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image1935.png公開年:2011年
公開国:イギリス
時 間:101分
監 督:レイ・グリグス
出 演:ローワン・アトキンソン、ジリアン・アンダーソン、ドミニク・ウェスト、ロザムンド・パイク、ダニエル・カルーヤ、ピク・セン・リム、リチャード・シフ、伊川東吾、ティム・マキナニー、ウィリアムズ・ベル、スティーヴン・キャンベル・ムーア、イアン・ショウ 他
コピー:どんな作戦[ミッション]もすべて不可能にする男[スパイ]!!


要人警護に失敗し、諜報機関MI7から離れたジョニー・イングリッシュ。それ以来、チベットの僧院に籠もり、修行に励む日々を繰り返していた。そんな彼に、突然MI7から召集がかかり、新たな上司ペガサスから、中国首相の暗殺計画を阻止せよとのミッションが下る。さっそく新人のタッカーと共に、香港へと向かうイングリッシュだったが…というストーリー。

根本的にローワン・アトキンソンのギャグで微塵も笑ったことが無い上に、前作『ジョニー・イングリッシュ』が死ぬほどつまらなかったわけで、なんで本作を借りる気になったのか…。多分、暑い中、コメディでやり過ごしたかったのと、ロンドンオリンピックのせいだと思う(笑)。気の迷いだよ。

で、やっぱり気の迷いで、いつもどおり微塵も面白くなかった。相変わらず、もっととんでもないことをやってくれるのかと思っていたのに、案外普通のトロいおっさんっていうだけ。『Mr.ビーン』とは違って、中途半端に強い場面もあるけど、ポンコツの場面もあって、キャラが一定していない感じ。
#ローワン・アトキンソンはこんな中途半端なコメディじゃなく、本気の殺人鬼をやるべきなんだよ。

でも、笑えないだけではなく、なにか恐ろしさを覚えた。
別に、中国ネタで笑わせようとしているのが、アジア人蔑視だとかそういうつまらないことを言いたいわけじゃないので、はじめに断っておく。
アジア系のネタが、一体、何がおもしろくてそれをやっているのか微塵もわからないのだ。間違い無くイギリス人は、おもしろいとおもってギャグにしているようなのだが、ツボを慮ることすらできない。もう、差別だとか蔑視だとかそういう次元じゃなく、根本的な認識不足、他文化に対して敬意を払うつもりが始めからない感じ。本気で犬っころを扱うような態度で、扱っているのが滲み出ている。イギリスもたしかに移民政策では失敗している。それはわかるが、それとは無関係なレベルで貶めているような気がしてならない。

話は戻る。ストーリーも、名誉を回復したいとか、愛する人を救いたいとか、強い目的意識がないので、観ていても力が入らない。仮に目的のさじ加減がずれていても一向に構わないのだが(コメディだし)、行動の動機が希薄すぎるので、終始ダラダラした締りの無い話に。よって、問題を解決してもカタルシスなど一切なし。
話の軸がフラフラしているから、ギャグにカウンターバランスが効かずに、腰砕け。中国ババァのてんどんも生きない。
まあ、笑わそうと笑わそうと構えて、逆に笑えないという、笑いのイロハのイもできていない作品。この作品をおもしろいといった人間は、クソつまならない人間だと、いいリトマス試験紙になると思う。でも、これでも前作よりはまだマシなんだぜ。そっちのほうが笑っちゃうだろ。
メシも不味いしコメディも不味いって、イギリスって大丈夫かよ…って感じ。
#“スパイの東芝”って、東芝許したのかよ…。

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image1934.png公開年:2009年
公開国:アメリカ
時 間:98分
監 督:レイ・グリグス
出 演:ジャスティン・ホウェリン、マイケル・ルーカー、クリスティーン・レイキン、ライアン・マクパートリン、トム・サイズモア、ジョン・ポリト、クリス・オーウェン、サミュエル・ロイド、ダニエル・ハリス 他




スーパーヒーローを気取るエドは、路地で強盗にあっていた女性を救出するが、なぜか無実の男を暴行したと逮捕されてしまう。裁判で、ヒーローとして不適格と判断されたエドは、ヒーローの育成機関に収容されることに。そこでは、ヒーローがトレーニングに励んでいるのだが、彼らの能力はとても正義のために役に立ちそうも無い。そんな時、悪人による強盗事件が発生。犯行現場が訓練所に近かったため彼らに出動命令が下り、急行するのだったが…というストーリー。

もう、始めから世界観がわからない。ヒーローの格好をした男が強盗をビルの数階の窓までブン投げるもんだから、てっきり特殊能力の持ち主だとおもったのだが、どうやらなりきっただけの普通の男だ…とか。スーパーヒーローを捕まえる警官がいて裁判にかけられるとかいうから、そういうスーパーヒーローが遍在する世界なのかを思ったら、まともなヒーローはどこにもいない(傍聴席にヒーローっぽい人は多数いるのだが、それが何なのかよくわからない)。

架空の世界のはずなのだが、スターウォーズやら実際のSF作品のネタが普通に存在する。パロディじゃなくて普通にそういう作品がある前提で会話がなされる。

タイムスリップしたことに何の意味があるのかわからない。飛べるかどうかとタイムスリップは無関係なように思えるので、せっかくの一発逆転シーンなのに、はぁ?となる。

エドがなんでこの一連の事件に巻き込まれたのか…という“実は”の部分は決しておかしな話ではないので、もっときちんと作れば良くなったと思うのだが、作り手が完全にチョケてしまっているのがよろしくない。
過去の自分が消滅してしまうシーンも、本当は「ヒデーッ!」って笑えるシーンのはずなんだけど、キャラが頭っからふざけてしまっているので笑えないんだな。

まあ、とにかく笑いのなんたるかもわかっていないし、ヒーロー物への愛もない。駄作だよね。まあ、ジャケットを見たらそんなことわかるじゃん…ってツッこまれそうだけどさ。暑い夜長に小難しい作品は観たくなかった…タダそれだけ。ツマらなかったら意味ないんだけど。日本未公開なのも頷ける。

 

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image0881.png公開年:2002年
公開国:日本
時 間:100分
監 督:森田宏幸
出 演:池脇千鶴、袴田吉彦、前田亜季、山田孝之、佐藤仁美、佐戸井けん太、濱田マリ、渡辺哲、斎藤洋介、岡江久美子、丹波哲郎、田中敦子、宮本充、長克巳、塚本景子、白鳥由里、香月弥生、駒村多恵、本名陽子、鈴井貴之、大泉洋、安田顕、岸祐二、中村俊洋、清水敏孝、青木誠、江川大輔、新垣樽助、よのひかり 他
コピー:猫の国。それは、自分の時間を生きられないやつの行くところ。
猫になっても、いいんじゃないッ?
路地のむこうは、猫の国でした。

普通の女子高校生・吉岡ハルは、ある日、車に惹かれそうになった猫を間一髪で助ける。ところが、救った猫が突然直立してお辞儀をし、丁寧にお礼の言葉を言うではないか。その日の夜に猫の国の王の行列が訪れ、猫の王子を助けたお礼にいいことがおこると告げて去っていく。夢かと思ったが、目覚めると、家のまわりが猫じゃらしだらけになったり、マタタビやネズミといった、猫なら大喜びしそうなプレゼントが届けられる。そんなお礼はいらないと、猫の使者に文句をいうと、ならば猫の国へご招待致しますという。そんなことをされては大変と思っていると、どこからともなく「猫の事務所にいきなさい」という声が聞こえる。その声のとおりに猫の事務所を探しに行くと…というストーリー。

絵柄が少女漫画チックでそれまでの作品とは趣が異なる。『耳をすませば』のスピンオフと考えれば、近藤喜文キャラっぽいのでよさそうなものだが、固定されつつあったジブリのイメージを払拭したかったのか。それとも、近藤さんが本作の頃にはお亡くなりになっていたので、似たものにするのが憚られたのか。
いずれにせよ『千と千尋の神隠し』の直後で、その勢いで劇場に足を運んだ人は、肩透かしをくらった感じだったろう。まあ、私のことなんだけど。

完全に声優が普通の役者さんばっかり。ジブリは声優を専業にしている人じゃなく、TV露出の多い役者やタレントをつかったり、ポンっと新人を持ってきたりすることは多いけど、ここまで露骨にTVドラマの仕事が多い人間ばかりを使うのは始めてかも。池脇千鶴など気合が入りすぎなのか演じすぎて、いささかうっとおしい。『千と千尋の神隠し』の時もそうだったけど、端役とはいえ、鈴井貴之・大泉洋・安田顕と水曜どうでしょうチームがなんで入りこめているのかもよくわからん。
唯一いい仕事をしているのは、『大霊界』以降、バラエティでマジボケ要員としてイジられるだけになった丹波哲郎。びっくりするくらいの出来映え。

とはいえ、それらを独特の雰囲気を受け止めて割り切ってしまえば、軽いファンタジーとして十分に楽しめる。案外、名作になれる素養はあったと思うのだが、そうならなかった理由はけっこう明白。それは、キャラクターの行動の動機付けが希薄なので、ストーリーの幹が細くなってるから。
例えば、バロンはなんでハルを助けようと思ったのか。ユキちゃんがハルを助けたい理由はある(過去のお礼)。しかし、バロンがそれを手助けする理由はない。猫の国王に恨みがあるとか、親友のムタがいわれのない罪で猫の国から狙われているとか、そんな理由でもかまわない(むしろ猫の国に悪さをしたのはムタさんのほうだし)。猫の事務所に来れたってことは、ハルに正当性があるんだろう…という、釈然としない理由だけが原動力というのが、つまらない。

まあ、時間も短めだし、ジブリであることを忘れれば、良作なのかもしれない。
#どちらかといえば、犬派だからピンとこないだけか?
 

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image0616.png公開年:2005年
公開国:韓国
時 間:115分
監 督:パク・チャヌク
出 演:イ・ヨンエ、チェ・ミンシク、クォン・イェヨン、オ・ダルス、キム・シフ、イ・スンシン、キム・ブソン、ラ・ミラン、ソ・ヨンジュ、キム・ジング、コ・スヒ、キム・ビョンオク、ナム・イル、カン・ヘジョン、ユ・ジテ、ソン・ガンホ、シン・ハギュン 他
ノミネート:【2005年/第18回ヨーロッパ映画賞】インターナショナル[非ヨーロッパ作品賞]
コピー:最後の復讐が、一番哀しく、美しい。

クムジャは誘拐した幼児を殺害した罪で逮捕され、その美しい容姿からマスコミを賑わせた末、13年間服役することに。服役中は、常に笑顔を絶やさず、誰にでも献身的に接し“親切なクムジャさん”と呼ばれるほど。実は彼女は、幼児殺害はしていない。とある男と幼児の誘拐までは共謀したものの、殺害したのはその男。その男に彼女の娘が人質に取られ、罪を背負うよう脅迫されていたのだ。クムジャは娘との生活を奪った男への復讐を決意。出所後、服役中に恩を売った仲間のもとを訪れ、真犯人を追い詰めるための準備を着々と進めるのだったが…というストーリー。

『復讐者に憐れみを』『オースド・ボーイ』に続くパク・チャヌクの“復讐3部作”のラスト。一番、残酷描写はライトだと思う。女性が主人公のためか、直情的な怒りにまかせた暴力というのもあまりなく、前2作とは雰囲気が異なる。
最後の殺害シーンでも、じわじわと殺していくものの、実際にどこまで何をやったのかは描写していない。想像にお任せしますということなのかもしれないが、その辺りのぼやかし方を丁度いいと感じるか、ボケていると感じるか、印象が分かれるところではある。

前半は、彼女が行おうとしている“復讐”とは何なのか?彼女の行動の根源は何なのか?という、謎解き的な要素で展開する。しかし、DVDのあらすじとか作品紹介でその謎をすっかり明かしてしまっていて、はっきりいって潰されている感じがする。

独特なノリと勢いでごまかされてしまうのだが、冷静になって考えると、ちぐはぐというか首を傾げたくなる演出は多い。例えば、ナレーションをしているのが、なんで刑務所仲間の女なのか。どういう意味があるのか…とか。
子供が人質に取られているわけだから、まず娘の安否を確認できた上で“復讐”という流れになると思う。つまり、服役中に娘が養子に出されたことが確認できた後、復讐モードに入ることができるのだと思う。そのタイミングは何時だったのか?が、よくわからない。先に刑期を終えた人に探らせたからこそ、娘が養子に出されたことを知ることができたはずだから、数人を手なずけてから、本気の復讐モードになるはずだよね。その順番がすっきりわからない。
色々、策を弄しているのはわかるのだが、あの男を拉致するために、囚人仲間と結婚させることが必須なのかもわからない。
なんで、あの北朝鮮ババアが持っていた設計書の銃じゃないといけないのか。銃に無駄な飾りをつけてなんとなく美学があるような演出をしてはいるが、どういう意図があるのかわからない…とか。

クムジャさんが計画していた内容に、彼が他にも手をかけていた…という流れで、作品の趣が変わってしまう。ある意味、リベンジャーではなく、被害者の親たちにとっては天使になる。思いもかけず、出所後に脱ぎ去った“親切なクムジャさん”という仮面を再び被ることになる。その反面、クムジャさんは自分の復讐をすることができたのか。確かに殺すことはできたが、彼女の心が平穏を得られることはなかった。
もしこれが「人を呪わば穴二つ」ということを言っているのか、人間なんて元々汚いもの…ということを言いたいのか、監督の意図が伝わってこないのが、本作はいまいち評価されない点なのかな…と。

刑法による罰は国家が社会維持のために行うものであって、被害者の復讐の代行では決して無い(日本の刑事裁判でちょっと勘違いしている人がいるが、刑事裁判は被害者やその遺族を満足させるために行っているものではない)。復讐の代行は民事裁判による金銭による賠償で行うというのが、ルールである。しかし、それで満足できない場合。仮に自分が新たな犯罪者になっても構わないので復讐したいというなら、やってもいいんじゃないか?という、割り切ったアプローチなら、それはそれでおもしろいと思う。ただ、重ねて言うが、その意図がはっきり伝わってこないのが痛い。

話は変わってしまうが、この作品を観ていると、自分が日本に生まれたことをなぜか感謝したくなる。別に日本が特段法治国家として優れているとは思わないが、大量のマスコミが押し寄せるなか、現場検証が行われるとか、裁判の量刑の方法とか、簡単に海外に養子に出せる制度とか、もう韓国に生まれなくてよかった…とすら思う。劇中の街並みの汚さを観ても、そう思えてくる。

色々文句をいったが、個人的には結構好きな作品。この押さえ気味の感じが、他の韓国映画にはない味わいになっていると思う。
#韓国人はDr.スランプを日本のアニメだと認識できているのだろうか…。

 

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image0566.png公開年:1999年
公開国:アメリカ
時 間:107分
監 督:M・ナイト・シャマラン
出 演:ブルース・ウィリス、ハーレイ・ジョエル・オスメント、トニー・コレット、オリヴィア・ウィリアムズ、トレヴァー・モーガン、ドニー・ウォールバーグ、グレン・フィッツジェラルド、ミーシャ・バートン、M・ナイト・シャマラン 他
受 賞:【1999年/第5回放送映画批評家協会賞】子役賞(ハーレイ・ジョエル・オスメント)
【2000年/第9回MTVムービー・アワード】ブレイクスルー演技賞[男優](ハーレイ・ジョエル・オスメント)
コピー:視覚 聴覚 嗅覚 味覚 触覚 しかし…“第6の感覚”それはだれも知らない

著名な児童心理学者であり精神病医であるマルコム。ある時、彼の家に10年前に患者だったビンセントという青年が押し入り、自分を判ってくれなかったと言ってマルコムを銃撃する。その1年後、リハビリを重ね何とか仕事に復帰できるまでになったが、妻との間には大きな溝が生まれ、苦悩する日々。そんな中、マルコムはビンセントの症例によく似たコールという少年を担当することに。コールは、死者が見えてしまう能力を持つため、いつも霊の姿に怯えているが、そのせいで同級生や教師から化け物呼ばわりされたいる。コールの能力のことを知らない母親の関係もギクシャクし始めていた。マルコムは、コールを治療することがビンセントへの償いになると考え、必死に治療にあたる。そんな彼の真摯な態度に、コールも徐々に心を開き、自分の秘密を打ち明けるのだった。はじめは懐疑的なマルコムだったが、ビンセントの治療記録を再検証することで、コールの言葉を信じはじめ…というストーリー。

一回目は素直にビックリ。二回目は答え合わせ。その後はまず観ないっていうのがこの作品だが、私、購入していてたまに観る作品である。
#改めて見ると的外れなコピー。単なるタイトルの説明だな。

シャマラン監督といえば、星新一的なドッキリなオチばかりがクローズアップされるけど、怖さの裏に人の愛情が隠れているのも特徴。これは『サイン』とか他の作品も同様で、シャマラン作品のすばらしさだと思う。
とにかく漂う雰囲気が秀逸。空気が片栗粉でとろみをつけたように、重々しい。終始一貫して緩やかなテンポを変えないのだが、飽きることがないのが不思議。音楽の秀逸さも一助になっているかも。

ラストのオチは巧みに隠されているから判らないのではなく、むしろ無防備なほど隠していないので、かえってわかりにくくなっていることがわかる。
でも、このラストを観て「あ~読めたわ~」「予想通りだったわ~」とか言うヤツは、ちょっと野暮だね。何度か繰り返して観るとわかると思うけど、彼がもう死んでいる可能性は確かに浮かんでくるけど、そうじゃない可能性も同じだけあり得るっていう演出なんだよ。彼が死んでいるとしか思えない…それしか浮かばないとしたら、逆に想像力が乏しいかもしれないよ。

元音声だと「everyday.」でピタッと決まるところなのだが、日本語訳だと「毎日だよ」。これが、ちょっと締まらない。意外と翻訳が難しかった作品なのかもしれない。しっくりこない和訳が多い。
素早い動きも展開もないので、字幕を追っても何かを見落とすことはないだろう。本作にかぎっては字幕でみるほうがいいかもしれない。

もう前に観たし…という人も、あえて観てみることをお薦めする。重ねるたびに“愛”の要素が強くなっていくと思う。

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image0437.png公開年:1985年
公開国:アメリカ
時 間:140分
監 督:リチャード・ドナー
出 演:ショーン・アスティン、ジョシュ・ブローリン、ジェフ・B・コーエン、コリー・フェルドマン、ケリー・グリーン、マーサ・プリンプトン、キー・ホイ・クァン、ジョン・マツザク、アン・ラムジー、ジョー・パントリアーノ、ロバート・ダヴィ 他




警察署から悪人フランシス・フラッテリーが脱獄し、母親と弟の車で逃走。警察とのカーチェイスと銃撃戦の末、見事に逃げ切ってしまう。その頃、13歳のマイキーと兄ブランドンの家に、いつも軽口ばかりのマウス、食いしん坊のチャンク、発明好きのデータら自ら“グーニーズ”と名乗る仲間たちが集まっていた。マイキーの家は、銀行への借金返済が滞り、一帯を買収してゴルフ場にしようとしていた銀行に立ち退きを迫られている。そしていよいよ、明日には家を出なくてはいけない状況だった。別れを惜しむ彼らが、立ち退く家の屋根裏部屋を探検してみると、古地図を発見。どうやら、海賊・片目のウィリーが隠した宝の地図らしい。宝を見つければ、借金が返済できて、引っ越す必要はなくなると考えたグーニーズは、地図が指し示す岬を目指すのだったか…というストーリー。

冒頭のフラッテーリ一家の逃走のシーン。敵も味方もすべて紹介するだけじゃなく、その特徴や性格までサラリと説明する巧みさ。まさにアドベンチャーらしい話の運び方で、問題→アプローチ→決断→突破→問題…のループが途切れることなく展開される。振り返って考えれば、伏線はベタベタなんだけど、テンポがいいから先回りさせない。
『リーサル・ウェポン』の直前のリチャード・ドナー作品。このテンポ良さこそ彼の真骨頂。

伏線で無駄なのは、ステファニーの眼鏡が壊れて何も見えないの…って部分だけ。見えなくて弟とキスしちゃうのはアンドレアのほうだし(そのときはしっかり見えてるし)、チグハグな演出。

子どもが冒険の楽しさを知り、大人は思い出し、ワクワクする作品。この、冒険活劇のすばらしさは、原案・製作総指揮のスピルバーグのおかげなのだが、なぜかこの頃のスピルバーグからは“日本嫌い”は滲み出ている気がするのだが、気のせいだろうか。

子供映画だと始めから無視されていたのか、映画賞とは無縁。でも、永遠の名作。トロイの描写のせいか、TV放送される機会は少ないのが残念。
#チャンク、一緒に暮らそうっていうけど、家族はイヤだと思うけどなぁ(笑)。

なぜかわからないが、夏の蒸す夜には最適な一本。すごく久々に観たけれど、とてもおもしろかったよ。

 

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image1914.png公開年:2010年
公開国:アメリカ
時 間:118分
監 督:ゲイリー・マーシャル
出 演:ハル・ベリー、ジェシカ・ビール、ジョン・ボン・ジョヴィ、アビゲイル・ブレスリン、クリス・“リュダクリス”・ブリッジス、ロバート・デ・ニーロ、ジョシュ・デュアメル、ザック・エフロン、ヘクター・エリゾンド、キャサリン・ハイグル、アシュトン・カッチャー、セス・マイヤーズ、リア・ミシェル、サラ・ジェシカ・パーカー、ミシェル・ファイファー、ティル・シュヴァイガー、ヒラリー・スワンク、ソフィア・べルガラ、ケイリー・エルウィズ、アリッサ・ミラノ、コモン、サラ・ポールソン、カーラ・グギーノ、ラッセル・ピーターズ、ジェームズ・ベルーシ、ジェイク・T・オースティン、ジョーイ・マッキンタイア、ショーン・オブライアン、ラリー・ミラー、ジャック・マクギー、イヤードリー・スミス、ドレナ・デ・ニーロ、ペニー・マーシャル、クリスティーン・レイキン、アール・ローズ、チェリー・ジョーンズ、キャスリーン・マーシャル、デヴィッド・ヴァルシン、パトリック・コリンズ 他
ノミネート:【2011年/第32回ラジー賞】 ワースト作品賞、ワースト主演女優賞(サラ・ジェシカ・パーカー『I DON'T KNOW HOW SHE DOES IT』に対しても)、ワースト監督賞(ゲイリー・マーシャル)、ワースト・アンサンブル演技賞

ニューヨークの大晦日、8組の人々の物語。タイムズスクエアでのカウントダウン・イベントの責任者を任されたクレアは、その責任の重大さから神経質になっていたが、そんな彼女をニューヨーク市警のブレンダンが手助けする。セレブが集まるパーティの仕事が入り大忙しのケータリング会社社長ローラは、タイムズスクエアでのカウントダウン・ライブに出演する元カレのロックスター・ジェンセンと再開してしまう。死期の迫った孤独で頑固な老人スタンは、かつて娘とすごした大晦日を思い出していた。そんな彼を看護士のエイミーは優しく見守る。長い間会社に尽くしてきた40過ぎのイングリットは、そんな自分がイヤになり辞職し、仕事のせいで叶うことのなかった“目標リスト”を開始する。ビジネスマンのサムは、去年の大晦日に出会った女性と交わした約束が気になって仕方が無い。大晦日が嫌いな男ランディは、女性とエレベーターに閉じ込められてしまう。友だちとカウントダウンを見に行く約束をした15歳ヘイリーだったが、心配性の母親が許してくれるはずもない。大晦日に出産を予定している妊婦は、新年で一番初めに生まれた子供に賞金が出ること知り何とかタイミングを合わせようとするが…というストーリー。

大晦日のニューヨークを舞台にして、基本的に男女間の出来事が多数並行して描かれる。日本人にはピンとこないが、タイムズスクエアの“ボール・ドロップ”というやつの現場周辺で、展開する。各々のエピソードは小ネタなんだけど、それらの雰囲気が合わさって何となくニューヨークの雰囲気が感じ取れる。そんなお話。
#新年のカウントダウンに合わせて玉がゆっくり落ちていくらしいんだけど、なにがおもしろいんだかさっぱりわからんけど。

どうしても『ラブ・アクチュアリー』と比較してしまう。『ラブ・アクチュアリー』のように恋愛しばりではなく、父娘、母娘のエピソードも含まれるのだが、ほとんどが男女間の恋愛・結婚に関するお話。ロバート・デ・ニーロの病人の話と、ヒラリー・スワンクのボール・ドロップの話は恋愛とは無関係で、浮いた感じ。サラ・ジェシカ・パーカーの母娘の話も異質かも。はっきりいって統一感がない。恋愛でなくてもいいが男女の話でくくるか、むしろ、老人と子供とか恋愛と無関係のエピソードを挟めば、トータルバランスは取れたと思う。

また、ロバート・デ・ニーロとヒラリー・スワンクの件が最後には繋がったりするし、歌手ジェンセンとそのバックコーラスの女性のエピソードも繋がる。こういう融合があると、普通は鳥肌が立ったりするものだが、そういうゾワっという感じや、ワクワクが一切感じられない。ワクワクしないロマンス系の話なんかに観る価値があるだろうか。

イングリットの目標リストのあたりは、すごく面白くなりそうなのに、ただこなしていく感がすごい。バリ風のスパとか舞台装置とか、アイデアはわかるけど、それをやった後に何もないのが痛すぎる。ジェンセンとクレアにいたってはヨリを戻しただけで、それ以上でも以下でもない。
舞台は新年に向けて刻々とカウントダウンするけれど、そこにいるすべてのキャラクターが、一切変化も成長もしない。何がつまらないかって、それが一番つまらない。人間ドラマ自体がつまらない。『ラブ・アクチュアリー』の8分の1くらいしか面白みがない。ゲイリー・マーシャルってこんな系統の作品ばっかり作ってるのにね。駄作。
 

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image1930.png公開年:2010年
公開国:カナダ
時 間:102分
監 督:イーライ・クレイグ
出 演:タイラー・ラビーン、アラン・テュディック、カトリーナ・ボウデン、ジェシー・モス、フィリップ・グレンジャー、ブランドン・ジェイ・マクラレン、シャーラン・シモンズ 他





トイレ設置業者のタッカーとデイルは親友同士。二人はこつこつお金を貯めて、念願の別荘を購入。バカンスをその山小屋で過ごそうと森へ向かう。その途中、キャンプにやってきた大学生のグループと遭遇。デブでヒゲ面でまったく女性に縁の無いデイルはグループの女子に興味津々。どうせ自分なんか…と諦めようとする彼を、「人生は短い、勇気を出して笑顔で話掛けてみろ」と励ますタッカー。勇気を奮って近寄るデイルだったが、荒くれ者みたいな風貌で大きな鎌をもって近づいたものだから、大学生たちは殺人鬼を勘違いして逃げ出してしまう。ガッカリしつつも、気を取り直して別荘へ向かう二人。いい気分のまま夜釣りに出かけると、そこには水辺で遊ぶさっきの大学生たちが。しかし、その中の一人の女子が溺れてしまったことに気付き、助けるタッカーとデイル。しかし、その救出の場面を見た他の大学生は、拉致されたと勘違いし逃げ出してしまい…というストーリー。

ジャケット画像はまるでコメディ。私も、気分転換に軽いコメディを…と思って借りたのだが、全然違った。

山男というか犯罪者というか、とにかくあぶない風体の二人組みなのだが、気持ちはピュアな二人。デブのデイルにいたっては、くまのプーさんばりの優しさで、実際に“妖精”さん。そこに、ホラー映画ではおきまりの、キャンプにやってきた大学生。アンジャッシュのコントみたいに、二人を殺人鬼と勘違いするネタをずっと展開して、結果的にコメディになっていくのかと思っていた。

確かに、序盤はホラーになる気配すらなく、中盤になってもホラーになりそうでならない寸止め状態が続く。むしろ、大学生側のヒロイン役の女の子とデイルの関係にスポットがあたりはじめ、ラブコメディの要素まで臭ってくる。ところが、しっかりと裏切ってホラー作品になるのだ。
おお、やっぱりやっちゃうのかよー的なメタな視点と、どこまで踏み込むのかわからない感じ。それに加えて、主人公デイルと女子大生のグローイングアップストーリーがウマく絡み合う。この、シチュエーションコメディとホラーの絶妙な融合は他に類を見ない。

おいおいおい!って感じで人は死んでいくんだが、明らさまなコメディ調ではなく、しっかりホラー的に死んでいく。小屋の柱のくだりとか、まあ判りやすい伏線なんだけど、くだらねぇ…ではなく、あ~あ~と思わせてくれるのは、決してコストがかかっているわけではないのだが十分なクオリティの特殊メイクのなせる業。

あまり語りすぎるとおもしろくなくなるので、これ以上言わない。落とし所が見えないので、先読みがしにくいというホラーとしては秀逸な出来映え。これは秀作だと思う。是非観て欲しいお薦めの作品。
#これは今年の大晦日にでも、TV放映すべき。絶対ウケる。各局、放映権を争奪すべし!

 

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image1927.png公開年:2010年
公開国:フランス
時 間:102分
監 督:リュック・ベッソン
出 演:フレディ・ハイモア、ミア・ファロー、ロン・クロフォード、ジェラール・ダルモン、ミレーヌ・ファルメール、マルク・ラヴォワーヌ 他





人間界に渡り、人間と同等の大きさになった魔王マルタザールは、ミニモイの世界だけでなく人間界も支配しようという野望を抱いていた。その目論見を知ったアーサーやセレニア王女も、マルタザールを追って地上へ向かうが、小さい体では如何ともしがたい。マルタザールは、整形手術で人間の顔に変身し、ミニモイを巨大化させる薬を入手するために、アーサーの家に入り込むのだった…というストーリー。

前作は、とんでもないところでぶった切られて続きは次作で!みたいな終わり方だった。なんだこりゃ!と呆れてしまったのだが、その報いなのか、なんとラストである3作目は日本未公開。いくらなんでも三部作の最後が未公開なんてことが許されるのか?と思うのだが、そうせざるを得ないデキだということ
冒頭に一作目、二作目のダイジェストが差し込まれている。そうしないと思い出せない人が大半だからね。それでも、いまいち思いだせないということからも、結果的にこのシリーズが失敗だったということを証明している。

これまでは、ユニークなデザインの妖精たちによる奮闘がおもしろかったのだが、人間大になっての戦いだし、ミニモイ側はあまり出てこない。
ダースベーダーのネタとかいいのかよそれ。そういうチョケた路線からは無縁だと思ったのだが、そういう次元で壊れていくのは、釈然としない。

シリーズ全体から考えても、父親との確執の解消がうやむやだし、王女との別れも淡白すぎる。シナリオとして深みがなさ過ぎる。眠気の襲い方がハンパ無くて、駄作といってよいだろう。もうすこし削ぎ落として、2と3はまとめるべきだったと思う。もう、感想も少なめになるよね。

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image1903.png公開年:2011年
公開国:日本
時 間:126分
監 督:グレッグ・モットーラ
出 演:市川海老蔵、瑛太、満島ひかり、竹中直人、青木崇高、新井浩文、波岡一喜、天野義久、大門伍朗、平岳大、笹野高史、中村梅雀、 役所広司 他
ノミネート:【2011年/第64回カンヌ国際映画祭】パルム・ドール(三池崇史)
【2011年/第35回日本アカデミー賞】助演女優賞(満島ひかり)、美術賞(林田裕至)
コピー:いのちを懸けて、問う――
なぜ男は、切腹を願い出たのか――。世界を圧倒した衝撃の超大作。

関が原の合戦の後。戦国の世は終わり、天下泰平の徳川の天下となる。その裏で、豊臣方をはじめとする御家取り潰しが相次ぎ、仕官先を失った浪人たちであふれることになった。浪人たちが裕福な大名屋敷を訪れ、切腹のための場所を提供してほしいを願い出て、困惑する屋敷の者から金銭をせしめるという“狂言切腹”が流行するまでに。そんなある日、名門・井伊家の玄関先に切腹を願い出る津雲半四郎と名乗る浪人が現われる。井伊家家老・斎藤勘解由は、彼に事情を聞く際に、数ヶ月前にも千々岩求女という浪人が同じようにやってきたことを告げ、その時の様子を半四郎に聞かせるのだったが…というストーリー。

とにかく“狂言切腹”に注目したとこが非常におもしろい(まあ、そういう原作があって、過去に映画化済ではあるが)。

二人の男が狂言切腹を申し出る。どうやら二人目の男は思うところあって来ているようにも見える。さてなんでこんな奇妙なことになっているのか?この男は何をしたいのか?そして出勤してこない三人の武士には何がおこったのか。その何故を振り返る形で謎が明かされていく構成もよい。求女の遺体が届けられたあたりまでは、非常におもしろかったと思う。

三池崇史は、どうしても市川海老蔵と満島ひかりを使いたかったんだろう。それは判る。でも、いくらなんでも市川海老蔵と満島ひかりが親子なのは無理がある。確かに時間が経過したテロップは入った。でも、あの男の子と女の子が、瑛太と満島ひかりだとピンとくるまで、すこし時間がかかった。とにかく、市川海老蔵が全然老けたように見えないし、そんな年齢にはまったく見えない。自然なライティングを心がけているせいか、全体的に薄暗い画像なので、老けメイクをしたところで判りはしない。もう、“老い”は演技で表現するしかないのだ。特段演技が下手というわけじゃないのだが、実年齢を超えるほどうまく演技はできていない。残念ながら力不足。

まあ、そこは、ほどなく理解できるので良しとしよう。しかし、シナリオ的にラスト30分がとんちんかん。
#孫が死ぬまでの回想シーンが長すぎるし、あの役に竹中直人は不要…とか、そういう指摘がすべて吹っ飛ぶくらい。

半四郎は、求女の切腹の願い出が、狂言だとわかったんだから、追い詰めたおまえらが悪いといっている。逆切れも甚だしくないだろうか。孫も死んだ、娘も死んだ。だからって逆切れして乗り込むなんてまともな思考じゃない。武士の世、江戸中期以降とかならわからんでもないが、関が原の直後だ。そんな時代に、武士が切腹を願い出たら、それを尊重することが責められることか?狂言切腹をするような武士を汚らわしいものと考えて何がいけないか?

私は、役所広司演じる斎藤勘解由の怒りが理解できたし、求女を浅ましいと見た。求女の事情もわかるが、人を騙すような手段を用いて、結果として失敗したんだから、自分の失策である。
昨今の不況とか、下級武士を現代サラリーマンになぞらえたのかもしれないが、その視点は陳腐でつまらない。それこそ蟹工船のような抑圧された階層のあわれをダシにして、富裕層を非難する陳腐な階級闘争にしか見えない。よく、昔の植民地主義が悪という人がいるが(まあ60歳前後の人たちなんだか)、昔の事柄は昔のルールで評価されるべきであって、その見方は実に馬鹿馬鹿しい。

武士の体面がどうのこうのいうのなら、曲げを取られた武士たちが出勤しないのはおかしいじゃないか!という理屈をこねるのだが、体面が悪いから出勤しないのであって、別に理論に不整合はないと思うのだが。とにかく考えて欲しい。どうしても井伊家を責めたいのであれば、もっと彼らに非道な行いをさせればいいのである。例えば、始めは普通に頭を下げてきたのに、狂言切腹でもしろと促したのがあの三人だとか。

自分で望んた切腹をさせてやって、すべて望みどおりお膳立てしてやったのに、「空気読めよ!」ってあとからその親がやってきて、刃物を振り回すなんて、狂気の沙汰というか理不尽すぎて、逆に戸惑ってしまう。これがクレイジーニッポンか、あのハラキリか!と、海外の人は困惑と異星人を見るような目を向けたことだろう。パルム・ドールにノミネートされているが、良く判らないものをもっともらしくありがたがるという、いつものカンヌにはぴったりの作品だったろう。

三池崇史は、貧富の差や階級闘争みたいなものにスポット当てたいのではなくて、“世のあはれ”みたいなものを表現したかったのかもしれないが、求女側へのお涙頂戴的な展開の枠は超えられていない。
とにかく、まさか逆切れで終わることはなかろうと思っていて、どういうおもしろい理屈をもってくるのかとても期待していたのだが、まさか布団叩きおばさん(通称:騒音おばさん)の映像を見たときと同じ感覚になろうとは。
突然バンジージャンプをさせられたような気分を味わいたいなら、レンタルしてみるとよいだろう。

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image1909.png公開年:2010年
公開国:アメリカ
時 間:108分
監 督:マルコム・ヴェンヴィル
出 演:キアヌ・リーヴス、ヴェラ・ファーミガ、ジェームズ・カーン、ピーター・ストーメア、ジュディ・グリア、ダニー・ホック、カリー・グレアム、デヴィッド・コスタビル、フィッシャー・スティーヴンス、ビル・デューク 他
コピー:信じたら、だまされる。



ハイウェイの料金所で働くヘンリーは、ごく平凡な毎日を繰り返すだけの日々を繰り返していた。そんなある日、高校時代の同級生に騙され、知らぬ間に銀行強盗の一味にされた上に、自分だけが逮捕されてしまう。しかし、ヘンリーは仲間の名前を一切証言せず、そのせいで収監されてしまう。つまらない毎日から逃れたいという気持ちがあったせいなのか、子供を作ろうと執拗にせがむ妻にうんざりしていたせいなのか、つらいはずに監獄生活が、不思議と苦痛に感じないのだった。1年後、仮出所したヘンリーは、逮捕の舞台となった銀行へと向かう。ふらふらと銀行に近づいていくと、路上で車にはねられてしまう。幸い大事には至らなかったが、その車を運転していたジュリーという女優と顔見知りなる。彼女はは銀行の横にある劇場でチェーホフの“桜の園”の稽古中。ヘンリーは、ふとしたことから、銀行とその劇場が古い地下道で繋がっていることを知り、本当に銀行強盗をすることを思いつく…というストーリー。

実際の内容と邦題の乖離が甚だしい。“フェイク”って何を指しているのやら。ものすごう犯罪サスペンスのようなDVDパッケージもいかがなものかと思う。そして“信じたら、だまされる”というコピーがひどい。もしかして観ていないんじゃないかと思うほど的外れ。誰が付けたかしらないが、もし配給会社の人とかなら、もう業界を去ったほうがいい。センスが無さすぎ。

ネット上でこの作品の色々な評価をみるとけっこう散々なんだけど、私の評価は高い。

キアヌ・リーヴスが公園のベンチでぼーっとしている写真が話題になったが、それを踏まえての配役なのか、現在の生活に虚無感を感じている男の役が実にぴったり。
彼は普通に幸せな生活さえ送れていればそれでいいと思っている。でも、能動的に自分が他者に影響を及ぼすことを避けている。子供お作ろうとしないのも、将来に不安があるとかそういうことではない。いや、なんで躊躇するのか自分でもよくはわかっていないのかも。でも、こんなの自分じゃないと思っていて、変えるきっかけはほしいとは思っている。でも能動的に何かは決してしない。だから、何かに巻き込まれたら流されることしかしない。ソフトな自暴自棄みたいなもんだ。

この主人公のスタンスが実に共感しやすい。今の生活が気に喰わないからって、世のサラリーマンたちは仕事お投げ出したり生活をリセットしたりはできない。いや、そんなことも望んではない。でも、なにか違う…という思いが頭の片隅を支配して離れない。そんなことがあるはずだ。

で、彼はただ自分の前を流れる潮流にただ流されてみることを選択する。その結果、銀行強盗にされてしまうが、普通なら私は知らない、これこれこういう流れで、車に乗せられただけだ…と言えば済む話である。妻だってソフトボールに参加させられるくだりを知っているわけだし証言はしてくれるだろう。でも彼は黙秘と貫く。妻に何かをしてもらうことを静かに拒否する。結果、彼女と距離を置くこともできるし、退屈な生活ともおさらばできる。でも、やっていない犯罪を認めることはない。

そんな彼が仮出所した後、どう変わるのか。彼は犯罪をしようと刑務所で同部屋だったおっさんを仮出所させる。そのおっさんは、はじめは乗り気じゃなかったが、乗りかかった船、トントンと計画を進めていく。でも、ヘンリーはやっぱりどこかズレていて、犯罪をしたいという気持ちとは違う様子。自分を変えるツールぐらいにしか思っていないんじゃないかというフシ。だから、簡単に女優のジュリーに計画を話しちゃう。

計画のためには仲間が必要になって、元妻と結婚してしまった銀行強盗仲間だった男が参加したり、ヘンリーをはじめに捕まえたガードマンが参加してきたり。穴を掘る場所を確保するためにヘンリーが役者になってみたりと、状況は混沌としてくる。そして、その劇は、彼らの犯罪計画や、ヘンリーとジュリーの間の事柄と微妙にシンクロして…と。笑わそうとはしていないが、立派なコメディだと思う。
女優だって同部屋だったおさんだって、今の自分から変化しようとしているのもおもしろい。

で、この作品がなんで評価されないか、それは最後の最後が息切れしてまったく締りがないからである。ヘンリーは何故舞台に戻ったのか。観終わって冷静に考えれば、彼女と一緒に逃走するつもりなんだろう…と、それしかないということになるのだが、観ている最中はちょっとわからなくて変な感じ。
その、混乱の元は、押しかけてきて仲間になったもう一人の銀行強盗を縛って地下に置いてきたことに起因する。まず、ヘンリーは、フロリダのグレープフルーツのことを言って降車して劇場に向かう。その発言が、後から行く…なのか、おっさん幸せにな…なのかはわかりにくい。また、おっさんと一緒に逃走する元妻と結婚したアホ男は元妻を捨てるの?ともわかりにくい。だって、金をもらってそのまま暮らしても、地下に残してきた男が証言したらパーだもの。それはヘンリーとジュリーも同じで、もう一緒に逃走しないと、絶対に捕まるのだから。黒人ガードマンだってそうだ。

はっきりいうと、、おっさんが縛った男を殺す演出にすべきだったと私は考える。作風を合わないから止めたんだとは思うが、そうすれば、もっといろんな解釈がなりたつ作品になったと思うし、けっこうカルトな人気を博することもできたと思う。

本当に、最後の最後だけで失敗している作品。でも、とにかくトータル的には、笑わせない笑いを極めた作品だと思う。ジャケットのサスペンス臭やアクション臭で忌避することがないように、是非レンタルして観てほしい。犯罪・マフィアにカテゴライズしたが、正面きってコメディとカテゴライズするのも変だし、単にドラマとするのも変。そのくらい掴み所の無い魅力の作品で、私は好き。お薦め。

 

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image1912.png公開年:2010年
公開国:アメリカ
時 間:89分
監 督:ジョン・カーペンター
出 演:アンバー・ハード、メイミー・ガマー、ダニエル・パナベイカー、ローラ=リー、リンジー・フォンセカ、ミカ・ブーレム、ジャレッド・ハリス 他





1966年。20歳のクリステンは、身に覚えのない放火の容疑で逮捕され、そのまま精神病院に収容される。そこには、自分以外に同年代の女性が4人収容されていた。クリステンは、自分に異常なところがあるとはとても思えず、納得ができないまま初日の夜を迎えるが、何者かの気配を感じ、ますます不安を募らせる。他の患者は、汚れたぬいぐるみを片時も離さずいつも怯えているゾーイ、振る舞いが派手で奔放なサラ、絵を描くのが得意なアイリス、いつも歌を口ずさんでいるエミリー。自分は異常ではないと思っているが、記憶が欠落していることに気付きはじめるクリステン。治療が進行するほど、不気味な何者かの気配を感じることも多くなり、いよいよ収容されていることに危機を感じた彼女は、他の患者と一緒に脱走を試みるのだが…というストーリー。

『遊星からの物体X』のジョン・カーペンター様の久々の作品。音楽が、過去のジョン・カーペンター作品らしさを彷彿とさせてくれる。いかにもな自分らしさを出せているのがすごい。

はじめっからB級臭満載。なんだこれ。ありがちな普通のホラーじゃんか。多くの人はそう思うだろう。
亡霊の仕業だ…とか、医者とか看護婦とかが実は…とか、別の患者が実は…とか、クリステンが多重人格で…とか、誰かがこの病棟に潜んでる…とか、もうそんなありきたりなパターンに決まってるじゃん……、、、あれ、色々予想は挙がるけど、これだな…って確定はできない。ありがちな演出ばかりの波状攻撃で、逆にどういうオチなのか判らなくなっている。これって、案外、高等テクニックなのでは?と気付くと、感心しきり。

“監禁病棟”なんてお色気路線みたいな邦題だけど、そんなシーンは皆無。けっこう正統派なB級ホラー。変な表現かもしれないけど、そうとしか言いようがない。とにかく、予算はかかってないのは明白。

(以下ネタバレ)

結局は『アイデンティティ』そのままだった。
はじめは、なんでわざわざ舞台を60年代にしたのか疑問だったんだけど、もし時代設定を現在にしていたら、オチは読め易くなっていたと思う。なんでもおこり得そうな空気を出すには、ちょっと昔の設定にしたのは効果的だったと思う。

結果的にはベタベタなオチなのに、何かそこに落ち着いたこと(奇を衒わなかったこと)で安堵を覚えてしまうという、不思議な作品。ベテランのなせる業か。絶対多数の人は低い評価をくだすと思うが、先が読めた気にさせておいて、実は読めていないという、観客の泳がせ方に対して好評価をしてみたい。

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image1904.png公開年:2008年
公開国:ロシア
時 間:118分
監 督:アレクセイ・ゲルマン・Ml
出 演:チュルパン・ハマートヴァ、メラーブ・ニニッゼ、アナスタシア・シェヴェレヴァ 他
受 賞:【2008年/第65回ヴェネチア国際映画祭】銀獅子賞(アレクセイ・ゲルマン・Ml)、金オゼッラ賞[撮影](マクシム・ドロゾフ、リシャー・カミドコジャエフ)




1961年。医師のダニエルはソ連初の宇宙飛行計画に宇宙飛行士達の健康管理の責任として参加している。彼は妻ニーナを残してカザフスタンにきているが、現地にはヴェラいう若い愛人がいる。ロケット打ち上げの日は迫っているが、これまでの実験は失敗続き。ロケットの残骸を見るたびに、日頃友人のように接している宇宙飛行士達が、犠牲になってしまうかもしれないと考えると、心苦しくもあり、国家に対する怒りすら湧く。その結果、重度の神経衰弱に陥ってしまう。一方、妻ニーナは、夫が人命に関わる計画に参加していることに納得ができず、かねてから仕事を辞めることを望んでいた。そんなニーナは、夫の元へ向かおうとモスクワを旅立つのだったが…というストーリー。

時代とか状況を考えると、ガガーリンのことなんだろうなとピンとくる。私、『ライトスタッフ』とか『アポロ13』とか『フロム・ジ・アース 人類、月に立つ』とかDVDを購入して持ってるわけ。だから、ソ連版の『ライトスタッフ』みたいなのが観れるんだなと、ものすごく期待。いつもNASA側からの“見えない脅威”としてのソ連像しか描かれていないからね。それが、宇宙計画に参加しているお医者さんの目線で語られるに違いない…と。DVDのパッケージを見たらそう思うでしょ。

タイトルの通り、確かにお医者さんが主人公なのだが、この人、ずっと文句ばっかり言っている。おまけに奇行を繰り返すは卒倒するは、体も心も病んでいる。自分も宇宙飛行士になることを希望したのに落選。ダニエルの父はソ連一の外科医だったのに自分は大した腕もない内科医。こんな感じで、常に自分を卑下している。
有人宇宙飛行は世界で誰も成功したことはないわけだし、おまけに失敗続き。だけど、予定通りに打ち上げるしかない状況。何故か知らんけど、このお医者さん、宇宙飛行士の運動とかの指導もしている。だから、いつも一緒にいる彼らがこの残骸のようになっちゃうことを考えるとつらくてつらくて仕様が無いのはわかる。宇宙飛行士候補たちも、名誉なこととは思っても怖くて怖くて情緒不安定。

どういう話になるかな…と眺めているが、一向に宇宙飛行士にスポットが当たらず、医者と正妻と愛人との三角関係が描かれる展開に。
途中、飛行士が事故で死んだりするのだが、それはダニエルの心が一層病んでいく材料でしかない。画面だけみていたら誰がガガーリンなのかもよくわからないくらいで、完全におまけ状態。

この狂っていく様子と、三角関係の行く末になにがあるのか。ロケットの発射までをあと6週…5週とカウントダウンしていくのだが、近づいたからといってなにか劇的な事件がおこるわけでもなく。女二人が遭遇しても取っ組み合いの喧嘩が始まるわけでもなく。

この映画はいったい何を観せたいのだろう…そう考え続けるが答えは出ず、睡魔が襲ってくる。そうこうしているうちに医者ダニエルは死亡。主人公がいなくなって、このあとどうすのかと思っていると、正妻と愛人のその後が描かれはじめるが、それがなにかを示唆するわけでもない。

この映画は、一体何が言いたかったのだろう。政府の計画に翻弄された小さな人々の様子か。少なくとも私が期待した、ソ連の宇宙計画の裏側みたいな話ではなかった。
ヴェネチア国際映画祭はこの作品の何を良しとして銀獅子賞なんかをあげたのだろう。凡人の私には、何一つ良さが判らなかった映画である。本作にせよ『夏の終止符』にせよ、近年のロシア映画は無駄に芸術家をきどっているように思える。もう、ロシア映画は避けようかな…とすら思えるほど、観るのが苦痛だった。

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image1920.png公開年:2011年
公開国:日本
時 間:107分
監 督:増井壮一
出 演:矢島晶子、ならはしみき、藤原啓治、こおろぎさとみ、真柴摩利、林玉緒、一龍斎貞友、佐藤智恵、玄田哲章、小桜エツ子、愛河里花子、櫻井智、堀内賢雄、なかじままり、龍田直樹、隈本吉成、木村雅史、倉田雅世、那須めぐみ、筈見純、足立友、真堂圭、井上喜久子、川浪葉子、大西健晴、田中一成、阪口周平、浦山迅、乃村健次、村上信五、大倉忠義、山野史人 他
コピー:父ちゃん 母ちゃん。実はオラ、スパイです。


ある日、しんのすけの前に、スノモノ・レモンという7歳の少女が現れる。彼女は、“君をアクションスパイに任命する、正義のために一緒に戦おう”というしんのすけ宛てのアクション仮面からのメッセージを携えていた。アクション仮面からの呼びかけですっかりその気になったしんのすけは、スパイになる決心をする。トレーニングを完遂するとアクション仮面に会えるというレモンの言葉を信じて、レモンのスパイ訓練についていくしんちゃん。やがて、アクション仮面から「ヘーデルナ王国の悪の博士から正義のカプセルを奪還せよ」との指令が届き…というストーリー。

めずらしくタレントを声優にしたプロモーションをしていないな…と思ったら関ジャニ∞が出てるのか。わかりにくいし効果も薄い。

大枠では騙されていても、能動的でマイペースなのが、いつもの映画のしんちゃんなのだが、本作ではずっと騙され続ける。半分以上進んでも、ただ騙され続ける。多少の奇行は見せるが、一緒に行動するレモンという女の子の言いなり。いつもなら、自分を捕らえた悪人なんかを翻弄しちゃうんだけど、そういう面白みがない。

家族ごと外国の捉えられる展開は、過去の作品でも多かったが、今回は家族を一緒に連れて行く理由も希薄。というか惰性。こどもが喜ぶとでも思ったのか“おなら”押し。対立する二つの国の様子もさほど面白くないし、おなら兵器で世界を征服するという話が、おもしろくない。
レモンを助けようというしんちゃんの心意気や心境の変化がいまいち描けていないので、共感できない。

敵のボスキャラの女性二人が、しんちゃん映画史上、一番つまらない。最後に敵を倒すギミックもおもしろくなく、ただただ下品な印象しか残らない。敵が卑劣なヤツだ…という印象もなければ、実は同情すべきいいヤツだ…という展開でもない。ただただ小物。やっつけたカタルシスもないし、レモンの親のくだりもモヤモヤっとして片付けられてしまう。

こうなったら、残るは家族愛だな…ってことになるのだが、その要素は極めて薄い。じゃあ、友情路線で…といっても、風間くんたちは早々に退場しているので、時すでに遅し。

歴代シリーズの中で、一番つまらないかもしれない。増井壮一という監督さんは映画ははじめて。脚本はこぐれ京という人だが、この人もはじめて。これまでとはポスターとかDVDジャケットのイメージをガラッと変えて、心機一転を図ったんだろうけど、従来の作品の劣化コピーでしかない。とにかくシナリオのデキが悪すぎる。子供は途中で飽きただろうな。 

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クボタカユキ
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映画(DVD)鑑賞・特撮フィギュア(食玩/ガシャポン)集め
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一日一シネマ。読んだら拍手ボタンを押してくだされ。
出張とか入ると、投稿は遅れてしまいますわ。
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