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imageX0015.png公開年:1992年 
公開国:日本
時 間:90分
監 督:辻理
出 演:石川功久、野村裕、原田大二郎、高嶋政伸、片岡弘貴、石浜朗、塚田きよみ、安藤麗二、石ノ森章太郎、小野寺丈、山浦栄、大内陽子、矢野明仁、寺杣昌紀 他





不治の病を治療するために人間の体質を細胞レベルで改良する研究プロジェクトに携る風祭博士。そして、父の思いに共感し、息子の風祭真(しん)は自ら実験台となるのであった。しかしこの実験は、“財団”が利潤追求
のために戦闘兵士を創り出す計画。レベル3の改造を受けた真は、バッタの特殊能力を備えた異形の怪人へと変貌していき…というストーリー。

劇場公開映画でもテレビムービーでもなく、オリジナルビデオ作品なので、ちょっと反則ぎみなのだが、昨日の『バイオハザードⅡ』を観て、ちょっと思うところがあって、あえてレンタルしてきた。
仮面ライダーなんて観ないよ。それもこんな聞いたこともない怪人みたいなヤツ…、と多くの人が思うはずで、その指摘は間違っていない。数ある仮面ライダーシリーズの中でも異作中の異作といってよい(仮面ライダーのくせにバイクには乗らないは、ベルトはしてないは、変身ポーズで変身するわけじゃないは、見た目は気持ち悪いは)。仮面ライダーというのは、シリーズの中で、何度もも何度も何度も原点回帰が試みられており(スカイライダーしかり、仮面ライダーBLACKしかり)、そのアプローチの一つであるが、その中でもとことんリアル路線を突き詰めてみた作品だ。仮面ライダーとは異形の者であり且つ正義の心を包含する者という定義なのだが、本作の“序章”という位置づけが、特撮ファンから揶揄されるところでもある。何せ、序章だけでその後が作られていないから。実は原作者の構想では、この後、プロテクターを装備していくなどして、徐々に私たちが知っている仮面ライダー然と変貌を遂げていく過程が語られるはずだったのだが、この路線では人気は出ないと判断され、終了したわけである。

本作を観ていただければ判るのだが、1992年製でCGを使っていないことを考えると、実はなかなか高度なできばえで、日本の特撮陣もなかなかやるな!と思わせる。これは続編をつくるべきなのでは?はたまた時代を先取りしすぎたか?とすら思えるレベルなのだ。い特撮技術の点では、おそらく現在の仮面ライダーシリーズに劣っていない(むしろ凌いでいる)といってよい。でも、本作と『バイオハザードⅡ』を見比べることで、受入れら無かった理由が、はっきり見えてくるのである。グロ系のクリーチャーが出てくるSF作品が、許容されるかいなかということ。許容とか“ヒットするか”または“シリーズ化されるか”と置き換えても良い。ポイントは2つ。

①“遊び心”の優先順位を誤っていないか?
ヒッチコックよろしく原作者の石ノ森章太郎がカメオ出演しているが、素人演技で場をシラけさせる。また、ヒロイン役の明日香愛の演技は救いようのないくらいポンコツ演技で、どんなシリアスシーンも観ている側を気恥ずかしくさせるのである(主人公がポンコツ役者のは、ヒーロー物では普通のことで、むしろ名優がその脇を固めるのが通例であるからよしとする)。本作は、長いTVシリーズの中の1話ではない。いい大人がお金をかけてつくる映画に準ずる作品なのだ。遊び心で原作者を登場させようと思うまではいいが、結果として場を壊すなら、カットすべきである。またヒロインについても、大人路線を強調するためにに“脱ぎ”が可能な女優を選定したのだろうが、“脱ぎ”と他の演技を天秤にかけて前者が優先される基準とは何なのだろうか?
何を言いたいのかというと、本作は、全体の面白さや統一感よりも、瑣末な要素を大事にしてしまっている。つまり製作者が物事の優先順位を誤ったということ。製作者(もしくは監督)に構成力・政治力が無かったということで、“木を見て森を見ず”という人間がリーダーになると、大きな目標を達成できないという悪例である。

#ちなみに本作に友情出演している高嶋政伸の演技は、これまで数十年続いた仮面ライダーの歴史の中で、一番すばらしい。まともな役者の演技というものは、かくも素晴らしいものかと…(原田大二郎は?というツッコミはやめてくれ)。

②グロのタブーを犯していないか?
主人公が敵役が生物的な操作によってグロい表現になるのはあまり問題はない。ところが、怪物と人間のハイブリットの子供ができてしまい意識を持っているというくだりで、吐き気をもよおしてくる。ここでヒかれるのである。いやいや、『バイオハザードⅡ』にも子供のゾンビがでてくるよね?という指摘があるだろう。実は、ここがポイントなのだ。『バイオハザードⅡ』の子供ゾンビは人間としての意識がない。この場合はギリギリセーフで、ヒかれないのである。子供や被害者(特に女性や子供)が、ウイルスや遺伝子操作などで肉体が変貌するが、精神は人間のままで、そのどうしようもない状況に苦しみと諦めを表現したところで、アウトなのである。で、仮面ライダーシリーズは、この失敗で学び、以降のシリーズはこのラインを守っている…というならばいいのだが、実は2007年製の『仮面ライダー THE NEXT』で同じ失敗を繰り返してしまい、多くのヒゲの生えたお子様たちが期待した続編は闇に消えたのであった。

ということで、グロいクリーチャーが出てくるSF物がヒットするかしないかの重要なファクターを勉強させてもらった本作。しかし、作品としては三流なので、仮面ライダーファンが、話のネタに観る以外はお薦めしない。

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image0919.png公開年:2004年 
公開国:アメリカ、カナダ、イギリス
時 間:94分
監 督:アレクサンダー・ウィット
出 演:ミラ・ジョヴォヴィッチ、シエンナ・ギロリー、ジャレッド・ハリス、オデッド・フェール、トーマス・クレッチマン、サンドリーヌ・ホルト、マイク・エップス、ザック・ウォード、ソフィー・ヴァヴァスール、ラズ・アドティ、イアン・グレン、エリック・メビウス 他
コピー:タイムリミットは4時間、少女を救って脱出せよ。
泣かない。すべてが終わるまで。


大企業アンブレラ社の地下研究所での死闘から36時間後。何者かに捕えられ病院で目を覚ましたアリスは本能的に脱出し、“T-ウィルス”がラクーンシティに蔓延していることを知る。アリスは生き残った者たちと脱出を試みるも、すでに街はアンデッドたちで埋め尽くされ、事態の隠蔽を目論むアンブレラ社が送り込んだモンスターが彼らの行く手を阻む。さらに、アンブレラ社は、これ以上の感染を防くために、核兵器によって街全体を消滅させようとしていた…というストーリー。

先日(というか先週だけど)同様に、何気にTV放映を観ちゃった。簡単に言ってしまうと、前作から密室サバイバルという部分を取っただけだったりする。

1作目のレビューでも書いたけど、ゾンビ映画やらホラー映画の色んな映画の要素を思いつくだけ放り込んでプディング状態にした作品だから、2作目が決まった時も、「さあて、今度は何やる?」ってな感じで、思いついた事をダラダラ並べて、一生懸命ガッチャンコした感じ。だって、基本的に感染拡大→脱出成功→感染拡大→脱出成功の繰り返しだから、ひたすらインフレ化するだけだもの。

あとはいかに目を飽きさせないか。求められるのは、映画製作のスキルではなく、CMやゲーム製作のスキルということになる。
だから、女性キャラたちの格好が、とてつもなく不自然でも、全然おかまいなし。なんとなく雰囲気が漂わせられば、実のところたいして細かいことは考えていない“アリス計画発動”なんて言っちゃっても、後は野となれ山となれ。次回作の前に考えればいいのである。
で、前作を上回ったか否かと聞かれれば、クオリティが上がったというわけではないが、娯楽要素は確実に上回っているといっていいだろう。屋外に出たせいで広い空間を使った演出が可能になっているためか、スピード感は増しているし、前回と同じようなアクションでも、前より上回るように要所要所でがんばっているから。とにかく技術系スタッフは嬉々として仕事していることだけは良くわかる。

ニューキャラの“ジル”はときどきCGキャラ?と思わせるカットが多々あり、まさにゲームが原作だということを強調した演出にもなっている。もしかするとゲームもプレーしていれば、より楽しめるのかもしれない(だからといってゲームはしないけど)。

適当に憎たらしい悪役を配置しておいて、そいつに苦しめられつつ最後は無残に懲らしめスッキリするっていう、単純な展開。世の賞レースからは総スカン状態なんだけど、ここまでくると、芸術とは対極にはあるけれど、映画のもつ実社会のストレス解消っていう役割りをしっかり担ってくれているのかな…なんて思ったりもする。純粋なストレス解消作品として、1・2連続で観ることはお薦めする。芸術的な要素は皆無と思って割り切れば、かなりOKラインだと思う。

#乱暴な伏線の貼り方は、車田正美を彷彿をさせるような…

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image1529.png公開年:2009年 
公開国:アメリカ
時 間:141分
監 督:マイケル・マン
出 演:ジョニー・デップ、クリスチャン・ベイル、マリオン・コティヤール、ビリー・クラダップ、スティーヴン・ドーフ、スティーヴン・ラング、ジェームズ・ルッソ、デヴィッド・ウェンハム、クリスチャン・ストールティ、スティーヴン・グレアム、チャニング・テイタム、ジェイソン・クラーク、ジョヴァンニ・リビシ、ビル・キャンプ、スペンサー・ギャレット、ピーター・ゲレッティ、ブランカ・カティッチ、リーリー・ソビエスキー、ロリー・コクレイン、ジョン・キッシュライン、キャリー・マリガン、リリ・テイラー、ジョン・オーティス、ドン・フライ、マット・クレイヴン、アラン・ワイルダー、デヴィッド・ウォーショフスキー、ランス・ベイカー、スティーヴ・キー、ダイアナ・クラール、ジェフリー・カンター 他
コピー:奪うのは、汚れた金 愛したのは、たった一人の女。

大恐慌時代。銀行強盗ジョン・デリンジャーは、その大胆すぎる手口故に貧困に苦しむ民衆から喝采を浴びていた。警察から追われているさなか、美女ビリーと出会い、一瞬で恋に落ちるデリンジャー。一方、フーバー長官はデリンジャーを“社会の敵(パブリック・エネミー)No.1”と呼び、有能なパーヴィス捜査官を抜擢し陣頭指揮に当たらせ、その逮捕に全力を挙げていくのだったが…というストーリー。

要するにFBI誕生前夜(というか過程)の話なのだが、FBIが舞台・主役(または敵役)になった映画やドラマがどれだけあることか。これだけエンターテイメント界にネタをくれていることを考えると、感謝しなくてはいけない内容なのかも(あ、本作は実話ベースね)。

とはいえ、デリンジャーはアメリカでは有名なのだろうが、日本人のワタシにとってはいまいちピンとこない存在である。多くの人が知っているという前提で作られているためか、人物像を描く演出が希薄に思える。なんか義賊を強調したコピーだが、まったくそんな風には思えなかったので、どういうことなのか調べてみたが、銀行強盗をする時に銀行の金は奪ったが、そこに来ていた客の金を一銭も取らなかったことから、実際に義賊扱いされていたらしい。銀行強盗がいちいち客の金を取るわけがなく、なんでそれで義賊扱いされるのか。今の価値観で考えたら有り得ないことなのだが、それほど国家や社会に対して、当時の民衆が不満を抱いていた(というか正気を失っていた)ってことなんだろう。
しかし、同時代を扱った『アンタッチャブル』など比較すると、本作は、そのトチ狂った社会状況がいまいち表現できていない。そのため、デリンジャーが大したことのないチンピラに見えてしまい、そんなチンピラを捕まえられない捜査官達もポンコツに見えてしまうという、負のドミノが展開される。

歴史的事実を色々調べたり、原作を読めば判らなくもないのだろうが、本作を観た限りでいえば、このコピーはちょっとズレている。その点から、配給会社自体が本作をおもしろいと思っていない証拠だともいえるし、実話の足枷により面白くならなかった作品ともいえる。
逆に言えば、この決定的に面白くならない脚本を、マイケル・マンはよくがんばってここまで引き上げたと評価すべきなのかもしれない。アングルの取り方やカット割りや編集は、奇を衒ったと思われないようにしつつ格好よくなるように工夫されているのがわかる。また、ジョニー・デップは言うことなしの存在感。ここの所、ティム・バートン作品だ、テリー・ギリアム作品だ、海賊だ…と、非現実的な役ばかりだったので、こういう実在の役をきちんと成立させて「もう普通の役はできないかも…」という不安を一掃できたかもしれない。

実話ベースなのでさほど劇的なラストでないことを肝に銘じて、過度な期待を抱かなければそこそこ楽しめる作品といえる。軽くお薦め。あくまでシナリオ以外(長いしね)。

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image1324.png公開年:1988年 
公開国:アメリカ
時 間:163分
監 督:マーティン・スコセッシ
出 演:ウィレム・デフォー、ハーヴェイ・カイテル、ヴァーナ・ブルーム、バーバラ・ハーシー、ハリー・ディーン・スタントン、デヴィッド・ボウイ、アンドレ・グレゴリー、ジュリエット・ケイトン、ロバーツ・ブロッサム、アーヴィン・カーシュナー、ネヘミア・パーソフ、バリー・ミラー、ヴィクター・アルゴ、ゲイリー・バサラバ、ポール・ハーマン 他
ノミネート:【1988年/第61回アカデミー賞】監督賞(マーティン・スコセッシ)
【1988年/第46回ゴールデン・グローブ】助演女優賞(バーバラ・ハーシー)、音楽賞(ピーター・ガブリエル)
【1988年/第9回ラジー賞】ワースト助演男優賞(ハーヴェイ・カイテル)

どんな作品でも、カトリック信仰がベースになっているスコセッシ監督。作品のどこかに十字架を背負ったキリストが投影された人物が登場するわけだが、本作はまさに直球(ご本人登場だからね)。

スコセッシの大傑作と賞賛する人もいるけれど、ワタシはそこまでとは思わない。映像も音楽も非常によろしいと思うが、『ラスト、コーション』のセックスシーンが直球すぎて、逆になにも感じなくなっちゃうのと一緒で、本作もストレートに表現されちゃったことでスコセッシ色というか味が、いささか軽減されていると思う。
意を決して、自分の思想の中心ともいえるテーマに挑戦しておきながら、冒頭で“フィクションである”と明確に宣言し、歴史的考察や学術的議論に巻き込まれることを回避している。まあ、キリスト教関連団体からの抗議を避けようとしたんだろうけどね。タイトルの“最後の誘惑”が何かっていうのは、オチみたいなものながら言わないけれど、まあ、こういう人間的すぎる表現が宗教関係者の怒りを買ったんだろう。
自分の好きなものを扱ったのはいいが、逆に客観性の欠落につながり、トータルな質は低下しているとも感じるし、もっと短くまとめたほうが、“最後の誘惑”の部分はもっと生きただろうとも思う。

そう考えると、芸術っていうのは「うまいこと何か別のことがら表現すること」で、受けてがそれを通じて感じる(気付く)過程を愉しむものなんだなぁ…と、思うよ。言いたいこと・作りたいものを、そのままつくったら、それは演説や説教とかわらなくなっちゃう(思いが強すぎて、長くなっちゃってるのもいただけないしね)。
ワタシがカトリック社会にいる人間なら、別の感情で目が曇って、この点には気付かなかったかも。反面教師的な意味で、芸術の何たるかに気付かせてくれて、非常に勉強になった作品。

とはいえ、同じテーマの作品として、メル・ギブソン監督の『パッション』があるが、そちらよりは格段に面白い(というかよっぽど映画らしい)と思う。ウィレム・デフォーの顔力がなかなか。『ダレン・シャン』のとってつけたようなチョイ役の彼が同一人物は思えまへん。
キリスト教に造詣の深くない人にとっても及第点は超えている作品と思うが、とにかく“最後の誘惑”の場面までが長く長くつらいので、くじけずに見なければいけない。スコセッシファンで、さらにその我慢強さを持ち合わせている人に限りお勧めする。

別件。
DVDへの文句だが、映像や音楽や演技に集中したいので吹替えをつけてもらいたい。そうしてもらえればもっと評価は上がったかもしれない。本作の字幕を追うのはけっこう厳しい。

#イエスが人々の原罪を贖ったというなら、なんで我々は死ぬのだろうか。その疑問には永遠に答えてもらえそうにない…

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image1531.png公開年:2010年 
公開国:アメリカ
時 間:121分
監 督:クリス・コロンバス
出 演:ローガン・ラーマン、ピアース・ブロスナン、ユマ・サーマン、アレクサンドラ・ダダリオ、ブランドン・T・ジャクソン、ショーン・ビーン、キャサリン・キーナー、ケヴィン・マクキッド、ジェイク・アベル、スティーヴ・クーガン、ロザリオ・ドーソン、ジョー・パントリアーノ、メリーナ・カナカレデス、ジュリアン・リッチングス、セリンダ・スワン、ディミトリー・レコス、オナ・グローアー、ステファニー・フォン・フェッテン、コンラッド・コーツ、ディラン・ニール、ルーク・カミレッリ 他
ノミネート:【2010年/第19回MTVムービー・アワード】格闘シーン賞(ローガン・ラーマン、ジェイク・アベル)、ブレイクアウト・スター賞(ローガン・ラーマン)
コピー:ギリシア神話が現代によみがえる!

実父を知らずに母親と暮らしてきた17歳のパーシーは、学校に溶け込めない浮いた存在。ある日突然、「ゼウスの稲妻を返せ!」と叫ぶ怪物に母がさらわれてしまう。また、学校のブルナー先生や親友グローバーが“デミゴッド”というギリシャ神話の神々と人間のハーフであること、そして自分もポセイドンを父に持つデミゴッドで、彼らはパーシーを守護していたということを知らされる。さらに、全能の神ゼウスから“稲妻”を盗んだ犯人と思われており、2週間後の夏至までに返却しなければオリンポスの神々が戦争をおこし、地上は破滅の危機に陥るということも知る。パーシーは一刻も早く“稲妻”をゼウスに返すため、仲間と共に真犯人探しの旅へ出るのだが…というストーリー。

同じ、ヒロイックファンタジー路線の『ダレン・シャン』と比較すると、飽きずには見れた。よく言えばテンポが良い、悪く言えば疾走感でアラを誤魔化しきった…ともいえる。

『ハリーポッター』との共通点があまりにも多くて、どうしてもトホホ感がぬぐえない。
 ・実は常人ならざる能力者だが本人は知らない。
 ・現実の世界で学校生活をおくっているが、さりげなく守護されている。
 ・向こうの世界の都合で真実を知らされる。
 ・男女混合のスリーマンセルで冒険する。
 ・仲間の一人は気の強い女の子で、もう一人はお調子者の男の子。
 ・主人公はマザコンぎみ。
 ・etc…

見つからないようにイヤな家にいるギミックとか、友達の男の子が犠牲になるとか、もしかしてこれは『ハリーポッター』のパロディかと。あれ?もしかしてそうなのか?本当にそうならそれはそれでスゴイことかも。クリス・コロンバス御大による『 最終絶叫計画』シリーズか?(笑)
まあ、いずれにせよ、21世紀のヒロイックファンタジーは、しばらくの間“ハリー・ポッター コンプレックス”に悩まされることになるんだろう。

『ダレン・シャン』が35点なら本作は49点くらい。ヒマつぶしにはなるかもしれないが、会社から帰ってきた後ちょっとお疲れの時に観ちゃうと、1回は寝ちゃうかも(私は2回巻き戻した)。新作料金で観る価値はないが、ホント、ヒマつぶし目的ならお薦めする。

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image1233.png公開年:2007年 
公開国:中国、アメリカ
時 間:158分
監 督:アン・リー
出 演:トニー・レオン、タン・ウェイ、ワン・リーホン、ジョアン・チェン、トゥオ・ツォンホァ、チュウ・チーイン、チン・ガーロウ、クー・ユールン、ガオ・インシュアン、ジョンソン・イェン 他
受 賞:【2007年/第64回ヴェネチア国際映画祭】金獅子賞(アン・リー)、金オゼッラ賞[撮影](ロドリゴ・プリエト)
コピー:その愛は、許されるのか?

1942年、日本軍占領下の上海。普通の女子大生だったチアチーは、クァンという男子学生に秘かな恋心を抱き同じ演劇部に所属する。しかし、抗日運動に心血を注ぐクァンと行動を共にするうち次第に感化され、やがて日本の傀儡政府に協力する特務機関リーダーであるイーを暗殺を遂行する計画に参加する。貿易会社社長婦人に化けイー夫人に接近し、イーを誘惑する機会を窺うチアチーだったが、ターゲットのイーはは異常なほど冷静で用心深く…というストーリー。

戦乱のカオスの中、一介の学生たちが、政府レベルの組織の要人を暗殺しようと企てるハナシは、誤解を恐れずに言えばなかなかロマンを感じさせるハナシである。しかし、途中から性的な要素が加味されてから、生理的に気色が悪くなってくる。日本でいえば赤軍なんかの過激派にも観られたような、自陣への自傷(簡単に言ってしまえば内ゲバ行為なんだけど)が表出してくる。明確に共産思想集団ってわけじゃないんだけど(この場合は、対日・対国民党っスタンスだから同じカテゴリにしていいとは思うけど)、結局、外側の陣営に思うように攻撃が出来ない場合、身内を攻撃しはじめるこの精神構造、どうも理解できん。

#中国の人の、パーソナルスペースの距離感って近すぎるんだよね。日本人の身内と外部の線引きの感覚が、まったく無いんだろうな。

で、中盤を越えてから、話題になったような性的シーンのオンパレードなわけだけど。はっきり言うと、こんなあからさまな性描写は不要である。中国政府からの抑圧にあえて反抗してみたのかもしれないが、ここまで観も蓋も無いと、逆に性的な興奮はおこらないものなんだなと勉強になった。

(以下ネタバレ含む)

もしかすると、そういう性描写のタブーに挑戦したかったわけではなく、ラストに問題があったのかもしれない。それはどういう意味か。本作は、2時間半以上でものすごく長いのだが、ラストはさほど劇的な展開があるわけではない。で、愛に溺れたというか流された切なさや侘しさみたいなものを、ある意味耽美的な空気を漂わせて表現しないといけないところなのだ。しかし、どうもその空気感が出ていない。そうなると逆説的に、溺れちゃうような愛に説得力を持たせるしかない…ってことになってしまう。じゃあ、ドロドロと溺れていく様を描いちゃいましょ…って、そんなロジックだったのではなかろうか。ドロドロをこれでもかーこれでもかーと足してく。そして長くなる。でも、どうやったってトータルのボルテージ自体は低いんだから、さほど効果はない。そんなところか。
そのへんは、『ブロークバック・マウンテン』では表現できていているのだが、本作の段階ではまるでだめだね。

だから、最後も、馬鹿な女だなぁとは思うが、あまり同情は涵養されない。ああ、それだ。この同情を感じさせない演出の稚拙さが、イマイチさに繋がっているのだ(確かに、主役級の2人以外のキャラにも、感情移入できるようなキャラはいないんだよねぇ…)。
いやあ、ヴェネチアの金獅子賞をイマイチって言っちゃうワタシって(笑)。イヤ、でもダメなものはダメだ。2時間にまとめて同じクオリティだったら、まだ納得するけど、ワザワザこの長さにしてこれじゃね。

残念だが、世間で評価されるほどイイ作品ではなく、良作と及第点のうろちょろしているレベルだと思う(私はこういうテイストの作品は嫌いな方ではないので、そんな私がイマイチというんだからね…)。
#撮影技術やセット・衣装に対する評価は、ものすごく妥当だと思うよ。

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image1532.png公開年:2009年 
公開国:アメリカ
時 間:109分
監 督:ポール・ワイツ
出 演:クリス・マッソグリア、ジョシュ・ハッチャーソン、ジョン・C・ライリー、ジェシカ・カールソン、渡辺謙、レイ・スティーヴンソン、パトリック・フュジット、ウィレム・デフォー、サルマ・ハエック、マイケル・セルヴェリス、ダニエル・ニューマン、モーガン・セイラー、ドン・マクマナス コリーン・キャンプ オーランド・ジョーンズ アレクサンダー・リブス フランキー・フェイソン ラムス・ツーベリーズ トム・ウッドラフ・Jr ジェーン・クラコウスキー コーマ・リムズ クリステン・シャール 他

16歳の少年ダレンは、親友のスティーブと一緒に、奇怪な見世物小屋を見物にいく。元々、蜘蛛に興味があったダレンは、ラーテンという演者が操る大蜘蛛に魅せられてしまう。フリークスによる見世物を良しとしない地元民の邪魔によって場が混乱すると、その隙に楽屋から大蜘蛛を盗んでしまうダレン。しかし翌日、スティーブがその蜘蛛に噛まれて昏睡状態に。ラーテンを訪ねて解毒剤を求めると、それと引き換えにハーフ・バンパイアなれと言われる。ラーテンは本物のバンパイアで、彼の助手を欲していたのだ。ダレンはスティーブを助けるため、その条件を受入れるだが…というストーリー。

“フリークス”を扱った映画が普通に上映できる、いい世の中になったものである。1932年製作の『フリークス(怪物團)』という作品は、数年前まで発禁扱い(という表現が正しいかはわからんが)であった。表現の自由だからといって配慮もなく表現していいわけでもないが、なんでもかんでも都合が悪そうなら隠蔽すりゃあいいってものでもないからね。
それはそれとして…。

本作は、児童向書籍が原作だが、こういうファンタジーものは『ハリー・ポッター』シリーズで食傷気味なので原作は読んでいない。少年サンデーか何かで漫画連載されていたような。結構続いているようなので、おもしろいのだろう(が、今後も読む気はない)。
ただ、本作を見た限りその面白さを伺うことができない。一番感じるのは、はじめっから続編が作られることを前提につくられているのがアリアリだということ。それがいけないという訳ではもちろんないのだが、簡単にいってしまえば“ユルさ”に繋がってしまっているのだ。『マトリックス』しかり古くは『バック・トゥ・ザ・フューチャー』や『ダイ・ハード』しかり、多くの名作シリーズ物は、一作目はこれがすべて!という姿勢で作られている(あわよくば…という思いはあったかもしれないが)。この一球入魂ならぬ一作入魂っぷりが見事な花を咲かせるのであって、まとめきれないところは、ホイホイと次作に…と簡単に割り切られてしまっては、見ている側の緊張感も維持できない。『ハリー・ポッター』などのはこれに陥らないように注力しているのだが、本作はまったく見習っていない。

ハーフ・バンパイアになるまでのくだりで半分経過するのだが、実のところ、ここまでは結構楽しめる。ちょい役にもかかわらず、渡辺謙の怪演は光っていて、映画全体を締めているというか質を底上げしているというか、本シリーズの根本的な雰囲気を代表しているといってもよい(本人が吹替えをしてくれちゃってるという、この気安さもステキ)。でも、なにやら敵が登場しはじめ、対立軸が見えてくると途端につまらなくなる。ありがちな単なる善悪対決モノになってしまう。どうしても『ハリー・ポッター』と比べてしまうけど、この悪役の魅力の無さや、設定のナゾの少なさは何なんだろう。感情がまったく揺れ動くことがない。原作もこんなものなのか。

終盤のバトルには工夫も技術的な目新しさも無く、ぼやっとよくわからないうちに終わる。よほど原作を読んで、この世界観を愛している人や興味をそそられた人だけが見ればいいのではなかろうか。がんばっている謙さんにはもうしわけないが、本作は別に観なくて良いだろう。娯楽作品として35点くらいである。本作を観ると『ハリー・ポッター』の質の高さを再確認させられる(そういう目的なら観てもよいかも)。もちろんお薦めしない。特にいい大人の方々には。

#フリークスの女の子が、全然かわいげがなくって、いい仲になっても全然うらやましくない。どういうキャスティング?

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image1379.png公開年:2008年 
公開国:アメリカ、イギリス
時 間:119分
監 督:サム・メンデス
出 演:レオナルド・ディカプリオ、ケイト・ウィンスレット、キャシー・ベイツ、マイケル・シャノン、キャスリン・ハーン、デヴィッド・ハーバー、ゾーイ・カザン、ディラン・ベイカー、ジェイ・O・サンダース、リチャード・イーストン、マックス・ベイカー、マックス・カセラ、ライアン・シンプキンス、タイ・シンプキンス、キース・レディン 他
ノミネート:【2008年/第66回ゴールデン・グローブ】女優賞[ドラマ](ケイト・ウィンスレット)
コピー:それは──誰もが逃れられない<運命の愛>
あなたの最愛のひとはあなたを愛していますか──

1950年代。“レボリューショナリー・ロード”と名づけられた閑静な新興住宅街に暮らすウィーラー夫妻は、周囲からは理想のカップルに見えたが、当人は描いていた夢と現状のギャップに苦しんでいた。夫フランクは事務機器会社でのセールスマン人生のつまらなさを嘆き、女優の夢が叶わなかった妻エイプリルも主婦業に埋没する現状にいらだちを覚えていた。そんな中、突然エイプリルは、家族でパリに引っ越そうと持ちかけ、自分が働くからフランクは好きなことをすればいいと言う。突然の提案にはじめは戸惑ったフランクだったが、説得しても聞かない妻に押し切られながら、自分も希望を膨らませ同意してしまう。そして会社の同僚や近所の友人にそのことを告げるのだが…というストーリー。

世の中の映画というのは、大抵、これからこのハナシはおもしろくなるんだろうな…と予感させる事柄や伏線が並べられるものだ。ラッキーな場合はそれらが実を結びおもしろくなるし、多くは期待はずれに終わる。しかし、本作は、どう想像しても、これからおもしろくならないに違いない…ということばかりが並ぶ。並ぶ。並ぶ。
そして、本当におもしろくならないし、さほど盛り上がりもしないし、驚かせてくれるような展開もないのだ。

一体、この監督は、この映画を観た後、観客にどういう気持ちや考えになってほしいと思っていたのだろうか。ワタシにはおもんばかることすらできない。だって、こんなに観て損をしたと感じ、何の目的があって作られたのか理解できず、存在意義の感じられない映画は初めてだもの。

監督の周りに、気に喰わない不快な態度の女性がいて、その八つ当たりのために、女なんてのはヒステリックなだけでどうしようもねえ生き物だ!って揶揄したかったのだろうか。世の女どもは、多かれ少なかれ統合失調症の境界線上にいるといいたいのだろうか。
#いや、監督ではなく、脚本家の問題で、監督は雇われなのかもしれない。そうだったら監督すまん。

この映画を観たからといって、何か教訓や示唆を得られるわけでもないし、半面教師にすらならない。
追い討ちをかけるように、副題の“燃え尽きるまで”が、何がどう燃え尽きたのかさっぱりわからない。

もうしわけないが、これ以上、本作について何かを述べることができない。ケイト・ウィンスレットがゴールデン・グローブを獲っているが、作品自体にあまりに価値を見出せないので、とても評価できない。『17歳のカルテ』のアンジェリーナ・ジョリーとはわけが違う。
まったくもってお薦めできず。お昼の主婦の電話相談以下である。

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image0918.png公開年:2001年 
公開国:アメリカ
時 間:101分
監 督:ポール・W・S・アンダーソン
出 演:ミラ・ジョヴォヴィッチ、ミシェル・ロドリゲス、エリック・メビウス、ジェームズ・ピュアフォイ、マーティン・クルーズ、コリン・サーモン、パスクエール・アリアルディ、ヘイケ・マカッシュ 他
コピー:生き残る。たとえ一人でも



近未来。巨大企業アンブレラ・コーポレーションは地下の巨大施設でバイオ兵器の研究を進めていた。ある日、研究中のウィルスが施設内に散布されてしまったため、施設の管理コンピュータは伝染を防ぐために施設を閉鎖し外部から遮断する。内部調査のため施設に潜入した特殊部隊は、倒れていたアリスたちを発見するが、彼らは記憶を失っていた。特殊部隊は彼らを伴い、さらに施設への侵入を試みるが、そこには予想を超える光景が…というストーリー。

前日に引き続き、出張疲れのため新たに何かをレンタルする気力なし。テレビ放映していた『バイオハザード』を鑑賞。おそらく、かなりシーンカットされているだろうが、DVDで見直す余力もナシ。

悪い映画では決して無いのだが、色んな映画のおもしろい要素の寄せ集めだといってしまえば、観も蓋も無いか。
記憶喪失で自分達が誰だかわからないというアリガチな展開をはじめとして、密閉空間でのコンピュータの暴走、ゾンビ、エイリアン同様に喰った生き物の遺伝子によって変体、病原菌への感染、そして誰もいなくなった…etc、、、、
どこかで観たような内容のオンパレード。特殊部隊の人員構成なんて『エイリアン2』そのままじゃね?
こういうパッチワークなので、ストーリーもゴロゴロとぶつ切りの感じがあり、一貫性は無い。それぞれの要素だけに着目してしまうと納得いかないことは多いはず(純粋にゾンビ映画として観てしまうとイマイチと思ってしまう…とかね)。

でも、ふつうなら既視感で興醒めするはずのところを、面白く観れたのは、テンポのおかげ。落語家でいうならば、同じ噺なのに話術で魅せた。そんな感じか。公開予定の『Ⅳ』までずっとポール・W・S・アンダーソンは携わっているいるが、残念ながら『Ⅱ』『Ⅲ』とどんどんクオリティが落ちていったのは事実。あれだけダメダメな『Ⅲ』だったのに『Ⅳ』の製作にこぎつけることができたのは、『Ⅲ』の最後に日本行きを臭わせたからに他ならない。アンダーソン、なかなかの策士。
でも、予言しておくが、あの『Ⅲ』から盛り返して面白くできるとは思えない。アクションやCGやびっくり表現で奇を衒うことに執着するだろう。いいかげん『Ⅳ』では別の脚本家の新しい血を入れないとねえ…。

TV放映をなにげに観る程度ならいいが、あえてレンタルして観るレベルにあらず。『Ⅱ』『Ⅲ』はさらにそうなので、観るなら来週もTVを観るのがよかろう。

#生理的に、サイコロカットは苦手かも。

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image0169.png公開年:2005年 
公開国:ドイツ
時 間:90分
監 督:イザベル・クレーフェルト
出 演:アンドレアス・シュミット、マルティン・クルツ、アルミン・ローテ、クラウス・J・ベーレント、アンドレアス・シュミット 他





10才の内気な少年ポールは、夏休みに家族と一緒にスコットランドの古城へ旅行へ出かけた。しかし、この城はおばけ屋敷として観光コースになってはいるものの、宿泊施設としてまともな設備が整っておらず、とても愉しめる状況ではなかった。実は、レジャーとは名ばかりで、ポールの父は会社の命令で城の買収のために訪れ、家族サービスを兼ねてしまおうと考えていたのだった。さらに、この城にはある秘密があり、本当に、古くから幽霊のサイモン・カンタベリー卿が住み着いていたのだ。そんなカンタベリー卿にポールは遭遇してしまうが、当初は恐れをなしながらも、次第に仲良くなっていっていき、やがてある秘密を打ち明けられたのだが…というストーリー。

出張がえりでクタクタで、小難しいものは一切受け付けなさそうな体調だったので、ライトそうな作品をチョイス。しかし、さすがにライト過ぎたか。

ストーリーはあまりにシンプル。中学生が初めて書いてみた小説のような脚本レベルなのだが、子供が安心して観せられる内容といえば、そのとおり。でもあまりの毒の無さに、子供達も飽き飽きするに違いない。
“オスカー・ワイルドの”とわざわざ冠しているということは、あの『サロメ』で有名な(読んだことはないけど)の作者のオスカー・ワイルドなんだろうが、ウィキペディアを探してもこのようなタイトルが無い。色々調べると、元は『キャンタビル館の幽霊』という作品らしく、原作というよりも原案レベルの模様。いずれにせよ造詣は深くないので、良し悪しは判断できず。いずれにせよ原作者を冠する意味も効果もない。

ちなみに本作はドイツのテレビムービーとのこと。ドイツにおけるテレビムービーの扱いはよくわからないが、日本の2時間ドラマで(WOWOWとかでも)、2005年の段階でこのレベルのCGファンタジーをつくることができるだろうか。おそらく現時点でもちょっとあやしい。本作はなるべくコストを押さえ気味に作成しているはわかるが、CGのショボさもギリギリゆるせるレベルに納まっている。おそらく日本で同じものを作ってたとしても、興醒めするレベルになったに違いない。ジャパンアニメは押しも押されもせぬ評価だが、実写のCG表現については(特にコストパフォーマンス面では)、欧米よりかなり劣っていることが伺える。欧米のTV製作レベル > 日本の映画制作レベル…ということになるか。

…と一応褒めはしておくが、ホラーファンタジーとしても、男の子の成長物語としても、二歩も三歩も踏み込みが足らず。観なくても、まったくもって損したとは思わないであろう作品。心が癒されたり元気になったりするファンタジーはどこにもないので、ご注意を。

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image1329.png公開年:2006年 
公開国:アメリカ
時 間:96分
監 督:ロバート・アルトマン
出 演:メリル・ストリープ、リリー・トムリン、ギャリソン・キーラー、ケヴィン・クライン、リンジー・ローハン、ヴァージニア・マドセン、ジョン・C・ライリー、マーヤ・ルドルフ、ウディ・ハレルソン、トミー・リー・ジョーンズ、メアリールイーズ・バーク、L・Q・ジョーンズ、ロビン・ウィリアムズ 他
ノミネート:【2006年/第22回インディペンデント・スピリット賞】監督賞(ロバート・アルトマン)
コピー:最後のラジオショウが終わるとき、新しいドアが開く

ミネソタにあるフィッツジェラルド劇場では、長年にわたって土曜の夜にラジオの公開生中継が行われていた。いつものように出演者たちが楽屋入りするが、今日はいつもと違った雰囲気。実は、テキサスの大企業によってラジオ局が買収されてしまい、今日がが最後の放送だったのだ。しかし、司会者のキーラーはそのことを聴取者に切り出せずに番組は進行していき…というストーリー。

アルトマン監督の遺作なんだけど、なかなかの神々しさというか悟りというか、達観したレベルの人間による創作物だなと。もちろん本人はコレが最後になると思っていなかっただろうけど。簡単に言ってしまえば長寿番組の最終回での舞台と楽屋の出来事。タダそれだけなにに、まあ、魅せる魅せる。

役者陣の輝きがハンパない。メリル・ストリープ一人にもっていかれないように(本当にそう思っていたかはしらんけど)、もう、全員が与えられた役を、明日死ぬ!これが最後の仕事!ってくらい自分の能力を惜しみなく発揮。役者冥利に尽きる作品ってところだろう。その集合体が、アルトマン監督の遺作となったわけだから、そりゃあ神々しさすら感じるでしょうよ。この内容をここまで仕上げられたら、何をテーマに映画をつくったとしても、いいものになっちゃう。

気分転換の娯楽作品が観たい人にはお薦めしない。どっぷりと味のある作品を愉しみたい人、どうぞ。
#今、逆にこういうCMまで生放送の公開番組なんてやったらウケるだろうねー。

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image1153.png公開年:2006年 
公開国:アメリカ
時 間:93分
監 督:クリス・ヌーナン
出 演:レニー・ゼルウィガー、ユアン・マクレガー、エミリー・ワトソン、ビル・パターソン、バーバラ・フリン、バーバラ・フリン 他
コピー:その恋が私を変え、私の絵が世界を変えた。
「ピーターラビット」の作者ビアトリクス・ポターの恋と波乱に満ちた半生を描く感動作



1902年のロンドン。世の中には、上流階級の女性が仕事を持つなど考えられなかった時代。裕福な家庭に育った32歳の独身女性ビアトリクス・ポターは、念願でたった、動物たちの物語を絵本として世に送り出たいと考えていたが、ピーターラビットを主人公にした物語の売り込みになんとか成功し出版されると、たちまちベストセラーとなる。そして、出版社一族の末弟で編集者のノーマンと恋に落ちるのだったが…というストーリー。

冒頭のピーターラビット達が描かれるシーンは、インクのにじみ具合や筆遣いに、目を奪われてしまい、一気に物語に引き込まれた。まさに映画のツカミとしては最高のデキである。

しかし、なんとツカミだけの映画だった。お薦めする気が皆目ないので、正直にはっきりいってしまう。もし観るかもしれないのに…と思う人は、以降読まないで結構。

本作には、コピーにあるような、波乱万丈はどこにもない。裕福な家庭のハイミス(死語か)が、出版した処女作が順調に売れで大金持ちになり、とうとう結婚しようとするが相手がたまたま死んでしまいました。悲しいわ。大金で郊外の農園を買って平穏な暮らしをしよう。本は売れてどんどんお金ははいってくるので、周りの農園もどんどん買っちゃいましょう。

それだけなんだけど。

当時の女性の生き方としてはレアケースだったのかもしれないけれど、この映画を観ている人は現在の価値観中で生きているわけで、好きなことをやって大金を得ているような人間に対して、共感を得るはずもなく。結婚の約束をした人が死んだといっても、至極清廉な間柄だったわけで、激しい情愛の末の悲恋に涙する…ということもあるはがなく。キャラクターがぴょこぴょこ動く様子は、たしかにかわいいけれど、所詮、トンガッた芸術家の感性を表現しただけのことで、さほどすばらしいとも思えず。トンガったといっても、ゴッホばりにぶっとんでいるわけでもなく。
それに、別に、その恋が彼女の何かを変えたようにも見えないし(本当にインチキコピーだと思う)。

小汚い感じの女性を演じさせたら天下一品になりつつあるレニー・ゼルウィガーだが、彼女じゃなかったら、もう、本作は映画として成立すらしていなかったような気がする。仮にピーター・ラビットが好きだったとしても、本作を観なければ損ということはないし、ましてや興味のない人にとっては、時間の無駄だったと感じるに違いない。教訓も感動もない、生きる糧にはなりえない作品。まったくお薦めしない。どういう意図で、コレを映画にしようと思ったのかすら、理解できない。

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image1523.png公開年:2009年 
公開国:アメリカ
時 間:96分
監 督:マーク・ウェブ
出 演:ジョセフ・ゴードン=レヴィット、ゾーイ・デシャネル、ジェフリー・エアンド、マシュー・グレイ・ガブラー、クロエ・グレース・モレッツ、クラーク・グレッグ、レイチェル・ボストン、ミンカ・ケリー、パトリシア・ベルチャー、イアン・リード・ケスラー、オリヴィア・ハワード・バッグ、イヴェット・ニコール・ブラウン、リチャード・マゴナグル 他
受 賞:【2009年/第25回インディペンデント・スピリット賞】脚本賞(スコット・ノイスタッター、マイケル・H・ウェバー)
コピー:運命の恋なんて、あるに決まってる。

グリーティングカード製作の会社に勤務するトムは、秘書として入社してきたサマーに一目惚れする。それから4日目に、エレベーターで音楽の話をしたことをきっかけに会話を交わすようになり、28日目にサマーに彼氏がいないことを知るが、彼女が、男性と恋人関係になることを望まない、愛を信じない女性であることを知る。友達として付き合い始めるが、34日目に、真剣につきあう気はない言うサマーに対しトムは気軽な関係で構わないことを告げると、2人の距離はどんどん縮まっていった。この関係は続いていくと思われたが…というストーリー。

とりあえず、まちがいなく本年度中に初見だった作品の中でベスト1である。恋愛映画は基本的に好みのジャンルではないけれど、男目線の映画だったので、かなり入り込んで観れた。男性ならば、「いや~、それあるある~」って思うシーンが1つや2つ必ずあるはず。そう考えると、完全な男目線の恋愛映画って、めずらしいかもね。
押しつげがましい演出がなく、適度にスタイリッシュ。トムの心に中にサマーが居座り続けた500日間を、行ったり戻ったりしながら繰り広げられるのだが、似たような出来事を心情の差による違いで表現したり、期待と現実をニ分割画面で表現したり、ヘタな監督がやれば実験映画か?と思われそうな内容を、綺麗にスッキリとまとめあげている。とても初監督作品とは思えないデキで、すでにスパイク・ジョーンズに匹敵しているのではないかと感じたほど。
わたしは、ラストに向うにつれて、顔が自然に笑みでほころんでいったくらい。電車内で観ていたから、表情を押さえるのに苦労しちゃったよ。

日本では、都市部で単館上映された程度だったと思うが、いくらたいして美男美女じゃないマイナーなキャストだからといって、こんなプロモーションしかできないとは、日本の配給会社もなさけない。こういう作品を広く売ることこそ、配給会社の使命じゃないのかねえ。

簡単にいってしまえば、ちょっとタチの悪い女にひっかかった男のハナシ、ってそれだけなのに、ここまで面白く仕上げられちゃ、お薦めしないわけがない。特に男性に強く強く強くお薦めする。

#最後はご愛嬌。

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image0419.png公開年:2007年 
公開国:日本
時 間:106分
監 督:荻上直子
出 演:小林聡美、市川実日子、加瀬亮、光石研、もたいまさこ、小林聡美 他
コピー:何が自由か、知っている。





春先、海辺の小さな町を訪れた女性・タエコは、地図を片手に大きなトランクを引きずりながら、旅館ハマダに向かう。宿の主人ユージや、寝ているタエコの横にたたずみ挨拶をするサクラや、地元の高校で生物教師をしているハルナ達の奇妙な言動のせいで調子を狂わされたタエコは、たまりかねて宿を替えることにするのだが…というストーリー。

前作『かもめ食堂』のヒットをうけての本作ということで、独特な雰囲気を継承したいのはよくわかる。しかし、①ほっとする美しい風景、②おいしそうな食事、③対人距離感のちょっとおかしい登場人物たち…という、要素をそのまま引き継いだだけでは、あまりにも芸がないように思える。

引き継いだといっても、食べ物をみて「おいしそう!」と感じるレベルはオチているし、かき氷も「たべたい!」とまでは思わなかった(これだけ残暑厳しい中、観たにもかかわらず)。風景のグレードもいささか劣る。メルシー体操など奇抜な要素を盛り込んでみたところで、根本が同じ故に既視感は拭いようがない。メインの役者は同じだし、他のキャスティングも似ているし…。成功体験が失敗に繋がった例なのでは?とまで思ってしまう。

「先生」と呼ばれる程度で、キャラのバックボーンを頑なに語らずにスルーする演出なのだが、ここまでくると、さすがに鼻につくと感じる人が多いのでは?と思うが、現在、同監督の『トイレット』が公開中。この監督のノリが好きな人が相当存在するのか、有力なパトロンが存在するのか、よくわからないが、ああ、ワタシと感性の違う人がたくさんいるのだな(むしろ、ワタシのほうが少数派なのかな)と改めて認識した次第である。

ワタクシは『やっぱり猫が好き』とか三谷幸喜作品なんかは、ほぼおもしろいと感じたことがない人間だからね。趣味が全然あわなかったんだ…そういうことにしておこう。もちろんお薦めはしない(というかできない)。

#犬だけはひたすらかわいい

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プロフィール
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クボタカユキ
性別:
男性
趣味:
映画(DVD)鑑賞・特撮フィギュア(食玩/ガシャポン)集め
自己紹介:
一日一シネマ。読んだら拍手ボタンを押してくだされ。
出張とか入ると、投稿は遅れてしまいますわ。
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