一本。



負けるな日本

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image1639.png公開年:2008年 
公開国:アメリカ
時 間:97分
監 督:コートニー・ハント
出 演:メリッサ・レオ、ミスティ・アッパム、チャーリー・マクダーモット、マーク・ブーン・ジュニア、マイケル・オキーフ、ジェイ・クレイツ、ジョン・カヌー、ディラン・カルソーナ、マイケル・スカイ 他
受 賞:【2008年/第75回NY批評家協会賞】新人監督賞(コートニー・ハント)
【2008年/第24回インディペンデント・スピリット賞】主演女優賞(メリッサ・レオ)
コピー:光を信じて
ニューヨーク州最北部 2人の母親は家族のために凍てついたセント・ローレンス川を渡り、犯罪に手を染めていく…

ネイティブアメリカン・モホーク族の保留地があるニューヨーク州最北部の町。新居の購入費用をギャンブル狂の夫に持ちだされてしまい、途端に生活に窮してしまう妻レイと2人の子どもたち。通勤途中で夫の車を発見し追いかけたると、運転していたのは何故かモホーク族の女。ライラと名乗るその女は、車を盗んだのではなく拾ったという。実は、ライラは凍結した国境の川を渡って、カナダからの密入国を一人1200ドルで請け負っていたのだ。義理の母に奪われた幼い息子と一緒に暮らすための金をつくるために。その仕事のためにどうしても車が必要だったライラは、レイが金を必要な状況を知ると、共犯者として引き入れるのだった…というストーリー。

「二人のやってることは悪いことなのは判ってるけれど、彼女らの事情を考えるととりあえず切り抜けて欲しいなぁ…」っていう応援したくなるような感情が涵養されないので、いまいち盛り上がらない。

一緒に持ってきたカバンが、もしかしたら危険なものかもしれないと思うまではいいとして、捨てる前に中身を見ないのはちょっと不自然。いや、子供を殺めそうになってしまうというプロセスはとても大事なのでカットするわけにはいけないが、一応開けてみたら、わけのわからない容器がちらっと見えたとか、そういう演出は欲しかった。テロ組織の人間かもしれないと、怯える様子があまりにも取って付けたようで(外国の知識がないという、伏線は事前に貼ったつもりかもしれないが、効いていない)。
そういうエピソードを経て、一定の距離を保ちつつも、心のどこかで共感する部分を感して“徐々に”繋がっていく様子が、もう少しうまく表現できていれば違ったかもしれない。最後の最後になるまで、そんなに心が通じ合っていたとは思えず、すごく唐突に感じた。

また、あの程度燃えたくらいで、新しいトレーラーハウスが絶対必要と思う根拠は希薄。狭いけど、とりあえず雨風しのいで暮らせるじゃん。小金は入って、食い物は買えるんだし。そこまでして危ない橋を渡ろうとするモチベーションに繋がるかね?
モホーク族の女に至っては、金ですべてが解決できる問題でもなさそうだし、解決の最短コースは自分にあった眼鏡を買ってマジメに働くことだった。そして、実際その道を歩み始めたのに、なぜかあっさりと戻る。戻っちゃいけないわけじゃないんだけど、戻るのも致し方あるまいという状況を作らないといけない。そこも唐突。

いや、ここまでツッコんでばかりだと、ダメ映画かと思われてしまいそうだけど、そこまでひどくはない。貧しさが人をこんなにしてしまうのさ…的なカッスカスの感じがよく表現ができているし、ネイティブアメリカン居留地の治外法権をうまく使えたプロットだとも思う。
それだけに、もうちょっとブラッシュアップすべきだったと思う。また、シナリオに大きなうねりがあれば、文句なしだったのだが、ちょっと残念な作品。お薦めはしないが、こういうのが好きな人は一定数いるとは思う。



負けるな日本

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image1640.png公開年:2009年 
公開国:アメリカ
時 間:111分
監 督:スコット・クーパー
出 演:ジェフ・ブリッジス、マギー・ギレンホール、ロバート・デュヴァル、ライアン・ビンガム、コリン・ファレル、ポール・ハーマン、トム・バウアー、ベス・グラント、ウィリアム・マークェス、リック・ダイアル、ジャック・ネイション 他
受 賞:【2009年/第82回アカデミー賞】主演男優賞(ジェフ・ブリッジス)、歌曲賞(曲/詞:ライアン・ビンガム、T=ボーン・バーネット“The Weary Kind”)
【2009年/第35回LA批評家協会賞】男優賞(ジェフ・ブリッジス)、音楽賞(T=ボーン・バーネット、スティーヴン・ブルトン)
【2009年/第67回ゴールデン・グローブ】男優賞[ドラマ](ジェフ・ブリッジス)、歌曲賞(T=ボーン・バーネット、ライアン・ビンガム“The Weary Kind”)
【2009年/第25回インディペンデント・スピリット賞】主演男優賞(ジェフ・ブリッジス)、新人作品賞
【2009年/第15回放送映画批評家協会賞】主演男優賞(ジェフ・ブリッジス)、歌曲賞(T=ボーン・バーネット、ライアン・ビンガム“The Weary Kind”)
コピー:傷ついた者にしか、歌えない愛がある

かつて一世を風靡したカントリー歌手のバッド・ブレイク。今では落ちぶれて、地方のバーなどでのドサ回りで食いつなぐ日々。新しい曲も浮かんでこない。弟子だったトミーが大活躍しているのも気に喰わない。そんな毎日の繰り返しで、酒量ばかりが増えていく。ある日、地方紙の女性記者ジーンの取材を受けることに。親子ほども年の離れた二人だったが、なぜか惹かれ合い一夜を共にする。ジーンは離婚の痛手を引きずりながら小さな息子との二人暮しをしており、これ以上関係を深めることに躊躇する。そんな中、巨大スタジアムで行われるトミーの公演の前座のオファーがあり…というストーリー。

別映画のレンタルDVD冒頭のトレーラー映像で本作を知った。けっこう重い展開がありそうだったのでレンタルしてみたのだが、そういう意味ではちょっと肩透かしを喰らった感じ。きっと、子供を死なせてしまってどん底まで打ちひしがれるとか、そのレベルの展開があると予測していたのだが…。

くたびれたオヤジの極みではあるけれど、酒の量が多くて、やる気がでなくて怠惰な生活になっているだけ。それこそ世の中には薬に溺れたり、悪の道に手を染めたりする人もいるわけで、それと比較すれば、実に健全な落ちぶれ方である。
むしろ、一時は人気者だったことがあり、落ちぶれたとはいえ好きな音楽でなんとか喰えている。これってかなり羨ましいことなのではなかろうか。
その後は、若い女と恋に落ちて、ちょっとしした失敗をして、反省して更生して、もう一度大成功。スタート時点でもそこそこ羨ましい状態なのに、さらに羨ましい状態になる。んー、これって、なんだろう。絶望的なピンチもあるわけじゃなく、それほど応援したくなるような場面もなく、彼をピンチに陥れる理不尽な敵役が出てくるでもなく、最後は金も健康も男気も手に入れる。

このシナリオの底辺に流れる、一本の訴えたいモノというのが、最後まで見えなかった。こっちの感情があまり動かなかった作品。もしかすると私も60歳を越えると響いてくるのかしら。でも、今は何も響かない。途中で読書しちゃった。
まあ、オスカー受賞作なのにそれほど話題にもなっていない時点で、気付くべきだったかな。お薦めできない。



負けるな日本

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image1330.png公開年:2007年 
公開国:イギリス
時 間:92分
監 督:リチャード・エアー
出 演:ジュディ・デンチ、ケイト・ブランシェット、ビル・ナイ、アンドリュー・シンプソン、トム・ジョージソン、マイケル・マロニー、ジョアンナ・スキャンラン、ショーン・パークス、エマ・ケネディ、シリータ・クマール、フィル・デイヴィス、ウェンディ・ノッティンガム、アンヌ=マリー・ダフ 他
ノミネート:【2006年/第79回アカデミー賞】主演女優賞(ジュディ・デンチ)、助演女優賞(ケイト・ブランシェット)、脚色賞(パトリック・マーバー)、作曲賞(フィリップ・グラス)
【2006年/第64回ゴールデン・グローブ】女優賞[ドラマ](ジュディ・デンチ)、助演女優賞(ケイト・ブランシェット)、脚本賞(パトリック・マーバー)
【2006年/第60回英国アカデミー賞】主演女優賞(ジュディ・デンチ)、脚色賞(パトリック・マーバー)、英国作品賞[アレキサンダー・コルダ賞]
【2006年/第12回放送映画批評家協会賞】作品賞、主演女優賞(ジュディ・デンチ)、助演女優賞(ケイト・ブランシェット)
コピー:彼女の恋の相手は15歳だった

ロンドン郊外の中学校。ベテラン教師のバーバラは、その厳しい態度から生徒や同僚教師から煙たがられる存在。ある日、美術の担当教師として、教師シーバが赴任してくる。彼女は美しく、生徒だけでなく教師たちからもたちまち人気を得ていく。始めは彼女から距離を置いていたバーバラだったが、彼女もシーバのことが気になってしかたがなくなり、次第に彼女とならば友達になれるような気に。以来シーバの様子を観察し、日記にそれを書くまでに。そして、ある出来事をきっかけにシーバと親しくなり、プライベートでも関わるようになる。彼女との関係に満足を覚えたバーバラだったが、ある時、シーバと男子生徒の情事の現場を目撃してしまい…というストーリー。

ここのところ、映画のお薦めブログじゃなくって、シナリオへのダメ出しブログになっちゃってるんだけど、残念ながら今回もダメ出しだ。

ベテラン独身教師のバーバラによる一人称で始まり、彼女目線で鑑賞させようとしてるのだが、どうにも彼女に共感することができず、しっくりこない。共感とまでは言わないから、独身である彼女が世間に感じている嫌悪感とか、一人でいることについて、そういう環境なら仕方ないよね…とか、そういう事情ならそういう考えになるよね…とか、ある程度理解できないとどうにも。だから、彼女の思うようにことがすすんだり、ちょっとしたピンチをすりぬけても、ああよかったね…とは思えない。

美しいアイコンとしてケイト・ブランシェットは完璧なのだが、その彼女への執着が、ただただ奇異にしか映らない。次第にバーバラの心理バランスがくずれ、著しく逸脱していくのだから、バーバラを含めてこの世界を俯瞰目線で見せないといけなかったと思う。
そういう危ういバランスのまま展開するのだが、ジュディ・デンチ、ケイト・ブランシェットの演技が素晴らしいのでなんとか持ちこたえている感じ。

しかし、死んだネコのくだりから、完全に瓦解する。観ている側は完全に放り出され、バーバラとの距離が永遠に感じる。そしてただごちゃごちゃにかき回され、しかたがないのでそのごちゃごちゃの行方を見守るしかない。
放り出される感じを味あわせたいとしても、そのフリになっていない。

色々あったもののシーバは家に戻るわけだが、これをみて、ああよかったね、今回は勉強になったね、と思う人がいるだろうか。元々、彼女に対して、感情移入するように作られていないから、それは無理だろう。
結局、バーバラがちょっと性的に倒錯していたことがわかったからって、「やられた!」と思う人がいるだろうか。最後に女性に声をかけている様子をみてゾっとする人がいるだろうか。

色々、脚色賞などノミネートされているが、あえて逆らう。決して駄作ではないが、本作はイマイチ。特段お薦めしない。観ている側が居場所のない映画。多分、映画にするには、ものすごく難易度が高い原作なんだと思う。
 

#ケイト・ブランシェットが、ズバ抜けて美しいと思える映画ではある。





負けるな日本

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imageX0022.png公開年:1964年 
公開国:アメリカ、イギリス、ギリシャ
時 間:146分
監 督:マイケル・カコヤニス
出 演:アンソニー・クイン、アラン・ベイツ、イレーネ・パパス 他
受 賞:【1964年/第37回アカデミー賞】助演女優賞(リラ・ケドロヴァ)、撮影賞[白黒](ウォルター・ラサリー)、美術監督・装置賞[白黒](Vassilis Fotopoulos)




英国人作家のバジルは、父がクレタ島に遺した炭鉱を再開するために船を待っていた。すると、ゾルバと名乗る男が何でもするから自分を雇えと言い寄ってくる。底抜けの楽天家で体も見るからに頑強なこの男に押し切られ、一緒に島に向かうことに。その後、島に着いてはじめに泊まった安ホテルの女主人とゾルバが親しくなったり、炭鉱の監督の息子に言い寄れらている美しい未亡人とバジルが恋仲になったりしながら、炭鉱の整備を進めていくが、工事は一向に進まず…というストーリー。

いくら父が島に炭鉱を遺したからって、別に生活にこまっているわけでもなさそうなのに、なんでこのイギリス人作家はそんなことするのかな?なんて疑問に思っていると、小汚いおっさんが自分を雇えと押しかけてくる。なんか秘密がありそうなヤツだな…なんて見ていると、今度は元娼婦のホテルのおばちゃんが出てくる。工事をしても島の奴らは、はっきりいってポンコツの田舎者ばっかり。これ、どうなっちゃうの?と、ワクワクしたりハラハラしたりで、なかなか面白くなりそうな予感がした。

『最後の誘惑』と同じ原作者。随所にキリスト教を匂わす描写もあるし、ゾルバがバジルに対して“資本家らしくしろ”みたいなセリフも出てきて共産主義思想の匂いもしてくる。
しかし、ちょっと時代背景が判らなすぎて、面食らってしまった。本当は、様々な困難を飄々とした態度で立ち向かっていく男達の様子を愉しむべき作品なんだろうけど、その後に巻き起こる、クレタ島民の行動のインパクトが強く過ぎて、観るべき部分をしっかりと観ることができなかったかも。宿のおばちゃんが思い出として語っている戦争はバルカン戦争(1912~13年)の話だろうか。だとすると本作の時代はいつなのか(第二次大戦前?後?)。この原作者はクレタ島の出身者みたいなので、まんざらフィクションではないんだろうけど、あまりに社会環境が特殊すぎる。リンチが公然と行われるは、独身者が死ぬと家財を掠奪するは、宗派の違う人間は葬式をしないで放置するは…。観ているこっちの頭がおかしくなりそうだった。

因習に支配され、日常と違う出来事に怯え、おろおろしたりぎゃーぎゃーと極端な行動をとる島民を見ていると、自分たちも原発を持っているくせに勉強せずもに、ただただ“放射能だ”と騒いで逃げろ!日本は危険だ!と騒ぎまくる外国人に重なって、非常に腹立たしくなってしまった。
#クソみたいな精度の機材で放射能測定して、東京に寄港しただけの積荷から日本ですら検出されていない放射線量が検出されたとバカな発表をした、どこかの国のことは、私は一生忘れない。

金田一耕助に解決してほしくなるくらいなんだけど、等々力警部すら存在しないくらい無法地帯のクレタ島。もう私だったら、それを見た時点で、この島で何かしようなんて思わず、一目散に島から去ると思うが、彼らはそれでも炭鉱を掘り続ける。だけど、最後になっても、なんでバジルはここまでして鉱山を再建しようとしているのかよくわからなかったりする。また、一方のゾルバの軽はずみな行動も、受け入れがたいものがある。

古い作品だからというわけではなく、とにかく不思議に映った作品だった。観終わっても“理解した”とは言いがたく、咀嚼し切れなった感じで、お薦めしにくい作品。



負けるな日本

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image1618.png公開年:2008年 
公開国:アメリカ
時 間:92分
監 督:ニコラス・ファクラー
出 演:マーティン・ランドー、エレン・バースティン、アダム・スコット、エリザベス・バンクス 他
ノミネート:【2010年/第26回インディペンデント・スピリット賞】新人脚本賞(ニコラス・ファクラー)
コピー:私を忘れてしまった夫 もう一度あなたに恋をする


孤独な毎日を送るスーパー勤務の老人・ロバート。ある日、仕事から帰宅すると、見ず知らずの女性が家の中に。メアリーと名乗るその女性は、最近向かいの家に引っ越してきたといい、ドアが開いていて心配だったから勝手に上がり込んだと釈明する。あまりのことに驚くロバートだったが、思いかけずメアリーに一目惚れしてしまう。そして、そのメアリーからデートに誘われると、今まで女性と付き合ったことがないロバートはみるみる舞い上がってしまい、スーパーのオーナーや同僚たちにアドバイスを求める始末。その甲斐もあってか、2人の交際は順調に進み、みるみる距離は縮まっていくが…というストーリー。

何も知らずに観ることをお薦めする。どんな映画かな?なんて興味を持ったからってネットで内容を調べちゃいけない。直感を信じて、レンタルビデオ屋で手に取ったら、迷わず観始めよう。

老いらくの恋。老人だって恋愛するよね…、そんな微笑ましい展開からスタートする。高齢化社会の今、こんな映画もいいかもね…、小汚いジジィが何やってんだか…、でも自分もいずれ通る道だな…、なんて色々思いながら観ていた。
その進み具合は中学生の恋愛のようにノロノロ。
さすがにその恋愛模様だけで、総時間の半分が経過してしまい、とてもとてもこの恋愛の先に何かがあるとは思えなくなったところで、もしや?!と気付く。これ、サスペンスみたいなもんだよね。
じゃあ、この邦題もコピーもダメだよ。ヒントになっちゃってるじゃん。日本の配給会社、最低ー。

もう、これ以上話しちゃうと、弊害があるので言わないけれど、ズバっと割り切ってミスリードにここまで徹する作品は、そうそう無いと思うので、軽くお薦めする。

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image1632.png公開年:2010年 
公開国:アメリカ
時 間:140分
監 督:ライアン・マーフィー 
出 演:ジュリア・ロバーツ、ハビエル・バルデム、ジェームズ・フランコ、リチャード・ジェンキンス、ヴィオラ・デイヴィス、ビリー・クラダップ 他





ニューヨークでライターをしているリズは、多忙ながらも平穏な結婚生活を営み、幸せな人生を送っているように見えた。しかし、彼女の中には常に何か満たされていないという思いが募っており、とうとう離婚を決意するまでに。離婚調停のさなかに出会った年下の男とも長続きせず、そんな自分の恋愛依存体質にうんざりしてしまう。そこで彼女は自分を変えようと思い立ち、思い切って仕事とも男とも一旦距離を置いて、かねてから行きたいと考えていたイタリア、インド、バリ島を1年で巡る旅に出るのだった…というストーリー。

まあ、都市生活や分業化が進んだ社会になれば、バランスの悪い人間の方が重宝される…どころか、むしろバランスの悪い人間じゃないと生き残っていけないくらい。だから世の中は、モラトリアムな人間や、理想という名の屁理屈にまみれた未熟人間で溢れかえっている。何かが違う!と、その何かが何なのかわかりもしないくせに、むずがゆさにただ理屈をつける。多分、私もその部類の人間。
リズの友人だって一見まともに見えるけど、もっともらしいこと言ってるようで、けっこう幼稚だし、リズが八方塞がりになるのも何となく理解できる。むしろDNAの叫びを素直に受け取っているリズの感性のほうが正常なのかもしれない。

でも、彼女の感じてることはわかるなぁ…と思うと同時に、くだらねえ…という思いが共存するのも確か。大抵の人は折り合いを付けて生きてると思うけど、リズはそうしないでズバっとぶっちきる。その行動力を羨ましいと思う反面、それも1年働かずに暮らせるだけの蓄えがあればこそだよね…と、その非現実っぷりにうんざりしかける。でも、そういううんざりを覆すくらい、イタリアやインドでのできごとが楽しそうに映るのだ。

そりゃ、自分探しの旅とかいって、思いっきりそんな生活ができりゃ、そりゃ楽しいさぁ…なんてイヤミを言う暇がないほど、羨ましいなぁ…愉しそうだなぁ…ってシーンの連続。こちとら男性だけど、リズと一緒になって、日常を忘れられそう。SFやアニメなんかとは種類の違う非現実感が実に心地よい。本作を観て、私も行こう!って思った独身女性は多いかもしれない。
そんな感じだから、私にとって、最後の恋愛の結末なんか正直どうでもよかった。彼女がどういう決断をしようと、どんな答えを見つけようと、この映画の面白さとは無関係。ジュリア・ロバーツの見た目の劣化っぷりのおかげで、彼女に対してハートマークを抱いたり、相手の男性を特に羨ましいと思ったりすることはないので、ある意味心を乱すことなく異国の雰囲気が愉しめる。

“食べて”と“祈って”の部分だけで、大人の現実逃避ムービーとしては一流だと思う。女性向けの恋愛映画だという先入観は捨てて、男性にも軽くお薦めしたい。
#ちょっと、サントラが欲しくなる作品かも。




負けるな日本

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image0378.png公開年:2005年 
公開国:イギリス、南アフリカ
時 間:95分
監 督:ギャヴィン・フッド
出 演:プレスリー・チュエニヤハエ、テリー・フェト、ケネス・ンコースィ、モツスィ・マッハーノ、ゼンゾ・ンゴーベ、ZOLA、ジェリー・モフケン、イアン・ロバーツ 他
受 賞:【2005年/第78回アカデミー賞】外国語映画賞
コピー:拳銃を持つその手で、小さな命を拾った。



南アフリカ、ヨハネスブルクの黒人スラム街に、ツォツィ(チンピラ)と呼ばれる青年がいた。彼と仲間たちは強盗を繰り返し、殺人すら厭わない。そんなある日、ツォツィは裕福な家の前で高級車から出てきた女性を発見すると、銃で撃ち車を奪う。逃走するも後部座席に赤ん坊がいるのに気付き、そのまま車を乗り捨て置き去りにしようとしたが、赤ん坊の泣き声を聞くと思い留まり、抱き上げ…というストーリー。

まともな家庭環境で育たず、まともな教育もうけていない青年が、生き残るために身につけたのは、他者から奪うということ。喰いたくなったら襲う…、彼の行動は動物そのもの。人から社会性を奪うと動物になるというのを、そのまま体言している。

しかし、赤ん坊に触れてからの彼は、この世には無条件に守られるべきものが存在し、そして自分もそうだったということに、うっすら気付きはじめる。彼の心の中のロウソクに小さな灯火がついた瞬間。だけど、狂犬は所詮狂犬。その灯火はいつ消えてもおかしくないくらい小さく揺らぎ、黒い煙がチリチリと立ち昇る。

そんな彼の灯火は消えるのか消えないのか。そんな思いで彼を見続けるこの95分。人間性をひたすら信じたいと思う心の灯火が、あなたの心にも点るだろう。
『ルーツ』みたいなイメージのジャケットで、別の内容をイメージを予測していたんだけど、全然方向性が違った。そして単なるギャング映画でもない。何を観せたいのかが明確で的確。是非とも観るべき一本。お薦め。




 

#負けるな日本。

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image1238.png公開年:2001年 
公開国:アメリカ
時 間:137分
監 督:ロバート・アルトマン
出 演:マギー・スミス、マイケル・ガンボン、クリスティン・スコット・トーマス、ボブ・バラバン、カミーラ・ラザフォード、チャールズ・ダンス、ジェラルディン・ソマーヴィル、トム・ホランダー、ナターシャ・ワイトマン、ジェレミー・ノーサム、ジェームズ・ウィルビー、クローディー・ブレイクリー、ライアン・フィリップ、トレント・フォード、スティーヴン・フライ、ケリー・マクドナルド、クライヴ・オーウェン、ヘレン・ミレン、アイリーン・アトキンス、エミリー・ワトソン、アラン・ベイツ、デレク・ジャコビ、リチャード・E・グラント 他
受 賞:【2001年/第74回アカデミー賞】脚本賞(ジュリアン・フェロウズ)
【2001年/第36回アカデミー賞】助演女優賞(ヘレン・ミレン)、監督賞(ロバート・アルトマン)、脚本賞(ジュリアン・フェロウズ)
【2001年/第68回NY批評家協会賞】助演女優賞(ヘレン・ミレン)、監督賞(ロバート・アルトマン)、脚本賞(ジュリアン・フェロウズ)
【2001年/第59回ゴールデン・グローブ】監督賞(ロバート・アルトマン)
【2001年/第55回英国アカデミー賞】衣装デザイン賞、英国作品賞[アレキサンダー・コルダ賞]
【2001年/第7回放送映画批評家協会賞】アンサンブル演技賞
コピー:お茶は4時、ディナーは8時、真夜中には殺人を…

イギリス郊外にあるゴスフォード・パークという屋敷で、主のウィリアム卿とシルヴィア夫人によるパーティが催される。来賓客の優雅さとは対照的に、メイドや召使たちは多忙を極めるが、彼らの間では主人たちの噂話の華が咲く。2日目の晩餐の席で、客の一人であるアメリカ人映画プロデューサーが、この屋敷を舞台にした殺人事件の映画を作る構想を語り始めると、その夜、実際にウィリアム卿が殺される事件が発生してしまう…というストーリー。

舞台は第一次世界大戦直後とのことだが、第二次大戦があればこその“第一次”なのに、“第一次大戦で儲けた”云々という字幕が変。これだけじゃなく、字幕の和訳に気合が入っていない感じがして、ああ英語が解ればなぁ…と、端々で思わされた。

さすが巨匠アルトマン!って言ってあげたいところなんだけど、次の二つの点で引っかかってしまって、どうも乗り切れなかった。
一点目。まあ、びっくりするぐらい展開がノロノロで、1時間以上ただただ宴会のに向けて準備が進むだけで、何も展開しないといってもよい。不安になるは眠くなるはでアルトマンを信じ切れない私がそこにいた(笑)。
二点目。なぜか、横溝正史の金田一耕助シリーズに見えてしまった。①戦後、②古い因習に縛られた地方の屋敷、③血縁がらみの殺人と犯人探し。名探偵が登場しなくて、おどろおどろしい隠ぺい工作も無いけど、プロットは同じに見えちゃった(等々力警部はいるけど)。

金田一耕助の出ない金田一耕助シリーズって…って考えちゃったらそりゃあ愉しめないわな。でも、アルトマンの意図としては、犯人は誰だなんてことはどうでも良くて、本当はこれをサスペンスとして観ちゃいけないんだと思う。
社会が変革を迎えつつある中で、前時代的な階級や差別感覚を引きずる人々をシニカルな目線で表現したシブい映画なんだと思う。でも、映画通ぶって褒めるのもちょっとなぁ。シブいことはシブいんだろうけど、娯楽作品としては三流と言わざるを得ないかな。

ある意味、奇作だと思う。サスペンスだと思って見ないってのが、本作を愉しむコツ。特段、お薦めはしないけど。

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image1551.png公開年:2007年 
公開国:アメリカ
時 間:85分
監 督:ジェームズ・C・ストラウス
出 演:ジョン・キューザック、シェラン・オキーフ、グレイシー・ベドナルジク、アレッサンドロ・ニヴォラ、マリサ・トメイ、メアリー・ケイ・プレイス 他 他
ノミネート: 【2007年/第65回ゴールデン・グローブ】音楽賞(クリント・イーストウッド)、歌曲賞(詞:キャロル・ベイヤー・セイガー、曲:クリント・イーストウッド“Grace Is Gone”)
【2007年/第13回放送映画批評家協会賞】音楽賞(クリント・イーストウッド)
コピー: 笑うとき 目覚めるとき 眠るとき 海を眺めるとき 必ずママを思い出します
イラクから突然届いた母の戦死。悲嘆に暮れる父親が、娘に真実を告げる時を迎える

シカゴのホームセンターで働くスタンレーは、妻グレイスと2歳の長女ハイディ、8歳の次女ドーンの四人家族だが、軍人である妻は現在イラクに出征中。しかし、妻グレイスの戦死の報が伝えられる。妻の死を受け止められないスタンレーは、どうしても2人の娘にその事実を伝えることができない。とりあえず外出しようと娘達を食事に連れ出すが、突然、かねてからドーンが行きたがっていたフロリダの遊園地を目指して家族旅行を始めてしまう…というストーリー。

家族を喪失する悲しさ、現実に向き合うことの恐怖、死を受け止めるだけでなく受け止めさせることへのとまどい。大人だって子供だって、人の死や人生の岐路の前では、同じような子羊だ。そのような、けっして人格的に成熟しているとは言いがたい父親をジョン・キューザックが好演している。
加えて反戦映画でもあり、それらが父娘のロードムービーとして展開される。いろいろな要素が重層的に織り成されており、ものすごくシンプルな内容のはずなんだけど、なかなか侮れない作品。あらすじだけ読んでものすごく重い内容を予測していたのだが、そうでもなかった点にも好感が持てる。

盛りだくさんなのは良いが、個々の要素があまり強く主張していないのも事実。特にこの反戦メッセージ部分がサラっとしている点を、踏み込みが甘いと捉えるか、両方をバランスよく描いたと感じるかで、印象は異なるだろう。
私も、受け止めるしかないツラさとか、政府批判が家族のアイデンティティ喪失に繋がってしまう矛盾とか、そういう反戦部分にもっと切り込んでもよいかな…と思いながらみていたのだが、かといってどちらかに倒してしまうと、絶妙な味のバランスが崩れてしまうような気もして判断にこまった。

まあ、丸投げしちゃうようで申し訳ないのだが、そのあたりの評価はそれぞれの判断におまかせということで(本当に人によって重きを置くポイントがかなり異なると思うので)。とりあえずお薦め。及第点越えは保証する。

#最後の無音状態は、ベタベタな演出ながら効果抜群で、『秋深き』のスタッフ陣の首根っこを掴んで見せたい気分になった。

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クボタカユキ
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映画(DVD)鑑賞・特撮フィギュア(食玩/ガシャポン)集め
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一日一シネマ。読んだら拍手ボタンを押してくだされ。
出張とか入ると、投稿は遅れてしまいますわ。
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