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image1028.png公開年:1994年 
公開国:アメリカ
時 間:142分
監 督:ロバート・ゼメキス
出 演:トム・ハンクス、サリー・フィールド、ロビン・ライト、ゲイリー・シニーズ、ミケルティ・ウィリアムソン、マイケル・コナー・ハンフリーズ、ハンナ・R・ホール、ハーレイ・ジョエル・オスメント、レベッカ・ウィリアムズ、サム・アンダーソン 他
受 賞:【1994年/第67回アカデミー賞】作品賞、主演男優賞(トム・ハンクス)、監督賞(ロバート・ゼメキス)、脚色賞(エリック・ロス)、視覚効果賞(Ken Ralston、George Murphy、Stephen Rosenbaum、Allen Hall)
コピー:人生はチョコレートの箱、開けてみるまで分からない

アラバマに住むフォレスト・ガンプは、足の矯正機を付けた知能指数の低い少年。母親はフォレストを普通の子供と同じ教育を受けさせたいと考え公立小学校に入学させるが、同級生にいじめられる続ける。そんなフォレストと唯一仲良くするのはジェニーだけ。そんなジェニーも性的虐待を繰り返す父の元で暮らす子供だった。ある日、同級生から石を投げつけられたフォレスト。ジェニーの「走って!」の声に従うと、矯正機をバラバラにしながらも目にも見えないほどの走りを見せる。その後、フォレストはその脚力のおかげで、アメリカの歴史を彩る様々な場面に携わっていく…というストーリー。

あらすじをまとめるのが難しいくらい、盛りだくさんな内容。もう10回くらい観ている。もちろんDVDは購入済。無人島に1本だけ映画を持っていっていいと言われたら、本作を持っていくくらい好きなのである。今回は、録画した『チャンス』を観ていたら、本作と同じテーマだなぁ…と気づいて、並行に観始めたら本作のほうが、先に観終わっちゃったのだ。

今日はジェニーとの結婚式のあたりで涙してしまった(昼休みに観ていたのだが、不覚にも会社で落涙)。観るたびに落涙する場面は微妙に異なるけれど、観る側が年齢を重ねても、その時々で心が動く場面がどこかにあるというのは、すばらしい。ただ、私、いまだに「人生はチョコレートの箱。食べてみるまでわからない」の意味がピンときていないかも。私、多分アホなんだと思う。けど、まだまだこの先、この映画を楽しむ余白があるってことで、逆にうれしかったりするかな。

フォレストは、どんなことを言われても、どんな苦境に立っても、まず受け止める(本人の意思はどうかは別にして)。これは、歴史とか国というものに対して、否定でも肯定でもなく、事件の奔流に居ながら俯瞰で眺めているような感じ。とりあえずあるがままを見るという姿勢が大事ってことを、無言で表しているね。時代々々に、こうある“べき”と主張する人たちが登場するけれど、すべてが時代の藻屑と消えていく。一貫して残るのは、“愛がどういうものか知っている”ガンプの心。単純に“愛”の素晴らしさを賛美するつもりはないけれど、人間社会なんて、所詮、周りの人たちに施すことで成立している。こうある“べき”っていうのもいいけど、隣人への愛情を欠いてしまったら、ご立派な“べき”論なんて悪でしかないということか。身につまされる思い。

原作を読んだ方はおわかりだろうが、原作はもっともっと荒唐無稽。そのまま映像化してしまうと興ざめすること必至だったものを、この着地点に持ってきたのも見事(たぶん、お猿さんは出したかったのではないかと思うのだが、それを出すと宇宙にいったり無人島にいったりしなくちゃいけないので、泣く泣く排除したことだろう)。でも、原作は原作で味のあるいい作品なので、映画を観ていいと思った人は、読んでみてはいかがだろう。昨今、ブックオフで100円で売ってるはず。

エンドロールの音楽をそのまま聴き続けていたいと思う映画は本作だけである。未見に人は少ないだろうけど、しばらく観ていない人もどうぞ。あの時とは違う感覚になること必至です。

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image1439.png公開年:2007年
公開国:アメリカ
時 間:104分
監 督:トム・マッカーシー
出 演:リチャード・ジェンキンス、ヒアム・アッバス、ハーズ・スレイマン、ダナイ・グリラ、マリアン・セルデス、マギー・ムーア、マイケル・カンプステイ、リチャード・カインド、アミール・アリソン 他
受 賞:【2008年/第24回インディペンデント・スピリット賞】監督賞(トーマス・マッカーシー)
コピー:扉を閉ざしたニューヨーク──移民の青年との出会いと“ジャンベ”の響きが孤独な大学教授の心の扉を開く。

62歳の経済学教授ウォルターは、妻を失ってから心を閉ざし孤独な日々を送っている。ある日、学会出席のためニューヨークへ。しばらく訪れていなかった別宅アパートを訪れると、なぜか見ず知らずの若いカップルがそこに。シリア出身のタレクとセネガル出身のゼイナブは、この時はじめて詐欺に遭ったこと知ったが、永住許可証を持たないために警察沙汰になれば強制送還されるため、素直に去っていく。しかし、あてのない2人のことが気になったウォルターは、しばらくの間泊めることに。徐々に交流は深まり、ジャンベ奏者のタレクからレッスンしてもらい、その楽しさを知ったウォルターは、再び生きる喜びを見出しはじめるのだが…というストーリー。

“扉”っていうのは、ウォルターの閉じた心のことをさしているのかな。むしろ、扉を叩いてやってきたのは、(自分のアパートとはいえ)ウォルターのほうだから、“扉をたたく人”はウォルターのことも指している…みたいなダブルミーニングなのかなとか考えたけど、そうでは無いみたい。なんか星新一の“ノックの音が”を想像してしまったりして、余計な先入観が出来上がってしまった。私にはピンとこない邦題かな(悪い邦題とはいわない)。

はじめ、イヤなジジィだなと思ったんだけど、冷静に考えると彼の言っていることは変ではないし(論文の締め切りに遅れたら、よほど公的に認められるような事情でなければアウトだろうし)、妻を亡くしたり仕事への情熱を失ってしまったりで、ああいう抜け殻みたいな状態になってしまった主人公に共感できなくもない。だから、ウォルターの変化する心模様にシンクロもできて、ハートウォーミング物として、なかなか良いと思う。

で、その心の種火みたいなものを燃え上がらせたのが、“移民問題”っていう、ことなのだが、どうも、この扱いが好みではない。この映画は、ウォルターの心の変化を見せたいのか、アメリカの移民問題に一石を投じたいのか、どちらがメインなのだろうか。もちろん並存しても構わない。私は前者がメインで後者は味付け、、くらいの感じで見ていたのだが、ストーリーが進むにつれて後者に比重が置かれていく。アメリカが抱える移民関係の諸問題に着目しているのはよくわかる。でも、私はどちらかといえばハートウォーミング物を見ているつもりだったのに、社会派ドラマを押し付けられちゃった感じになっちゃって、どうも後味がよろしくない。大体にして、この移民関係のくだりは説教くさいし、ストレートすぎるのだ。

もしかすると、私って人非人なのかもしれない。不法滞在者側に感情移入してしまいそうになるけど、きちんと手続きを踏まない(踏まなかった)彼らのだらしなさにどうも目が言ってしまう。差し伸べた手を払うようなことをしておいて、後から「なんでこんな目にあうんだ」って文句をいわれるのが、私はすごく嫌いなのだ。すべてがそうとはいわないけれど、「いままでだらしなくしていても大丈夫だったのに、なんで今は、だらしなくしてちゃいけないんだ!」って、言われてるような気がして、ちょっと引っかかる。
映画なんだから、同じテーマを扱ったとしても、もうちょっとカタルシスを感じさせてくれるなり、そうでなくてもいい雰囲気のせつなさを感じさせてくれるとか、もうちょっと観客を喜ばしてくれてほしい、、、とも思うし。まあ、私はそうだったというだけで、これを理由にダメな映画と断罪する気はない。おそらく一般的には良作と評価されると思うし、莫大な製作費の作品がある一方で、こういう低予算なミニシアター向けも存在する、アメリカ映画の幅も感じられる。

#3拍子?1・3・4泊をたたいてるだけだよね?
 

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image0271.png公開年:2003年 
公開国:フランス、ベルギー
時 間:102分
監 督:ジュリー・ベルトゥチェリ
出 演:エステル・ゴランタン、ニノ・ホマスリゼ、ディナーラ・ドルカーロワ、テムール・カランダーゼ、ルスダン・ボルクヴァーゼ 他
受 賞:【2003年/第29回セザール賞】新人監督作品賞(ジュリー・ベルトゥチェリ)
コピー:あなたのことが大切で、本当のことが言えなかった。



グルジアに暮らすおばあちゃんのエカと母マリーナ、そして孫娘のアダ。小さい衝突はあるが、貧しいながらもそれなりに仲良く暮らす毎日。おばあちゃん楽しみは、パリで働く息子オタールからの手紙だったが、ある日、オタールが事故死したとの訃報が届く。マリーナとアダはおばあちゃんを落胆させないために、手紙を偽造し続けたが、次第に様子がおかしさに気づき始めたおばあちゃんは、独断でパリ行きを決意して…というストーリー。

2度目の鑑賞なのだが、過去に私はものすごく高い評価をしていた。しかし、何が良くて評価したのかメモが残っておらず、どうしても思いだせなかったので、改めて。
娘と孫がつく嘘を中心に展開するストーリーは、特記するほど楽しくもほほえましくもなく、凡庸だったが、いよいよパリへ…という流れで、思い出した。この映画の素晴らしさを。
ネタバレなので、みなまで言わないが、“やさしい嘘”ってのは、娘と孫がついた嘘だけじゃないんだよね。うん。その嘘を聞いていると、とてもとてもきゅーんとなってくる。グルジア国内で展開される内容だけなら、たいしたことのない映画なんだろうけど、パリでの内容がこの映画のすべてである。

最後の孫の行動は、自由への旅立ちといえるけれど、母親からみれば、かつてエカおばあちゃんがオタールを見送ったのと同じ思いを繰り返しているわけで、社会主義世界の“永遠の昨日”が表現されているともいえる。この対比もせつない。
アダ役の人は、グルジアにいるときは、やぼったくおばさんみたいでとても若者に見えないのだが、空港での最後の笑顔はものすごく若々しく素敵に映っている。この対比のために、ずっとグルジアではやぼったい感じにしていたのだろうか。

世の中にはついていい嘘があるんだね。いい邦題である(めずらしく邦題のほうがいいケース)。DVDパッケージもやぼったいんだけど、それでスルーしないで、是非是非見てほしい。強くお薦めする。

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image1420.png公開年:1993年 
公開国:アメリカ
時 間:144分  
監 督:ブライアン・デ・パルマ
出 演:アル・パチーノ、ショーン・ペン、ペネロープ・アン・ミラー、ジョン・レグイザモ、イングリッド・ロジャース、ルイス・ガスマン、ヴィゴ・モーテンセン、エイドリアン・パスダー、ジョン・アグスティン・オーティス、ジョン・セダ、ジェームズ・レブホーン、ジョセフ・シラヴォ 他
ノミネート:【1993年/第51回ゴールデン・グローブ】助演男優賞(ショーン・ペン)、助演女優賞(ペネロープ・アン・ミラー)

麻薬の売買で街を牛耳っていたカリートは長く服役していたが、弁護士のクレインフェルドの手助けによって出所する。しかし、かつては裏の世界にもあった仁義は姿を消し、街は殺伐とした様子に変貌しており、ギャングの世界には嫌気がさしていた。そして、待っていてくれた恋人との愛に生きるため、カリートは街からは出ていくことを心に決めていたが、男としてクレインフェルドに対する借りを返さなければならず…というストーリー。

『ミルク』からのショーンペンつながりでレンタルしてみた。本作にも、私の知らないショーン・ペンがいましたな。ジャンキーの悪徳弁護士というアクの強い役を見事に演じきっている。役に徹するのと、他の役者よりも目立つということの、二つがうまいこと両立できており、実に印象深い。

いくつもギャング映画を観てきて、その後の1本ということならば、足を洗おうとしても洗い切れないギャングの悲しい性みたいな哀愁を楽しめるのかもしれない。しかし、私は、あまりギャング映画の数は観ていなし、造詣も深くないので、ちょっとメリハリがなく単調な作品に思えてしまった(上映時間もなかなか長くて、ダラダラ感が増幅しているような)。純粋に男気が臭い立つようなギャング映画を期待しているならば、裏切られてしまうかも。
カリートが以前に街を牛耳っていた時代のようすがいまいち表現されていないので、その対比としての、現在のちまちま小金を貯めるために商売している様子が、哀愁としてして映らないのかもしれない。

実は、デ・パルマ作品であることを知らずに観て、後から知ったのだが、まったく気付かないくらいデ・パルマらしさはない。ラストの追いかけっこの部分は、思い返せばそういえばそうかも…くらいの感じ。それほどデ・パルマに詳しいわけでないんだけれど、それにしても特徴がなさ過ぎる作品かなと。ちょっとアル・パチーノとショーン・ペンの渋い演技に乗っかりすぎですな。ギャング映画好きでかつ未見ならば楽しめるかもしれないが、その他の人にはお薦めしない。

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image0580.png公開年:1997年 
公開国:アメリカ
時 間:155分  
監 督:クエンティン・タランティーノ
出 演:パム・グリア、サミュエル・L・ジャクソン、ロバート・フォスター、ブリジット・フォンダ、マイケル・キートン、ロバート・デ・ニーロ、マイケル・ボーウェン、クリス・タッカー、リサ・ゲイ・ハミルトン、トム・“タイニー”・リスター・Jr、ハティ・ウィンストン、デニース・クロスビー、シド・ヘイグ 他
受 賞:【1998年/第48回ベルリン国際映画祭】男優賞(サミュエル・L・ジャクソン)
コピー:すべてのカタは彼女がツケる。

三流航空会社のスチュワーデス・ジャッキーは、密売人オデールの金をメキシコからアメリカに運ぶ副業をしていたが、オデールを狙う捜査官レイに逮捕される。レイはオデールの逮捕に協力するようジャッキーに強要するが、オデールが証拠隠滅のためにジャッキーを消そうとしていることを知り、レイとオデールの両方を騙すことを思いつくが…というストーリー。

多分、本作を観るのは7度目くらいだと思う。とても大好き。
タランティーノ作品の中では駄作だという人がいるが、何をいってるんだか。観るたびに、どんどん面白くなる味のある作品。むしろ、タランティーノ作品の中では、飛びぬけて一番である。
私は、ダメ人間の登場する映画が好きなんだと思う。でも、ただダメ人間だったらなんでもいいのかっていうと違う。うまく言い表せないけど『ペイバック』『リーサル・ウェポン』などが大好き。なんとなく、ラインが判るかな。

美しい人間の顔を見て「整ってるね~」なんていうけれど、私はその表現は間違ってると思う。どんな人間でも“球体”を美しいと感じると思うが、そこから如何にいい感じでくずれてるかなのだ。だから「いい崩れ方してるね~」が正しいのだ(変かな?)。本作の登場人物はみんな“いい崩れ方”をしている。観れば観るほどたまらなくなるのだ(もちろんDVDは購入しているよ)。

これは紛れもなく映画らしい映画。難点を一つだけ言えば、上映時間をあと12、3分カットできれば最高である。タランティーノのことなので、色々な映画のオマージュだったり、好きなシーンを模したりしているに違いなのだが、そういう部分を探す気持ちなんか吹っ飛んでしまって、いつも観入ってしまうのだ。もう13年も前の作品なんて。今後、どんどん評価が高まっていく作品だと思うので、強くお薦めする。

#サントラもステキである。なんなら、映画を流しっぱなしにしていてもいいくらい。

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image0546.png公開年:2001年 
公開国:アメリカ
時 間:110分  
監 督:ウェス・アンダーソン
出 演:ジーン・ハックマン、アンジェリカ・ヒューストン、ベン・スティラー、グウィネス・パルトロー、ルーク・ウィルソン、オーウェン・ウィルソン、ダニー・グローヴァー、ビル・マーレイ、シーモア・カッセル、クマール・パラーナ、アレック・ボールドウィン 他
受 賞:【2001年/第36回全米批評家協会賞】主演男優賞(ジーン・ハックマン)
【2001年/第59回ゴールデン・グローブ】男優賞[コメディ/ミュージカル](ジーン・ハックマン)
コピー:テネンバウム家、天才ファミリー。名前だけが、彼らのつながり。求めるものは、心のつながり。

テネンバウム家の長男のチャスは10代で卓越した不動産売の才能で財を成し、長女マーゴは12歳で劇作家デビューし、次男リッチーはテニスプレイヤーとして将来を嘱望されていた。しかし、父ロイヤルの愚かな行動によって家族は崩壊。その後、成人したチャスは事故で妻を失い、男手で息子たちを子育て中、長女マーゴは年上男性と愛のない結構をして無気力な暮らしを続け、リッチーは突然テニス界を引退し放浪。かつて天才兄弟を騒がれた彼らは見る影もない。そんな中、母エセルが会計士シャーマンからプロポーズされたことを知り、突然に家族の絆を取り戻したいと思い始めたロイヤルは一計を案じるのだったが…というストーリー。

今回で3度目の鑑賞。あまり意識はしていなかったけれど、私にとって、定期的に観返したくなる作品のようである。『死ぬまでに観たい映画1001本』という書籍の紹介文を読んだのが、本作を観るきっかけ。本作どころかウェス・アンダーソンという監督のこともまったく知らなかった(勉強不足)。パッとみて、異様にキャストは豪華である。

ネット上の色々な感想を読んでみると、高い評価をする人と、まったくピンとこない人と、真っ二つに別れる作品であることがわかる。「いやあおもしろかったぁ」とヘタに紹介すると、“はあ?どこが?あんた映画のセンスないんちゃう?”と思われかねない、ある意味危険な作品といえる。

高い評価をしている人が、本当の所どう思っているのかは知る由もないのだが、私にとって本作の魅力は、“私にはどうがんばっても書けそうにない”という点である。世の中に感動・感心する作品は多々あるが、死ぬ気で搾り出せば、なんとか似たようなレベルまで到達できそうな気がする(実際にどうかは別として)。しかし、本作については、まさに“その発想は無かったわ…”的な感じで、どう逆立ちしても書けそうに無い。あれよあれよという間に降参させられてしまった一本なのだ。

“俺のセンスいいでしょ”みたいに勘違いした作品だ…とか、予告とちがって期待はずれだ…とか、笑えも感動もしない…とか、そういう意見が散見されるのだが、そういう次元ではないんだよなぁ…。放蕩者の親父が失った家族の絆を取り戻そうとする…、人生を振り返ってみて、本当に安らぎを得られるものというのは、案外単純で見落とされがちなくらい身近に存在するものなのだ…なんていう筋書きはありがちだと思う。でも、それをどう調理していくのか…。そのスパイスや素材のカットの仕方が、ちょっと私の脳内センスには無いものなのだ。

私は、誰がなんと言おうと、強く薦める。わかる人にしかわからない珍味であることだけは、ご理解をしていただくけれども。その後の『ライフ・アクアティック』『ダージリン急行』もとても楽しめたが、脳が感じた電流の強さは本作が一番上である。

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image0357.png公開年:2004年 
公開国:アメリカ、コロンビア
時 間:101分  
監 督:ジョシュア・マースト
出 演:カタリーナ・サンディノ・モレノ、イェニー・パオラ・ベガ、ギリエド・ロペス、ホン・アレックス・トロ、パトリシア・ラエ、ギリード・ロペス、ジョン・アレックス・トロ 他
受 賞:【2004年/第54回ベルリン国際映画祭】銀熊賞:女優賞(カタリーナ・サンディノ・モレノ)、アルフレード・バウアー賞(ジョシュア・マーストン)
【2004年/第71回NY批評家協会賞】新人監督賞(ジョシュア・マーストン)
【2004年/第30回LA批評家協会賞】ニュー・ジェネレーション賞(ジョシュア・マーストン、カタリーナ・サンディノ・モレノ)
【2004年/第20回インディペンデント・スピリット賞】主演女優賞(カタリーナ・サンディノ・モレノ)、新人脚本賞(ジョシュア・マーストン)
コピー:運命はわたしが決めるのを待っている。

コロンビアの田舎町のバラ農園で働く17歳のマリア。母や幼児を抱えた姉と暮らすが、一家はマリアの収入に頼っている。ある日、上司との些細なトラブルで仕事を止め、おまけに愛してもいないボーイフレンドの子を妊娠してしまう。追い詰められた彼女は、最大5000ドルという報酬に惹かれ、麻薬を詰めた小さなゴム袋を大量に飲み込み密輸する運び屋の仕事を引き受けてしまう…というストーリー。

(いきなりネタバレ注意)
運び屋としてアメリカに行き、組織から逃げるまでは、再現ドラマみたいで、こりゃだめだなと思っていた。その段階で残り38分くらいだもの。誤解されるといけないので一応フォローしておくと、スリルのある質のいい再現ドラマだとは思う。けれど、こちらは映画のつもりで観ているので、それほど好意的には観てあげられない。
ただ、その残りの時間で、女性の自立や、家族の問題、はたまたコロンビアと米国と貧富の差や不法就労問題まで、ぎゅっと詰め込んだ上に、それこそ“ひと粒”の感動を加えてくれている。とりあえず、数々の受賞歴の理由は、理解できる。納得はしないけれど。

なぜ納得しないか。
この主演女優は、ヒラリー・スワンクやケイト・ウィンスレットと並んで米アカデミー主演女優賞候補になったわけだが、そんなに評価されるほどか。あまり感情が表に出ていないキャラ設定なのだが、良く言えば抑え気味でかつ緊張感が出ている演技と言えるが、これが演技なのか偶然なのかよくわからない。デビュー作だし、可能性は感じる。だが、いつから米アカデミー賞は、可能性だけで主演女優賞候補に選出されるようになったのか?まあ、偶然だろうがなんだろうが良ければよいと評価をすることには、何一つ問題はないのだが、私には、根本的にそれほどいい演技には思えなかったのだ。本当かどうかは知らないが、実際に同じような粒をいくつか飲み込んで演技したとも聞く。だから、それって演技ができないから、苦痛状態をつくったってことだよね。しれではやっぱり、納得できないのだが。容姿がそこそこ綺麗なのと、政治的な理由が絡み合っただけでは?という穿った見方をしてしまう。
ただ、デビュー作をみただけで評価するのはフェアではない。『チェ 39歳 別れの手紙』『チェ 28歳の革命』にもでているようなので、クレームをつけた以上、責任をもってそれらを観てから、もう一度判断させていただく。

主演女優だけでなく、監督も初監督作であることを考えると、同様に可能性を感じるが、やはり、はじめに言った時間配分の悪さに、いかんともし難い作品に対する制御力の無さを感じてしまう(脚本も自分で書いているからね。もうちょっとなんとかできる立場だっただろう)。主演女優よりも監督に対する、今後の期待度は低い。

強く薦めはしないが、色々文句は言ったものの及第点は超えている良作であることは間違いない。組織か逃げるまでに「つまらん」とあきらめないで、観始めたら最後まで。

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image0572.png公開年:2002年 
公開国:アメリカ
時 間:117分  
監 督:アンドリュー・ニコル
出 演:アル・パチーノ、レイチェル・ロバーツ、ウィノナ・ライダー、キャサリン・キーナー、エヴァン・レイチェル・ウッド、プルイット・テイラー・ヴィンス、ジェイ・モーア、ジェイソン・シュワルツマン、イライアス・コティーズ、レベッカ・ローミン=ステイモス、トニー・クレイン 他
コピー:世界が熱狂する完全無欠の女優──プログラム 完了!?


過去に2度オスカーにノミネートされた映画監督タランスキーだったが、作品が立て続けに失敗し、今は落ち目で見る影も無い。再起を賭けた新作でもワガママ女優に降板され、映画会社の経営者で元妻エレインに解雇されてしまう。しかし、そんな彼に突然、謎の男ハンクが現われ、ハンクが開発した女優創造コンピュータソフトを託される。それを使ってCG女優“シモーヌ”を創り出し映画を撮り上げると、とてつもない大ヒットになり…というストーリー。

『ワグ・ザ・ドッグ/ウワサの真相』と同じような話(というか同じ)。CG女優が一人歩きして大ブームになるというアイデア自体は、さほどユニークとは思えないが、話が波に乗るまでの導入部は決して悪くない。あとは、その坂の上に置いた岩をどうやってウマイこと転がすかってことなのだが…。

容易に転がせそうなのに、全然うまく転がってないように思うのは私だけか?おもしろいと評価する人が多いのだが、本当にそうか?広所恐怖症とか引きこもりだとかパソコンオタクだとか、その言い訳通りにエスカレートしていくのかと思ったら、中継映像は屋外?さらにコンサート?いきなり矛盾するが、だれも指摘せず。細微をないがしろにしたまま、発散するだけ発散させている。海に沈めたケースの中のディスクが無くなっているが、空いた形跡がないということは誰かが盗んだのか?刑事事件になっているのに、被疑者の社会保障番号も調べないのか?作り話なんだから重箱の隅をつつくなんてオトナゲ無いっていうかもしれないが、いくらなんでも穴がありすぎじゃないだろうか。余計としか思えないオチで、さらにダメ押しされる。

なにやら、実社会への問題提起を多分に含めているような気もするのだが、私には伝わってこない。決して、ワタシの勘が悪いわけではなと思う。この監督は、要するにアイデアだけ。抜群のヒラメキなのだが、そこまでの人なのだ。その後、製作総指揮/原案をやった『ターミナル』もそんな感じだったと思う。この秀逸なヒラメキを、うまく膨らませてくれる仲間がいればねぇ。

一つ擁護しておくと、アル・パチーノの演技はとてもよい。気が狂いそうになる男をイキイキと演じている。でも、それが活きていないのだから、残念至極。期待しなければ、そこそこの時間つぶしにはなる作品なので、割り切って観るぶんには、お薦めする。

#ウィノナ・ライダーは石田あゆみのようだった。

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image0439.png公開年:2002年 
公開国:ロシア
時 間:104分  
監 督:アレクサンドル・ロゴシュキ
出 演:アンニ=クリスティーナ・ユーソ、ヴィッレ・ハーパサロ、ヴィクトル・ブィチコフ 他
コピー:犬の遠吠えが聞えたら、風に乗って戻っておいで
オーロラが降りそそぐ魔法の土地で、言葉の通じない3人が通じ合う…。ラップランドから届けられた、不思議な愛と平和の物語。



第二次世界大戦末期のラップランド地方。フィンランドは占領された土地を奪還するためにドイツと同盟を結びロシアと戦っていた。フィンランド兵のヴェイッコは反戦的態度が問題となり、ロシア軍の標的となりやすいドイツ軍服を着せられ岩に鎖で繋がれ置き去りに。一方、反体制分子との濡れ衣を着せられ逮捕されたロシア軍大尉イワンは、護送中に味方の誤爆で負傷するが、たまたま通りかかったサーミ人のアンニという女性に救われ手当てを受ける。ヴェイッコは何とか自力で岩から脱出し、アンニの小屋を訪れる。三人はお互いの言葉がわからず、会話は噛みあわないまま生活を続けるが、そのうち、戦争未亡人のアンニは2人の男に欲情してしまいおかしな状況に…というストーリー。

DVDパッケージは女性の横に二人の子供の写真。邦題からみて、フィンランド版アルプスの少女ハイジ的なノリかとおもったら、まったく違う。というか真逆じゃないか。警告しておくが子供と一緒には見れません。このスカしというか裏切りはちょっとタチが悪いな。騙しに近い。
内容はむしろ、『ノーマンズランド』に近いと感じたが、アンニという女性のキャラクターが、戦時下を扱った作品としてはユニークなので、新鮮と捉える人もいるかもしれない。

褒める人がけっこう多いので、自分の直感に不安を覚えなくも無い。要するに、ワタシ的にはイマイチだったということ。かみ合わないなりに展開する、三人の様子を“コメディ”と捉えられるか…、ワタシには無理。異なる民族同士が理解することの難しさをテーマにした社会派ドラマ?それにしては、演出の詰めが甘いし、最終的に平和への道を示唆しているとも思えない。おとぎ話のようだ…と評する人もいるんだが、最後のオチも捉えようによっては、かなり気持ち悪いでしょ(ネタバレになるのではっきりはいわないけど)。ワタシ、ちょっと想像すると吐き気がしてくるんですがね。

冥府の淵からヴェイッコを引き戻すくだりも、昔のデンマークドラマの『キングダム』が、よく言えばカオス状態、悪く言えばグダグダになったのを思い出してしまった。別にあのシーンがあっても悪いことはないんだけど、必然か?そんなに効果的か?と考えはじめると、なんか締りの無い映画に思えてきて、観る気が減退してしまった。

裸の王様的に評価してもしょうがないので、素直に言う。中途半端に気持ち悪いので、お薦めしない。

#ワタシが、フィンランドについて興味があることは、現代アートと、フン族と匈奴は同じルーツか?ということである。

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image0176.png公開年:2004年 
公開国:アメリカ
時 間:103分  
監 督:ザック・ブラフ
出 演:ザック・ブラフ、ナタリー・ポートマン、ピーター・サースガード、イアン・ホルム、ジーン・スマート、メソッド・マン、アン・ダウド、ロン・リーブマン、デニス・オヘア、マイケル・ウェストン、ジム・パーソンズ、ジャッキー・ホフマン、アレックス・バーンズ 他
受 賞:【2004年/第20回インディペンデント・スピリット賞】新人作品賞



精神安定剤を常用して感情の起伏が少ない売れない役者のアンドリューは、母の死の報せを受け、9年ぶりにニュージャージーへ帰郷。父とは昔から不仲のままで、再会した旧友たちとも距離を感じてしまう。そんな時、偶然に天真爛漫でちょっと風変わりな女サムと出会い、彼女との時間を過ごすにつれ、忘れかけていた感情を取り戻していく…というストーリー。

今時、若いのに脚本&主演なんてめずらしいなぁ、、と、思いつつも、それなりのデキで、妙に納得…というかガッカリというか。全体的な雰囲気は、先日観た『ママの遺したラヴソング』に近いけれど、面白さとしては3割減くらい。

そんな中、ナタリー・ポートマンはなかなかがんばった演技を披露してくれていて、彼女のおかげでなんとか成立しているといっていいかも。しかし、前々から書いているが、個人的にナタリー・ポートマンは好みではないうえに、主役級の二人から不必要に知性が染み出ており、役柄と合っているとはいえない。若者の成長物語を描きたいのか何なのか。若者の傷の舐めあいみたいな様子に対して、少しでも共感できればよく思えるのかもしれないが、本作の場合はさっぱり。登場人物のユニークな行動やエピソードを盛り込んだつもりかもしれないが、すべてが弾けきれておらず、不完全燃焼。日本未公開なのもさもありなん。DVDパッケージのセンスの無いことダサいこと作品の雰囲気に合っていないことといったらない。
#冒頭の飛行機事故の演出もスベっているし。そこからイヤな予感はしたんだけどね。

原題の“Garden State”の意味がわからず調べてみると、緑が多い州ってことでニュージャージーの愛称だそうだ(庭の州ってことで、“地元”って意味なのかな?と思っていたが違った)。日本未公開なのに、DVD発売にあたって、こういう邦題と付けたのだろうか。ちょっとめずらしいかも。でも、微妙にアンマッチだが。

よほど、ナタリー・ポートマンのことが好きならば楽しめるかもしれないが、そうでもない人にはお薦めしない。ラストは「なんだかなぁ」となるに決まっている。

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image1137.png公開年:2004年 
公開国:アメリカ
時 間:120分  
監 督:オリヴィエ・ダアン
出 演:スカーレット・ヨハンソン、ジョン・トラボルタ、ガブリエル・マック、デボラ・カーラ・アンガー、ガブリエル・マクト、デボラ・カーラ・アンガー、デイン・ローデス 他
ノミネート:【2004年/第62回ゴールデン・グローブ】女優賞[ドラマ](スカーレット・ヨハンソン)
コピー:新しい出会い、新しい生活。私は、ゆっくりと歩き出す


家を飛び出して怠惰な生活を送っていたパーシーのもとに、母が亡くなったと報せが。実家に戻った彼女を待ち受けていたのは、母のもとで居候をしていた、元大学文学部教授のボビーと、彼を慕う作家志望の青年ローソン。パーシーを含め3人で家を相続したと言って居座る彼らと、渋々同居を始めるパーシーだったが…というストーリー。

原題にしても邦題にしても、ちょっとでも説明してしまうとネタバレになってしまうので、書くのはやめておく。簡単にいえば、あまりにもありがちなオチだったということ。文学的なテイストで押してきていたので、“ママの遺したラヴソング”ってやつに、心揺さぶるようなメッセージ性があるのだろうと期待したのが間違いだったのか、そんなものは無かった。
観終わって振り返れば…、よくなりそうな気配をつくりつつも達しないまま、モヤモヤとラストを迎えた、タチの悪い作品だといえる。もうちょっとどうにかすれば、心に響くようなシナリオに出来そうなものなのだが…。そうしようとあがいた形跡が見えないところが、またまた残念である。

スカーレット・ヨハンソンとジョン・トラボルタの両名は、どちらかといえばご贔屓の演者なので期待をしたが(特に後者の宗教的信条など脇によけて)。残念ながら期待はずれ。両者とも本作の役にはミスマッチに思える。『パルプフィクション』や『ロスト・イン・トランスレーション』の彼らには、遠く及ばない。
スカーレット・ヨハンソンは肉感がありすぎるのと、前歯のせいでちょっと口が半開きぎみなので、アホっぽくみえてしまう。『私がクマにキレた理由』にマッチしている彼女ではなく、『ロスト・イン・トランスレーション』の雰囲気のある彼女がみたいんだけどなぁ。

駄作は駄作でも、難点が多いタイプではなく、すべてが“及ばない”タイプの駄作である。“煮え切らない”作品の極みである。もちろんお薦めしない。

#ちょっと、この監督に、再オファーするのは勇気が必要。
 

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image0062.png公開年:2005年 
公開国:アメリカ
時 間:108分  
監 督:ラッセ・ハルストレム
出 演:ジェニファー・ロペス、ロバート・レッドフォード、モーガン・フリーマン、ジョシュ・ルーカス、ダミアン・ルイス、カムリン・マンハイム、リンダ・ボイド、ベッカ・ガードナー 他





シングルマザーのジーンは、恋人の暴力に耐えかね、娘グリフを連れて、亡き夫の父アイナが経営するワイオミングの牧場へと逃げる。アイナは、熊に襲われ大怪我をした親友ミッチの世話をしながら静かに暮らしていた。息子の死を受け入れられず心を閉ざしてしまったアイナは、死の原因となったジーンを許すことが出来きずにいたが、そんな彼女の突然の訪問に加え、孫娘グリフの存在すら知らなかったため、戸惑い隠せない。仕方なくジーン母娘を住まわせるものの、ジーンとの関係はわだかまりが残ったまま。しかし、孫娘グリフがアイナーの冷たくなった心を少しずつ変えていく…というストーリー。

日本では未公開の作品。ロバート・レッドフォードにモーガン・フリーマンの出演作なのに、それでも未公開ってどんだけつまらない作品なんだろうか。ハルストレム作品は結構好きなのだが、とうとう彼の才能も枯れてしまったか?そういう興味でレンタルしてみた。

結果から言うと、これがなんで未公開なのか。とてもいい作品だと思うのだが。
確かに、強烈なエピソードは無い。驚いたり憤りを煽ったりするシーンも無い。泣けてくるような感動シーンがあるわけでも無い。他のハルストレム作品のように無残な目に合う人もでてこない。熊がらみで非日常な展開になるか?と匂わせつつ、実際にあってもおかしくないような話の領域からはみ出すことはなく、ハルストレムお得意の美しい農村風景の中、ゆっくりと話が展開していく。
でも、全然退屈ではない。さっきも書いたが、ハルストレム作品では、虐げられたり悲惨な状況の中で話が展開し、まるで泥沼で輝く光を見せてくれるようなのだが、本作ではそういう縫い針20本飲まされたみたいなような厳しい状況は無い。それにもかかわらず、キャラクター達の小さな心の動きから目が離せない。

その後、『カサノバ』『HACHI 約束の犬』とハルストレムのフィルモグラフィは続くのだが、それを考えると、本作は彼にとってのターニングポイントだったのかもしれない。

それにしても、本作を未公開とせざるを得ない状況、つまり小屋にかけてもペイしないと判断されてしまうような、日本の映画市場というのはどうなっちゃってるんだろう。あまりパッとしない作品だとしても、一昔前なら、小さな劇場で単館上映くらいしたと思う。派手だったりショッキングだったりセンセーションだったりして、子供にもわかるような内容じゃないと、買い付けすらされてもらえないのか?(受賞歴が無くても良作っていうのを見つけてきて小屋にかけることこそ、腕の見せ所だと思うのだが。)
まあ、別に今の世の中、DVDでリリースされるので、ワタシ的には困りはしないけれど、メジャーでわかりやすい作品しか劇場に乗っからないようでは、ますます映画館ビジネスは細っていくことだろう。未来は暗いですな。

DVDのパッケージも、メジャーどころの役者3人の顔を並べただけという力の入っていなさなのだが、ドンパチ・キャーキャーいう作品はちょっと小休止という人、是非観てほしい。お薦めしたい。
#アンフィニッシュ・ライフとアンフィニッシュ“ド”・ライフでは、ニュアンスがかなり違うと思う。原題のままでよかったんじゃないかなぁ。

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image0029.png公開年:2005年 
公開国:スペイン
時 間:114分  
監 督:イザベル・コイシェ
出 演:サラ・ポーリー、ティム・ロビンス、ハビエル・カマラ、エディ・マーサン、スティーヴン・マッキントッシュ、ジュリー・クリスティ、レオノール・ワトリング、ダニエル・メイズ、スヴァレ・アンケル・オウズダル、ダニー・カニンガム、ディーン・レノックス・ケリー、エマニュエル・アイドウ 他
受 賞:【2006年/第20回ゴヤ賞】作品賞、監督賞(イザベル・コイシェ)、脚本賞(イザベル・コイシェ)
コピー:彼女の名前はハンナ 友達・家族・趣味・将来の夢──すべてなし どこで生まれ、何をしていたのか? 過去のことは聴かないで

誰とも付き合わず工場で黙々と仕事をする日々を送る女性ハンナは、ある日、働き過ぎが問題となり、無理やり1ヵ月の休暇を取らされる。宛てもなく長距離バスに乗り込んだ彼女は、ひょんなことから海底油田掘削所でジョゼフという男性の看護をすることに。彼は重度の火傷を負い、一時的に視力を失っていたが、明るく振舞って彼女の名前や出身地を質問するも、ハンナは決して答えない。この油田掘削所で働いている男たちは、事情を抱えた者たちばかりで、閉ざされた空間で風変わりな男たちと生活を共にするうち、ハンナは少しずつ心を開いていくのだが…というストーリー。

昨日いったとおり、律儀にコイシェ監督の次回作をレンタルしてきた。

どうしてこの主人公はこんな感じなのかな?潔癖症?なにやら心に病でも?その謎は、徐々に断片的に匂わせるくらいかすかに見えてくるのだが、その秘密は最後の30分あたりでダムが決壊したように衝撃的に圧倒的に重い濁流が流れてくる。とても恐ろしく、痛々しく、悲惨で、聞いているだけで絶望してくる。ちょっと吐き気を覚えるくらい。ちょっとジャケットのイメージからは想像できませんな。
正直に言って、バルカン半島の多民族間の紛争のことは良く知らない。一昨日の『麦の穂をゆらす風』のアイルランドのことよりも知らない。ボスニアとクロアチアは近いところにある…くらいのことしか知らないかも。
日本語の歌とか日本人の開発した枕の話がでてくるけど、これは遠くの日本なんかよりも、よっぽどこの悲惨な過去は知られていないのよ…っていう対比のために使われているのだろうな。

若い声のナレーションも、はじめのほうななんのことやら、さっぱりわからないのだが、ラストで、辛い過去が生み出した乖離した人格の声なのかな?と気付く。ここのところ、最後のほうで、「ああ、そう意味かぁ」“ユーリカ!”って気持ちしてくれる作品は少ないので、貴重だ。

重いテーマが根底に流れているのは前作と同じだけれど、それとは裏腹に淡々と進みながらも観る側をじわじわと惹きつけるのは、この監督の能力の高さの表れ。同じように重いテイストなんだけど、個人的には(引き合いに出して悪いけど)アルモドバル本人が監督するより好みかもしれない。

前作で指摘しなかったけれど、この監督の映画は音楽のセンスが非常によろしい。サントラがほしくなるくらい。
今回もあまり良い邦題ではないけれど、前作よりはマシ。本作はお薦めする。もし、本作が気に入ったなら『死ぬまでにしたい10のこと』を観ればいいだろう。

最後に、あえて誤解を恐れずに言うと、どんな戦争や虐殺でも三十年後には忘れ去られると、カウンセラーがいうシーンがある。忘れてしまうことがいけないことのように言う人がたくさんいるけれど、忘れないと一歩も前に進めないとうこともある。そのために人間には忘れるという機能が備わっているのだと思っている。忘れちゃいけないけど、たまに思い出すだけでいいことが、世の中にはあふれているんだ。

ネタバレだけど、最後、結ばれずに終わらなくって本当によかったな…と思っているよ。もう、映画なんだからこのくらいの救いがないと、観る意味がないもの。
 

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image0570.png公開年:2003年 
公開国:カナダ、スペイン
時 間:106分  
監 督:イザベル・コヘット
出 演:サラ・ポーリー、スコット・スピードマン、デボラ・ハリー、マーク・ラファロ、レオノール・ワトリング、アマンダ・プラマー、ジュリアン・リッチングス、マリア・デ・メディロス、アルフレッド・モリナ 他
ニミネート:【2003年/第16回ヨーロッパ映画賞】作品賞、監督賞(イザベル・コヘット)
コピー:彼女は23歳。あと2ヶ月の命。初めて「生きる」と決めた。


23歳のアンは、母親の家の裏庭にあるトレーラーハウスで失業中の夫と幼い2人の娘と暮らし。大学の清掃のアルバイトで家計を支えているが、ある日、突然腹痛に襲われて病院に運ばれる。検査の結果、医師から進行性の癌で余命2ヵ月と宣告される。彼女はこのことを誰にも打ち明けないと決意し、ノートに死ぬまでにしたいことを10項目書き、その10項目を実行していく…というストーリー。

もう、最悪だ。原題は“MY LIFE WITHOUT ME”私のいない私の人生、死んだあとのあなた達の生活も私の人生よ…。ラストに題名パーンでエンドロール。いいじゃないすか。小じゃれた短歌がスパーンときまったみたいな感じで、悪くないよ。
だけどさ、“死ぬまでにしたい10のこと”って邦題を聞かされたら、もう、観る前から、死の宣告をされて死ぬまでにしたいことを10個書くんだろうなってことはわかるわけだ。その状態になるまでの、体調が悪くなったり検査したり医者と話したりの数十分、海外の人はどうなるの?どうなるの?って観ているところを、われわれ日本人は、事前にどうなるのか100%知ってしまってるわけだよね。どういう心持ちで観ればいいのだよ。なんで、こんなつまらない思いをしなければいけないのだよ。
客を呼ぶために気を惹く邦題を考えるのは結構なことだが、内容をバラして面白さを軽減させるなんて、配給会社として最低だろうが。松竹はバカなのか?

内容としては、この主人公に少しでも共感できるかどうか、想像できる体験があるかどうかで、感情移入できるか否かが決まってくると思う。だからピンとこない人には全然ダメ。特に不倫のところは意見のわかれるところだろう。もちろん私はまったく感情移入できず。でも駄作とはいえない、独特の間合いや空気感、もしかすると、この監督は化けるかも…そんな予感がするので、次作も観てみようという気にはなる。
で、プラマイゼロで及第点なのだが、バカな邦題のせいで駄作になってしまった。日本ではこんなありさまになって台無しにされてますよ!と監督に教えてあげたいよ。かわいそうに。

結論としてはお薦めしないけれど、あくまで邦題の責任だからね。これがなければ、私はまあまあの作品としてお薦めしていたのは確実。あまりに監督がかわいそうだから次作も観ることにするよ。

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クボタカユキ
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出張とか入ると、投稿は遅れてしまいますわ。
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