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公開年:2013年
公開国:アメリカ
時 間:103分
監 督:ダン・スカンロン
出 演:ビリー・クリスタル、ジョン・グッドマン、スティーヴ・ブシェミ、ヘレン・ミレン、アルフレッド・モリナ、デイヴ・フォーリー、ショーン・P・ヘイズ、ジョエル・マーレイ、ピーター・ソーン、チャーリー・デイ、ネイサン・フィリオン、ボビー・モナハン、ジュリア・スウィーニー、オーブリー・プラザ、タイラー・ラビーン、ジョン・クラシンスキー、ボニー・ハント、ベス・ベアーズ、ジョン・ラッツェンバーガー 、フランク・オズ他
ノミネート:【2013年/第19回放送映画批評家協会賞】長編アニメ賞
コピー:モンスターよ、大志を抱け。


体が小さくいじめられっこのマイクは、人間の子どもを怖がらせられる“怖がらせ屋”になることを夢見ていた。自分のウィークポイントを補うために誰よりも努力したマイクは、ついに難関校であるモンスターズ・ユニバーシティの“怖がらせ学部”への入学するのだった。しかし、迫力の一切ないという致命的な欠陥は、身に付けた知識と理論では如何ともし難く、彼は悩み続けるのだった。そんな中、自分とは正反対の“怖がらせ屋”の名門一族に生まれたエリート学生サリーと出会う。欠けているものを持っているサリーをライバル視するマイクだったが、結局、怖くなることができない彼は、とうとう学部を追い出されてしまい…というストーリー。

ビギニング物なんておもしろくなるのかな?という若干の疑念はあったのだが、アメリカの青春学園スポーツ物にの王道路線を踏襲したストーリーで、大変面白かった。ただ、友情物語であることに違いはないのだが、友情の質はいささか異なるし、前作のようなファンタジー要素は薄まっているので、同じノリを期待した場合に、がっかりする人もいるかも。なんといっても、主人公の年齢は下がってはいるが、むしろ内容あ、現実社会を強くと灯影していて、大人のほうが愉しめる内容になっている。チームメイトのお母さんとおっさんの同級生が結婚するくだりとか、明らかに子供向けじゃない(『シュレック』的なノリに近い)。

モンスターカードのくだりなんか特にそうだが、とにかくディテールが細かく、世界観に対する愛を感じる。そんな中でも、私が特に秀逸と感じたのは、退学になった二人の顛末である。現実的だが夢を損なわないという、挫折をこんなに綺麗に昇華した展開は、そう無いと思う。個人的には、前作よりも数倍好きかもしれない。

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公開年:1987年
公開国:アメリカ
時 間:100分
監 督:ジャック・ショルダー
出 演:カイル・マクラクラン、マイケル・ヌーリー、エド・オロス、クルー・ギャラガー、クローディア・クリスチャン、クラレンス・フェルダー、ウィリアム・ボイエット、クリス・マルケイ、リチャード・ブルックス、ラリー・セダー、キャサリン・キャノン、ジョン・マッキャン、リン・シェイ、ジェームズ・ルイジ、フランク・レンズーリ、デュアン・デイヴィス、クリスティン・クレイトン、ダニー・トレホ 他
受 賞:【1988年/第16回アボリアッツ・ファンタスティック映画祭】グランプリ


ロス市警の刑事トム・ベックは、凶悪犯をカーチェイスの末に銃撃し、逮捕する。病院に収容された犯人はデヴリーズをいう男だったが、いくら調べても平凡な市民であり、そんな犯罪を起こすような経歴もなく、市警は混乱するばかりであった。そんな中、ベック刑事の前にFBI捜査官のロイド・ギャラガーがやってきて、とある人物の捜索に協力を依頼してきた。ベックはFBIが嫌いで、且つギャラガーが探している人物がとっくに死亡していたことから、体よくあしらおうとするのだったが、ギャラガーは一向に帰らない。それだけでなく、ベックの仕事にどんどん口出しをしてくる。そこに、収容されていた病院からデヴリーズが死亡したという連絡が入る。病院に行くと、デヴリーズが死んだだけではなく、隣のベッドにいた重体患者ミラーが、突然元気になり病院を飛び出したとのこと。ギャラガーは、また凶悪事件が発生するといい、そしてその言葉は現実の物となっていき…というストーリー。

エイリアンが乗り移るという内容は珍しくもない。人から人に移動していき、ピンチの時は動物にも使う。そして、殺すためには、次に移るときだけ…って、『悪魔を憐れむ唄』なんかと同じだ。でも、ハードロック好き(カントリー嫌い)、フェラーリ好き…と、本作のエイリアンの奇行がなかなかおもしろい。なんで?ずっと病院のタグを付けてたりと、なかなか細かかったりする。こういう味付けが重要で、良い作品は、こういうところに隙が無い。

ギャラガーがフェラーリの値段を知らないってことで、早い段階で展開は丸わかりになっちゃう。もうちょっと隠す工夫をしてもよかったと思うが、作品のノリが台無しになるわけでもないから、大きな問題ではないのかな…。

SFアクション作品なのだが、「組成物質が違う。人間の体には効かないんだ。」というわりには壁壊れてましたやん。身に付けてるものには影響あるんちゃうの…などと、ツッコミたくなるような部分は散見。何で、宇宙人が大統領候補を狙うのか、動機がピンとこないし、なんで宇宙人がスーパーカーが好きなのか、説明がなかった。ディテールを膨らませたり、おもしろくできる要素は随所にあったと思うのだが、生かしきれていなかったかも。

家族を喪失した悲しみや復讐心はもっている宇宙人。地球人と同じなんだな…を思わせておいて、オチでは、微妙に「それでいいのか?」という感じに。人柄のよかったベック刑事のいまいち救いのない終わり方や、怯えていた娘は、その後どういう態度をとるのか…という、なんともモヤっとしたしこりが心に残る。ギャラガーを見て娘が怯えるシーンが、ラストにいまいち繋がっていない気もするが、良くも悪くも、この展開が、印象深い作品。

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公開年:1994年
公開国:アメリカ
時 間:121分
監 督:ローランド・エメリッヒ
出 演:カート・ラッセル、ジェームズ・スペイダー、ジェイ・デヴィッドソン、ヴィヴェカ・リンドフォース、アレクシス・クルス、ミリー・アヴィタル、レオン・リッピー、エリック・アヴァリ、フレンチ・スチュワート、リチャード・カインド、ジョン・ディール、デレク・ウェブスター 他




1928年。サハラ砂漠で古代遺跡が発見されるが、その中から謎の巨大な環状の物体が発掘される。1994年のアメリカ。若き考古学者ダニエル・ジャクソンは、その独自の説によって学会から異端視されていた。そんな彼の元に、28年に例の環を発見したラングフォード博士の娘であるキャサリンが訪れる。彼女は研究資金を援助すると申し出て、ダニエルを米軍の秘密基地に連れて行く。これまでキャサリンの研究チームは、環に刻まれた古代文字の解読を試みたが芳しい成果を上げることができていなかった。しかし、ダニエルは長年解読できなかった文字を2週間であっさり解読してしまう。新任のプロジェクト責任者であるジャック・オニール大佐は、ダニエルに例の環を見せ、これが異世界同士を繋ぐ門“スターゲイト”で、謎の古代文字がその鍵であったことを告げる。解読結果を元にスターゲイトを発動すると、遥か遠くに異星に繋がった。ダニエルはオニール大佐の隊に同行し、向こうの世界に旅立つのだったが…というストーリー。

後にTVドラマにもなったが、いろいろ想像力が掻き立てられる優秀な設定だと思う。SF要素だけを全面に出すのではなく、ミーツ・ザ・異世界モノ、革命モノなどの要素がバランス良く混合しているシナリオだ。エメリッヒらしっちゃらしい。
異星人が、古代の地球から人間を移送して奴隷としている設定がわかりやすい。オーバーテクノロジーの異星人なのに王政をしく人間臭さを感じさせる反面、それが生物の進歩を冷淡に眺めている故…みたいな訳知りな様子もあって、得体の知れなさが強調されているのもよい。

軍人さんの中に一人だけ混じった研究者ダニエルだが、飄々としたキャラでムードメーカーになっているだけなく、その屈託の無さと好奇心の大きさによって、ストーリーが進んでいく役割が秀逸。カート・ラッセル演じる大佐の役割が不完全燃焼っぽく感じられるかもしれないが、作戦遂行のエンジン役と、息子を失ったという過去と星の少年達激闘の展開だけで充分。

ラストのバトルは、バタバタとあわただしく、賛否分かれるところだと思うが、ある意味、映画でしかおもしろさが伝えられられない演出。

SFXへの力の入れ方が、今みるととても新鮮に映る。定期的に放送されるのには理由があると思う。

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公開年:2010年
公開国:日本
時 間:81分
監 督:千葉誠治
出 演:三元雅芸、柏原収史、土平ドンペイ、肘井美佳、小越勇輝、樋浦勉 他
コピー:最強はエイリアンか、ニンジャか?






戦国時代。織田の軍勢が迫る伊賀の里近くの森に、炎に包まれた巨大な物体が落下する。それを織田勢の攻撃と考えた伊賀衆は、下忍である耶麻汰、陣内、寝隅を向かわせる。3人はそれぞれの仲間たちと合流しながら落下地点に近づいていくが、突然見たこともない異形の怪物が出現し、彼らを攻撃。下忍たちは次々と犠牲になっていく。耶麻汰たちは忍の技を駆使し、怪物に立ち向かっていくのだったが…というストーリー。

「マツコ&有吉の怒り新党」で紹介されていたそうで、おもしろそうだから観てみてといわれて、素直に借りたのだが、時間の無駄だった。ジャケット画像だけは格好いいけど。

さほど予算もなかったであろうことは想像できるが、別にそういうショボさに文句をつける気はない。怪物が着ぐるみなのも問題ない。でも、スーツアクターのアクションが、普通に人間の素立ち状態で、人間のそれ以外のなにものでもないのが、実に味気ない。金がないなら演技でなんとかするべきだと思う。仮面ライダーのトカゲロン並み。

ストーリーらしいストーリーは存在しなくて、突如現れたエイリアンと忍者が戦うだけのお話である。後は、エイリアンの攻撃・侵略手段と、忍者さんたちの攻撃手段をご披露するという展開。
それ以上に何もないので、技がただインフレ化していくのみ。ラストのインフレっぷりが、“ありえね~”的に話題になっているようだが、話題になるほどインパクトはない。というか大半の人が、最後なんかどうでもいい感じになっていたのではなかろうか。

例に“SUSHI TYPHOON”レーベルの作品なので、エログロに寒いギャグの連発であることは既定路線だけど、エロもグロもギャグの寒さも、すべてが中途半端(というかかなりの低空飛行)なのは、なぜなのか。せめてメーターを振り切るような、バッカで~っていうノリを見せてくれればよかったのだが、それはなかった。

若いお兄ちゃんたちのキャラ付けがいまいちで、まったくストーリーの中で映えない。おっさん忍者は、その中でもキャラは立っていて、狂言回し的な役回りにすることも可能だったと思うが、微妙なタイミングでご臨終。
ラストのまだ生き残りがいますよ…的な終わり方は、本編ですべてを出し切ってこそ効果が出てくる演出。そんな小手先の演出をマネたって、おもしろくはない。

海外には極端に忍者好きがいるみたいなので、こんな作品でも海外なら受け入れられるのかもしれない。日本人に観てもらおうとして作っていないのかもしれない。

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公開年:1973年
公開国:日本
時 間:104分
監 督:佐藤純彌
出 演:高倉健、プリ・バナイ、モセネ・ソーラビイ 他







とあるホテルに終結する某国秘密警察の幹部たち。彼らは、犯罪王ボアを殺害するための策を練っていた。ボアは海運業者を装い、裏で麻薬や武器の密輸を行う犯罪シンジケートのボスだったが、表舞台には一切出てこないため正体不明だった。ここのところ、ボアが人身売買にも手を染めており、イラン女性が被害にあっているという。万策尽きた某国秘密警察部長フラナガンは、殺し屋ゴルゴ13にボア殺害を依頼。合わせて、秘書のキャサリンを連絡係として任命する。翌朝、ゴルゴはテヘランへ向かうが、そこではボアの片腕である盲目の殺し屋ワルターが暗躍していた。一方、地元警察のアマン警部も、30名以上の女性行方不明事件の捜査にあたっていたが、実は彼の妻もボアに誘拐されており…というストーリー。

ゴルゴのモデルは高倉健だというから何の問題もないハズ。大体にして高倉健主演で!、オール海外ロケで!と要求したのは、さいとう・たかをだという。おまけに本作の脚本はさいとう・たかをと右腕のK・元美津によるもの。まさに本物の“ゴルゴ13”になるハズ。
だけど、“ハズ”終わってしまった。頭の中のイメージは絶対に面白くなると思っても、実写化したら何かおかしい…ていうことは多々ある。いや、実写化したときにおかしく感じないように作るという絶対必要な手間が存在するからこそ、“映画人”の存在意義があるわけで、多くの作家や漫画家やミュージシャン等がメガホンをとっても陳腐な作品にしかならない理由はそこにある。

根本的なストーリーはシンプルながらもゴルゴ13の王道的な内容。あとは格好よさを追及すればよいだけだったと思う。仮に映画脚本としていささか拙い部分があったとしても、そこは映画監督の力でどうにかすべき!というところなのだが、本作の監督は佐藤純彌だ。そう、『北京原人 Who are you?』の監督である。そりゃあ危ういデキになるだろう…。
アクションも、カット割り(これが結構ヒどい)が、全然恰好よくない。

たしかに海外オールロケで、キャストは高倉健以外は外国人。でも結局、全編日本語吹き替え。これが陳腐さを増幅すだけなく、シュールさまで醸し出している。

ただでさえ外国人の顔の区別がつきにくいのに、本作は中東系の人が多数でますます見分けにくい。おまけにストーリー上、ボアの影武者が多数でてくるという内容。どういう演出意図なのか不明だったのだが、キャサリンとボアの妻の顔が似ていて、同一人物?とか思っちゃう(違ったみたい)。

まあ、一つのネタとして観る分には愉しめると思うが、それでも終盤はダレてくる。

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公開年:2012年
公開国:アメリカ
時 間:113分
監 督:ルーベン・フライシャー
出 演:ジョシュ・ブローリン、ライアン・ゴズリング、ショーン・ペン、ニック・ノルティ、エマ・ストーン、アンソニー・マッキー、ジョヴァンニ・リビシ、マイケル・ペーニャ、ロバート・パトリック、ミレイユ・イーノス、サリヴァン・ステイプルトン、ホルト・マッキャラニー 他
コピー:まるでギャングな警察たち
ロス市警が、キレた。“本当にあった”最強部隊と大物ギャングの死闘。


1949年、ロサンゼルス。街はブルックリン生まれの巨大犯罪組織のボス、ミッキー・コーエンに牛耳られていた。彼は、ラッグ、銃器取引、売春など、あやゆる違法な商売に手を染め、今やその影響力は政治家や警察にまで及んでおり、彼の悪行を取り締まる術は無かった。自らを“神”まで称する彼の帝国を潰そうと、市警本部長が最後の賭けに出る。市警本部長はジョン・オマラ巡査部長に少数精鋭の極秘部隊“ギャングスター・スクワッド”を結成し、コーエンの組織を壊滅せよというものだった。ただし、警察としての身分ではなく、彼らに対抗できる非合法な組織として。オマラはジェリー・ウーターズ巡査部長ら署内のはみ出し者ばかり6人が集める。彼らは警察バッチを外し、街の未来のために立ち向かっていくのだったが…というストーリー。

ショーン・ペンは、何も差し挟む余地がないような完全な悪者を演じたかったんだろう。役柄コレクターの彼のコレクションの一つって感じ。揶揄したいわけじゃない。きっちりと強烈なクソ人間を演じきっていると思う。

ストーリーだけを見れば薄いといわれても仕方がないかもしれない。昨日の『ジャッキー・コーガン』がペーパーバッグなら、本作は街角でやってた紙芝居とかニュース映画みたいな雰囲気。しかし、私は、熱い正義の心を宿し続けた“大きな少年達”の青春ムービーだと捉えた。全員が“はみだし刑事”。家族がいたり恋人がいたりするメンバーもいて、死ぬのが怖くなることもあるけど、不正を目の前にして見なかったことにして生き続けるのに、もううんざりなオッサンたち。
悪事がここまでのざばってしまたら、正攻法は通じない。誰かが手を汚さないといけない。やると決めたときの、アクセルベタ踏みな感じが爽快。

結局、彼らの功績が賞賛されるようなことはないわけだけど、死んだメンバーも残ったメンバーも満足したと思う。男の仕事って、こういう結果でも十分満足できるものだと思う。市警本部長の功績みたいになっちゃっても、市警本部長もそれでウハウハしてるわけじゃないし、警官仲間は知っていて、皆が彼らを賞賛しているであろうと想像できるところが心地よい。

好感の持てる、良作ギャング映画。

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公開年:2012年
公開国:アメリカ
時 間:97分
監 督:アンドリュー・ドミニク
出 演:ブラッド・ピット、リチャード・ジェンキンス、ジェームズ・ガンドルフィーニ、レイ・リオッタ、スクート・マクネイリー、ベン・メンデルソーン、サム・シェパード、ヴィンセント・カラトーラ、トレヴァー・ロング、マックス・カセラ、スレイン、リナラ・ワシントン 他
ノミネート:【2012年/第65回カンヌ国際映画祭】パルム・ドール(アンドリュー・ドミニク)
コピー:その男は優しく、殺す。


大統領選挙が行われている最中の2008年のニューオリンズ。出所したばかりのフランキーは、獄中で知り合ったジョニーの強盗計画に乗る。その計画とは、犯罪組織の賭場から大金を奪うというもの。過去にその賭場は強盗にあっていたが、雇われ支配人マーキーがその強盗は自分がやったと吹聴しまくっていたため、もし同じ事件がおこれば真っ先に疑われるのはマーキーだというのだ。マーキーは仲間のラッセルと共に賭場に押し入り、まんまと強奪に成功。被害にあった組織は事件の解決をディロンに任せようとするが、彼が病気療養中だったため、殺し屋ジャッキー・コーガンに依頼することに。ジャッキーはさっそく行動を開始するが…というストーリー。

いかにもペーパーバックの犯罪小説って感じで、ノリも雰囲気もよい。派手な展開は機体できないが、シニカルでニヒルな内容を期待した。大統領選挙の最中っていうのがミソで、アメリカらしさとか国民としてのアイデンティティや同朋意識なんていうものを、アメリカって単なるビジネスだろ?と言って憚らない主人公の割り切りがおもしろい。犯罪なんで共感することはないんだけど、私たち一般人も究極的に国と金のどっちを重要視すべきなんだ?という問いかけをずっとされている気分になる。大統領選でオバマの演説が、ただの綺麗ごとにきこえちゃう(←たぶん、これがやりたかったんだと思う)。

ただし、残念ながら事件の展開がわかりにくいし、わかったからといってさほど面白くない。これがいけない。マーキーが疑われるが、ジャッキーはマーキーじゃないのはわかってるけど流れ的にマーキーが狙われるのは仕方ないだろ…と割り切る展開はよい。ただ、その後、フランキーがはじめた麻薬ビジネスの相棒がディロンの部下ということがわかり焦る…という展開が、いまいちピリっとこない。

あとは、ジワジワと“失敗する”としか思えない脂汗が出るような状況を愉しめるかどうか。たぶん半分以上の観客が、物足りなさを感じて終わったに違いない。結構な数の観客が、タランティーノ的な作品を期待していただろうしね。

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公開年:2013年
公開国:カナダ
時 間:94分
監 督:ジェフ・レンフロー
出 演:ローレンス・フィッシュバーン、ケヴィン・ゼガーズ、ビル・パクストン、シャーロット・サリヴァン、アッティカス・ミッチェル、ジョン・テンチ 他





気候が激変し氷河期にはいってしまった地球。人々は地下にコロニー(居住地)を建設し、細々と生活をしていた。コロニー7では、動植物の繁殖など食料確保と種の保存などに勤めていたが、動物は死産を繰り返しており個体数が激減する一方だった。加えて、コロニー内で伝染病が広まる傾向にあり、隔離を行うなどしてきたが、継続的に感染者が現れ、人々を不安に陥れていた。そんな中、コロニー5との連絡が途絶えてしまう。コロニー7のリーダー格であるブリッグスと選抜されたサムたちは、徒歩でコロニー5へ向かい様子を見てくることに。しかし、コロニー5は、飢えによって食人鬼と化した人間たちによって滅ぼされていた…というストーリー。

ウイルス感染による危機と内紛。さらに動物たちが繁殖しないという不思議。こういう伏線…というか設定が、まったくもってどうでもよくなっちゃっている。結局は、ゾンビなんだか、単に狂った人たちなんだかよくわからない人食い集団が襲ってくるという話になっちゃう。
そのくせ、彼らがなんなのかは、よくわからないまま終わってしまう。妙に身体能力が高いような気もするので、これがウイルス感染と関係があるのか?とか思ったが、そうではない模様。

なんで気候変動が起きたのか?それを解消する術はあるのか?という展開もあるのだが、そっちの話は広がらないで終わる。結局、なんで動物たちが繁殖しないかは、不明のまま。

最後、火事になったコロニーを放棄して、雪の溶けてるところを目指す。でも、ボンベ一個が爆発した程度なら、中にいくらか食料とか残ってるでしょ。調べもしないで極寒の旅に出るとか、生きる気あるのか、こいつらは?と。

こういう気の廻らないシナリオを観ると、やる気がないなら創作活動なんかやめればいいのに…と思う。本作は、観るだけ時間の無駄。本当に質の悪いシナリオ。

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公開年:2013年
公開国:アメリカ
時 間:100分
監 督:トッド・フィリップス
出 演:ブラッドリー・クーパー、エド・ヘルムズ、ザック・ガリフィナーキス、ケン・チョン、ヘザー・グレアム、ジェフリー・タンバー、ジャスティン・バーサ、ジョン・グッドマン、メリッサ・マッカーシー、マイク・エップス、サーシャ・バレス、ジェイミー・チャン、ソンドラ・カリー、ジリアン・ヴィグマン、オリヴァー・クーパー、オスカー・トーレ 他
コピー:もう しません。


アランは相変わらずの奇行を繰り返していたが、父親の心労はピークに達し、とうとう亡くなってしまう。フィル、ステュやアランの家族たちは、さすがに面倒を見きれないとギブアップ。アランを施設に収容することに。頑なに拒否すうアランを、フィル、ステュ、ダグが一緒に送ってあげるとなだめ、車で移動することに。しかし、その道中、大物ギャングのマーシャルが彼らを襲撃。実は、これまでフィルたちの騒動に関わってきたチャンが、マーシャルの金塊を盗んでいたのだ。マーシャルは彼らがチャウの居場所を知っていると思っており、“金を盗んだチャウを探してこい”と命令し、ダグをそのまま拉致してしまう。何のことかさっぱりわからないフィルとステュだったが、アランの携帯電話には、チャウからのメールが送られていたのだった。仕方なくチャウとコンタクトをとるハメになるのだったが…というストーリー。

シリーズの締めくくりということだが、どうせ同じ展開なんだろう…と思っていたら、なんと“ハングオーバー”しないというタイトル完全無視の反則に出てきた(笑)。加えて、前作にましてアランの症状が限度を超えていて、ちょっとヒイちゃうレベル。冒頭のキリンのクビチョンパは、さすがに素直に笑えない(笑ったけど)。ラストだからって、驚かせればなんでも有りの展開だ。

その分、フィルとステュの影が薄い薄い。アランの庇護者としてひとくくりで、両者の特徴が生かされるシーンは極めて少ない。ここまできたら、アランにとことんまで暴走してもらおう!っと思ったら、チャウ登場。チャウがアラン以上にクレイジーで、一緒のシーンだとアランがおとなしくなっちゃうレベル。終盤なんかチャウ祭り。こいつにこんなにスポットを当てていいのかよ?!(笑)

そのチャウとのバランスを取るように、キャシー登場。確かにラストはこの展開しかない。割れ鍋に閉じ蓋とはまさにこのことで、所詮、男は女で成長するってことか。まあいいんじゃない(笑)。キャシーも結局同類で、別に成長なんかしないんだけどね(アホが増えただけ)。

で、エンドロールではお約束。やっぱりハングオーバーしちゃう。ステュもやらかしてくれる。
シリーズ3作全部、レベルを下げることなく最後まで完走できたのはお見事。近年稀に見る着地っぷり。続編やスピンオフは作らずに、このままきれいに終わってほしい。

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公開年:2013年
公開国:日本
時 間:125分
監 督:三池崇史
出 演:大沢たかお、松嶋菜々子、岸谷五朗、伊武雅刀、永山絢斗、余貴美子、藤原竜也、山崎努、本田博太郎、高橋和也、伊吹剛、音尾琢真、長江健次、四方堂亘、小沢和義、山口祥行、本宮泰風、蜷川みほ、諏訪太朗、菅原大吉、坂田雅彦、須藤雅宏、橋本一郎、吉沢眞人、新妻聡、中野裕斗、仁科貴、寿大聡、黒石高大、沖原一生、並樹史朗、野口雅弘、勝矢、藤井恒久、菅谷大介、桝太一、田所二葉、天野柚希、河原健二、高原知秀、笠原竜司、澤田萌音、未来弥、にへいたかひろ 他
ノミネート:【2013年/第66回カンヌ国際映画祭】パルム・ドール(三池崇史)
コピー:日本全国民が、敵になる――

7歳の少女が惨殺される事件が発生する。被害者は日本の政財界を影で操るとも噂される大物・蜷川隆興の孫娘だった。容疑者は、8年前にも同様の事件をおこし、釈放されたばかりの清丸国秀という男。警察は捜査を進めるものの、清丸の足取りは掴めずにいた。事件から3ヶ月後、全国紙に“清丸を殺害した者に10億円を支払う”という全面広告が掲載される。広告主は蜷川隆興。この広告のせいで、清丸をかくまっていた人間までが清丸の命を狙うようになったため、身の危険を感じた清丸は福岡県警に出頭する。清丸を警視庁に移送するために、生え抜きのSP5名が派遣されるが、警察関係者を含め、誰が襲撃してくるか検討もつかず…というストーリー。

観終わって、自分であらすじを書いてみると「あれ、この話おもしろいじゃん」って思う。話の筋はおもしろいんだな。でも、実際に観た感想はそうではない。後から考えれば筋は通ってるんだけど、鑑賞中は違和感を覚える部分が散見。

例えば、リスクがあるのに何でわざわざ福岡から東京まで移送しなくてはいけないのか。事件が東京だから移送するのが通常なのはわかるが、こういうい特殊事情なら、別に福岡に派遣して取り調べをすすめても問題ないだろう。
⇒移送も含めて、仕組まれていた(が、観ている間は、いまいちそれが伝わってこない)。

ラストになる前に、殺人教唆なのは明らかなのだから、蜷川を逮捕することは可能なのではないか。別にあの人が、賞金を取りやめにしようがしなかろうが、不法行為による収入は認められないと、行政側が宣言すればおしまいではないのか。そこまでやってから移送すればよい。
⇒その辺も、仕組まれていた(が、観ている間は、いまいちそれが伝わってこない)。

10億の賞金どころか未遂の人間にまで1億をポンポンあげるような財力があるのなら、もっと確実に殺す別の手段があるのではないか。
⇒とりあえず清丸を見つけ出さないとどうしようもないので、そのためにとった作戦。ここまでごちゃごちゃになるとは蜷川も想定外(という風には描かれていない)。

マイクロチップをなんで手首なんぞに埋めるのか(っていうか埋められるのか?)。
⇒もっと見えないところに埋めとけ(ストーリー上のご都合主義)

蜷川を妖怪老人に描くよりも、もっと狡猾で執念深く、あらゆることに手を回している恐ろしい存在に描くべきだったと思う。
死ねばいいだけで、別に自分で殺したいってわけでもないし、孫娘のようにむごい殺し方をしたいとか、そういう望みじゃないのもピンとこない理由のひとつかも。それなら、移送ルートにスナイパーでも配置しとけばいいじゃんね。そんだけ金があるんなら雇えるだろ。
やっぱ、蜷川の目的遂行のベクトルが変なんだわ。こういう救いようのない悪人でも、きちんと手続きを踏まないとだめなのか?という法治国家の是非に触れるような、本当はもっと悩ましい部分の描き方が、薄っぺらすぎるのが難。音尾琢真演じる公安とか、設定が死んでるし。公安の一人ごときが暗躍したから、どうだっていうのか。浅すぎる。

余貴美子演じるタクシードライバーが、ただひたすら都合がよすぎる。彼らを救う強い目的も描ききれていない。こんな都合のいいキャラを登場させないと廻らないようなお話は、ダメ。
さすがに、こんな小説がヒットするわけがないので、原作はおもしろいんだろう。つまり脚本がクソ。だれだよ、林民夫って。『てぃだかんかん~海とサンゴと小さな奇跡~』……、ああぁぁ(察し)。

カンヌ出品時はものすごく話題になっていたけどね。本作はパルムドール候補ではなく、お呼ばれしただけ。自然と貧乏ゆすりをしながら観ちゃってた作品。
#で、最後、白岩の息子を迎えに行ったの誰だよ。銘苅か?それとも白岩の元夫か?よくわからんわ。

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公開年:2013年
公開国:アメリカ
時 間:131分
監 督:ギレルモ・デル・トロ
出 演:チャーリー・ハナム、イドリス・エルバ、菊地凛子、チャーリー・デイ、ロブ・カジンスキー、マックス・マーティーニ、芦田愛菜、ロン・パールマン、バーン・ゴーマン、クリフトン・コリンズ・Jr、ディエゴ・クラテンホフ、ロバート・メイレット、ヘザー・ドークセン、ブラッド・ウィリアム・ヘンケ、サンティアゴ・セグーラ、ロビン・トーマス 他
コピー:人類最後の望みは、この巨兵。


2013年8月。太平洋の深海から突如巨大な生命体が出現する。“KAIJU”と名付けられた生物は、サンフランシスコを襲撃した後、次々と3つの都市を6日で壊滅させた。なんとか通常兵器で撃退するに至ったものの、その後、怪獣は次々と出現。人類は生き残りをかけて、PPDC(環太平洋防衛軍) を設立。叡智を終結し人型巨大兵器“イェーガー”を開発。搭乗員2名の脳をシンクロして操縦するイェーガーは、KAIJUを撃退。明るい光が見えたかと思ったが、KAIJUは出現するごとに巨大化していき苦戦を強いられるようになる。2020年2月、ローリーとヤンシーのベケット兄弟は、イェーガー“ジプシー・デンジャー”に登場し、アンカレッジ沖に出現した怪獣“ナイフヘッド”迎撃に向かう。しかし、戦闘で機体が大破し、兄のヤンシーが戦士してしまう。ローリー単独でナイフヘッドを倒すものの、ジプシー・デンジャーは戦闘不能になってしまう。同様にイェーガーが破壊される例が多発したことにより、世界各国の政府首脳陣はイェーガー計画を中止し、巨大防護壁でKAIJUの攻撃を防ぐ計画に切り替えることを決断。PPDCは解散させられてしまう。しかし、鉄壁だと思われていた防護壁はKAIJUに破壊され、都市は襲撃され…というストーリー。

デル・トロが日本アニメが大好きなのは有名。溶液を用いてロボットとシンクロって、エヴァかよ。怪獣は何種類もいるけど遺伝子は一緒ってポケモンかよ。各国ロボット持ってるって、ガンダムファイトかよ。チェーンソードとか、日本アニメの発想だわなぁ…。怪獣の胎児が巨神兵みたいだなと思ったら、生まれたらウシバエみたいじゃん…と、いろいろ日本アニメの要素が散見。ふつうならパクるなよ!ってなるところだけど、ここまで臆面もなくやってくれたら、子供が嬉々として遊んでいるみたいで、怒る気も失せる。いや、全力でやりきってくれれば文句はないわ。

みんなレギオンみたい…っておもってたら、生物としての目的もレギオンだった。ガメラも好きなんだろうなデル・トロ。まあ、侵略者の目的に理屈や整合性を持たせようとするとどうしてもこうなちゃうよね。

イェーガーたちのバトルの動きは恰好いいんだけど、なにか立ち姿が美しくないことが不満かな。デザインにもうちょっと俗っぽさが欲しかったかも。

怪獣の脳にドリフトするアイデアはおもしろかった。これは慧眼。マッドサイエンストぎみの二人がいい味を出している。それに、ハンニバル・チャウね。さすがロン・パールマン、ものすごいインパクト。
司令官と森マコとのエピソードや、ハンセンの葛藤や成長物語など、ロボットバトル以上に、こういう脇の話に魅力があるのが素敵。ロボットバトルに目がいきがちだけど、こういう脇エピソードがなかったら、凡作だったと思う。

でも、後半になるとちょっとだけシナリオに綻びが生じたように見える。操縦者二人が記憶を共有しちゃうっていうんなら、もっといろんなことを言わずもがなで理解してよいはずなんだけど、ドリフトした後も、相手のことで驚いたりとか不自然さは残る。
香港で、怪獣がこの人を狙ってる!って、香港人が叫び始めるんだけど、なぜそれをすぐに納得できるんだろう。不自然極まりない。
細かいことをツッコムのは野暮かもしれないけど、あの玉がカチカチ動くおもちゃは、風圧や振動でああいう風には動き始めないと思うんだけど…。つまらないことで興醒めさせるのはやめて欲しいな。

消火栓の看板はリアルなのに、なんで車のナンバープレートはリアルじゃないんだ??と思ったが、日本は映画用のナンバーとか用意されてないから避けたのかもしれない。

いや、こういう特撮物(とあえて言わせてもらう)で、そんなチマチマと重箱の隅をつつくほうがおかしいのかも。逆に言えば、この程度のツッコミしか言うことがなってことなのかも。すっきりと愉しませていただいた。本作を上回る続編を期待。

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公開年:1977年
公開国:アメリカ
時 間:99分
監 督:カール・ライナー
出 演:ジョージ・バーンズ、ジョン・デンヴァー、テリー・ガー、ドナルド・プレザンス、ラルフ・ベラミー、ダイナ・ショア、バリー・サリヴァン、ウィリアム・ダニエルズ、バーナード・ヒューズ、ポール・ソルヴィノ、ジェフ・コーリイ、ジョン・アシュトン 他
ノミネート:【1977年/第50回アカデミー賞】脚色賞(ラリー・ゲルバート)



スーパーマーケットの副店長ジェリーは、まじめな勤務ぶりで、私生活では妻ボビーと息子・娘と平凡ならがらも幸せに暮らしている極めて善良な男である。そんなある日、とあるホテルの2700号室に来いという内容の手紙が届く。はじめは友人のいたずらだと思い手紙を破棄したのだが、枕元や売り場の野菜の中から、手紙が出てきてしまう。やがて、神と名乗る男性の声まで聞こえるようになり、半信半疑ながらも手紙の通りホテルに行くことに。ところが、そのホテルには27階などない。しかし、ジェリーがエレベータを降りるとそこには2700号室が。すると、突然、老人の姿をした神が現れ…というストーリー。

『処刑人』同様に神の啓示を受けた男のお話。でも、『処刑人』なんかよりは直接的だし、使命を果たすために極端な行動をするわけではない。ただ、神のいうように行動することを求められる。そして、主人公は元々信心深くないというところがポイント。本作はコメディタッチにつづられているが、実は、聖書に綴られているエレミヤなど預言者の様子を現代に置き換えただけである。
神が預言者を選定するときに、その人の信心深さを考慮しない。そして、預言者はそれが理不尽だろうが納得いかなかろうが、ひたすら神の言葉に従って行動することを求められるのである。人々が神を信じるようにしろ、それが人間を破滅に救う道だ!と。
本人だって率先してやりたくはないのに、頭の中に響く神の声に従っている。周囲の人には神の声も姿もわからないので、預言者は狂人に見えるわけだ。

もう一つのポイントは、現世で人々の耳目を集めている聖職者といわれる人を偽物と糾弾し対峙するという構図である。やがてその対決は裁判という形まで発展し、水戸黄門よろしく、最後で神が奇蹟を見せるわけである。これも聖書によく見られるパターンである。

神は時にはベルボーイ、時にはタクシー運転手の姿であらわれる。コメディーチックだけど、神の遍在性をしっかりと表現している。万能だけど、ヒョヒョヒョイとは解決しない。神のお考えなど、民草なんぞにはわかる由もなし。ただただ信じるのみである…という結論から外れない。
ということで、完全な聖書の教材みたいな作品なのだが、聖書の文化にいない我々でも、それなりに愉しめるのはスゴいところ。

“神の性格”は聖書の中でも、登場する場所によって結構異なるのだけれど、本作は特に人間臭く、そして人懐っこいおとぼけキャラに描かれているのが功を奏して、説教臭さを緩和することに成功している。また、家族がのっぴきならないピンチに陥ったりしないのもね(聖書の中じゃ、家族を殺さないといけなかったりする預言者もいるので…)。
#字幕が画像貼り付け。

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公開年:2009年
公開国:アメリカ
時 間:117分
監 督:トロイ・ダフィー
出 演:ショーン・パトリック・フラナリー、ノーマン・リーダス、 クリフトン・コリンズ・Jr、ジュリー・ベンツ、ジャド・ネルソン、ボブ・マーリー、ブライアン・マホーニー、デヴィッド・フェリー、デヴィッド・デラ・ロッコ、ピーター・フォンダ、ビリー・コノリー、ウィレム・デフォー、マシュー・レムキー 他
コピー:興奮沸騰!伝説のアクション・エンタテインメントが蘇る!


神の啓示を受け、法の網の目をくぐりぬけている悪人たちを処刑するコナーとマーフィーのマクマナス兄弟と、伝説の殺し屋“イル・ドゥーチェ”の異名で通る父ノアが、裁判所でヤカベッタを処刑してから8年が経過。3人はアイルランドに逃亡し、ひっそりと暮らしていたが、知り合いの神父がボストンで殺害されたとの報せが入る。それは、何者かによるマクマナス兄弟への挑発。二人は復讐のためにボストンへ舞い戻り、再び正義の戦いを開始する。二人を誘い出したのは、ヤカベッタの息子で、現在ファミリーのボスである息子のコンセイシオだった…というストーリー。

よっぽど前作が気に入ったのか、さっそく借りてきたのだったが…。残念ながら、非常にユニークで魅力的だった“神の啓示”という要素がすっかり薄れてしまった。前作のラストで処刑したヤカベッタの息子が、彼らを抹殺しようと仕掛けてくる展開で、それにあえて乗っかって応戦するという展開。だから、ボストンに戻ってはきたけれど、神の啓示の名の下に正義の鉄槌を喰らわすあの“処刑人”に戻ったとは言いがたい。それに加えて、いくら10年経ったとはいえ、あのギラギラした丹精な容姿がくたびれてしまっているのも残念。

それじゃ、やはり“処刑人”っていうタイトルが詐欺になってしまうので、前作でボヤかされた父ノアの過去のエピソードを絡めることにした模様。でも、さほどいい味付けにはなっていない。

前作のウィレム・デフォーに代わって、女性FBI捜査官が登場。一作目の後、デフォー演じるスメッカーだけでなく、ボストン署の刑事もマクマナス兄弟と歩調を合わせていた模様。刑事たちにとっても女性捜査官が邪魔という設定なのだが、実は女性捜査官は…という展開が(観てくだされ)。でも、この展開、おもしろいかなぁ…??。スメッカーのコントに比べたら、格段に落ちる。

さらに、スメッカー絡みで一展開あるのだが、まるで続きがあるような終わり方。でも、こんな出来映えじゃぁ、ちょっと続きをつくるのは難しいのではなかろうか。ん~、一作目で観るのをやめておけばよかったと、悔やまれる作品。監督も同じでキャストも誰も欠けていないのに、ここまで失速するとは…。

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公開年:2012年
公開国:アメリカ
時 間:92分
監 督:クリス・バトラー、サム・フェル
出 演:アコディ・スミット=マクフィー、タッカー・アルブリジー、アナ・ケンドリック、ケイシー・アフレック ミッチ、クリストファー・ミンツ=プラッセ、レスリー・マン、エレイン・ストリッチ、ジョン・グッドマン、ジェフ・ガーリン、バーナード・ヒル、ジョデル・フェルラン 他
ノミネート:【2012年/第85回アカデミー賞】長編アニメ賞
 【2012年/第66回英国アカデミー賞】長編アニメ賞
 【2012年/第18回放送映画批評家協会賞】長編アニメ賞
コピー:死者と話せる少年(パラノーマン)が、迷える<心>を介抱する。


ブライス・ホローという町には、300年前に魔女狩りが行われていたという言い伝えがある。町はその伝説を利用して、魔女のマークのグッズを販売するなど観光資源として利用していた。そんな町に住むノーマン少年には、死者と会話ができるという特殊な能力があった。しかし、そのせいで学校でも家族からも、すっかり変人扱いされてしまっていた。そんなある日、すっかり疎遠だったプレンダーガストおじさんがノーマンの前に現れる。おじさんは、自分にも死者が見えるという。そして、300年前に封印された魔女の魂が悪事をしようとするのを死者と話せる人間が長年防いできたという。自分の死期を感じていたおじさんは、ノーマンのその役目を引き継ごうというのだ。やがておじさんは自宅で発作をおこし死んでしまうのだったが…というストーリー。

『コララインとボタンの魔女』と同じ監督、スタッフによる作品。ストップモーションアニメとCGのミックスという手法も同じ。オールCGにしか見えないし(エンドロールを観るまでは、ストップモーションアニメだと思わなかった)、どっちかに寄せた方がいいんじゃないの?って思うかもしれない。でも、基本的にストップモーションが得意な人たちで、それをCGで補完するという手法が一番(出来映えの面でも費用面でも)効果的なんだろう。出来がよければそれでいいわけで、観客は手法を気にする必要はない。

ストーリーは、王道のホラー。特殊能力をもっている人間が疎外感を感じながら生きている。そこに幽霊やゾンビが登場し、町はパニックに。主人公は良い意味でも悪い意味でもキーマンとなる。そこに友情物語や、家族の絆などを絡めながら、町にかけられた呪いと、呪いの主を救うために四苦八苦する。ある意味、基本中の基本を忠実に描いている。ホモ兄貴とかビッチ姉貴とか、そういう脇キャラ設定も、80年代ホラーの臭いがする。

おそらく、アニメ作品じゃなければ、凡庸すぎて見向きもされない作品だと思うが、さほど可愛げも味わいも薄いキャラクターと、正統派ホラーの振幅がユニークといったところか。
特別面白いわけではないが、マジメに作ったことは伝わってくるし、作っている人たちもきっといい人たちなんだろうな…と感じる作品。

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クボタカユキ
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一日一シネマ。読んだら拍手ボタンを押してくだされ。
出張とか入ると、投稿は遅れてしまいますわ。
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