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公開年:2002年
公開国:ロシア
時 間:104分
監 督:アレクサンドル・ロゴシュキ
出 演:アンニ=クリスティーナ・ユーソ、ヴィッレ・ハーパサロ、ヴィクトル・ブィチコフ 他
コピー:犬の遠吠えが聞えたら、風に乗って戻っておいで
オーロラが降りそそぐ魔法の土地で、言葉の通じない3人が通じ合う…。ラップランドから届けられた、不思議な愛と平和の物語。
第二次世界大戦末期のラップランド地方。フィンランドは占領された土地を奪還するためにドイツと同盟を結びロシアと戦っていた。フィンランド兵のヴェイッコは反戦的態度が問題となり、ロシア軍の標的となりやすいドイツ軍服を着せられ岩に鎖で繋がれ置き去りに。一方、反体制分子との濡れ衣を着せられ逮捕されたロシア軍大尉イワンは、護送中に味方の誤爆で負傷するが、たまたま通りかかったサーミ人のアンニという女性に救われ手当てを受ける。ヴェイッコは何とか自力で岩から脱出し、アンニの小屋を訪れる。三人はお互いの言葉がわからず、会話は噛みあわないまま生活を続けるが、そのうち、戦争未亡人のアンニは2人の男に欲情してしまいおかしな状況に…というストーリー。
DVDパッケージは女性の横に二人の子供の写真。邦題からみて、フィンランド版アルプスの少女ハイジ的なノリかとおもったら、まったく違う。というか真逆じゃないか。警告しておくが子供と一緒には見れません。このスカしというか裏切りはちょっとタチが悪いな。騙しに近い。
内容はむしろ、『ノーマンズランド』に近いと感じたが、アンニという女性のキャラクターが、戦時下を扱った作品としてはユニークなので、新鮮と捉える人もいるかもしれない。
褒める人がけっこう多いので、自分の直感に不安を覚えなくも無い。要するに、ワタシ的にはイマイチだったということ。かみ合わないなりに展開する、三人の様子を“コメディ”と捉えられるか…、ワタシには無理。異なる民族同士が理解することの難しさをテーマにした社会派ドラマ?それにしては、演出の詰めが甘いし、最終的に平和への道を示唆しているとも思えない。おとぎ話のようだ…と評する人もいるんだが、最後のオチも捉えようによっては、かなり気持ち悪いでしょ(ネタバレになるのではっきりはいわないけど)。ワタシ、ちょっと想像すると吐き気がしてくるんですがね。
冥府の淵からヴェイッコを引き戻すくだりも、昔のデンマークドラマの『キングダム』が、よく言えばカオス状態、悪く言えばグダグダになったのを思い出してしまった。別にあのシーンがあっても悪いことはないんだけど、必然か?そんなに効果的か?と考えはじめると、なんか締りの無い映画に思えてきて、観る気が減退してしまった。
裸の王様的に評価してもしょうがないので、素直に言う。中途半端に気持ち悪いので、お薦めしない。
#ワタシが、フィンランドについて興味があることは、現代アートと、フン族と匈奴は同じルーツか?ということである。
公開年:2008年
公開国:日本
時 間:119分
監 督:北野武
出 演:ビートたけし、樋口可南子、柳憂怜、麻生久美子、中尾彬、伊武雅刀、大杉漣、大森南朋、筒井真理子、吉岡澪皇、円城寺あや、徳永えり、仁科貴、寺島進、六平直政、ふせえり、大林丈史、不破万作、ビートきよし、大竹まこと、三又又三、林田麻里、アル北郷、お宮の松、松坂早苗、丸岡奨詞、風祭ゆき、武重勉、山野海、こばやしあきこ、須永慶、諏訪太朗、ボビー・オロゴン、電撃ネットワーク 他
コピー:スキ、だけど。スキ、だから。
夢を追いかける夫婦の物語。。
裕福な家に生まれた真知寿は、絵を描くことが好きで、画家になることを夢見ていたが、父の会社が倒産し、立て続けに両親が自殺し環境が一変。叔父の家に預けられ、辛い少年時代を送るが、画家になるという思いだけで生き抜く。しかし大人になっても、一向に画家として芽は出ない。そんなある日、幸子という女性が、絵を描くことしか知らない真知寿に惹かれ、やがて2人は結婚。真知寿の夢は夫婦の夢となり、二人でアートの道を進んでいくのだが…というストーリー。
北野作品は、『座頭市』と『監督・ばんざい!』くらいしか観たことがない(それもTV放映)。どうも興味がそそられなくて、DVDレンタルしようとも思わないタイプの監督。漂う独特の暗さ…というか、なにか自分とは合わないようなタチの悪さみたいなものを、無意識に感じているみたい。
でも、おそらく喰わず嫌いなんだろう。最近、おすぎと淀川長治の映画対談の本を読んで、『あの夏、いちばん静かな海。』をものすごく褒めていたので、ちょっと興味が湧いている。
北野作品は、日本での興行はメタメタな場合は多いけれど、ヨーロッパで一定の評価を得ているので、コンスタントに作り続けられている。そんな状況の中で、「こんなのも作っておきたいな…」的なノリで作ったような本作。世の監督たちは、ひとつコケれば次は無い…くらいの一球入魂でやってると思うのだが、その覚悟に著しく欠けているように見えるのは、私の穿った見方だろうか。それを楽しめるほどコアなファンではないので、正直、最後まで観るのは辛かった。
でもね、私ごときが言うのもなんだけど、北野監督という人のセンスはまともだよ。娘がなんで死んだかを説明しなかった。凡人ならぜったいセリフにしちゃうものね。
冒頭で流れるアニメ“ゼノンのパラドックス”は本編の内容と何が関係あるのか、解ったような解らないような。ゼノンのパラドックスは、私も初めて聞いたときは、“不思議!”と頭を混乱させたものだけれど、後から考えれば、追いつくまでの時間をひたすら細分化しているだけのことで、詭弁中の詭弁でしかない。芸術なんてもっともらしいことを言っているだけ。“もっともらしい”だけなのに、世の中ではまるで真実のように扱われる。それも往々にして、判ってない人間ほど、それを真実と吹聴する。
パンと芸術どちらが人間にとって必要かという問いかけが、本作の随所に散りばめられている。最後には、最大の理解者である幸子までもが、現実から乖離し続ける真知寿を「人間じゃない」といって突き放す。でも、一度、アートというあってもなくてもいいモノにとりつかれてしまうと、どうしようもなくなってしまうもの。実際の北野監督も、興行的な成功と自分が満足する芸術性との乖離に引き裂かれそうになっているということだろうか。
でも、そこは、“喰わなきゃ死ぬ”人間が元々持っている業。社会の中でしか生きられない社会性動物の性。大概の人間は、弱いので(肉体的にも精神的にも)、いち早くそこに妥協点を見つける。でも、真知寿はその妥協点を見つけることはない。まるでダメ人間、弱い人間のように見えるけど、実は、それに折り合いとつけないくてもなんだかんだ生きていける強い人間なのだ。
中途半端に芸術家ぶって、真知寿に共感できるわ~なんてことは口が裂けても言えない。そんな強い人間なんて存在し得ないのだ。まるで神。最後の包帯姿が顕わしているように、芸術とは異形の神なのだ。人間は幸子のように、ただそれに寄り添うことができるだけの存在なのである。
笑える作品でも、スッキリする作品でも、泣ける作品でも、感動できる作品でも、芸術性の高い映画でもない。ソフィストが、自らの言葉か詭弁でることを重々承知の上で語った、“詭弁映画”である。それを聞いた上で、それでも興味が湧いた人だけ、観ればいいでしょう。
公開年:2001年
公開国:アメリカ、ニュージーランド
時 間:208分
監 督:ピーター・ジャクソン
出 演:イライジャ・ウッド、イアン・マッケラン、リヴ・タイラー、ヴィゴー・モーテンセン、ショーン・アスティン 他
受 賞:【2001年/第74回アカデミー賞】撮影賞(アンドリュー・レスニー)、作曲賞(ハワード・ショア)、メイクアップ賞(Richard Taylor、Peter Owen)、視覚効果賞(Richard Taylor、Jim Rygiel、Randall William Cook、Mark Stetson)
コピー:宇宙を変えた指輪のものがたり
はるか昔。冥王サウロンは世界を滅ぼすほどの魔力を持つ指輪を作り出す。中つ国は、その指輪の力でサウロンに支配されたが、一人の勇者がサウロンの指を切り落とし、国を救った。その後数千年間、指輪は行方不明になっていたが、ある日ホビット族の青年フロドの手に渡り、指輪を取り戻そうとするサウロンの部下が迫る。世界を守るためには指輪を“滅びの谷”に投げ込み破壊するしか方法はない。そこでフロドを中心とする9人の仲間が結成され、遥かなる道程の旅に出る…というストーリー。
今回は、スペシャル・エクステンデッド・エディションというものすごい長尺版で鑑賞(通常版より30分くらい長い)。DVDのタイムコード自体は3時間45分くらいあるのだが、エンドロールが25分くらいあるので実際は3時間半弱。もちろん初見ではない。もうTV放映も加えたら5回くらい見ているかも。
公開当時、劇場で観たが、そのときはいまいちストーリーが把握できず、思い起こしても所々???だったのだが、その後、このスペシャル・エクステンデッド・エディションを観て、すっきり腑に落ちた。さすが長大な原作なだけはある(というか、私の理解力が足りないのか)。
で、なんでいまさらこれを観たのかというと、先日の『宇宙からのメッセージ』の特撮のあまりのトホホぶりに辟易して、この心のやるせなさをなんとか補おうと…。
CG一辺倒ではなく、スターウォーズから脈々と流れるSFXの技術も極まり、身長差のある種族が同じ画におさまるカットも至極自然。特撮シーンをみて「ああ、特撮だなあ」と思わず、純粋に魔法だな…と思えるわけで、もう特撮の目的を究極的に実現したといえる。すばらしい。
日本映画でも(どの映画とは言わないが)、城郭や戦後日本の風景をCGで表現して、“すごいでしょ!”といわんばかりなのだが、子供が観ていて「これCGだね」っていうんだから、そのレベルたるや言わずもがなでしょ。もう少し、こちらをうまいこと騙してもらえないものか。根本的に、こちらはCGを観たい訳ではないのだから、わからないように使って欲しい。それができないなら、カキワリでいいのだ。それでもダメなら、そんな風景カットはいらないのだ。技術に溺れているというか、その技術をなぜ使うかという本当の目的を忘れているトンチキ野郎。「あ、CG」って思うだけで、映画の世界から現実の世界に、ひゅーと引き戻されるのだから、逆効果になっていることにすら気付かない。こまったものだ。
毎日、同じことを言っているが、もう少し、映画技術を使う意味、そして技術自体に対する敬意を、日本の映画関係者は思い出したほうがいいよ。
ちなみに、このスペシャル・エクステンデッド・エディションは、購入した知り合いから借りて鑑賞した。正直なところ、一度観た人は通常版でよい。さすがに長かった。未見の人、ファンタジー系に興味がない人も、是非観てほしい。
#つづけて2・3は観ないよ。私は、このシリーズの真の主人公はサムだと思ってる。
公開年:2004年
公開国:アメリカ
時 間:103分
監 督:ザック・ブラフ
出 演:ザック・ブラフ、ナタリー・ポートマン、ピーター・サースガード、イアン・ホルム、ジーン・スマート、メソッド・マン、アン・ダウド、ロン・リーブマン、デニス・オヘア、マイケル・ウェストン、ジム・パーソンズ、ジャッキー・ホフマン、アレックス・バーンズ 他
受 賞:【2004年/第20回インディペンデント・スピリット賞】新人作品賞
精神安定剤を常用して感情の起伏が少ない売れない役者のアンドリューは、母の死の報せを受け、9年ぶりにニュージャージーへ帰郷。父とは昔から不仲のままで、再会した旧友たちとも距離を感じてしまう。そんな時、偶然に天真爛漫でちょっと風変わりな女サムと出会い、彼女との時間を過ごすにつれ、忘れかけていた感情を取り戻していく…というストーリー。
今時、若いのに脚本&主演なんてめずらしいなぁ、、と、思いつつも、それなりのデキで、妙に納得…というかガッカリというか。全体的な雰囲気は、先日観た『ママの遺したラヴソング』に近いけれど、面白さとしては3割減くらい。
そんな中、ナタリー・ポートマンはなかなかがんばった演技を披露してくれていて、彼女のおかげでなんとか成立しているといっていいかも。しかし、前々から書いているが、個人的にナタリー・ポートマンは好みではないうえに、主役級の二人から不必要に知性が染み出ており、役柄と合っているとはいえない。若者の成長物語を描きたいのか何なのか。若者の傷の舐めあいみたいな様子に対して、少しでも共感できればよく思えるのかもしれないが、本作の場合はさっぱり。登場人物のユニークな行動やエピソードを盛り込んだつもりかもしれないが、すべてが弾けきれておらず、不完全燃焼。日本未公開なのもさもありなん。DVDパッケージのセンスの無いことダサいこと作品の雰囲気に合っていないことといったらない。
#冒頭の飛行機事故の演出もスベっているし。そこからイヤな予感はしたんだけどね。
原題の“Garden State”の意味がわからず調べてみると、緑が多い州ってことでニュージャージーの愛称だそうだ(庭の州ってことで、“地元”って意味なのかな?と思っていたが違った)。日本未公開なのに、DVD発売にあたって、こういう邦題と付けたのだろうか。ちょっとめずらしいかも。でも、微妙にアンマッチだが。
よほど、ナタリー・ポートマンのことが好きならば楽しめるかもしれないが、そうでもない人にはお薦めしない。ラストは「なんだかなぁ」となるに決まっている。
公開年:1978年
公開国:日本
時 間:105分
監 督:深作欣二
出 演:ビック・モロー、フィリップ・カズノフ、ペギー・リー・ブレナン、真田広之、岡部正純、志穂美悦子、千葉真一、成田三樹夫、天本英世、佐藤允、織本順吉、丹波哲郎、三谷昇、サンダー杉山、中田博久、林彰太郎、小林稔侍、ウィリアム・ロ 他
惑星ジルーシアは邪悪な皇帝ロクセイア率いるガバナス帝国に占領された。ジルーシアの長老は、遥か彼方にある太陽系に向けて“リアベの実”を8個放ち、リアベの実に選ばれた8人の勇士を導くために孫娘のエメラリーダと戦士ウロッコを送り出す。この実を手に入れた8人の勇者がガバナスとの壮絶な戦いを繰り広げる…というストーリー。
“東映特撮ヒーロー THE MOVIE”という、昔の東映まんがまつりの特撮作品だけをまとめたDVDがあるのだが、その中に『宇宙からのメッセージ 銀河大戦』というTVシリーズを編集した1本があった。TVシリーズは観たことがないのだが、石森章太郎作のマンガ(たぶんTVマガジンだと思う)で、ある星で巨大な蟹に襲われて戦うのだが、じつはその蟹の甲羅がやわらかくて…みたいなエピソードがものすごく記憶に残っている。
いや、まてよ。たしか『宇宙からのメッセージ 銀河大戦』って一番はじめは映画だったよな…。噂では知っていたが、そういえば観たことないぞ…と思い出し、本作をレンタルしてみたのだ。
実は、本作、製作までの経緯がとても興味深い(というかワタシ的に言わせてもらえればフザけているのだが…)。元々、別の特撮映画の企画進行中だったが、海外で『スター・ウォーズ』が大ブームの報を聞き、日本で『スター・ウォーズ』が公開される前に、似たようなのやっちゃおうぜ!ってことで、企画を変更。突貫工事で製作されたのが本作なのだ。
噂に聞けば、『スター・ウォーズ』がヒットといっても、それを海外で実際に観たものは数名で、ほとんどのスタッフが断片的な情報を元に、模倣に走ったとのこと。できうるかぎりのSF要素に八犬伝のモチーフを加え、なんとか映画にした感じである。
そんな作品なのだが、その後の特撮で多様されるような技術も初導入されており(光がぴゅんぴゅん飛ぶような合成)、日本特撮界的にはパイオニア的な部分もあるのだが、実はその技術の用い方で、技術に対する考え方が、日米で異なっていることが露見している。『スターウォーズ』では、様々な特撮技術が、製作者の脳内にあるイメージを実現するための“こだわり”に利用されているのに対して、本作では実現したいイメージを安易に(安価にというのが正しいか)表現するために用いられているのだ。同じく目的を実現するためでも、前者はより研ぎ澄ますために、後者はちゃっちゃっと作るために、この差は大きい。この姿勢は、作品の端々に現れる。戦闘機内のパイプや計器、ヘッドセットなど、普通の電気街や工具店で民生品として売っているようなものを流用。宇宙時代の酒場のキッチンにも民家にあるような食器棚、服装も商店街で売っていそうなジャケット、等々、細部へのこだわりは何も無いのだ。
映画の出来不出来を云々言う前に、もう、この姿勢にうんざりしてしまう。
実は、本作のDVDには、当時の製作発表のCM(映画館で流したもの)が入っている。『未知との遭遇』『スターウォーズ』に続いて『宇宙からのメッセージ』だ!(って、スターウォーズは公開していないわけで、逆にスターウォーズの宣伝になってやしないかい?)。海外スターの起用で大作っぷりをアピール。そのCMの中での特撮は結構まともで、期待が持てるのだ。でも、煽るだけ煽って、出来上がったものは、こだわりのかけらもないレベル。ストーリーも陳腐でガッカリしてしまう。
これでよしとする、深作欣二っていうのは、いったいどういう神経をしているのやら(まあ、深作欣二って人の作品でよいと思ったものはあまりないので、なんか本作を観て、その理由がわかった気もするんだけどね)。
ちなみに、本格SF作品とうたっているわりには、口に酸素マスクだけをつけて宇宙空間に飛び出し、さらにすいすいと手足で掻き分けて前に進んだり方向転換するなど、科学常識を著しく無視(それも、ジョークでやってるとは思えない感じで)。これをSFといった時点で、総スカンだと思うのだが、一体なにを考えているのか。
アメリカで『スターウォーズ』をやっているときに、日本ではコレ。その後、アメリカのSFX技術はCGをいう武器を得てますます発展し、日本では特撮ヒーロー番組は、息も絶え絶えながら何とか生き延びている状態。この差はなにか。映画技術に対する、真摯な姿勢と敬意の違いだ。ちょくちょく苦言を呈しているが、ライティング一つとっても大違い。日本映画は、もっと技術に敬意を払いなさい。
もちろん、珍作を観たいという人以外は観るまでもない。
#ちなみに、TVシリーズの『宇宙からのメッセージ 銀河大戦』は『スターウォーズ』公開後にTV放映されているのだが、チューバッカ的なキャラが登場するなど、より『スターウォーズ』へのパクリ度は増し、それに反比例し特撮技術は程度が落ちていく。チューバッカ的なキャラなんか、口すら動かないのに流暢にしゃべるのだ。いくら子供番組でも、笑いを通り越して怒りすら覚えるね(でも、なぜか、日本でも流行らなかったのに、フランスでは人気があったという。不思議だね)。
公開年:2003年
公開国:韓国
時 間:124分
監 督:イ・ジェヨン
出 演:ペ・ヨンジュン、イ・ミスク、チョン・ドヨン、イ・ソヨン、チョ・ヒョンジェ、チェ・ソンミン 他
コピー:一途な愛か。禁断の誘惑か。
18世紀末、李朝末期の朝鮮。ユ長官の妻チョ夫人は子宝に恵まれず、16歳の娘ソオクを側室に迎えることに。チョ夫人は一計を案じて、初恋の相手でもある従兄弟のチョ・ウォンに、ソオクを誘惑して婚礼前に妊娠させよ、その見返りとして自分の体を褒美とする、と持ちかける。チョ・ウォンは文武に秀でているが、高官になることを嫌い、書画を楽しみ、女たちとの戯れに生きる男だったが、そんな小娘を落とすのは簡単すぎてつまらないと一蹴。今、自分が目を付けている貞淑な未亡人チョン・ヒヨンを落とせたらを引き受けようと自ら条件を出し、2人の恋愛ゲームが始まる…というストーリー。
ラクロの『危険な関係』を下敷きに…ということだが、大筋のプロットはそのまま踏襲しているようだ。
根本的にこういう不倫モノはあまり興味がない。こういうタイプの映画が次々と記録更新!って、韓国ってどういう国じゃ…っていいたいところなんだけど、日本だって『失楽園』みたいなのが流行ったしね。要するに、個人的に好みじゃないということなんだな。
残念なことに、プレイボーイぶりが面白く見えた部分は一切なく、逆にイライラするばかり。最終的に真実の愛に目醒めた…みたいな心理描写も、演技や演出で表現するのではなく、セリフで説明しちゃうという稚拙っぷり。コミカルにするでもなく、シリアスにするでもなく、腰の据わっていないシナリオだ。狂言回しの家来の使いかたも取って付けたようで効果半減。この質の悪いシナリオのせいで、単なる“画が綺麗なエロ映画”に成り下がってしまっている。
ただ、厳格な(といわれる)李氏朝鮮を舞台にしたことは、背徳感の増幅に繋がって効果的で、その狙いは当たりだろう。なので、R-18になっちゃうまでに直接的な性描写にする必要はなかったと思うのだが、皆さんはどう思うか。
まあ、その前に、ペ・ヨンジュンが、松尾スズキのモノマネをするホリケンにしか見えないのが、もうちょっとなんとかならなかったものか…。
18世紀末の韓国に、切削でつくったような金属器やスプーンがあったり、清で使われているような刀ではなく、日本刀のような形状だったり、カトリックの聖餐でつかうパンが今使われているものと同じだったり、あんな小型の置時計があったり、あんな美しいカラー木版印刷技術があったり。知らなかったぁ。勉強になったなぁ、、、と、とりあえず言っておくか(まさか、時代考証がむちゃくちゃってことはないだろうな。おい)。
ちゃんとした映画になるはずのところを、“エロ”表現の壁を破るという履き違えた目的に捉われてしまい、結果的に迷走してしまった作品。お薦めしない。
#『カサノバ』のほうが楽しめた。
公開年:2004年
公開国:アメリカ
時 間:120分
監 督:オリヴィエ・ダアン
出 演:スカーレット・ヨハンソン、ジョン・トラボルタ、ガブリエル・マック、デボラ・カーラ・アンガー、ガブリエル・マクト、デボラ・カーラ・アンガー、デイン・ローデス 他
ノミネート:【2004年/第62回ゴールデン・グローブ】女優賞[ドラマ](スカーレット・ヨハンソン)
コピー:新しい出会い、新しい生活。私は、ゆっくりと歩き出す
家を飛び出して怠惰な生活を送っていたパーシーのもとに、母が亡くなったと報せが。実家に戻った彼女を待ち受けていたのは、母のもとで居候をしていた、元大学文学部教授のボビーと、彼を慕う作家志望の青年ローソン。パーシーを含め3人で家を相続したと言って居座る彼らと、渋々同居を始めるパーシーだったが…というストーリー。
原題にしても邦題にしても、ちょっとでも説明してしまうとネタバレになってしまうので、書くのはやめておく。簡単にいえば、あまりにもありがちなオチだったということ。文学的なテイストで押してきていたので、“ママの遺したラヴソング”ってやつに、心揺さぶるようなメッセージ性があるのだろうと期待したのが間違いだったのか、そんなものは無かった。
観終わって振り返れば…、よくなりそうな気配をつくりつつも達しないまま、モヤモヤとラストを迎えた、タチの悪い作品だといえる。もうちょっとどうにかすれば、心に響くようなシナリオに出来そうなものなのだが…。そうしようとあがいた形跡が見えないところが、またまた残念である。
スカーレット・ヨハンソンとジョン・トラボルタの両名は、どちらかといえばご贔屓の演者なので期待をしたが(特に後者の宗教的信条など脇によけて)。残念ながら期待はずれ。両者とも本作の役にはミスマッチに思える。『パルプフィクション』や『ロスト・イン・トランスレーション』の彼らには、遠く及ばない。
スカーレット・ヨハンソンは肉感がありすぎるのと、前歯のせいでちょっと口が半開きぎみなので、アホっぽくみえてしまう。『私がクマにキレた理由』にマッチしている彼女ではなく、『ロスト・イン・トランスレーション』の雰囲気のある彼女がみたいんだけどなぁ。
駄作は駄作でも、難点が多いタイプではなく、すべてが“及ばない”タイプの駄作である。“煮え切らない”作品の極みである。もちろんお薦めしない。
#ちょっと、この監督に、再オファーするのは勇気が必要。
公開年:2009年
公開国:日本
時 間:155分
監 督:堤幸彦
出 演:唐沢寿明、豊川悦司、常盤貴子、香川照之、平愛梨、藤木直人、石塚英彦、宮迫博之、佐々木蔵之介、山寺宏一、古田新太、高橋幸宏、佐野史郎、森山未來、小池栄子、木南晴夏、ARATA、六平直政、福田麻由子、竹内都子、竹中直人、石橋保、光石研、片瀬那奈、津田寛治、手塚とおる、田鍋謙一郎、サーマート・セーンサンギアム、チェン・チャオロン、田中健、西山潤、澤畠流星、松元環季、小倉史也、安西壱哉、黒羽洸成、森山拓哉、吉井克斗、、清水歩輝、矢野太一、藤原薫、山田清貴、乙黒勇希、上原陸、吉田海夕、安彦統賀、佐藤涼平、高嶋政伸、田村淳、神木隆之介、遠藤賢司、研ナオコ、北村総一朗、左右田一平、岡田義徳、河原さぶ、大河内浩、吉田照美、ダイアモンド☆ユカイ、MCU、原口あきまさ、武蔵、斎藤工、武内享、多田木亮佑、載寧龍二、高野八誠、藤田玲、永田彬、真野裕子、宮川俊二、中西学、スーパーストロングマシン、広田亮平、丸山智己、西辻正樹、田辺修斗、石橋蓮司、中村嘉葎雄、黒木瞳 他
コピー:もうひとつの 結末。もうひとりのともだち。
西暦2017年にあたる“ともだち暦3年”、世界は“ともだち”に支配されており、殺人ウィルス蔓延のため、東京は壁で分断されている。秘密基地の仲間たちは“ともだち”から逃れ、地下でレジスタンス活動を繰り広げているが、カンナは、ひときわ過激な“氷の女王一派”を組織し武装蜂起を計画中。突然“ともだち”は8月20日に人類が滅亡すると宣言するが、そんな中、死んだと思われていたケンジが姿を現わし、東京へ向け行動を開始する…というストーリー。
MONSTERこそしっかり読んでいたが、おなじ浦沢作品である20世紀少年には、手を出さずにいた。連載雑誌のをちょこちょこのぞいてはいたが、こまぎれの週間連載ではわかりにくかったのだ。流れが大事な話なので、ある程度一気通貫で読まないとね。かなり後になって、改めて全巻購入して(古本だけど)一気読み。MONSTER以上に楽しんだ。
その後、映画化決定で、キャストが発表されて、まあ、その似てるっぷりにはおもわず笑っちゃうほどだったが、結局、劇場にはいかなかった。私の中では漫画版で完結しているし、演者が似ている件は劇場にいかなくてもわかるし、足を運ぶモチベーションが沸くまでにはならなかったのだ。
その後、DVDのレンタルが開始されると借り、日テレで放送される補足版みたいなものも律儀に観て、なるほどなるほど…一生懸命原作のクオリティを壊さないように腐心してるなぁ…と。でも、さすがに2作目『最後の希望』では、制作側も危機感を募らせたのはなかろうか。破綻の匂いがした。原作をなぞれてはいるが、1本の映画として、山場の緩急に気をつかっているとはとても思えない。正直、純粋な映画としては、つまらないのだ。穿った見方かもしれないが、結局、興行的な失敗だけをおそれて、煽れるところは煽れるだけ煽ってみました…と、お偉方への報告のための演出って感じがした。
さらに、最終章まで原作上は結構な数のエピソードが残っている。元々ボトルピン的なエピソードは少なく、単に抜けばいいというものではない。結局、最終章では、浦沢直樹が、脚本監修ではなく、脚本にクレジットされなくてはいけないほど、漫画版とは“別モノ”というスタンスで、ストーリーの調整が行われたということだ。
で、ネタバレなので、未見の人は、以下、読まないように。
原作でも非常にわかりにくかった“カツマタ”君の存在。映画版のほうがすっきりはしているので好感は持てなくも無い。でも、いくらなんでも、クラスメイトのフクベエが死んだことを、別のクラスメイトが死んだと、全員が記憶違いをする…というのは、無理がありすぎである。ここはもうちょっと工夫しようよ…と肩をやさしく叩いてあげたい(苦労して考えたとは思うので)。同様に万丈目の扱いも大きく変更。こちらは、ちょっとご都合主義がすぎるし、最後の台詞も陳腐で、センスがない。
極めつけは、ライブであの歌を歌っちゃうんだぁ…ってところ。歌わないで終わらせるっていうパターンでは、映画として成立させるのは難しかったか。
で、エンドロールの後が、漫画版でいうところの“21世紀”少年にあたる部分なわけだが、まあ、原作の区分けを尊重した構成なんだろうが、これは、きちんとエンドロール前に組み込んだほうがよかったでしょう(私の編集センスなら、このようにはしない)。こんなんでおわっちゃうの?からの揺り戻し効果を狙ったんだけど、失敗しているね。
私ならスタッフロールは、オープニングで出してしまい。ラストは“おしまい”でスパーンと終わらせる。黒澤映画やカリオストロの城のエンドが一番効果的でしょう。
原作つきの映画のデキがよろしくない場合、原作は原作、映画は映画で割り切ることで心は落ち着くのだけれど、本作で原作者ががっちり噛んでしまったのでちょっと複雑ですな。まあ、『1』『2』までみた人はどうぞ。未見の人は、別に手をださなくていいのかもね。
公開年:2007年
公開国:アメリカ
時 間:107分
監 督:ケヴィン・リマ
出 演:エイミー・アダムス、パトリック・デンプシー、エイミー・アダムス、スーザン・サランドン、ジェームズ マースデン、レイチェル・カヴィ 他
ノミネート:【2007年/第80回アカデミー賞】歌曲賞(アラン・メンケン:“Happy Working Song”、アラン・メンケン&スティーヴン・シュワルツ:“So Close”、アラン・メンケン&スティーヴン・シュワルツ:“That's How You Know”)
コピー:それは、ディズニー史上最も“アリエナイ”魔法。
魔法の王国アンダレーシアに暮らすプリンセス・ジゼルは、エドワード王子と運命的な出会いして、結婚することに。だが、彼らの結婚によって王位を手放すことになるナリッサ女王は心穏やかではない。彼女の正体は実は魔女で、結婚式当日、老婆に化けたナリッサ女王はジゼルに近づき、彼女を井戸に突き落とす。ジゼルが辿り着いた場所は、現実の世界、現代のニューヨーク。ジゼルは人々にに助けを求めるが誰も手を差し伸べてくれず、途方に暮れていたが、バツイチの離婚弁護士ロバートとその娘モーガンに救われて…というストーリー。
連日の、家族のDVD鑑賞への便乗。
これをおもしろいと思うか否かは年代によって差があるだろう。
アニメのおとぎばなしの世界から現実の世界にやってきて、繰り広げられる騒動を「わ~、おもしろい」と純粋に思える要素と、いくらおとぎばなしのヒロインでもちょっとウザくていらいらするという要素、この2つを天秤にかけてどちらが勝つか…ということである。
おそらく、おじさんおばさん世代は、後者が勝つだろう。こういうトンチキでウザい人間は、実社会でもたまにいて、そういうヤツらにイライラした経験を、多かれ少なかれもっているはずで、それはリアルな経験に基づく感情なので、払拭しがたい。
それに、シナリオも練りがあまい。“このアニメの世界からお姫様が現実にとびだして騒動をおこす”という着想はものすごく素晴らしい。現代の映像技術のレベルから観ても、無理なく作れる適度な内容だと思う。しかし、結局、その素晴らしい着想に甘んじて、その他の詳細な作りこみがゆるゆる。あまりにも展開が読めすぎる。まあ、弁護士とお姫様がくっつくのが読めるのは当然にしても、カーテンで服を作ったところで後々現実世界でそういう商売をするんだな…と読めるし、ああ、ふられた物同士でくっつくんだな…とか、アニメの世界にいっちゃうんだろうな…とか、まあ、大抵の人が読めてしまい、さらにそれがヒネることもなくそのまま繰り広げられる(ちょっとヒネろうよ)。さらに、ラストのリスの重みで…ってところが伏線がわかりにくいのがいい例だが、わかりにく演出も多々ある。
本作は、素晴らしい発想に溺れ、それだけで満足して台無しにしてしまった悪い例として、後の映画人は、臥薪嘗胆、戒めとすべき作品である。
本作は、ティーン女子向け、、というか、それ以外の年代・性別の人には無理だろう。『天使にラヴソングを…』とは大違い。半面、ティーン女子は、かなり鳥肌モノなのかもしれない。そういう子たちにだけお薦めする。
公開年:1993年
公開国:アメリカ
時 間:108分
監 督:ビル・デューク
出 演:ウーピー・ゴールドバーグ、マギー・スミス、キャシー・ナジミー、ウェンディ・マッケナ、メアリー・ウィックス、バーナード・ヒューズ、ジェームズ・コバーン、ローリン・ヒル、ジェニファー・ラヴ・ヒューイット、アラナ・ユーバック 他
ノミネート:【1994年/第3回MTVムービー・アワード】コメディ演技賞(ウーピー・ゴールドバーグ)
セント・キャスリン修道院のシスターたちは、社会奉仕として高校で指導をしているが、タチの悪い生徒ばかりでお手上げ状態に。そこで、修道院長は今やラスベガスのシンガーとして忙しいデロリスに学校の指導の手助けを懇願。その学校がデロリスの母校であったことと、ほかでもない修道院長の頼みということで断ることができず、音楽担当として着任したが、思っていた以上に生徒たちの態度は悪く、さすがのデロリスも諦めかける。しかし、そんな中、偶然に学校の閉鎖話を聞いてしまうが、閉鎖を取りやめさせるためには、なにか目立った成果を上げなければいけない。そこで、デロリスは聖歌隊の結成し、コンテストで優勝することで、学校の閉鎖を防ごうとするが…というストーリー。
続いて『2』を観る。
昨今、惰性で『3』までつくってしまい失敗するパターンが目白押しだし、それどころか続編決定の段階で、『3』まで作ることが決定している場合も多々(『バック・トゥ・ザ・フューチャー』方式が成功の方程式と勘違いしてるんじゃなかろうか、と呆れることも)。
どういう理由があったかはしらないが、勇み足で『3』を作らなかったことが、『SISTER ACT』自体が長く評価・支持される一つの要因かも。
正直、導入部には続編故のストーリー的な無理がある。“SISTER ACT”っていうタイトルだから、デロリスを無理やり修道士系の学校で指導するSISTERにするわけだが、その“ACT”は本作の主軸ではないし、SISTERでなければいけないわけでもない。脚本にも無理がある。ローリン・ヒル演じるリタと母親との軋轢も、無理やり進路の問題にすり替わっているが、学校の窮状を救うためと説明するればどうにもなるだろうし、第一、勉強しろ勉強しろって言われても、今その勉強するための学校がなくなろうって状況なのに。冷静に考えたら、頭がおかしくなるようなトンチンカンな話なのだ。
その後の展開も凡庸で、イマイチな続編のレッテルを貼られる寸前なのだが、ローリン・ヒルの歌声にギリギリで救われている。はじめて観たとき(大昔だが)、彼女の歌声に驚愕したのを覚えている。
とにかく、設定や脚本のウィークポイントを補うように、楽曲への力の入れようはものすごく、気持ちのよい青春音楽映画に仕上がっている(実は、私、サントラ買っちゃっている)。ベタベタだとわかっていても、コンテストシーンは鳥肌が立ってしまう。
残念ながら『1』ほど、手放しで傑作とは言えないけれど、『1』『2』ワンセットで気持ちよく見ることが出来る良作といえる。両方とも短めなので、どうせ観るならワンセットで…とお薦めする。
#ただ、びっくりするのだが、DVDの日本語吹替えでは、このローリン・ヒルの歌まで吹替えちゃっている。勇気があるっていうのか、良い悪いのセンスがめちゃくちゃというか、呆れるしかない。
公開年:1992年
公開国:アメリカ
時 間:100分
監 督:エミール・アルドリーノ
出 演:ウーピー・ゴールドバーグ、マギー・スミス、キャシー・ナジミー、ハーヴェイ・カイテル、ウェンディ・マッケナ、メアリー・ウィックス、ビル・ナン、ロバート・ミランダ 他
ノミネート:【1992年/第50回ゴールデン・グローブ】作品賞[コメディ/ミュージカル]、女優賞[コメディ/ミュージカル](ウーピー・ゴールドバーグ)
【1993年/第2回MTVムービー・アワード】女優賞(ウーピー・ゴールドバーグ)、ブレイクスルー演技賞(キャシー・ナジミー)、コメディ演技賞(ウーピー・ゴールドバーグ)
【2007年/第33回セザール賞】主演女優賞(マリオン・コティヤール)、撮影賞(テツオ・ナガタ)、音響賞(Jean-Paul Hurier、Pascal Villard、Laurent Zeilig)、美術賞(オリヴィエ・ラウー)、衣装デザイン賞(マリット・アレン)
愛人による殺人現場を目撃したために命を狙われるハメになった売れないクラブ歌手デロリスは、警察に保護を求めたが、裁判の日まで修道院にかくまわれることに。しかし、下品に育った彼女が教会でおとなしくできるはずもなく、聖歌隊をゴスペル風に変え、TVで紹介されるほど話題になってしまい…というストーリー。
今回は、私のチョイスではない。先週あたりに『2』のTV放送をやっていて、家族が見ようとてチャンネルを廻したらすでに最後のほうだったみたいで、観たくなったとのこと。どうせみるなら『1』から、ってことみたい。とはいえ、もう我が家では10回ちかく見てると思う。定期的に観たくなるような作品のようだ。
それにしても、本作は何もTV放映される。今は日テレが放映権をもっているのだと思うが、放映権を買った金額を回収するために数度放映するのはわかるが、ここまで繰り返すことができるのは、毎回それなりに視聴率がとれているわけで、充分ペイしている優等生なんだろうな。そういう洋画は、『天使にラブ・ソングを…』『ダイ・ハード』『ホーム・アローン』くらいかな。
おもしろいことに、この3作、いずれも、海外ではめぼしい受賞歴がない。スポーツ界でよく言われる記録よりも記憶っていうのを地でいっているわけである。さらに本作は、他の2作よりも、視聴層の年齢・性別の範囲が広そうだ。『ダイ・ハード』は男性よりでやや年齢が上の傾向。『ホーム・アローン』はファミリーよりの傾向。本作は、性別も年齢もまんべんなくウケていそうだ。
単純なストーリーに、魅力的な出演人。ハーヴェイ・カイテルは本当に幅の広い役者。この歌のうまい女の子ティルダ・スウィントンがアカデミー賞を獲るようになるなんて。いまさらお薦めする必要もない作品だが、手放しで“良い”っていえる作品である。
#一見ズレた邦題に見えるけど、これを考えた人のセンスは大変すばらしいですな。
公開年:2009年
公開国:アメリカ
時 間:108分
監 督:ギャヴィン・フッド
出 演:ヒュー・ジャックマン、リーヴ・シュレイバー、リン・コリンズ、ダニー・ヒューストン、テイラー・キッチュ、ライアン・レイノルズ、ウィル・アイ・アム、ダニエル・ヘニー、ドミニク・モナハン、ケヴィン・デュランド、ジュリア・ブレイク、マックス・カレン、ピーター・オブライエン、アーロン・ジェフリー、アリス・パーキンソン、ティム・ポコック、パトリック・スチュワート 他
19世紀半ば、少年ローガンは、父親に起きた事件で能力を覚醒させ、同じく特殊な能力を持った兄ビクターと2人で支え合って生きていくことに。以来、二人は150年以上に渡り、兵士として幾多の戦場で生き抜いてきた。その後、軍人ストライカー率いる謎の特殊部隊“チームX”にスカウトされるが、ローガンはアフリカでの非人道的なミッションを巡ってメンバーと対立しチームを離脱する。6年後、ローガンはカナダにて恋人と穏やかな日々を送っていたが、突然ビクターが姿を現わし恋人を殺害、ローガンもビクターにより重傷を負ってしまう。復讐に燃えるローガンは、ビクターの暴走を止めるため力を貸してほしいと言うストライカーの申し出を受諾し、最強の戦士になる改造手術を受けたのだが…というストーリー。
アメコミを収集するほどのファンではないが、昔放送していたTVアニメは観ていたクチである。もちろんシリーズ3作も全部観ているが、『1』は雰囲気のあるいいデキだったがが、『2』『3』は善と悪の構図ばかりがクローズアップされ、まるで“X-MENサーガ”とでもいうようなものを構築しようとしているようだったが、結局大失敗し、眠たい作品になってしまった(実際に眠くなる)。
正直なところ、『3』のデキを見れば、スピンオフをつくることなんて許されるわけもないのだが、これは原作の力の賜物である。『アンダーワールド』しかり、スピンオフというのは、大概つまらないというのが相場なのだが、よくも裏切ってくれた。『2』『3』の薄っぺらさは無くなり『1』のいい雰囲気が戻ってきてとにかくうれしい。ストーリーのテンポも良く、SF・アクション映画として純粋に良いデキ。
シリーズ3作の中で謎だった、なぜローガンの過去の記憶がないのか、もしかしてプロフェッサーより年長なのかも?っていうセリフの真偽等々、解明されてスッキリである。
ただ、若干腑に落ちないというか釈然としないことが…。
X-MENのミュータントの話をするときに、ウルヴァリンって爪の出てくる人だよね…て話が出てくると、私は「ウルヴァリンは、爪が出てくるのがミュータントの能力じゃなくって治癒能力の人だよ。その治癒能力を利用して後から改造で爪を仕込まれてて、爪を引っ込めてもすぐに傷が治るんだよ」って説明していたのだ。本作では、元々、爪が出る能力は持っていて、それを合金でコーティングしたってことになってる。つまり、珍しく二つの能力を持つミュータントということだ。これって原作的には正しいのか?(ワタシはX-MENマニアではないので知らない)。ワタシのいままでの説明って…。なんかこっぱずかしいんですけど。
それに、サイクロプスなども登場していて、ローガンに救出されているわけだが、出会ってるどころか命の恩人なんだよね。それなら『1』でのサイクロプスたちの態度ってまるで初見みたいなんだけど…。
まあ、そういう細かいところは横に置いておいて。『2』『3』でがっかりして、もうX-MENはいいや…と思っている人も、戻ってきてほしい。大変よいデキなのでお薦めする。
#ちなみに未見の人は『1』だけ復習すればよい。『2』『3』は不要。
公開年:2005年
公開国:アメリカ
時 間:108分
監 督:ラッセ・ハルストレム
出 演:ジェニファー・ロペス、ロバート・レッドフォード、モーガン・フリーマン、ジョシュ・ルーカス、ダミアン・ルイス、カムリン・マンハイム、リンダ・ボイド、ベッカ・ガードナー 他
シングルマザーのジーンは、恋人の暴力に耐えかね、娘グリフを連れて、亡き夫の父アイナが経営するワイオミングの牧場へと逃げる。アイナは、熊に襲われ大怪我をした親友ミッチの世話をしながら静かに暮らしていた。息子の死を受け入れられず心を閉ざしてしまったアイナは、死の原因となったジーンを許すことが出来きずにいたが、そんな彼女の突然の訪問に加え、孫娘グリフの存在すら知らなかったため、戸惑い隠せない。仕方なくジーン母娘を住まわせるものの、ジーンとの関係はわだかまりが残ったまま。しかし、孫娘グリフがアイナーの冷たくなった心を少しずつ変えていく…というストーリー。
日本では未公開の作品。ロバート・レッドフォードにモーガン・フリーマンの出演作なのに、それでも未公開ってどんだけつまらない作品なんだろうか。ハルストレム作品は結構好きなのだが、とうとう彼の才能も枯れてしまったか?そういう興味でレンタルしてみた。
結果から言うと、これがなんで未公開なのか。とてもいい作品だと思うのだが。
確かに、強烈なエピソードは無い。驚いたり憤りを煽ったりするシーンも無い。泣けてくるような感動シーンがあるわけでも無い。他のハルストレム作品のように無残な目に合う人もでてこない。熊がらみで非日常な展開になるか?と匂わせつつ、実際にあってもおかしくないような話の領域からはみ出すことはなく、ハルストレムお得意の美しい農村風景の中、ゆっくりと話が展開していく。
でも、全然退屈ではない。さっきも書いたが、ハルストレム作品では、虐げられたり悲惨な状況の中で話が展開し、まるで泥沼で輝く光を見せてくれるようなのだが、本作ではそういう縫い針20本飲まされたみたいなような厳しい状況は無い。それにもかかわらず、キャラクター達の小さな心の動きから目が離せない。
その後、『カサノバ』『HACHI 約束の犬』とハルストレムのフィルモグラフィは続くのだが、それを考えると、本作は彼にとってのターニングポイントだったのかもしれない。
それにしても、本作を未公開とせざるを得ない状況、つまり小屋にかけてもペイしないと判断されてしまうような、日本の映画市場というのはどうなっちゃってるんだろう。あまりパッとしない作品だとしても、一昔前なら、小さな劇場で単館上映くらいしたと思う。派手だったりショッキングだったりセンセーションだったりして、子供にもわかるような内容じゃないと、買い付けすらされてもらえないのか?(受賞歴が無くても良作っていうのを見つけてきて小屋にかけることこそ、腕の見せ所だと思うのだが。)
まあ、別に今の世の中、DVDでリリースされるので、ワタシ的には困りはしないけれど、メジャーでわかりやすい作品しか劇場に乗っからないようでは、ますます映画館ビジネスは細っていくことだろう。未来は暗いですな。
DVDのパッケージも、メジャーどころの役者3人の顔を並べただけという力の入っていなさなのだが、ドンパチ・キャーキャーいう作品はちょっと小休止という人、是非観てほしい。お薦めしたい。
#アンフィニッシュ・ライフとアンフィニッシュ“ド”・ライフでは、ニュアンスがかなり違うと思う。原題のままでよかったんじゃないかなぁ。
公開年:1981年
公開国:日本
時 間:140分
監 督:富野由悠季、安彦良和
出 演:古谷徹、鈴置洋孝、飯塚昭三、古川登志夫、鈴木清信、白石冬美、井上瑤、鵜飼るみ子、池田秀一、森功至、藤本譲、小山茉美、田中崇、長堀芳夫、広瀬正志、中谷ゆみ、清川元夢、戸田恵子、政宗一成、曽我部和行、石森達幸、塩屋翼、島田敏、塩沢兼人、上田みゆき、緑川稔、水鳥鉄夫、緒方賢一、岩本紀昭、田中康郎、寺田誠、鈴木誠一、滝雅也、戸谷公次、二又一成、佐藤政治、龍田直樹、金沢寿一、沢木郁也、もりしげき、片岡富枝、加川三起、鈴木れい子、門谷美佐、高木早苗、永井一郎 他
スペースコロニー・サイド3は“ジオン公国”を名乗り、地球連邦政府に対して独立戦争を挑む。彼らの“ザク”に対抗するために、地球連邦側もモビルスーツを開発し、サイド7で性能テストを行っていたが、その動きを察知したジオンは、スパイを送り込む。功を焦った兵士の襲撃により、サイド7は瞬く間に戦場へと変わるが、ホワイトベースへの避難中に偶然ガンダム”の機体と説明書を見つけたアムロ・レイ少年は、混乱の中、ガンダムを起動させ、苦戦しながらもを敵を撃退する。多くの兵士が戦死したため、アムロはなし崩し的にガンダムのパイロットを続けることになるが…というストーリー。
まずはじめに断っておくが、今回観たのは、“特別版”というものである。観た…というよりも観てしまったというほうが正しい。これは、劇場公開時の音声(音楽・効果音・声優)を変えた版が存在する。いや、現在、レンタルされているのはこの版しかない模様(詳しい事情は調べてね)。ガンダムファンならご存知かもしれないが、知らない方に注釈すると、この版はすこぶる評判が悪いのだ。
皮肉なことだが、音というのは記憶と密接に絡み合ってるんだなぁ…ということが体感できてしまう。
あたらしいSEになっているな…くらいは感じるだろうなとおもっていたが、実際に見てみると、脳はそれ以上の違和感を感じて、アラームを発生して止まない。過去に2度くらいみただけだと思うのだが、こんなに“違う!”と感じるとは、自分でも驚きだった。
よく匂いと記憶は密接だ…ということはきくけれど、音も思っているより重要なのだな、、と。それにしても、長らくDVD化されなかった劇場版ガンダムに、世のファンが期待するのは、現在の技術レベルになっていることではなく、当時の空気感を感じることだと思うのだが、なんでこんなことをしちゃうかな(というか、なんでこれを世に出そうと思ったかな)と、本気で思う。非常に中途半端なデキで、珍作といってもいいかもしれない。
で、このDVDの版の苦情を言いたいわけではないので、ここでやめて、内容のコメントに入る。
ほぼ、TV放送を編集しなおしている内容なのだが、ダイジェスト版になっておらず、しっかり少年の成長物語になっていることに感心。散々言われつくしているが、あえて言おう。ロボットアニメといって忌避するなかれ。見落とされがちだか、戦争によって人口の半分(それも働き盛りの人間)が死んでいるという、特殊な状況設定の中で、少年少女たちが戦争を続けなければいけないという内容は、ロボットが登場しなくても十分興味深い設定である。生き残った大人たちがクソみたいなヤツラばっかりだったり、登場人物が話している内容がちょっとズレている気はするのだが、そういう異様な設定の上でのことと思えば、十分成立しているのだ。
今回は、男の子向けのロボットアニメなんか見ないわよ…という、女性の方々に向けてコメントする。だまされたとおもって観てごらんなさい。なぜ、この作品が日本で語り継がれているかが、きっとわかるだろう。逆に大人になって観ることに意味があるような気がする。
で、もう一ついいたいことは(実は今回観た理由はこっちだったりする)、世に、色々なTVアニメや特撮番組があると思うが、このように2時間映画3本くらいに、再編集してレンタルすることはできないものかなぁ…と。版権の問題とかいろいろあると思うのだが、昨今の不景気で派手にアニメを制作するのも少なくなってきていると思うので、マニア以外の新たなファン獲得という意味でも、こういう再編集作品って、増えないものだろうか…、この手法で、ダンバインとかバイファムとかのOVAを作っておもしろくできないものかねという、妄想のような企画を考えていたら、思わず手に取っていた…ということである。
#実は、公開版は販売のみされていて、購入した知り合いから見せてもらったことがある。そちらは、いうまでもなくばっちりである。
出張とか入ると、投稿は遅れてしまいますわ。
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