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公開年:1983年
公開国:フランス
時 間:90分
監 督:リュック・ベッソン
出 演:ピエール・ジョリヴェ、ジャン・ブイーズ、フリッツ・ヴェッパー、ジャン・レノ 他
受 賞:【1983年/第11回アボリアッツ・ファンタスティック映画祭】審査員特別賞、批評家賞





近未来。世界の文明は滅びてしまい、生き残った人間もわずかに。大気汚染によって声帯に異常をきたした人々は、言葉によるコミュニケーションを取ることができなくなっていた。かつて都市だった土地は独裁者によって支配されていたが、彼らと組みすることなくビルの屋上に暮らす一人の若い男がいた。独裁者は奴隷を使って、かつての文明の利器を掘り出していたが、若い男は、独裁者が発掘した物から少しづつ部品を盗んでいる。男は、その部品で、こつこつと飛行機を作り、この土地を脱出しようとしていたのだ。いよいよ、バッテリーをつければ飛行機は完成という段階に。しかい、独裁者とその手下たちはバッテリーが盗まれたことに気付き、若い男を追跡。若い男は自室まで追いつめられるが、間一髪で離陸に成功。みごと逃げ切るのだった。若い男が目指すのかつてのパリ。若い男が訪れた場所では、老齢の意志が病院だった建物に籠城していたが、そこにある食料を狙って凶暴な男が日々攻撃を仕掛けていた。若い男は凶暴な男に襲撃され重傷を負ってしまうが、医師は若い男を治療するのだったが…というストーリー。

…と、あらすじを書いてはみたが、色々ネット上で情報を拾ってなんとかまとめられた状態。はっきりいって、観ただけで設定を把握できる人間なんかいないと思う。独裁者が部品を掘っていて、主人公がそれを盗んでいるなんていう状況を、人目で把握できたらすごい感性。これがリュック・ベッソンのデビュー作と考えるとちょっと困惑する。現在の作風の萌芽が感じられるなんて評する人もいるけど、私はそこまでは感じなかった。

若気の至りというか中二病というか、そんな内容。完全なディストピア物。少なくとも“医師”という肩書の老人が存在するわけで、その老人が仮に80歳程度だとしても、世界がこんな風に荒廃したのは、彼が医師免許を取得した年齢以降。長くても60年前に荒廃が始まったということになる。若い男はそれ以降に誕生したわけだから、十数年前までは女性は存在。そこそこ構造物は残存しているいるが、一方、骨とか一切見当たらないし、不自然さは感じざるを得ない(この状態になんでなったのか?については作中で語られることはない)。正直、地球の近未来じゃなく、架空の世界のお話だと思って観ていたほどだ。

でも、この作品が作られた当時の社会に蔓延する“どうせ…”という空気や、極端に個人主義を良しとする風潮が生む殺伐とした社会を、“ディストピア”として表現したと好意的に考えれば、悪くはないのかもしれない。

老人は、ある意味、人間の種の尊厳に関わる秘密を隠匿している。老医師は若い男に心を許していくが、完全に許すわけではなく、小出しに秘密を伝えていく。しかし、その一縷の希望も、ジャン・レノ演じる凶暴な男によって、無残に散ってしまう。この虚無感や虚脱感こそ、リュック・ベッソンが表現したかった部分なのかもしれない。

いずれにせよ、思いついたことを、ここまで形に持って行ける点については、感心する。やはり、こういうまとめあげる能力こそ、大成する重要な要素なんだと痛感する。日本人の場合、こういう才能をもっている人は漫画家になっちゃう人が多いのかな。いずれにせよ、思いつきを発表できる形にする能力に対して強いジェラシーを感じる(私には無い)。
はっきりいって作品自体は面白くないが、現在のリュック・ベッソンを踏まえた上であれこれ考察する分には、意味を感じられる作品かも。大学の映画サークル並みに見えるかもしれないけど、置きにいっていない突き抜け感が味わえる作品ではある。

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公開年:2012年
公開国:フランス、ベルギー、カナダ
時 間:79分
監 督:パトリス・ルコント
出 演:ベルナール・アラヌ、イザベル・スパッド、ケイシー・モッテ・クライン、イザベル・ジアニ、ロラン・ジャンドロン 他
コピー:ようこそ、自殺用品専門店へ。ステキな“人生”をご提供致します。





絶望が蔓延している大都市。ここに住んでいる人々は、生きる意味を見出せず、次々と自殺していた。そんな中、唯一繁盛している“自殺用品専門店”があった。そこは、トゥヴァシュ一家が営む10代も続く老舗。父のミシマと母のルクレス、長女マリリン、長男ヴァンサンが、クスリとも笑わず、お客に自慢の自殺用具を勧めていた。そんなある日、トゥヴァシュ一家に末っ子アランが誕生する。両親はこれまで通りの教育を施したにも関わらず、アランは健やかで明るく超ポジティブ思考の少年に成長してしまい、両親の悩みのタネとなっていた。そのポジティブっぷりは止まることを知らず、とうとう店の自殺用具を“自殺できない用具”に改造する始末。おかげで、店は経営危機に陥ってしまう。しかし、ヴァンサンとマリリンは、アランの優しさに触れて徐々に気持ちが変わっていき…というストーリー。

とことん悪趣味なテーマだが、どこまで突き抜けた悪趣味を見せられるかが勝負の作品。よって、かわいいキャラは禁忌。このように気持ち悪い絵柄はマッチしていると思う。所々、味の無いデジタル彩色にがっかりする部分はあるが、映像的には悪くなかった。

ミシマ? 相変わらず、日本文化(というか自国文化以外)を勘違いしているフランス。いや、見下しているという表現のほうが正しいな。この優越思想の滲み出し具合は、確信犯以外の何者でもない。バカにしているつもりが微塵もないだけに逆にタチが悪い。カンヌ映画祭で、貧しかったり政情の悪い国の作品を見つけてきて、必要以上に持ち上げて、「意識の高いオレ、スゴイっしょ!」ってやってる自分の醜さにいまいち気付いていないのと同じ。

誰もが、自殺したくなっている街で、唯一流行っているのがこの一家の店という設定。ユニークではあるが、じゃあ、なんで社会は回っているのか?という描写が薄いのが難点。自殺した人の部屋に、救急車や警察が向かうわけだが、その公務員たちも自殺したいんじゃないのか?
ネガティブ思考に陥りながらも、商売や行政サービスをしている人々の様子をおもしろおかしく描くべきと思うのだが…そういう描写はない。

明るいアランが周囲を変えていくという展開は悪くない。でも、家族が急に罪の意識に目覚めるというのは、つまらない展開ではなかろうか(あまりに普通すぎるという意味で)。実は、安楽死の問題の通じるペーソス溢れる題材だと思うのだが、この監督は、それを理解していない…というか意識していないように見える。
いかにも教科書的な“生命万歳”じゃなく、悪趣味をとことん貫いた先に、光が見えるような作品にしてほしかった。

こういう腰砕け作品は好きじゃない。

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公開年:1998年
公開国:イギリス
時 間:108分
監 督:グレン・フィカーラ、ジョン・レクア
出 演:ニック・モラン、ジェイソン・ステイサム、ジェイソン・フレミング、デクスター・フレッチャー、スティング、スティーヴン・マッキントッシュ、ヴィニー・ジョーンズ、レニー・マクリーン、P・H・モリアーティ 他
受 賞:1998年/第52回英国アカデミー賞】観客賞
 【1999年/第8回MTVムービー・アワード】新人監督賞(ガイ・リッチー)
【1998年/第11回東京国際映画祭】最優秀監督賞(ガイ・リッチー)
コピー:悪を出しぬけ 疾走するイノセンスな完全犯罪


ロンドン、イーストエンドに暮らすエディは、ポーカーが得意。ある日、仲間のトム、ベーコン、ソープから金を集め、ポルノ王として町を牛耳るハチェット・ハリーを相手にカード賭博で一儲けしようと企む。しかし、ハリーの用心棒バリーの八百長にハマり、資金を失うどころか、逆に50万ポンドと巨額の借金をつくってしまう。返済の猶予は一週間。返済できなければ、エディの父親のパブが借金のカタに取り上げられてしまう。途方に暮れる4人だったが、偶然、エディの隣の部屋から強盗の計画としている声が聞こえてくる。隣に住んでいるのは麻薬の売人ドッグとブランクで、金持ちの若者たちが経営しているマリファナ工場を襲撃するとのこと。4人は、彼らが盗んできたマリファナを、横取りしようと考え、早速、ギリシア人のニックから2丁の散弾銃を調達する。しかし、その散弾銃は、ハリーがかねてから捜し求めていた骨董品で…というストーリー。

なんか、『スナッチ』の劣化版みたいだなー、なんて思ってたら、コレもガイ・リッチーだった(笑)。同じことしかできねーのか?と思ったが、『スナッチ』の前の作品で、長編映画デビュー作だった。

日本語に吹き替えても、ここまで台詞回しが面白いってのは、すごいかもしれない。監督よりも脚本家としての才能を感じる(「太った」のくだりとか、意味がいまいちわからないものもあるけど…)。『スナッチ』を知らなければ、手放しで愉しめたのは間違いなく、確かに本作を観たら、こりゃ期待の新星だ!と思ったことだろう。

この手の作品だと、時間を遡って説明することがありがちだけど、そういう部分が少なくて好感が持てる。大きくは、マリファナ強奪の流れと、銃の行方の話が軸となって話は進む。そこに、マリファナ工場、借金の取立屋、窃盗犯、バッタ物屋、麻薬の売人、ポルノ王…が、渦巻いていきながら、そして誰もいなくなった状態に。これだけ犯罪者サイドに並べておきながら、ごちゃごちゃせずに整然としたシナリオ。

息子に対して、クールというか、まったく愛情を示さない父親も、なんとも良い味を出している。

ちなみに、ロック、ストック、バレルっていう登場人物は出てこない。Lock, stock and barrelで“一切合財”っていう成句らしい。銃の部位の名前だとか。話のカギになる骨董品の銃のこととかけたんだね。
#『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』のイタズラする子供の名前もそれだったね。

観て損はない作品だと思う。
#ジェイソン・ステイサムが無双状態じゃなくて、普通の若者という設定はめずらしいかも。

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公開年:2006年
公開国:アメリカ
時 間:121分
監 督:アダム・マッケイ
出 演:ウィル・フェレル、サシャ・バロン・コーエン、ジョン・C・ライリー、ゲイリー・コール、マイケル・クラーク・ダンカン、レスリー・ビブ、ジェーン・リンチ、エイミー・アダムス、アンディ・リクター、モリー・シャノン、グレッグ・ジャーマン、デヴィッド・ケックナー、イアン・ロバーツ、ジェイク・ジョンソン、エルヴィス・コステロ、モス・デフ 他
受 賞:【2007年/第16回MTVムービー・アワード】キス・シーン賞(ウィル・フェレル、サシャ・バロン・コーエン)


父親のリースが酒とドラッグに溺れて家を出て行き、それ以来、母親の育てられたリッキー・ボビー。幼い頃かスピードに取り付かれていた彼は、人気カーレース“NASCAR”の参加チームの一員だったが、ひょんなことから、ドライバーとして参戦するきっかけを得る。そのチャンスを得ると、瞬く間に才能を開花させてドライバーの頂点に君臨。子供の頃からの親友カルもドライバーにして、コンビプレーで敵無し状態に。莫大な収入を得て、豪奢な生活を送る日々だった。そんなある日、F1レーサーのフランス人、ジャン・ジラールがNASCARに参戦してくることに。強力なライバルの登場に苛立ちを隠せないリッキーは、過剰な対抗心からレース中に大クラッシュしてしまう。依頼、スピードに対する恐怖を抱いてしまい、参戦は不可能になってしまう。収入が激減しただけでなく、何と妻までカルに寝取られる始末。とうとうピザのアルバイトをするまでに成り下がってしまうのだったが…というストーリー。

不幸な生い立ちながら、ワンチャンスを物にして成り上がるというサクセスストーリーかと思いきや、調子こいて、とんでもないクソ野郎にという展開。ウィル・フェレルがそれを演じると、コメディのラインを超えて、本当に不快に映る。スゴいんだかスゴくないんだか。いまいち日本でウケないのは、そういう部分だと思う。個人的には嫌いではないけど(正直、彼のギャグは嫌いじゃない)。

で、彼にフランス人ドライバーのライバルが登場して、大ピンチになるのだが、相変わらずクソ人間っぷりで、応援したい気にはならない。かといってフランス人ドライバーも応援したいキャラじゃない。別にゲイだからってわけじゃない。性格がクソなの。で、だれのことも応援したくない内容のお話を、愉しめるか?って話。このお話全体が、俯瞰で眺めると状況がおもしろいな~ていう演出をしている訳じゃないから、シラけるんだよね。前半で観客の心を掴むのに失敗していると思う。
こんなにくだらない内容なのに、レースシーンはものすごくお金がかかっているのが良くわかる(でも、客に「もったいねーなぁ」って思わせちゃだめだよね)。

そのままフランス人と揉め続ける構図なのかとおもったら、焦点は相棒に移っちゃう。フランス人ドライバーをあまりうまく使えていないシナリオだと思う。
一番腹立つのが、リッキーのクソガキどもなんだけど、もう救いようのないレベルで、これ、どうやってオチつけるんだろ…って感じ。このままクソ作品で終わるのかと思いきや、それなりにまとめてくる。アメリカ映画界の脚本テクニックってすごいわ…と、その点については、素直に感心する。

クソガキのくだりも、父親のくだりも、最後の盛り返しはスゴいかったと思う(サシャ・バロン・コーエンの使い方はちょっともったいない気gするけど)。なんで脚本家はもっと前半でこの力を発揮できなかったのか。脚本には、ウィル・フェレルと監督のアダム・マッケイがクレジットされている。どっちかが書いた脚本を、見かねてどっちかがテコ入れしたって感じなのかな。

まあ、安定の日本未公開…というレベル。

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公開年:2006年
公開国:アメリカ
時 間:93分
監 督:リアム・リンチ
出 演:ジャック・ブラック、カイル・ガス、JR・リード、ロニー・ジェイムス・ディオ、ポール・F・トンプキンス、トロイ・ジェンティル、ネッド・ベラミー、フレッド・アーミセン、エイミー・ポーラー、ティム・ロビンス、デイヴ・グロール、ベン・スティラー、ミート・ローフ、コリン・ハンクス、エイミー・アダムス、ジョン・C・ライリー 他
コピー:目指すはロックで“成り上がり”



JBはロックが大好きな少年だったが、敬虔なクリスチャンで厳格な父親は「ロックは悪魔の音楽」だといって固く禁じていた。JBは、ロックの神と崇めるディオから「ハリウッドを目指せ」と啓示を受け(たと思い)、ハリウッドを目指しs家を飛び出しすのだった。とはいえハリウッドの場所すら知らず飛び出したため、長年アメリカ全土を放浪することとなち、とうとう本場ハリウッドに到達したことには、はすっかり大人になっていた。JBは該当でギターを弾くおじさんのKGと出会う。KGのギターの腕前にほれ込んだJBは、一緒にバンドを組もうと持ちかけるが拒否される。その夜、JBが街角のベンチで寝ていると、『時計じかけのオレンジ』の扮装をした男達に袋叩きにされてしまうが、それを通りかかったKGが救うのだった。その後、すったもんだの末、二人はロック・ユニット“テネイシャスD”を結成する。ある日、音楽雑誌を観ていると、ロックスターが同じピックを持っていることに気付き…というストーリー。

冒頭の子役がジャック・ブラックに似すぎで笑える。掴みはOK。
小学生くらいの男の子が家出して放浪した末に、すっかり大人になってやっとハリウッドに到着とか、色々意味がわからない(高校生くらいの年齢だっていうならわからんでもないが)。だけど、全編を通してこういうノリの作品なの。ツッコミを入れる気は、早々に放棄することになる(良い意味でも悪い意味でも)。

自分はロックの世界で生きる、絶対に成功する…と、根拠のない確信によって行動原則が貫かれている。“自分はすごいロックスターだ”という勘違いではなく、そうなれるという前向きな勘違いなので、気持ちがいいちゃ気持ちがいい。

上のあらすじで“すったもんだの末”と簡単に書いたが、ユニット結成のミソはその部分に詰まっていて、KGが自らを実は有名な音楽関係者と偽ってJBを騙す、バレる、よくわからんけど仲直りする…という、かなりこねくり回した内容になっている。正直、文字でおこしてしまうと意味がわかんない展開だったりする。

で、そうやって腹ボテなおっさん二人が、ロック魂を発露してく様子が綴られていくなら、さぞや面白かったのだろうが、“成功するためには、伝説にピックが必要”っていう物のせいにしちゃう展開になる。これを良しとするかどうか。その伝説ってのが比喩とかではなく、本当に悪魔の所業という、ファンタジーになっていく。まあ、物に頼っちゃだめよ…っていうオチにはなるんだけど、教訓めかした流れに面白さがあるわけではない。

さらに、KG役の人が、二人でロックスターを目指し始めた途端、つまらないキャラクターになっていく。ほぼ、後半は反目してばかりなので、一緒におもしろいことをするという流れも少なくなっていく。

脚本家も飽きてきたのか、終盤のシナリオはかなり雑。赤外線解除のスイッチが、赤外線の先にある意味が不明とか(閉じ込められた時用っていう解釈もできなくないけど、あれだけ赤外線が密集してたら、綺麗に閉じ込められる方が稀だし)。そういう雑なノリはわざとなのかもしれないんだけど、わざとに見えないんだよ。

要所要所で、ロック・ミュージカルな演出が挟まれるのだが、作品を通して統一感があるのはコレ。この要素ももっと多くして全面に出していけばよかったと思うのだが。

ちょこちょこクスりとできたが、そこまでの作品。ちょっとギターを買いたくなったけどね。

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公開年:2004年
公開国:アメリカ
時 間:93分
監 督:ジェフ・シェイファー
出 演:スコット・ミシュロウィック、ジェイコブ・ピッツ、クリスティン・クルック、ミシェル・トラクテンバーグ、マット・デイモン、ジェシカ・ボース、ヴィニー・ジョーンズ、トラヴィス・ウェスター 他






卒業式の日に彼女にフラれたスコット。ドイツ語の科目の手伝いをしてもらって以来のメル友のドイツ人マイクへ、グチのメールを送信すると、同情したマイクから「慰めにアメリカに行く」という返信が。とっさに「オレはゲイじゃない!」と返信してしまう。ところが、弟からの指摘で、実は“マイク”はドイツ語読みでは“ミーカ”で女の子であることが判明。あわてて謝罪メールをするものの、既にメールはブロックされてしまっていた。なんでも相談できる友達を失ったことと、実は女の子だった勿体なさが相まって、居ても立ってもいられくなったスコットは、友人のクーパーと一緒に、彼女が住むベルリンへ向かうことを決める。予算が少ない彼らは、安い便を使って一旦ロンドンに入り、そこから陸路でベルリンへ向かうのだったが、さっそくフーリガンに絡まれてしまい…というストーリー。

メールをブロックされたって、別の人のアドレスからメールすりゃいいだけだろ…って。旅の始まりがそんなマヌケな演出から始まるのが残念なのだが、結果的には、悪くない作品だった。

若者の性がテーマで、裸祭りでモザイクもなしという映像的には過激な作品なんだけど、トータル的には全然エロく感じなくて、不思議とライトなコメディにうまくまとまっている。
日本人の私からしたら、性の奔放具合は、アメリカもヨーロッパも変わりないだろ!って思うけど、作中「ヨーロッパの大胆なセックスに嫌気が差した人間が、アメリカに移住してきたのだ」みたいなセリフがある。アメリカ人は自分たちの国をつまらないと自覚している模様。興味深い。

ロードムービーとしてもなかなか優秀。目的地にたどり着けなくなる原因として、フーリガンやら、頭のネジが外れたトラック運ちゃんとかが出てくるんだけど、魅力的に描かれている。特にフーリガンの兄ちゃんはいい味だった。随所にちりばめられたギャグも、日本人でも十分理解できるセンスで好感が持てた。

終盤に向かい、舞台がイタリアになるあたりで、休息にギャグのパワーが落ちる。サンマルコの鐘のくだりとか、いくらなんでもそれはない…って感じ。安易でつまらなかった。冒頭のメールブロックの件と、この件だけが残念な点かな。

青春ギャグ&ロードムービーとしては、ちょうど良い頃合い。いや、完成度は高いと言い切ってしまって良いと思う。いいセンスの監督だと思うのだが、その後パっとした活躍がないのが不思議。軽くお薦めしたい作品。

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公開年:2011年
公開国:アメリカ
時 間:81分
監 督:ルイス・ショーンブラン
出 演:キャシー・フリーゲル、ジェイソン・ロックハート、ディラン・ヴォックス 他







201X年。山中に一体のエイリアンが飛来する。姿を消す能力と、DNAを使って人間に化ける能力をもったエイリアンは、遭遇した人間を次々と殺していく。一方、地味な青年タイラーと友人のジェイクは、幼馴染にジェシーら4人の女の子と一緒に森へキャンプ場へ行く。楽しく過ごすつもりだったが、一人のわがままな女の子の振る舞いによってしらけムードに。そのまま一夜が明けるが、その女の子の姿が見えない。迷子になったと思い捜索するが、そこには血まみれの彼女の靴が。すると突然、不思議な風体の女性が現れる。彼女は自ら宇宙人と名乗り、この姿は“アバター(化身)”であると説明する。そして、とある生物兵器を追って地球に来たこと、おそらく行方不明の子はその生物兵器によって殺されたであろうことを告げる。宇宙人は、生物兵器を倒す装置が故障してしまったため、協力してほしいというのだったが…というストーリー。

あらすじを書くと、改めてバカバカしくなってくる。内容が無いに等しい。いや、ストーリーはあるよ。でも、“人間の変化”みたいな側面がまるっきり欠如している。すごろくレベル。エド・ウッドのシナリオに近いかもしれない。

青い顔をした宇宙人が乗ってきたUFOの計器には英語表記が。宇宙人の言語は英語のようだ。あなたたちの言語は単純だから…っていうとってつけたような説明が入るのだが、機械の表示が英語である説明になっていない。アホかと。もうちょっと面白い説明で笑いをとればいいのに…と思うのだが、これでよいと本気で思っているフシがある。そのセンスに、ある意味恐怖を覚える。

やたら、宇宙人のテクノロジーが進んでいることばかりセリフにでてくるから、何かの複線かな?と勘ぐっていた。例えば、逆に地球なら誰でも知っているような科学理論だけが、なぜか宇宙人にはわからないとか。電磁力の法則をしらないとか、そういう面白い設定を差し込むとかすればいいのに。フレミングの左手の法則とか、みんなで電磁力の手の形をやって、「Oh~!」とか。馬鹿馬鹿しくていいじゃん(笑)。でも、結局、なんの複線でもなかったわ。

キャラの配置もいまいち謎。いちばんヤボったい子を殺しちゃうセンスは、日本人にはないよねー。

技術的には、民生品でかなりのことができるようになったため、技術を補うために偏執的な努力が不要になっている。思わず“くっだらね~~!!”って言ってしまう、陳腐な技術をバカにしつつも愛してしまうという、涙ぐましい努力に対して好感を持つということが無くなってしまった。
無味乾燥なつまらなさだけが残っている。

この映画サークル、なかなかやるじゃん!っていうレベルだった。

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公開年:2011年
公開国:スペイン
時 間:114分
監 督:エンリケ・ウルビス
出 演:ホセ・コロナド、ロドルフォ・サンチョ、エレナ・ミケル チャコン、フアンホ・アルテロ、ペドロ・マリア・サンチェス、ナディア・カサード 他
コピー:その男の衝動は、正義か邪心か――。





中年刑事のサントスは、かつて情報部で活躍していた敏腕捜査官だったが、数年前にコロンビアで同僚に重傷を負わせてしまい、失踪人捜索課に左遷されてしまう。その後は、閑職にうんざりする日々を酒で埋め合わせる日々を送っていた。ある日、泥酔して立ち寄った酒場で不審な男たちを目撃。酔いも手伝ってトラブルとなり、3人を射殺してしまう。とっさに証拠隠滅を図るが、現場に潜んでいた男を逃してしまう。保身のためにその男の行方を追うのだったが、売春組織や麻薬販売ルートとの繋がりが浮かびあがり…というストーリー。

判りにくい。まず、その一言に尽きる。改めてあらすじをネットで調べないと、整理できないくらいわかりずらい。

上に書いたあらすじでは、左遷されたくだりを先に書いたが、実際は酒場で刑事の身分証明書を持っている小汚いおっさんが、理不尽にブチ切れて射殺するところから始まる。どう考えてもおっさんの方が悪い。コロンビアの事故の話は、かなり後から出てくる。

殺した人たちが、犯罪組織と繋がっていることが見えてくるのだが、これが証拠隠滅の副産物なのか、実はまだ情報部の仕事をしていて隠密操作をしていた結果かのか、それとも個人的に裏で別動していたのかが、よくわからない。失踪人捜索課におっさんの行動をうまいこと誤魔化している同僚が出てきたから、隠密行動しているんだろうな…と思い込んでいたのだが、ネットであらすじを読んだかぎりは、一つ目らしい…。
本当か?と現時点でも疑っているくらい、よくわからない。

証拠隠滅のシーンでは、右手こそハンカチをもって指紋をつけないようにしているけど、右手ではベタベタさわっているという、意味不明な状況。酔っているから? それとも実は刑事じゃないっていう演出??とまで色々考えさせられたが、ふつうに刑事だった模様。

緊迫感だけはやたら煽る演出をしているが、主人公のおっさんの正体が何者で、どういう目的で行動しているのか、半分過ぎてもよくわからない。
コロンビアの事件の説明だって、かなり後半にならないと出てこない。とにかく設定を後出しで説明する演出が、全然効果を生んでいないのだ。
主人公の目的が見えないのだから、一緒に犯人を追いつめていく共感も得にくい。そりゃぁ、おもしろく感じるはずがない。
ちょっと、サスペンスを履き違えているんじゃないかな…とまで思う。

最後は昔とった杵柄で、悪と対峙して見事に散って、本当にやりたかった人々を救う仕事を全うできた満足で死んでいくという、男のロマンを醸し出したつもりなんだろう(おそらく)。

しかし、本国ではゴヤ賞を獲るほど評価が高かったとのこと。スペイン人には、スッと腑に落ちる何かがあるのかもしれない。
残念ながら、わたしにとっては、ラムコークが飲みたくなるだけの作品だった。

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公開年:1973年
公開国:日本
時 間:160分
監 督:舛田利雄
出 演: 丹波哲郎、芦田伸介、仲代達矢、新珠三千代、平田昭彦、名古屋章、稲葉義男、山谷初男、佐原健二、渡哲也、佐藤允、雪村いづみ、黒沢年男 他







昭和20年7月、特高警察に逮捕され投獄されていた戸田城聖が釈放される。彼は、代用教員時代に出会った小学校の校長・牧口常三郎の教育法に感動し、依頼、彼に師事するようになる。しかし、牧口の教育法は自由主義的であるが故に当局から目をつけられることとなり、2人とも教師を辞めざるを得なくなる。その後、戸田は事業に専念すると、才能を発揮し、複数の出版社を経営するまでになる。牧口が日蓮正宗に入信したことを知った戸田は、勧められるがまま自分も入信。日蓮の教義と従来の教育理論を加味することで、入信者は増えていった。昭和5年、2人は“創価教育学会”を設立し、自らの教育理念を広める活動を強化していくが、戦況が悪化する中、日蓮正宗の活動を制限しようとする政府に反発。治安維持法によって、2人は逮捕されたのだった。釈放後、ほどなく敗戦を迎えると、戸田の出獄を知って訪ねてきた仲間による創価教育学会の再建を望む声が高まり…というストーリー。

東宝作品で、製作が田中友幸、音楽が伊福部昭、特撮班も東宝技術陣が満載。原爆のカットなんか、おそらく他の特撮作品からの流用な気がする(観た記憶あり)。スタッフが完全に『ゴジラ』なのに、内容がコレ。おまけに、この時代の作品なのに、製作委員会システムによって作られているという、珍作中の珍作。さらに主演は、『大霊会 死んだらどうなる』。もう、お祭り騒ぎだ。
こんな言い方をしちゃなんだが、芦田伸介、名古屋章、仲代達矢、雪村いづみ、黒沢年男に加えて、なんと渡哲也まで。とにかく無駄に出演陣が豪華なのも、すごく不思議。

で、こんな珍作を観たいと思っても、どこにもレンタルしていないわけだ。で、そういうラインをツテを辿ってやっと借りるに至る。

ただ、この主人公のことを知らない人…というか創価学会のことを知らない人にとっては、かなり珍妙に映る。冒頭からかなり違和感が満載。配線直前なので、神宮に敬礼している人や、深く礼をしている人がいるわけだが、それを睨み付ける主人公。電車の乗客が、焼夷弾の残骸から包丁が作れるという話をしていると、突然その話の輪に入っていって、みなさんがんばってくださいよ!とか、何様目線なんだか…。

自分が正しいとは思うけど、世間には受け入れられないというなら、その時こそ“方便”を発揮図べきであって、無駄な軋轢を生んで、こんな苦労してる俺ってスゲェみたいな感じで悦に入るのは、頭のネジが外れていると思う。まあ、思想弾圧に反発する気持ちはわかるんだけど、うまいことやれっていうのね。

イスラム教徒は戒律的に、行動規範に縛られる。キリスト教と違って心の中で信じていればただそれだけでいいというものではない。だから、スペインなんかでは、戒律にしたがってお祈りはするし断食はするイスラム教徒は、簡単に見つかって虐殺されちゃう。
創価教育学会の人たちは、国がいってくることにことごとく反発する。適当に折り合いとつけて、「まあ、心の中ではこういう解釈で…」ってやっときゃいいものを。まあ、日蓮は、破戒僧ばりのダイナミックさと、中二病的な発想が売りみたいなところがあるからね。それを素直に信奉したら、半ばテロリストみたいな行動になっちゃうのは理解できる(実際、北一輝みたいなのもいるし)。日蓮って中庸とか中道とか、仏教の重要なエッセンスとはかけ離れているように見えるとことが、魅力だったりするのは事実だな。でも、「ひゃー、日蓮って格好いい~」みたいな感覚じゃダメなんだよね。

神社のシステムは天皇システムで、軍国主義とイコールだから、それらは全部悪なんだ!という短絡的なロジック。戦争に向かっているから国が滅びそうになったんじゃなくて、国が滅びそうな醸成だから戦争に向かうんだって。まず、戦争が発生した理由に向き合おうとしていない、その態度がよろしくない。
#その前に、毎日拝んでる曼荼羅の真ん中に書いてある、天照大神はなんだって話になるのだが…、まあそれをいうと怒るから止めておこう。

まあ、自分も教師だったわけで、ある意味、軍国教育の片棒を担がされた負い目があったのかもしれなし、今ほど正確な情報に簡単にアクセスできるわけじゃないから、考え方をこじらせちゃうのは、致し方ないのだが、それにしても…。
負け戦なのはわかってたけど、やらざるを得ない状況だったという状況を認識しないと、次には進めないのにね。なんでやらざるを得ない状況に至ったのか、どうすればその状況に陥らずにすんだのか?という分析こそが、再び戦争しないための唯一の方法なのだが。

“昔の学会員”という表現が何回も出てくる。ある意味、創価学会が真剣に“学会”にやってた時代の話。戦後の創価学会が信者を増やしてく時代とは、まるで価値観も質も異なることが、本作から見えてくる。
創価教育論等にみられる価値創造の思想の後に、日蓮正宗の思想がミックスされるという、流れは実に興味深い。そして現在の創価学会が、後者の思想に軸足をおいてしまい、哲学志向の“学会”から遠ざかっているという事実もおもしろい。

収監中に、取調べで、法華経にはには満足な教義がないと罵倒されるのだが、実はそのとおり。創価学会の人は怒るかもしれないけど、哲学と宗教を峻別してしまった時点でいささか失敗なんだよね。劇中でも“哲学を乗り越えて宗教になる”というセリフが出てくるんだけど、浅い。両者は不可分だし、カトリックの世界が正しいとは思わないけど、トマス・アクィナスなどのカトリックの坊さんたちは、宗教と哲学の整合に腐心した末に、新たな価値創造をおこなった。

で、その“腐心”が終盤の十界論の解説の部分だと、本作は言いたいようだ。

九界の説明は良い。人間が九界の間を揺れるのも良い。で、肝心の“仏”の説明になるのだがこれがよろしくない。九界まで人間の心の状態、命の状態を表しているという説明で、では、“仏”はどういう心の状態だ?と身構えていると、「仏とは命のことなんだー!」って、それじゃあ、命の状態が命だ…ってことになって、何の説明にもなっていないし…。アホかと。
自分を見つめる客観性の所まで説明できているのに、最後でこれは無いわなぁ。九界を揺れる自分の心を完全に認識し、正しい方向に制御できる客観性。それが“仏”だよ。そのくらいの説明をしてもらいたいものである。

その後、南無妙法蓮華経と唱えることで、自分がどの状況にいるかを判断できると彼はいう。表現は稚拙だけど、自分への客観性を涵養するツールだといっているわけで、それが正しいかどうかは別にして、筋は通っている。でも、はじめの十界の説明(特に仏の説明)がうまくできていないから、南無妙法蓮華経が何なのか…という説明も死んでしまっているんだね。脚本家の理解力なのか表現力なのかわからんけど、著しく不足してるんだろうね。

むー、ガチの信者の人だと、ラストに近づくにつれて盛り上がるのかもしれないけど、わたしゃあ盛り下がる一方。実は信者の人も大半は、ぼーっとして観ているような気がする。

同じ、舛田利雄監督の『ノストラダムスの大予言』が観たいが、これも見当たらない珍作。本作よりも入手が難しそうだ。長い旅になりそうだ。
#しらみって見たことなかったから、ちょっと新鮮。

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公開年:1984年
公開国:アメリカ
時 間:110分
監 督:ジョン・セイルズ
出 演:ジョー・モートン、ダリル・エドワーズ、スティーヴ・ジェームズ、レナード・ジャクソン、ジョン・セイルズ、キャロライン・アーロン、デヴィッド・ストラザーン、ビル・コッブス、レジー・ロック・バイスウッド、トム・ライト 他





黒人の姿をした宇宙人が、ニューヨークに不時着する。彼は、ハーレムの125番街に迷い込むが、言葉を発することができないため、奇妙な外国人として扱われる。しかし、手をかざすだけで傷を治したり、機械を修理する特殊能力を発揮したため、ゲーム機修理に仕事を得ることができた。“ブラザー”と呼ばれるようになった彼は、パブで知り合った男から、夫が蒸発してしまった女性の女性のアパートの一室を借り、住民たちに溶け込んでいった。そんなある日、白人の二人組が、“ブラザー”のことを捜しに来る。彼らは、“ブラザー”のことを捕まえに来たハンターだった…というストーリー。

異文化遭遇モノなんだけど、良し悪しは別にしてとにかく独特な作品。

喋れないけど相手の言っている内容はすっかり把握できる可能。地球でのお約束事や卑近な文化につい判らないだけで、普遍的な内容のコミュニケーションは基本的に問題がない。見た目はただの黒人だから、朴訥な人という扱いで、いろんな人が手を差し伸べてくれる。

ハーレムに住む気のいい人たちの様子を、宇宙人を通して描いているって感じ。おそらく、“ブラザー”は逃亡奴隷なんだろう。元々は奴隷だった黒人たちの社会で、シンパシーを感じていく…っていうプロットなんだと思う。でも、良さげなテーマに見えなくもないけど、黒人社会がいまでも奴隷根性が染みついている…っていう風に捉えられなくもない。

“ブラザー”の姿は黒人だけど、これは化けているのかな?と思っていたのだが、実は足が三本指。足だけ化けられないっていう道理はないだろうから、元からこの姿らしい。追ってのハンターは喋れることから、別種なんだろうね。
“目玉カメラ”の設定はなかなかインパクトがあるけど、その設定がないと話が進められないわけでもないし、それほど演出上重要でもないし、とても不思議な感じ。

麻薬の過剰摂取で死んだ子供が持っていた麻薬を自分に打つくだりが、ちょっと意味不明。この少年に何がおこったのか?を把握するための行動…っていう演出なんだろうけど、そこまでせんと判らんか?って感じ。麻薬を打つことで、特殊能力を発揮して、麻薬ディーラーの居場所がわかるようになる…とか、そういうことでもなかったし。

いよいよ、ハンターが“ブラザー”を見つけた!っていうバーのシーンでの乱闘。わたしが今まで観た映画の中で、一番へなちょこなアクションシーンだと思う。わざとコメディチックにしているわけじゃなさそうだんだよね。

壁に描いたサインは、同じ種族がいるってことを示していたってことなんだろうね。都合よくハンターが追いかけてくるところに、みんな終結してきた仕組みはよくわかんないけど。なんで、ハンターたちが自爆しないといけないのかも、よくわかんないけど。

そう、すべてがよくわかんないまま、ズンズン進んでいく奇妙な作品だった。それ以上の感想はないかな。 

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公開年:1960年
公開国:日本
時 間:150分
監 督:大友克洋、森田修平、安藤裕章、カトキハジメ、森本晃司
出 演:三船敏郎、森雅之、香川京子、三橋達也、志村喬、西村晃、加藤武、藤原釜足、笠智衆、宮口精二、三井弘次、三津田健、中村伸郎、藤田進、南原宏治、清水元、田島義文、松本染升、土屋嘉男、山茶花究、菅井きん、賀原夏子、樋口年子、佐田豊、沢村いき雄、田中邦衛、峯丘ひろみ、田代信子、一の宮あつ子、近藤準、横森久、桜井巨郎、清水良二、生方壮児、土屋詩朗、小沢経子、土野明美 他



土地開発公団の副総裁・岩淵の娘佳子と、岩淵の秘書・西幸一の披露宴が盛大に行われようとしていた。公団には、建設会社との間に数十億の汚職の疑惑がかかっており、多数の新聞記者が披露宴会場に詰めかけていた。また、新婦・佳子は足に障害があり、西は出世目当てで結婚したのではないかという噂が、まことしやかに囁かれていた。さらに式の直前、公団の課長補佐・和田が警察に連行されるという、異様な雰囲気の中、式がスタートする。不穏な空気が漂いつつも、滞りなく式は進み、いよいよケーキ入刀という時に、公団のビルをかたどったケーキが運ばれてくる。そのケーキの7階部分には赤いバラが刺さっている。バラが刺さっている部屋は、5年前に公団の課長補佐・古谷が飛び降り自殺をした場所だった。ますます不穏な空気が漂う中、なんとか式は終了する。連行された和田は、刑事の尋問の黙秘を通した末に釈放されるが、自殺を決意し火山の火口に向かう。いよいよ身を投げようという時に和田を止める者が現れる。岩淵の娘婿・西であった…というストーリー。

西の目的は何なのか? 西の正体は? 胸糞悪くなるほどの腐った奴らをどうやって追い詰めていくのか? これは一流のサスペンスですわ! と小躍り状態で鑑賞していたのだが、ラストにがっかり。
(以下、完全にネタバレ)
別に、何でもかんでも勧善懲悪にしろっていいたいわけじゃない。だけど、さあこれから!っていう展開の中、結末の攻防を見せるわけでもなく、すっかり事が終わっているってのは、いかがなものか。黒沢明は、皮肉を利かせたつもりかもしれないが、ペーソスが皆無であるため、まったくスッキリしない。
タイトルどおりに、悪い奴らはこれからもよく眠るんだからいいじゃーんって、言われても、ムカつくだけだわ。

西はまだしも、和田も殺されたであろうことを考えると、非常に気分が悪い。せめて西が、今回の作戦遂行にあたって、殺されても仕方がないくらいの悪事をやっているというなら、“残念!!”っていう気持ちで観ることができたと思うのだが、大した罪はおかしていないんだもの。
三船敏郎演じる西という、ダークヒーロー像をうまく構築できたのに、非常にもったいないと感じる。はじめは単なる復讐の駒でだった佳子を愛おしく感じるようになり、さらにまったく手を出さないという部分は、よい味付けになっている。

腹立たしいのは、とってつけたように睡眠薬が登場し、それを娘に飲ませたら、ちょうどいい程度に朦朧として、ペラペラしゃべってくれるという、そんな“綱渡り”みたいな演出の末に結末を迎えているようなシナリオだということ。こんな無理になぎ倒すような展開が良いわけがない。
#まさか、黒沢明が、こんな稚拙な演出をするわけがない…と思いこんでいたから、ロミオとジュリエットばりに佳子を誤って殺しちゃって、岩淵が発狂でもするのかと思ったわ・

もっと贅沢をいえば、加藤武演じる本物の西が、なんで板倉に協力することになったのか?について、設定を膨らませて欲しかった。例えば、板倉ほどではないにしても、公団関係者に強い恨みを持っていたとかね。これも、ラストが締まらない要因の一つ。

ラストだけ違えてリメイクしてほしいわ。

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公開年:2008年
公開国:アメリカ、ドイツ
時 間:101分
監 督:デヴィッド・ウェイン
出 演:ショーン・ウィリアム・スコット、ポール・ラッド、クリストファー・ミンツ=プラッセ、ジェーン・リンチ、ボビー・J・トンプソン、エリザベス・バンクス、ケン・チョン、ケン・マリーノ、ケリー・ケニー 他
ノミネート:【2008年/第14回放送映画批評家協会賞】コメディ映画賞
【2009年/第18回MTVムービー・アワード】ブレイクスルー演技賞[男優](ボビー・J・トンプソン)


飲料メーカーの営業マン、仕事に一切ヤル気なしの男ダニーと能天気なエロ男ホイーラー。親友同士の二人は、コンビを組んで、学校を中心に栄養ドリンクの営業活動をする毎日。ある日、ダニーは弁護士をやっている恋人から同棲解消を言い渡され、いつも以上にやる気を失ってしまう。とある学校での営業活動を終えると、社用車が駐車違反でレッカーされそうになっている。説明しても一切耳を貸さない警察とレッカー車の運転手に腹を立て、強引に車を取り返そうとするが、事故を起こし逮捕されてしまう。禁固刑が下されそうになるが、元恋人のおかげで150時間の社会奉仕で許されることに。しかし、その内容は、問題児の更生を手助けする施設で子供の面倒をみることだった。ダニーは、中世の騎士になりきって戦闘ごっこをするゲームにハマリすぎて日常でも騎士のつもりでいる少年オージーの担当に。ホイーラは、口が悪くて生意気で性に異常に関心をもっている少年ロニーの担当になる。なんとか150日をやりすごそうと考えていた二人だったが、予想以上の問題児で…というストーリー。

悪い設定ではないし、理解できないわけではないのだが、このような、実刑か社会奉仕を選ぶというシステムが日本では少ないし、ましてや、そうい社会奉仕活動を民間施設にまかせちゃうという発想が日本にはないので、いまいちリアリティは感じない。
個人主義のくせに、子供の教育を社会に丸投げしる親の姿勢が、とても腹立たしく感じられる。途中で、二人がドジを踏んだということで、施設を追い出されるのだが、どうかんがえても二人の子供の親の教育環境がおかしいのが問題。執行猶予を付ける条件として、かなりヘビーな社会奉仕を義務付ける制度は、日本でも導入させるべきだというのが持論なのだが、本作のような施設まかせの状態は好ましくないと思うし、現場のさじ加減ひとつで収監されてしまうような隷属関係を簡単に生むような状況にはすべきでないと…。
#まあ、作品の内容とは無関係(気になっただけ)。閑話休題。

一応バディものなんだけど、大人の二人が反目しあったり協力したり…というすったもんだがメインじゃなくて、それぞれが別の子供とコンビを組んで、各々が成長していくという構成なのが面白い。各コンビが打ち解けていく過程は、なかなかほっこりさせもらえたと思う。
でも、ヘタをすれば、バラバラなストーリーのまま、まとまらずに終わる危険を孕んだプロットだと思う。しかし、最後は中世騎士ごっこでなんとか集約(かなり強引だけど)。まとまったのは“KISS”のおかげといえなくもないけど。
#施設の校長が、もう一つうまく使いきれていない印象。敵役でもないし、味方でもないし、ネタ要員としてのただのエロおばさんでもないし、役割が中途半端かも。

王様役のケン・チョンは、『ハングオーバー』シリーズのミスター・チャウの人ですわ。倒錯気味のクソ人間をやらせたらピカ一だけど、今後まともな役をやるのは難しいよなぁ(笑)。いっそ、シリアルキラー役とかかね。

笑いとほっこりの合わせ技で及第点…って感じだけど、エロネタがえげつないので、家族でみるのは要注意。

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公開年:2013年
公開国:日本
時 間:68分
監 督:大友克洋、森田修平、安藤裕章、カトキハジメ、森本晃司
出 演:早見沙織、森田成一、山寺宏一、悠木碧、草尾毅、田村睦心、浪川大輔、二又一成、檀臣幸、牛山茂、大塚明夫、置鮎龍太郎、春名風花 他






“日本”をテーマにした四編のアニメーション作品。
『九十九』18世紀。山中で道に迷った男が、一夜の寒さをしのぐために小さな祠に潜り込む。すると、使い古された傘や織物が化けてでてくるが、男は次から次へと修理をしていき…。
『火要鎮』18世紀の江戸。商家の娘お若と隣家の松吉は幼馴染で、お若は密かに松吉に恋心を寄せていた。松吉はやんちゃが過ぎて勘当され火消になってしまい、それから疎遠になってしまう。さらにお若に縁談が舞い込み、とんとん拍子に事が進んでいく。そんな中、結ばれない愛に苦悩するお若は、自室の行燈から出火させてしまい…。
『GAMBO』16世紀末。東北地方にある寒村は、鬼のような化け物の襲撃を受け、娘たちが次々とさらわれて、いよいよ残る娘はカオだけとなってしまった。恐ろしさをこらえて山に入ったカオは、そこで巨大な白い熊と遭遇。もう命はないと覚悟するが、熊はそっとカオに寄り添う。やさしい熊と悟ったカオは、村の窮状を訴える。熊は鬼の棲家を発見し、そこで鬼の子を孕まされている女たちを発見。殺してほしいという女たちの懇願を聞き入れた熊は、戻ってきた鬼と死闘を繰り広げ…。
『武器よさらば』近未来の東京。荒廃し砂漠化した都市を訪れた5人構成の小隊は、パワードスーツを装備し探索を行う。すると、一台の戦車型無人兵器と遭遇し、交戦状態となる。徐々に劣性となり…。

借りたDVDでは、一本目が『九十九』。劇場公開時は『火要鎮』が先だったみたいだけど、まあ理由は判る。
正直いうと、『九十九』のCG作画が好みじゃない。もしかするとモーションキャプチャだったのかもしれない。だけど、いかにもCGで書きましたという原画の線をもう少しどうにかできなかったのかと。
ただ、それ以外は悪くない。テクスチャが和風っていうだけなんだけど、でも美しい。ストーリー的にも、民話的な愉しさがあるし、所謂“もったいない”っていう日本らしい感覚が混ざっているので(ちょっとあざとく感じる人もいるだろうけど)、一般ウケ、それも海外ウケするのは本作だと思う。

打って変わって二本目の『火要鎮』は雰囲気勝負の作品。45度くらいの俯瞰画で、屏風絵みたいな感じがずっと続く。“日本”というこのオムニバスのテーマを一番体現している作品だとおもう。
ただ、ストーリーは悲恋を扱っていながらも起伏が少ない感じ。松吉がお若に恋心を抱いていないのと、お若が『八百屋お七』のように、恋をこじらせて付火したわけじゃなく、トラブルによる失火を「もう、どうにでもなれ…」と放置しただけなので、“激情”感がない(まあ、その“薄さ”で無常観を出したかったならば正解なのかもしれないけど)。
#日本において入墨がどういう意味を持っているか、外国人にも少しはわかるかな?(無理か…)

三本目の『GAMBO』は特に感想はない。
アルビノのヒグマなのか、シロクマなのか、フォルムが中途半端…ってのはどうでもいい部分だな(いずれにせよ、東北にはツキノワグマしかいないけど)。そこは気にするところじゃない。
キャラデザインが、いかにもな日本アニメ(貞本義行だもんな)で、もうしわけないが他の作品にくらべて味がない。拉致された村娘が鬼に孕まされている描写とか、グロ表現のセンスが悪い(こういうの嫌い)。諸々ひっくるめて何を伝えたいのかわからない作品。4作の中では一番の駄作だと思う。

『武器よさらば』が舞台こそ東京らしいが、“SHORT PEACE”のコンセプトから外れているように見える。わざわざ、SHORTPIECE に日の丸の意匠を混ぜてるくらいなのに、舞台が東京というだけで、微塵も日本が感じられないものをラストにもってくるのはいかがなものか。
まさかとは思うが、“憲法9条賛美”ではないよな? もしそういう狙いなら、大友克洋のセンスは終わってると思う。

“SHORT PEACE”っていうコンセプトだから、“切り取った”ストーリーになってるのは判るのだが、切り取り方のセンスが4本であまりに差がありすぎると思う。むしろ“切り取り方”に強い関連性というか統一感を持たせてほしかったと。製作者のセンス、コンセプト構成力とか遂行力に疑問を感じる。
結局、まとまりの良い一つの話として切り取った『九十九』が、一番ましなデキだという結果を見ても、“狙い”が外れてしまったことは間違いない。

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公開年:2012年
公開国:イギリス
時 間:88分
監 督:マサイアス・ヘイニー
出 演:ハリー・トレッダウェイ、ラスムス・ハーディカー、アラン・フォード、オナー・ブラックマン、ミシェル・ライアン、ジョージア・キング、トニー・ガードナー、リチャード・ブライアーズ 他
コピー:女王陛下のゾンビ退治大作戦 イギリスで脅威の大ヒット!!




ロンドン。テリーとアンディの兄弟は、資金難のせいで祖父が入居している老人ホームが閉鎖されると聞いてショックを受ける。子供の頃、両親が不在だった二人は祖父のことが大好きで、このままホームが無くなったら祖父とその友人たちはどうなってしまうのだろうと真剣に悩んでしまう。資金難なら資金を調達すればいいと考えた二人は、仲間を誘って銀行強盗を実行。大金を強奪して逃亡しようというその時、銀行の周囲はゾンビが方位していた。その頃、老人ホームもゾンビの襲撃を受けており、じいちゃんばあちゃんたちは必死にゾンビを撃退していた…というストーリー。

冒頭でゾンビが掘り起こされて、それからしばらく出てこないでやんの。
銀行強盗のくだりでは、行員の勘違いで、とてつもない莫大な金額を強奪することになってしまうのだが、その後のストーリーに微塵も関係がない。どういう演出だ?こりゃ。

何でイギリスでゾンビ物が多いのか。それも卑近なシチュエーションの中で、労働階級の中でも薄給だったりポンコツだったりする人が主人公のコメディよりの作品が多いのだろう。
イギリスって民主主義を標榜しながら貴族と労働者がはっきり別れた階級社会。リベラル思考の奴らのせいで、さらにそこに移民が混ざって、元の住民が大迷惑している状態。ますます、階級の壁は高く高く横たわっているハメになっている。
アメリカのゾンビ作品の場合、ゾンビは”大衆意識”を象徴するけど、イギリスの場合は、さらに下の階級を登場させて、そいつらを倒して溜飲を下げてる感じか。移民を受け入れたときにはっきりとNOといえなかった自分らの過去の失敗を、作品の中で覆しているともいえる。ゾンビを倒す主人公側に、ブレイブ感とかヒロイックさが無いのは、そのせいだと思う。逆にそれがあると、自分達との共感が薄れるから。

同じイギリス映画でゾンビ物でコメディの『ショーン・オブ・ザ・デッド』と比較すると、主人公連中が“愛すべきバカ”じゃないってのも、作品自体に魅力が感じられない大きな要素かも(気のいい若者たち&老人たちではあるんだけどね。毒が足りないわ)。

じゃあ、ギャグ方面で愉しめればいいや…と割り切ろうとおもったのだが…。歩行器つかってるじいちゃんと、ゾンビの追いかける速度がおんなじくらいで、いい感じのデッドヒートになるとか、小ネタは満載なんだけど、もうゾンビ作品で似たようなことをやりつくしちゃって、小ネタで笑わせるしかないって感じかな。
#走らないゾンビってのも、他の作品でやってる気がするんだよなぁ。

この期に及んで、じいちゃんに怒られるかどうかを気にするシーンとか、イギリス的な笑いなんだろうけど、笑えねえんだよなぁ。もう、イギリスとゾンビの組み合わせも、ネタが枯渇したな…。

『ショーン・オブ・ザ・デッド』と比較しちゃったのがダメだったのかなぁ。駄作に感じてしまった。

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クボタカユキ
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趣味:
映画(DVD)鑑賞・特撮フィギュア(食玩/ガシャポン)集め
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一日一シネマ。読んだら拍手ボタンを押してくだされ。
出張とか入ると、投稿は遅れてしまいますわ。
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